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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか?-第6回-

 第5回の「バウンスと光学ドライブ」の話に予想以上の反響があり驚いています。メディアを使わずネット上でデータをやり取りすることが当たり前になってきた中、圧縮・解凍すると音質、画質が変化してしまうことが多くみられます。重要なマスターデータほど細心の注意を払うべきです。現在のところ、一番音質・画質の変化を少なく抑える方法は「信頼できる光学ドライブとメディアの使用」が有効な手段の一つだと思います。
 
 今回は約10年前に発売されたYAMAHAの最高峰デジタルMTR「AW2400」を取り上げます。この製品もやはり生産完了品であり残念ながら中古市場で探すしかないのですが、他のAWシリーズとは一線を画するプロ仕様でお勧めポイントが多数あります。
 
 表面上のスペックは「アナログカード増設、16bit使用時で最大16tr録音/24tr再生、24bit使用時で8tr録音/12tr再生」と、最新機材と比べると見劣りする印象は否めません。しかしお気づきの方もいらっしゃるでしょう。「民生機の24bit/96k」よりも「プロ機の16bit/44.1kの方が、音が太く感じられるケースもあるのです。電源や周辺機器(ワードクロックなど)を強化すると特にそう思います。
 
 こちらの写真は私の所有している実機です。

YAMAHA 「AW2400」のリアパネル部分。10年前の機材とは思えない充実のインプット、アウトプット群。特に1、2chのインプットはキャノン、フォーン入力だけでなくインサートの入出力まで装備。コアキシャルのデジタル入出力やMIDI/IN/OUT、パソコンとWAVのやり取りをするUSB2.0といったかなりの重装備。DAW環境では実現しにくいフットスイッチ出力の存在があることにより、REC、ライブ両方に対応しやすくなっている。

YAMAHA 「AW2400」のリアパネル部分。10年前の機材とは思えない充実のインプット、アウトプット群。特に1、2chのインプットはキャノン、フォーン入力だけでなくインサートの入出力まで装備。コアキシャルのデジタル入出力やMIDI/IN/OUT、パソコンとWAVのやり取りをするUSB2.0といったかなりの重装備。DAW環境では実現しにくいフットスイッチ出力の存在があることにより、REC、ライブ両方に対応しやすくなっている。


 モニターセクションが2系統(ヘッドホン用・モニター用)あるので、オペレーターとプレイヤーがそれぞれ独立したモニターを聴きながら作業することが出来ます。更に、オムニアウトという「様々なトラック信号を任意でアサイン出来る」便利なアウトプットが4系統あります。これにより「ステレオマスター1系統」と「個別のモノラル4系統」を、プレイヤーのキューボックスに自由自在に返せます。結果、演奏のクオリティーがアップし、音楽的なテイクが録りやすくなります。

 例えばG./Ba./Dr.のトリオ編成ファンクバンドで、3リズムを一発録りするとしましょう。仮ギターはライン2系統(クリーンの生音とアンプシミュレーターで作った音色)で、2トラックを使用します。

リアンプ図

 この方法だと、一発録りで同時録音可能な16トラックのうち、実質12トラック分をドラムの為に使えます。使用するマイクとプリアンプを良いものにすれば、後は録音する技・ドラマーのスキル・楽器の状態・部屋鳴り次第で相当なところまで持っていけます。私の持っている機材の中から一つ、tfpro p2(写真)などはこのようなRECに最適なプリアンプと言えます。

 2003年発売、電源部とインプット、アウトプットを極限までモディファイした、当スタジオのメインアウトボードの一つ。NEVE、SSL、APIなどのいいとこ取りしたようなキャラクターが万能な一台として常に活躍中。

 2003年発売、電源部とインプット、アウトプットを極限までモディファイした、当スタジオのメインアウトボードの一つ。NEVE、SSL、APIなどのいいとこ取りしたようなキャラクターが万能な一台として常に活躍中。

 話は戻って今回の主役、デジタルMTR YAMAHA 「AW2400」なら16tr同時録音してもレイテンシーは発生せず、ギターの16ビートカッティングなどもリズミカルに弾きやすくなると思います。この点に関してはインターフェイス+DAW(ネイティブ環境)の組み合わせよりも優れている可能性があります。つまりヘッドフォンやキューボックスに返ってくるモニターバランスの良さと、レイテンシーが発生しないことが、後での編集では出しにくい「グルーヴィーで有機的な演奏と空気感」を生み出す第一歩なのです。
 
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【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
チャプターハウス 樫村
STUDIO CHAPTER H[aus]代表/レコーディングエンジニア/サウンドクリエーター/Whirlpool Records主宰。全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。スタジオチャプターハウスについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。
 
★第一回目でCD紹介した『S.H.E.』
3月レコーディングの新曲「マリーゴールド」が、千葉テレビ『応援美女子』(毎週火25:30〜)のエンディングテーマとしてオンエアされています。視聴地域の方、チェックしてみてください。
 
★第二回目でCD紹介した『THE SALA』と『Cuicks』の楽曲が、音楽制作専門誌SOUND DESIGNER 2015年6月号の特集「音を大きくする曲の仕上げ方」でサンプル曲として使用されています。
http://www.sounddesigner.jp/contents/2015/06/sp/index.shtml
 
当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!
 
Coo
Coo『囚われの身e.p』
楽曲、演奏力、ステージング、キャラクターと、どれをとっても非常にバランスの良いギターロックバンド1stシングル。16ビートのシティーポップ風な曲もあり、バリエーションも豊か。今後の動向をチェックしたくなる要素が満載。
 
DARUMA7
DARUMA7『響』
滋賀出身の歌謡ハードロックバンドのミニアルバム。Vo.里田氏のハイトーンボイスと、アメリカを中心としたハードロック要素、和風のメロディーラインが激しく絡み合うニュースタイルなラウド系。一度観たら脳裏に焼き付くこと請け合いのライブパフォーマンスも圧巻。
 
GLEAM GARDEN
GLEAM GARDEN『Brillant Nightmare』
「神聖かまってちゃん」も所属する大御所レーベル「パーフェクトミュージック」が放つパンクバンドの1stフルアルバム。オールド、ニュースクールの垣根を飛び超えた深い精神性の中に衝撃が満載。
 
国吉亜耶子and西川真吾Duo
国吉亜耶子and西川真吾Duo『antenna』
かつて(株)ユーキャンのCMで使用された「path」を含む音源第一弾。国吉のケルティックなVo.、透明感かつエネルギッシュなピアノ、そしてスタイリッシュかつタイトなドラムワークが高次元で融合しています。
 
QS HumBramar
QS HumBramar『Under the Bark』
荒削りな演奏の延長線上に、初期のイギーポップ&ストゥージズ風の歌声と、NWパンクやオルタナ、グランジを連想させる全パートの音色が、オーバーグラウンドでせめぎ合う新感覚ロックバンドのミニアルバム。ブレない独自の世界観は彼らの最大の武器と言える。
 
THE CREATOR OF
THE CREATOR OF『LIGHT』
ソニー在籍時、スリップ・ノットとマリリン・マンソンのオープニングを務めたこともある、ラウド系ポストロックバンド11年ぶりのアルバム。TOOLやモグワイ、シガーロスあたりが好きな人におすすめの一枚。
 
CREEM
CREEM『BLACK RIVER』
ヴィンテージなロックンロールと90年代ガレージロックを通過した、2010年代3ピースバンドのシングル。他のルーツミュージックも有機的に昇華した、全パートの音の切迫感が聴き手に持続性のスリルを与える。
 
DUTCH DADDY
DUTCH DADDY『I’m your DADDY』
日本のギターロックとUKロックの関連性をさらに強化した意欲作。新曲に加え過去の曲をリメイクしたことで、一曲一曲の粒立ちが鮮明になり、演奏力の向上も手伝ってアルバム全体にストーリーが見えてきた。特別なギミックなしでも堅実に何度でも聴ける名作。2015年6月全国発売。

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