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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第21回

digda只今、当スタジオで制作中のバンド「digda」をご紹介します。非常にユニーク、かつハイレベルなルーツ・ジャムバンドで、Dr.兼Vo.のSKMとアメリカ人女性Vo.のVictoriaを中心に結成され、インターナショナルな活動を展開。クロスオーバー、ジャズファンク、エレクトロニカ、テクノ、ダブ、ワールドミュージック、シューゲイザー、ベース・ミュージックなど多彩な要素をふんだんに取りこんでおり、メルティング・ポット的フューチャーミュージックを生み出しています。

 


 

セルフREC中の大学生バンドの話、前回からの続きです。
<セルフREC進行予定表>

jikanwari

3曲分の本録りと、仮Gt.×2(バッキングとリード)のベーシック録りが予想より早く進行。本録りしたDr.Ba.Key.については追加または差し替えもあり得るが、とりあえず残り時間でGt.またはVo.の本録りが出来るようになった。通常ならばGt.から進めるところだが、今回は敢えてVo.の本録りを決行。

*Vo.録りは、Vo.本人の体調や精神状態に左右されやすい。調子の良い時に録れるだけ録っておく。
*Gt.の音域はVo    .と近いことが多いので要注意。Vo.より先にGt.を録る場合はバッキングだけにしておくのが賢明。逆にリードギターは、Vo.を先に録ってからの方が歌との相性が見やすくなる。
*メインVo.を録っておくと曲の全体像がつかみやすくなる。コーラスワークのイメージも、より鮮明になる可能性が高い。(特に上ハモ、下ハモ両方入れる場合)

以上の理由に加え、このバンドのVo.は深夜から夜明けにかけてテンションが上がりやすいということもあって、この勢いなら相当いいテイクが録れるのではないか、と期待も込めてのVo.本録りとなった。
ベーシック録りのセッティング(特にDr.周辺)を片付けてVo.録りスペースを作り、歌詞カードを全員に配りいよいよ録音へ。当初は4つ打ちダンスロックから録ろうとしていたが、Vo.の「気分的に変拍子ポストロックからやりたい」との希望で変更。

【変拍子風ポストロック:BPM=183:4/4拍子と5/4拍子が交互にくる】
【コード進行:C→GonB→Am7→G7sus4】
【クリック:アクセントなしのカウベル系に変更】

Aメロとサビ(Bメロ)の2部構成、Aメロはシガーロスやジェームス・ブレイクのような淡々とした歌い方が続く。サビはカサビアンのように少しエモっぽく声を張り上げる。

全体的にヨーロピアンに仕上げたいので、参考になりそうな洋楽バンドのREC風景を収めた動画をチェックしていると、Vo.をマイク2本で録っているものが多いことに気づいた。

 

<マイク2本でVo.を録るセッティング例>
mic

そのセッティングに倣って、BLUEのDragonflyとエレクトロボイスのRE20(レディオヘッドのトム・ヨークがよく使用することで有名)の2本を使用し、どちらもオンマイクで録ってみることにした。
マイクプリアンプにはAMEK 9098DMAを選んだ。(デュアルチャンネル仕様でマイク2本録りにはぴったり)加えて、周りからの音の反射を抑えるためにリフレクションフィルターを使用。キューボックスのモニターバランスは以下のようにした。

 

<キューボックス モニターバランス図>

cue-box

2本のマイクからの距離は、ポップスクリーンを挟んで約20cm。とりあえずモニターバランスのチェックを兼ねて1コーラス歌ってみた。サビ部分を、声を張り上げて歌うと少々音割れしたので、マイクとの距離を微妙に変えながらつまみやモニターを調整して、良いバランスを探っていく。試しにフルコーラス録ってみると、なかなか良い雰囲気のテイクになった。
その後何テイクかチャレンジしてみたが、意識しすぎているのがバレてしまっている。結果、試しのつもりだった1テイク目を採用することになった。

 


 

【今月のちょいレア】CAD E-200

amek9098AMEK 9098DMA
本文中でも触れている本機は、中音域に不思議な粘り気を感じる。ルパート・ニーヴの傑作の1つ。

 

 

 

【今月のPV】 極悪いちご団 「祭りの華」

FUNKと下町歌謡が合体したワン&オンリーな色モノ・テクニシャンバンド、渾身のMV。

 

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【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

 

 Droog 「命題」
droog
サマソニ、ROCK IN JAPANをはじめとする有名フェスに複数回出演している、Droogの新作。グラムソフトロックとも言うべき独自のロックフィールドを開拓しているザ・キャプテンズの傷彦がVo.プロデュースしているのも話題の一つ。2016年8月全国発売。

 

KOSMIC 「Life in Cambodia」
kosmic
アメリカで活動していたこともあるKOSMICの新作。カンボジアのチャリティーも絡み、更にグローバルな活躍が期待される彼、この作品はトム・ペティー、ポリス、ベック、オアシス風のエッセンスがふんだんに感じられる。英詞のセンスも抜群。

 

RICKY TYPHOON 「World iD」
ricky-typhhon
アメリカでスタジオミュージシャンをしていたBoss率いる、ハードロックバンドのミニアルバム。完全海外志向の音作りは非常に素晴らしく、RickyのパワフルなVo.が有機的に交わりさらに印象深い仕上がりとなっている。2016年10月発売。

 

踊る上体 「白」
odorujoutai
4つ打ちを土台に練り上げた、ダンスオルタナロックの新定番。女性中心のバンド構成でありながらも、自然ないかつさを感じさせるところが面白い。声質や歌詞など、一度聴いたら耳に残る何とも言えない不思議な魅力がある。

 

Stockholm SeaSide「city EP」
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北欧ベイエリアをイメージさせる、多摩地区の美大生からなるギターエモロックバンドの3曲入りシングル。脳裏に焼き付く独特な声質と、全パートの音色との絡みが好印象。全国ツアーも意欲的に展開中。

 

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