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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第20回

cuicks

1980年代後半にNHK-BSで数年間放送されていた「TRANSMISSION」という、かなりレアな洋楽番組をご存知の方はいらっしゃるでしょうか?UK、USのメジャーアーティストよりも、中堅~大手インディーレーベルを中心とした個性的なアーティストを取り上げる非常にマニアックな内容で、洋楽通にはたまらない番組でした。当時私も、わざわざBSが見られる友人宅まで押しかけて毎回楽しみに見ていました。CREATION、ROUGH TRADE、el、Cherryred、4AD、MUTE、などの大手インディーレーベル所属のアーティストが多く紹介されており、その他にもモリッシー、コクトーツインズ、stone roses、808STATE、モーマス、マイブラなどのMVはもちろん、ライブ映像やレコーディング時のインタビューといった舞台裏まで、まさにマニア垂涎の内容でした。残念ながら当時の番組映像を探し当てるのは、なかなか難しそうです。もしお持ちの方がいらっしゃったら是非ご一報ください!

なぜ、今このような話題になったかと言いますと現在手掛けている「cuicks」というユニットが、上記番組で紹介されていたようなアーティストの雰囲気をまとっている気がしたからです。
他にもここ10年くらいのアーティストで言えばHer space Holidayのようなサンフランシスコ系と、ニューヨークのブルックリン勢を合わせたような、とでも言いましょうか。少しひねりの入った、ハイソなポップユニットです。只今当スタジオで1stアルバムを制作中。コーラスにはthe echodekのVo.野呂昌生氏も参加、年末に全国発売予定です。

 


 

セルフRECに挑戦中の大学生バンド「リハスタを借りての2回目のベーシック録り」その後です。
<セルフREC進行予定表>

jikanwari

先回の経験を活かして時間を組んだので準備も順調に進み、早速1曲目の録りを開始した。

*1曲目
【ポストロック風ギターロック】
【BPM=183:4/4拍子と4/5拍子が交互にくる】
【コード進行:C→GonB→Am7→G7sus4が中心】
【クリック:4分音符:電子音系:アクセントなし】

1回目の録音は変拍子が混じった曲の割にはノリも出て、大きなミスもなくいい感じの印象。メンバー全員が問題なし、と言っているが実はDr.のフィルインが普段と違っていた。これはフレーズの変更、と言いきってしまえば普通に聴けてしまうレベルではあった。
念のためこのテイクは保留にして、2テイク続けて録ってみる。緊張がゆるんだのか全員がちょこちょこミスをする。これ以上録音すると深みにはまりそうなので、保留した1stテイクを暫定的にOKにして次に進む。

*2曲目
【初期レディオ・ヘッド、ブラーに通じるブリットオルタナ色を感じる16ビートの曲】
【BPM=126→151→126のようにテンポチェンジあり】
【コード進行:Gm→C→F→E♭→F#→F】

早速通して録音したが、意外に良い感じでテンポチェンジも楽々クリアし、グル―ヴィーな出来。テンポチェンジ部分を集中練習したかいがあった。所々で、ほんの少しクリックより前後している部分があるが完全に「味」と言えるレベル。85点ぐらいではないだろうか、ということで深追いはせず、まさかの1テイク一発OK!

この時点で時間は午後10:30。予定より早く進んでいるので、ここで休憩を30分取る。この調子で緊張せずに録れば、早く作業が進むのではないか?と皆で盛り上がる。
次はバンド最大の難曲。

*3曲目
【keyboard中心、オアシス、サム・スミス系バラード】
【BPM=75】【クリック:電子音系:8分音符:アクセント1拍目と3拍目】【同期無し】
【コード進行:Em→G→D→A7sus4:Dr.のチューニングをコードスケールに合わせる】

特に難しいフィルインやリフはないが、音数が少ない分リズムキープがとにかく大変。1テイク目、普段よりクリックに合わずに、走る。2テイク、3テイク目も後半は合ってくるが前半が走る。編集でどうにかなるレベルでもない。しかしメンバー全員が、この曲は修正なしでいきたいと思っている。1曲目が早く終わった分時間に余裕があるはずなのに、どんどん時間が押してきている。
さらに3回録音し、最新テイクが一番ましなレベルだったので通して聴いてみた。点数は55点ぐらいと辛め。休憩を入れ、リラックスしたところでもう1テイク録る。ノリは出てきたが、前半の走りは相変わらずだ。前半・後半と区切って録る方法に切り替え、前半のみ集中して数テイク録音し最終テイクをギリギリOKラインに。さらに後半を数テイク、なかなか調子が出ず休憩をはさみ再挑戦。こちらもギリギリの出来のテイクが録れ、ようやく3曲分のベーシック録音を終える。

この時点で時刻は午前2時30分。ギターの本録りではなく、歌録りをしようということになりセッティングをする。仮ギターも2本入っており歌いやすく、ボーカル本人の喉の調子も良い、また明け方の時間帯が一番テンションがあがるので今のうちに歌っておきたいとのこと。
歌入れ残り3時間半、どこまで行けるのでしょうか?

 


 

 

【今月のちょいレア】CAD E-200

tyoi-rea
90年代後半に発売され、現在は中古品のみ。初期CADの名機中の名機と言えるコンデンサーマイク。当スタジオで所有の同機は、モディファイしたもの。恐ろしくフラット、かつ全音域の密度が濃い。

 

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【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

 

the twenties 「LET IT DIE」
the twenties
K&A所属の人力エレクトロパンクバンドの最新シングル。ガンホー・オンライン・エンターテイメントとグラスホッパー・マニファクチュアのPS4用新作アクション『LET IT DIE(レット・イット・ダイ)』の音楽コラボ企画の参加曲。ワン&オンリーな彼らの存在感をひしひしと感じる。

 

LiSLE 「GRACE IS GONE」
LiSLE
不思議な魅力が満載の女性Vo.ポップロックユニット。marigoldからバンド名を変更し、楽曲、演奏、歌詞、音色、そして世界観のすべてがパワーアップした。音楽と真摯に向き合うメンバーのさりげない熱量が、聴き手を釘付けにする。バンド形態だけでなく、弾き語りの形でも展開中。

 

Pygmalion 「The Suburban Minstrels」
Pygmalion
シューゲイザー、オルタナティブを基調とした2010年代ニューウエーブバンドのフルアルバム。洋の東西を飛び越えた、まさに音楽通に向けたの渾身の一枚。フジロック系が好きな人におすすめ。全国発売中。

 

ヒヨリノアメ 「空」
hiyorinoame
シンガソングライター「AKI」を中心とした、ギターロックバンドのシングル。10代の初々しさと大胆なアイディアが交差する、攻めのポップワーク。普遍的な声、歌詞、作曲アレンジが、ユニークなバランスを取りながらも、着実にオリジナリティーを生み出している。

 

YU-DAI 「REFERENCE」
YU-DAI
ヒップホップの大御所レーベル「TASTING HEADS」を運営しているYU-DAI氏のアナログミニアルバム。有名トラックメイカーも参加しており、ブラックミュージックの根幹を堪能できる1枚と言える。全国発売中(アナログ盤のみ)。

 

【今月のMV】 S.H.E(Struggle-Head,Emergence) 「hiria」
全国発売されたばかりの5枚目となるアルバム「BUBBLES」からのリード曲。10月からはJUNGLELIFEのWEB
コラムも連載予定、内容が非常に楽しみです。
*2016年8月号のJUNGLELIFE誌面にも、S.H.Eと私、樫村の対談が掲載されています。

 

 

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