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MAMALAID RAG / Day And Night Blues

2002年『春雨道中』でデビュー。ソングライター・ギタリスト、プロデューサー、アレンジャー、レコーディングエンジニアとして幅広く活動。また、2003年よりマクロビオティックに傾倒、東洋思想を応用した音楽理論を展開、オーガニック・ミュージックとして作品をコンスタントに発表している。

2002年のデヴューから、今年で10年。その間、僕は様々な作品の制作、コンサート活動を通して、例えるとすれば、乾いたスポンジのようにいろんな音楽的手法を吸収し、そして1人の男として感性を磨いてきた。この作品はいわばその集大成と言っていいと思う。
だが不思議なことに、この10年で得た「知識」というものはあまり使わなかった気がする。つまるところ、「データ」の様なものをいくら積み上げたところで、本質的なものを作り上げることは出来ないのではないか、と思う。何より経験が大事、と人は言うが、それはそれによって得られる「知識」ではなく、それを通してどう心が感じるかという感受性を高めるためのものではないかと考える。
そういった意味で、今回のこのアルバムはすべからく、これまでの作品の中で最もシンプルな仕上がりになった。その結果が、僕はとてもうれしい。より複雑で、高度なものを作りたいというわけではなく、シンプルで素朴で、芯の通った(アルデンテ!)本質的な音楽を作ってみたい。いつでも僕はそう思いながら日々、音楽と戦ってきたし、これからだってそうだ。
音楽の長い旅はまだまだ続いてゆく。その旅の途中の記念碑的作品、それがこの『Day And Night Blues』である。

田中 拡邦

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