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CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか? 第37回

明けましておめでとうございます。
おかげさまで、この連載も4年目を迎えることとなりました。いつもお読みいただき、感想や質問などお寄せ下さる皆様に改めて感謝申し上げます!

今回から「中古機材の隠れた名機」に、よりスポットを当てていきたいと思います。
まずご紹介するのは英国の老舗ブランド JoemeekのTwinQcs(2chチャンネルストリップ)です。

この機材は、名機SC-2mkⅡの後継機種として、2001年頃には20万円弱で販売されていました。
よく比較される機材としてはDRAWMER1960が挙げられます。

↑写真は当スタジオで所有のTwinQcsで、裏面パネルのOUTPUTを通常ならTRSフォーン出力のところ、キャノン出力にモディファイ改良しています。

サウンドキャラクターはブリティッシュで粘り気のある密度の濃い音、ビートルズ→オアシス→アークティック・モンキーなどのブリットロックにはドンピシャではまります。
ラウド系以外のアメリカンロックや、邦楽ギターロックとも相性は良いです。

現行機種であるTwinQと比べると、ややカラッとしており中音域に少しファットさが見受けられます。

このTwinQcsは、今となっては非常にレア物ではありますが、粘り強く探すとたまに中古楽器市場で見かけることもあります。価格は6~10万くらいのようです。

TwinQcsの下位機種であるVC3Qは、中古楽器市場1万円台で見かけます。

VC3Qの現行機種、ThreeQは新品だと4万円前後で販売されています。

VC3QとThreeQの2つに共通することは「どちらも1chチャンネルストリップだが、マイクプリ部分はハイエンドなオーディオインターフェイスに付いているプリアンプといい勝負が出来るクオリティを保っている」という事です。



【大学生バンドのセルフREC】

バッキングGt.とVo.を全曲録り終わり、残るはリードGt.とコーラス、追加のkeyとなった。
とりあえずコーラスを一曲も録っていなかったので、一番簡単そうな【4つ打ちダンスロック:BPM=170】のサビ部分から録ってみることにした。

ライブでこの曲を演奏する時は、リードGt.がコーラスを担当するのだが結構外してしまう。
RECではVo.自らが3度上のハモリを入れることにした。

マイク:Audix CX111

ケーブル:EvidenceAudio


マイクプリ:Forcusrite VoiceMasterPro

コーラス、特にハモリはモニターバランスが重要。他のどのパートよりも気を使わねばならない。
設定したモニターバランスは下図の通り。

数回バランスチェックのために録音してみる。徐々に良くなってきたので本番へ。

モニターバランスは良い。しかし皆が何かしらの違和感を感じていた。

話し合いの末に行き付いた違和感の正体は「今まで正しいと思っていたコーラスラインそのものが、実はあやふやなのではないか?」という事。
主メロとハモリのラインをキーボードで音出ししながら改めて確認してみた。

すると、ずっと3度だと思い込んでいたハモリのラインが、5度ハモリやオクターブ、ユニゾンなどが正解だったことが判明。

今更ながらの間違いに気づいたメンバー全員がショックを隠し切れなかった。

コーラスラインを再確認し、改めてチャレンジ。しかし今まで歌ってきたラインのくせが抜けず、失敗が続きピッチ修正出来るまでのレベルにすら到達しない。

コーラス録りは一旦あきらめ、残りの曲についてもコーラスラインを再確認。後日録ることにして、ここからはリードGt.録りに切り替えた。


【今月のちょいレア】Forcusrite VoiceMasterPro
先程の「セルフREC」文中にも登場した、NEVE風Vocal専用チャンネルストリップの決定盤。かつてのPlatiumシリーズとは一味も二味も違う。現在は生産完了となっている。



【今月のMV】 The Mash 「最終回」

テレビ東京で水曜深夜放送中の新人アーティスト発掘番組「エンタX」で3週勝ち抜きを果たした、話題の女性Vo.R&Rオルタナバンド。同番組のグランドチャンピオン大会進出も決定している。


【樫村 治延(かしむら はるのぶ)】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表・レコーディングエンジニア・サウンドクリエーターWhirlpool Records/brittford主宰。専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動。
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける。
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください。

当スタジオで一貫して制作されたアーティスト作品の一部をご紹介します。
エンジニアといたしましては、webや動画ではなく是非「CDで」音質をチェックしてほしい!!!

cruyff in the bedroom 「HATE ME (アナログ盤)」


ジャパニーズ・キング・オブ・シューゲイザーと呼ぶにふさわしいクライフインザベッドルームの最新
作が、アナログ盤としても遂にドロップ。国内はもとよりアメリカなど、海外でもリリースされ話題 になっている。


どろだるま 「モンキーダンス」


頭脳警察、村八分といった70年代R&Rを彷彿とさせる2010年代のニューカマーの新作。洋の東西を問わず、ロックの真髄が垣間見える逸品である。


57pictures 「Wonder to Myself」


Subways、Atom For Peace、Sunshine Undergroundにも通じる、UK色が色濃く漂う邦楽ロックバンド。TemplesやMetronomyなどが好きな人にもおすすめ。

うさぎファクトリー 「うさぎファクトリー」

国内外のフォークロックを根底にもつような、エモロックの王道的作品。長い時間を経ても全く色あせない空気感に魅了される。

KONTA BAND 「Mouse Bites Cats」

仙台在住のプロギタリスト、KONTA氏率いるニューエイジプログレッシブインストバンドのアルバム。ドリームシアターやシステム・オブ・ア・ダウンとも違った切り口のアプローチにオリジナリティーを感じる。メンバー全員が音楽専門学校講師陣で固められている。


【お知らせ①】
月刊SOUNDDESIGNER別冊「ミュージシャンの仕事場」に、当スタジオを掲載していただきました。(P94・95)
【お知らせ②】
CRT栃木放送(AMラジオ)の音楽番組「我ら音楽仲間たち」(毎週火曜22:30~)の1/30放送回にCuicksさんと私 樫村がゲスト出演させていただきました。

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