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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? -第5回-

 毎度マニアックな方向に進んでいるこの連載、今回はバンドマンからよく尋ねられる質問から話を進めてみたいと思います。それは「DAW内でMixやマスタリングをする際、Mix中プレイバックした時と、バウンスして2Mixにした時の音やバランスが結構変わってしまうのだが、何故なのか」ということです。
 
 バウンスというのは「データの書き換え」なので、たとえ等倍速で処理したとしても100%同じ音やバランスにはならないのです。等倍速の場合は、環境によってはさほど気にならないケースもあるのですが…等倍速以外、数倍速(4倍、8倍など)でバウンスすると、良くない方に変化することがほとんどです。
 
 次に多い質問が「バウンスしたデータをCD-Rに焼く際に、内臓ドライブや外付けドライブで焼いたらなんだか音が変わった」ということ。思い当たる方もいらっしゃるでしょうか?
 
 内臓、外付けに関わらずパソコン関連メーカー製のドライブは、CD-RだけでなくBlu-rayやDVDまで作成できるハイブリットドライブが普通なので、音響メーカー製CD-R専用ドライブと比べるとパーツや内部の設計から明らかに違う場合が多いのです。また「焼く速度が上がると反比例して音質が下がる」傾向にあるので、出来れば等倍速で焼きたいところですが、パソコン関連は残念ながら4倍速以上のドライブが主流…これではますます音が悪くなるばかりです。
 
 さらに、電源アダプターにも原因があります。デジタルと言えども、ドライブやパソコン本体に付属する電源アダプターにより音の質感が左右されます。断言しましょう、アダプターも含む電源で音質は変わります。当スタジオで電源がアダプター形式の外付けドライブを使用する場合は、付属のアダプターを使わず特別に制作した電源ボックスを使って、質感の変化を最小限に食い止める努力をしています。
 

これがチャプターハウスの秘密兵器、特注の電源ボックス!

これがチャプターハウスの秘密兵器、特注の電源ボックス!


 
 音響メーカーの作るCD-R専用ドライブやマスターレコーダーが、なぜ音質・質感の変化が少ないのか。それは専門メーカーならではのノウハウを投入した回路設計と、高品位なパーツを使用しているからではないでしょうか。PC内臓ドライブ(特にノートパソコン)とは明らかにクオリティーが違います!ちなみに前回の連載で触れたKORGの最高峰デジタルMTRであるD32XDには、ハイクオリティ―なCD-Rドライブが搭載されていました。さすがKORG!
 
 当スタジオではTEACのCD-Rドライブに加え、先日中古でYAMAHAから十数年前に発売された外付け業務用CD-R/RWドライブ(CDW-F1DX)を購入しました。この最強の音質を誇るドライブと、先程の特製電源ボックスを組み合わせて等倍速でマスターCD-Rを作成すると(当スタジオの環境においては)DDPファイルにするよりも音が良い気がします。ただ、現行商品ではこのような音響メーカー製のCD-Rドライブは生産終了になっているものがほとんどで、わずかに出回る中古品を狙うしかないのが現状です。
 
 「Mix中のプレイバック時の音と、バウンス2Mixデータの音質の差」「そのバウンスした2MixをCD-Rに焼くときの音質の変化」この2つの悩みを同時に解決する方法は1つあります。プロユースのマスターレコーダーを使用することです。おすすめはFOSTEXのCR500やTASCAMのDA3000あたりでしょうか。オーディオインターフェイスやハイエンドのデジタルMTRのマスターアウトから、出来ればDIGITALでマスターレコーダーのインプットにプログレードのケーブルを接続し、録音レベルを見ながらアウトプットの音を聴きMixをするのです。この方法であれば「データの書き換え」ではなく「ハイグレードな録音」なので、音質の誤差はなくなります。モニタースピーカーの設置のノウハウと、音質の差を聴きとる良い耳とセンスも必要です。
 
 余談になりますが、USBスティックも品物によりいろいろ質感が変わります。そして、音楽データがバウンスの際やCD-Rドライブに焼くと音が変わる、ということは写真、デザイン、映像のデータも当然変化するのです。良い音・良い作品を追求したければ、ポイントを押さえた機材・周辺機器購入は必要不可欠です。そして、それらを使いこなすための努力と工夫、良い耳、良いセンスを磨きましょう!
 
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チャプターハウス 樫村

【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオ チャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records(ワールプールレコード)主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
音楽制作専門誌SOUND DESIGNERにてCDレビュー執筆中。同誌2015年2月号に、コンプレッサーについての記事が掲載されています。
http://www.sounddesigner.jp/contents/2015/02/01/index.shtml
 
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましてはweb上の音源や動画ではなく、是非「CDで」こだわりの音質をチェックしてほしい!!!
 
雨ニモ負ケズ
雨ニモ負ケズ「暁光」
アラバキロックフェスにも出場経験のある、東北を代表する女性Vo.ピアノオルタナロックバンドのマキシシングル。ギターレスとは思えないワイルドさの中に、抒情性と文学的要素が垣間見える。
 
ゴッサム団長
ゴッサム団長「ONE MORE TIME,KISS ME
ウッドベース担当兼Vo.の団長率いる、80’s J-ロカビリーバンドのミニアルバム。中音域に特徴がある歌声と各曲とのマッチングが素晴らしい。
 
The Stephanies
THE STEPHANIES「BIRTHDAY
女性三人組のR&Rバンドミニアルバム。Vo.Gのシロを中心にメンバー全員が曲によってメインVo.を務めるバリエーションがおもしろい。絶妙なコーラスワークにも注目。
 
LITTLE RED PUZZLE
LITTLE RED PUZZLE「TRINITAS」
G.Vo.のユウを中心としたR&R、ガレージロックバンドのアルバム。中低音域に響くハスキーボイスが特徴的。全国発売中。
 
STAING INDOORS
STAING INDOORS「ゲンダイ・トーキョータワー」
盛岡出身のギターロックバンドのマキシシングル。トーキョータワーをキーワードにしたシティーポップ調の楽曲群と、甘い歌声の共存が魅力的。
 
Yummy
Yummy「テトラト」
埼玉在住の男女二人組ユニットのマキシシングル。渋谷系にも通じるオシャレな曲調とボイストレーナーも務めるVo.SUZUの歌唱力が堪能できる作品。
 
TEEN’S CIRCUIT
コンピレーションアルバム「TEEN’S CIRCUIT」
水戸・いわきのライブハウスSONIC企画の、ティーンズ6グループによるコンピレーションミニアルバム。ギター弾き語りから青春パンク、ギターロック、パワーポップ寄りのへヴィネス系まで幅広い内容が素直に楽しめる一枚。2015年5月全国発売。

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