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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第34回

「ライブで同期を使うと音がペラペラで生楽器と混ざりにくい」といったお悩み、ありませんか?

「アマチュア、プロ」また「バンド、ソロ、ユニットなどの活動形態」「音楽のジャンル」を問わず「同期」を使った作品が浸透してから久しいこの頃。
それだけに、出来の良いもの、そうではないものの差が明確になってきています。

今回お話する「同期」は、DAWソフトで制作することが前提ですのでご了承ください。
「スマホやタブレットのアプリで制作した同期音源」をライブで使うことについては、正直論外だと思っていますので触れません。

「CubaseやLogic、ガレージバンドなどのDAWソフトを使用し、同ソフトの内部音源で同期音源を制作」という方法が、今、全世界的に見てもスタンダードなやり方だと思います。

そうやって制作した音源を、DAWソフト内部で普通にオーディオ化した分には「悪くないな」という質感になり、それを安価なインターフェースを使い2Mixで出力し、いざライブで使用すると…
「今一歩物足りない」という感じになりませんか?

まず、ソフトの内部音源をソフト内部でオーディオ化すると、音が薄く、存在感のないものになる傾向があります。いくらアレンジや打ち込みのクオリティーが高くても、出てきた音がイマイチになることが多い気がします。

では、どうすれば同期の音がリッチ、かつ生楽器と混ざりやすくなるのか?

この図に示したのは「内部でオーディオ化せずに、一度インターフェースからそれなりのレベルのラインケーブルで外に出し、チャンネルストリップやマイクプリなどのDI部に入力→オーディオトラックに録音」という昔からある手法です。

ポイントは「全トラックを一気にやるのではなく、大変でも1トラックずつオーディオ録音する」ということです。時間や手間が非常にかかりますが、インターフェース、ケーブル、チャンネルストリップなどのアウトボードが平均以上の物であれば効果も絶大になります。

有名プロミュージシャンも、この手法をとっています。一例を挙げるなら、2016年SUMMER SONICのアンダーワールドが非常に素晴らしいライブを展開していました。同期の音も、これまで聴いたことがないくらいリッチで密度が濃く、果てしない立体感を演出していました。

また、ライブで同期を使用する時は、ミキサー卓のチャンネルが許す限り「メインアウト+パラアウト」で出力するようにしましょう。これでも同期の音は相当変わります。


【大学生バンドのセルフREC】
5曲目のテンポチェンジ有オルタナロックは、コーラス、キーボードがないので、ここで録音終了。
6曲目のミスチル風バラードのバッキングギターに取り掛かる。

バッキングギターのみになる箇所が多いので、クリックと仮ギターをガイドとしてモニターすることにした。(ドラムやベースの入っている箇所は仮ギターをほとんど返さない。)

ギターは、2度目の改造から戻ってきたレスポールを使用。

アンプはDiezelクリーンチャンネル。マイクはゼンハイザー609(中音~高音)エレクトロボイスRE20(低音~中音)ソロモンマイク(超低音)の3本で、フルレンジ録音することにした。

マイクプリはNeve5024(4chプリ)を使用。

6曲目ミスチル風バラードの曲構成 テンポ♩=75

イントロAはクリーンギターのみ、イントロBはクリーンギター&キーボードのみで、とにかく粗が目立ちやすい箇所だ。音色とモニターチェックを兼ねて1テイク通しで録る。
リズムも厳しいのだが、低音が思っていたよりも多いのでアンプの低音部を少しカットする。
2テイク目、モニターバランスも音色も満足いくものとなった。

本番の部分録りは難易度の高い箇所(イントロA、イントロB)は後回しにして、イントロCからAメロ1まで、からスタート。勢いの良かった2テイク目を採用し次へ。

1サビ後の間奏と2Aにチャレンジ。こちらは3テイクでOK。

ギターソロ部分とAメロが同じコード進行なので、2サビ後の間奏とギターソロ部分のバッキングを録る。フレーズが完全に同じところがない曲なので、コピペに頼れないのが辛いところである。地道にテイクを重ね、3テイク目を採用。後半ギターソロ部分のバッキングのみパンチイン。

1Bは音色を少し丸くするので音作りをするため、一旦休憩をとる。


【今月のMV】川嶋志乃舞「キツネ倶楽部」
エゴラッピンmeets椎名林檎+三味線とでも言おうか、ありそうでなかなかないワン&オンリーな秀作。


【今月のちょいレア】 Roland MC909
2002年発売の、シンセ、サンプラー、シーケンサーが高次元で融合したハイエンドなグルーヴ・ギア。音の太さやユニークなプリセットパターンが素晴らしく、ソフトシンセでは表現しにくい密度感が堪能できる。
現在は生産完了。


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!


みならいモンスター 「 きっと明日も 」
地元の観光大使も務める三人姉妹ロックバンドのシングル。80’s色が前面に出ていながらも
2010年代要素もさりげなく際立つ作品。当スタジオでREC、MIXに加え、同期の制作も
担当させていただきました。2017年11月全国発売。


Sjue 「 Sing Like a Symphony 」
一聴するとオルタナポップ系女性Vo.バンドの匂いがするが、何度も聴いていくうちにシューゲイ
ザーやNew Wave、ブルックリン勢的なエッセンスがさりげなく散りばめられていることに気づく。
大御所インディーレーベルからリリースしてきた経験値が貫録を醸し出している。


Coo 「 Friendship 」
数多くのサーキットイベントや、全国誌等での露出度も急上昇のCoo。ギターロックという範疇
の中で、MAXにあらゆる要素を取り入れている挑戦作。


京成百貨店テーマソング
京成電鉄を中核とする京成グループが運営する、水戸京成百貨店のテーマ曲。東京藝大出身の根木マリサが作編曲、同じく東京藝大出身の瀧本真己が軽やかに歌い上げている。


RiNGO Tone ×My Girl (スプリット企画盤)
ビートルズフォロワー+ブリットポップの進化系サウンドが耳に心地よいバンドRiNGO Tone 。KNOCK OUT2017にも出演し、更に勢いが加速している。この作品は関西を中心に活動するMy Girlとのスプリット企画盤。


【お知らせ①】
2017年11月19日(日)13時~15時 茨城県水戸市の茨城音楽専門学校にて、毎年恒例の音楽プロデュ
ースセミナーを開催!参加は無料ですが、電話で予約をお願いします。
予約・お問い合わせ 029-248-0521 茨城音楽専門学校まで
【お知らせ②】
先日、当スタジオエンジニア樫村治延がSOUND&RECORDING MAGAZINE誌の取材を受けました。2017年12月号に掲載予定です、是非ご覧ください。

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