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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第17回

仮想バンドのセルフRECもいよいよ佳境に入ってきました。ここで設定のおさらいを。
*都内在住、大学の軽音部で1年前に結成。平均年齢20歳。
*Vo.&G、リードG&時々Key、Ba.&Cho、Dr.&Choの4人組バンド。Ba.のみ女性。
*ジャンルはUK要素を取り入れた邦楽ギターロック。
共通の好きなアーティストはアジカン、マルーン5、back number、MUSE、カサビアンなど。
*少し洋楽っぽいメロディー、コーラスワークを重視、16ビートメインのダンサブルな曲調が特徴。
*オリジナル曲は8曲。バンドのホームページはなく、動画サイトにライブ動画を数曲upしているのみ。
*月1~2回ペースでライブに出演。
バンド同士のつながりも増えはじめ、対バン相手や観客から「音源が欲しい」と言われるようになってきたので、初の音源制作に動き出したところ。

 

setting-kaitei

 

リハスタを借りてのセルフREC決行当日。開始時間30分前に皆集合し、予約の24時より楽器、機材の搬入。タイトな音が録れるように、ドラムセットの下にはカーペットを敷きこみ、使わないリハスタのアンプ類は壁側に移動させスペースを確保。今回のセルフRECにはMacProおよびProTools12を中心とした大掛かりなシステムを持ち込むため、セッティング、マイキングにも時間が掛かる。マイクスタンドも、手持ちのものに加えスタジオから10本ほどレンタルした。

一曲目に予定している曲(F-Dm7-Gm7-C7sus4の流れが基本)のキーに合わせて、ドラムのキック、タム、スネアをチューニングする。いろいろなバンドが利用するのが当然であるリハスタのドラムセットなので、一からチューニングするのに非常に苦労した。この時点で予定より30分押している。

一曲目は8ビートと4つ打ちが混じったダンスロック/BPM170。
同期も使用(16ビートアルペジオシーケンス/ストリングス/シンセブラス)ProTools12内に仕込み済み。
クリックは4分音符の電子音系で、一拍目にアクセント有。

まず1テイク目。FURMANキューボックスのモニターバランスを取りながら、ラフに演奏して録音。
ドラム、ベース(本チャン)、キーボード(出来次第により本チャン)、ギター×2(仮、アンプシミュレーター)手が足りないパートは後輩に演奏をお願いした。録音後、各音色を全員で確認する。

ドラムキックの低音が、録ってみると意外に少なく感じるので「イコライザーをかけ低音部分をブーストさせて録る」という話が出る。先輩からは「なるべくMIXまではイコライザーを使用しないほうが良い」というアドバイスがあり、キックのチューニングを少し変更+ビーターをキタノのチタニウムビーターに替える。

 

beater←【キタノ チタニウムビーター】
通常のビーターより、バスドラのアタックや胴鳴りとの一体感がくっきりと出て、 立体感のある音像になりやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、キック用マイクAudioTechnica AE2500(ダイナミック、コンデンサー2ch分のデュアルマイク)のコンデンサー部分の割合も増やした。以上の作戦により、イメージの8割以上の音にはなったのではないか、と全員が納得。
スネアは、5インチのブラスのスネアと6.5インチのメイプルのスネア、ヘッドは共にパワーストローク。曲中の叩き方がオープンリムショットということもあってか、5インチのスネアでは胴鳴りが薄く「もうちょっと胴鳴りが欲しい」という意見が出る。スネア用マイクはTOP:SHURE SM57、AudioTechnica AM25、Bottom:SHURE SM57。各マイクの角度や距離を変えて出音の検証をした。結果、BottomのSM57をSHURE Beta52に変更、TOPの2本のマイクの割合をSM57→3割、AM25→7割にすると結構胴鳴り感が出てきたようだ。

ベースについては、音は素直で聴きやすいが100Hz以下の低音がスッキリしすぎていて物足りない、イメージと違うという意見で一致した。DI(AVALON U5)の電源ケーブルを、付属の物からオヤイデのTSUNAMIに、シールドもWhirlwindに替えてみた。レンジがぐっと広がり先程よりもベース本来の音が出てくるようになった。

確認が終わり、キューボックスのモニターバランスを各自調整しながら2テイク目の作業に移った。

 


 

【今月のちょいレア】 Joemeek JM27

jm27グリーンボディーが非常に目を引く、ペンシル型コンデンサーマイク。シンバル系の録りに一番向いている。同タイプの他の製品と比べると、きらびやかな印象の音が録れる。

 

 

 

 

 

 

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【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

 

Coo「渋谷のあの子」

Coo
Coo渾身の両A面シングル。MV、楽曲、アレンジ、演奏、どれをとっても、以前より高次元で昇華しており、今後のフルアルバムが相当期待できる。純ギターロックの名盤とも言うべきキラーチューンを、是非チェックしてほしい。

 

Omoinotake「InSnumber」

omoinotake
山下達郎、小田和正、ネット・ドヒニー、クリス・レインボウ、アラン・パーソンズ等を彷彿とさせるシティーポップ、AORの決定盤。リズムアレンジやコードのボイシングが前作よりもさりげなく洗練されている。SHAKARABBITS、The Twentiesも所属のK&A期待のア-ティスト。

 

蒼鷺は死なない「カンショウ」

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あらゆる面からエモーショナルな質感を醸し出す女性Vo.ロックバンドのマキシシングル。定番R&Rの要素を含みオールドスクールとニュースクールの狭間を常に邁進しているスタンスには目を見張るものがある。いろいろなアイデアが満載で、聴き手を選ばない存在感がある。

 

少年パンチ「少年パンチ」

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ラモーンズ、テレビジョンあたりのニューヨークパンクを基調とした過激な日本語詞が飛び交う、初期パンクバンドのマキシシングル。硬派で潔い曲調が好印象。ベーシックな音なのに、常にリアルタイムのロックテイストを感じる不思議な魅力の一枚。

 

レトライター「明星のおとづれ」

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サカナクション、テレフォンズをベースに、チャーチズやグライムズの要素も感じられる、エレクトロギターロックトリオのミニアルバム。定番から少し外したエフェクトのかけ方が特徴的。オリエンタルな雰囲気と西洋のエレポップの融合が聴いていて楽しい気分にさせる。全国発売中。

 

 

【今月のMV】 The Echo Dek 「She Got High At Night」
もしもプライマル・スクリームが、ドリームポップを作ったら?というような曲。大人気劇団、キャラメルボックスの公演『時をかける少女』(原作:筒井康隆)告知CMのBGMとしても採用された。

 

 

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