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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第18回

いきなりですが、皆さんはイギリスBBC(国営放送)で1991年から放送されている人気音楽番組『ジュールズ倶楽部』をご存知でしょうか?日本ではCS放送ミュージック・エアで視聴することが出来ます。

http://www.musicair.co.jp/timet/?rm=detail&id=189550

この番組は毎回世界のビッグネームが数組出演し、出演者ごとに組まれたステージセットで順番に生演奏を披露していきます。例えばレディオ・ヘッド→アークティック・モンキー→マルーン5→WEEZER→カサビアン→最後にポール・マッカートニーといった具合に。毎回フェス並みの内容の濃さにくらくらしますが、その豪華な番組をさらに盛り上げているのが司会のジュールズ・ホランド。元スクイーズのキーボーディストである彼は、番組内でゲストとのセッションも披露します。ポール・マッカートニー出演回では、名曲「レディ・マドンナ」をポールとグランドピアノ2台の連弾でさらりとやってのけ、コーラスパートまでもしっかりサポートする神業ぶり。レニー・クラビッツ、ストロークス、コールドプレイなどが出演した回でも、まるで正式メンバーかのように自然な、的を得たピアノ演奏で加わっていました。彼の確かな演奏力、そして巧みな話術は大物ミュージシャンをも魅了し、20年以上続く長寿音楽番組となるのもうなずけるものがあります。気になる方は是非チェックしてみてください。

 

―――さて、前回からの続きです。

1曲目(BPM=170)のモニターバランスと音色チェックがとりあえず終わり、本番に。録り音が最も重要なのは言うまでもないが、レンジを広めに録り、後でダブついた成分をカットしやすいようにしたいところ。MIX時には足し算でなく、引き算から始められるようにすることも目標だ。

 

非常に演奏し慣れた曲なので、まずは3テイク録音。どのテイクも80点台といったところで全体的に満足できる。雰囲気は1stテイクが一番はじけていて良い評価が集まったが、Aメロのリズムがクリックに対して突っ込み気味なのが気になり、保留。加えてもう3テイク録った計6テイクのうち、5番目が雰囲気もあり安定していて、これにOKを出す。

 

勢いにのって2曲目のベーシック録り。BPM=158、コードもDm7-G7の2コード進行の繰り返しで、ドラムのチューニングも1曲目とほとんど変えずに行えそう。スネアをブラスの6.5インチに替え、ヘッドはCSコーテッドに。音色チェック後、3テイク連続で録る。全員が得意なタイプの曲なので、勢いのある2テイク目をOKとした。

 

問題の3曲目、スタジオからメイプルの5インチスネアを借り、ヘッドはピンスト・コーテッドに替える。Em9-A7onE-AonE-EM7という変則的なコード進行なので、ドラムは無難に共通音に当ててチューニングし直す。試しに1テイク録ってみると、音色とチューニングは問題ないものの、テンポが遅い曲のため演奏にこなれた感じがしない。続けて何テイクか録ってみても、曲後半では安定してきても、1コーラス目が全員クリックより突っ込み気味かつバラバラ。編集でどうにかするレベルにも達していない。さらに何回か録っていくが、なかなかOKラインに達しない。リハスタの残り時間は50分。休憩をとり、さらに録ってみる。全員が苦手なAメロを、タイトに合わせるイメージを持って臨む。最後のテイクでドラムが90点と良い出来になったので、ベース、キーボードの数か所のミスはパンチインで修正ということにして、なんとか録り終わった。

 

最後に練習として、次回録音を予定している変拍子の曲を演奏。各自猛練習が必要なことを実感し、初日のレコーディングは終了した。

 


 

 

【今月のちょいレア】DBX576

tyoirea

1999年発売のチューブ式チャンネルストリップ。当時、定価14万円で発売されたが現在は生産完了。他メーカーを全く寄せ付けない音の厚さが売り。又、EQの効きも強烈で、生音はもちろん打ち込み物でも、この機材を使うと恐ろしくファットになる。足し算のMIXをしなくてはならない時に大活躍。現在は後継機にあたる376、386が現行品。

 

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【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】

STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。

全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。

スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

 

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。

エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

 

no wise「CLOCK UP」

no wise

パワーポップ、メロコアのエッセンスが随所に散りばめられたニュースタイルのギターロックバンドの1stフルアルバム。彼らのこれまでの経験をまんべんなく昇華させた、満を持した自信作。現在全国ツアーを行っており、動員も急上昇中。

 

ライトニングブリザード「OBLIVIOUS」

lightning

USラウド系がルーツにあるパワーポップバンドの渾身のミニアルバム。全く妥協をせず制作された今作は、良い意味で聴き手を選ばない。メロディーラインやVo.ケンノスケの歌声も聴きどころの一つ。

 

DUTCH DADDY「STARLET / MEMORIES」

dutchdaddy

彼らのこれまでの活動歴の中で、最高傑作とも言える名曲「STARLET」を含む、ライブ会場限定シングル。90年代の渋谷系要素と、最先端のギターロックとの融合がベリーグッド。

 

田中光 & MASAYA YONEYAMA「PROOF」

tanaka

オーセンティックかつワールドワイドなヒップホップの新定番。ワールドミュージック、R&B、トリップポップ、ティンバランド系、クールジャズ、ブラジリアンヒップホップなど、真にメルティングポット的な名盤。全国発売中。

 

BErgamot velmail sole「Post psychedelic cinema」

bergamot

ブルックリン勢、サンフランシスコ系サイケフォーク、チルウエーブ、UKオルタナ、OZアンビエントといった日本人とは思えない個性的な洋楽要素満載の一枚。全国発売中。

 

【今月のPV】COMezik「110番」

「ナゴム系」と「オーディオ・スレーブ、ヴァン・ヘイレンといった欧米ハードロック」の要素が合体したガールズ3ピースバンドの代表作。最近では打首獄門同好会、ギターウルフ、つしまみれ、TOMOVSKYなどとも共演を果たしており、勢いのある動向は今後とも見逃せない。

 


【今月のおまけ】
先日当スタジオでレコーディングを行ったDroogと、楽曲プロデュースのザ・キャプテンズ 傷彦からのメッセージ♥

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