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怒の百十四 「アイドルのカタチ~ニッチアイドルへと……」

今のアイドルは、凄い。
半端なくスキルが高いのだ。ほんとだったら、シンガーやパフォーマーとして活躍出来そうな人たちが、アイドルのカテゴリーで精進している。そのため、益々レベルが上がっていく。考えてみれば、この新たなウエーブは、2、3年前くらいから起こり始めたのではないか。
モーニング娘。が、長期の低迷に飲み込まれて行った時、これで日本のアイドルも終わったと思った人がたくさんいた。歌や振り付けでファンを楽しませる正統的なアイドルは、死に絶え、一部グラビアアイドルのみが、生き残った。彼女たちは、積極的にバラエティに進出し、お笑い芸人に混じって本音トークを過激に展開し、ひたすらアイドルの輝きを鈍くしていく作業に狂奔した。その結果、アイドルから「夢」が失われ、ごく一握りの女性を除き、グラドルは消滅した。自らの私生活、スキャンダル等をネタにする手法は、まさにタコっぽく、結局は食べられる足がなくなり、存在が消えた。
かつてないアイドル氷河期が訪れた時、逆に注目を集めたのが、ジャニーズ系の男性アイドルだった。中でも、中堅アイドルのひとつだった「嵐」が、再評価され始め、ジワジワとその人気を高めていった。
松本潤の連続ドラマ「花より男子」のヒット、「硫黄島からの手紙」で、ハリウッド映画進出を果たした二宮和也、ニュースキャスターで垣間見せた櫻井翔の知性、圧倒的な大野智のダンスパフォーマンスと抜群の歌唱力、日本一のアイドルスマイルで、「笑顔注意報」とまで言われた相葉雅紀の可愛らしさ……。そんな個々の力が合わさって、嵐は、デビュー直後のアーチストパワーを、再び発揮し始めた。
シングル、アルバムのCDの売り上げ、ライブDVDの売り上げが、すべて一位となり、他のアーチストを圧倒した。勢いを増した嵐は、若い女性だけではなく、男性ファンや、本来は韓流ファンの主婦層をも巻き込んだ、一代ムーブメントを自らの力で構築していき、アイドルの持つ底の深い魅力を、僕たちに再発見させてくれたのである。

嵐の一番の魅力は、何か?
それは、ライブパフォーマンスである。彼らのライブは、アイドルとしての可愛らしさを失うことなく、実に質の高いステージングを披露してくれる。仲の良さがもたらす、美しいフォーメーション、純粋なまでのユニゾン、高い歌唱力と、キレのいいダンス、そして、トークの面白さ。嵐のコンサートが、毎回プラチナになるのは、当然と言えば当然なのだった。
さて、そんな嵐が巻き起こしたアイドルへの追い風が、AKB48のブレイクに繋がったと僕は思っている。嵐の質の高さ、セールスパワーの凄さが無ければ、アイドルのCDやDVDが、ミリオンになる現状は生まれてなかったはずだ。

日本のアイドルが、氷河期を乗り越え、何回目かの黄金期を迎えようとしている。特に、女性による集団アイドルの活躍がめざましい。歌だけでなく、体を張ったパフォーマンスもお笑い芸人以上の過酷なものをこなす。可愛くて、歌やダンスが上手くて、トークが出来て、お笑いまでこなせば、もはや完璧。本来、歌とダンスを売りにしているアーチストも、アイドルに負けていられないと、いい意味での切磋琢磨が起こることで、業界全体が底上げされるものと思え、音楽ファンの一人として、とても嬉しい状況なのだった。

しかし――。
僕の中のアイドル像は、少し違う。僕が、中学生の頃、高校生の頃、熱中していたアイドルは、もっともっとたどたどしかった。歌も振り付けも学芸会レベルで、アイドルは、そんなものと思い込んでいた。ただ、その可愛らしさは、半端ではなかった。浅田美代子、石野真子、倉田まり子、菊池桃子……彼女たちを表現するには、「アイドル」というしかなかったのである。
だから、僕は、そんなアイドルを復活させたいと思ったのだ。この時代に、流行らないかもしれない。単体で、申し訳程度の振り付けで、素人っぽく歌うアイドルなんて、お呼びでないのかもしれない。でも、僕は見たい。少なくとも、僕は、そんなアイドルを見たい。ニッチなアイドル。いわゆる、隙間アイドルと命名し、僕の作った歌を唄ってもらう。
僕だけが楽しくっていい。そんな気持ちで、僕だけのアイドルを生み出していく。名付けて「ニッチアイドルプロジェクト(NIP)」。ごく一部の人、楽しみにね。

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