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Nothing’s Carved In Stone Vo./G.村松 拓 たっきゅんの受け身の美学 Vol.6

PHOTO_村松201509優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、9月にニューアルバム『MAZE』をリリースし、10月には全国7公演のリリースツアーが控えているNothing's Carved In Stone。当連載は、同バンドのフロントマン村松が、様々な“表現者”とガチのぶつかり合いを行い、その際に起こる化学反応を赤裸々にレポートしていく村松拓強化プロジェクトである。

 

 

 

 

 

Vol.6:たっきゅん × ライさん(the band apart 荒井岳史)愛に溢れる対談の巻

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今までストレイテナー・ホリエアツシ、HUSKING BEE “いっそん”こと磯部正文との対談を行ってきた当連載。たっきゅんこと村松拓が愛して止まないヴォーカリスト2人との対談を経た今月号は、かねてよりたっきゅんが「ライさん」と慕ってやまないthe band apart 荒井岳史を迎えてのスペシャル対談。バンドだけではなく、弾き語りでも共演している2人の対談はいったいどのような展開を見せたのだろうか。


 

 

山中210出会いはいつくらいなんですか?

 

arai215話すようになったのはここ2〜3年かな?

 

muramatsu215そうですよね。the band apartと名古屋で対バン(2012年1月の“Hand In Hand Vol.2”)させてもらったときがあって。そのときの打ち上げで初めてじっくり話して。

 

arai215くだらない話から、バンドのことから、パートが同じだからこそっていう話もするよね。でもやっぱり、バンドとしてつるませてもらったことに加えて、最近弾き語りで一緒になったことで更に仲良くなったかな。もちろんNothing's Carved In Stoneのことはずっと知ってたんですけど。

 

muramatsu215荒井さんはすごい人なんですよね。バンドの成り立ちからやっていることから音楽性から全部含めて、Nothing's Carved In Stoneとすごく似ている部分があると俺は感じているんですけど、その上で、俺を数倍増幅させたような人っていう。

 

arai215いや〜、それは身長だけですよ。

 

muramatsu215フフフ(笑)。でもすごい人。レジェンダリーな人。だって俺が20歳くらいのときにはもう、the band apartは超有名だったし。「the band apart知ってたら音楽知ってる」みたいな感じだった。

 

arai215いやいや(照)。でも共通項として、お互いのバンドの似ている部分を見出すことができるなっていうのは思っていて。

 

muramatsu215ベースのキャラが強いとか(笑)。

 

山中210ハハハ(笑)。

 

arai215そう、例えばね(笑)。生形さんと川崎はちょっと通じるものがあると俺は感じるし。

 

muramatsu215職人っていうか。

 

arai215あと、バンドとしての在り方として、ヴォーカルだけがドン! じゃなくて、各メンバーがバランスよく見えてるっていう。Nothing's Carved In Stoneは特にそう思うし、ウチも割と横一線に見えてると思うので。

 

山中210the band apartはステージでの立ち位置も含めてそういう風に見えるんですが。

 

arai215敢えてそういう風にしようというところも昔はありました。それこそ、拓ちゃんの大先輩の日高さん(日高央)のBEAT CRUSADERS…5人じゃなくて4人のときの立ち位置があれだったんですよ。俺ら、あれを見て「これパクろう!」と思ったんです。

 

muramatsu215あ、そういうことだったのか。

 

山中210強烈な美学があってあの立ち位置になったのかと思ってました。

 

arai215いやいや、そんな深読みしてもらえるようなことは全然ないです(笑)。

 

muramatsu215the band apartはそういうところがいいんですよね。周年やんないとか(笑)。バンドのちゃんとした楽しさをずっと持っているなって。あと、ウチのバンドを始めたとき、5拍子とか結構難しい曲をやっていて、俺らは“ライブではそれが絶対に盛り上がる”と思っていたんですよ。で、ロクにCDも出ていない頃に1回だけフェスに出たんですけど、そういう難しい曲を演ったらもう“そよ風”みたいな(笑)。

 

arai215ハハハ(笑)。

 

muramatsu215“俺たち大丈夫か?”ってなったんです。まあ結局、そのまま路線を変えずにやってきたんですけど、the band apartはそういう時期はなかったんですか?

 

arai215うーん、どうなんだろうな?

 

muramatsu215超オシャレじゃないですか。

 

arai215いや、別にそんなにオシャレなコード使ってるわけじゃないし、「これオシャレだね」って言いながら作ってないんですよ。だから周りの人がそう言ってくれたりしたことがデカいんじゃないですかね。よく言われるけどね。「オシャレ」ってめっちゃよく言われるけど(笑)、この年になって思うのは、そんなもんもへったくれもねぇなっていう。

 

山中210へぇ〜。

 

arai215それは大したことじゃないっていう気がしちゃうっていうか。バンドを構成する大きな要素ではあると思うんですけど、そこはもう俺たちが意識していることではないっていう気がする。ただそれがクセになっているだけで。

 

muramatsu215あぁ〜、なるほど。おもしれえ(笑)。

 

arai215だからもう、なにをもってセルアウトなのかがよくわからないですよね。そっち側に行きようがないというか、好きなようになっていくしかないっていうか。作風をいまさら変えるとか、売れるためになにかをやるっていうのは、たぶん…消極的な意味ではないんですけど…しないんじゃないかな。なにをやってるかより、誰がやってるかの方が重要だと思うんですよ。

 

山中210ああ〜、なるほど。

 

arai215もちろんテレビに出ているような人たちとかは、売れるっていうか認知度を高めようとするのはわかりますよね、現象として。でも、特に今はライブ文化っていうか、ライブがメインになってきているじゃないですか。ということになると、やっぱり人を好きになればっていう。拓ちゃんが「名古屋―!」って叫ぶみたいな。

 

muramatsu215ハハハ(笑)。

 

arai215そういう人となりを好きになったらバンドや音楽を好きになるじゃないですか。だからやってることとか方向性の問題じゃない気がする。もちろん曲の善し悪しはあると思いますよ。でも、自分たちが信じて一生懸命やっていることが大切なんじゃないかな…って最近思いました。

 

muramatsu215おお〜、俺が最近思っていることのすべてを言ってもらいました(笑)。

 

山中210おお!

 

muramatsu215俺も最近思ったんです。好きなことをやっていればいいやって。それをキチンと言葉にしてなかったんだけど、ライさんが言葉にしてくれてわかった(笑)。

 

arai215いやいや、俺も最近拓ちゃんとかとつるんでそういうことを思うようになったから。だからすごく憧れてますよ。

 

muramatsu215俺にっすか?

 

arai215うん(笑)。拓ちゃんは、俺からみたらスイッチの入る人に見えるんですよね。ステージに立ったらパーン! って。つまり“かっこいい”っていうことなんですけど、始まる寸前まではこうやってワイワイしゃべってるのに、出番になったら「じゃあ行ってきますわ」って出て行って、始まったらパーン! とスイッチ入るのが俺はかっこいいなと思っていて。

 

muramatsu215ああ〜。

 

arai215それにヴォーカリスト然としているっていう。すごくサウンド重視っていうか、サウンド全体で聴かせるバンドなんだけど、その中であれだけヴォーカリスト然としていて、パーン! とスイッチ入ってやっている感じはかっこいいと思いますよね。自分には全然ないところだから、憧れますよね。さっきから冗談で言ってますけど、拓ちゃんの「東京ー!」とか「渋谷ー!」っていうあの感じってすごくかっこいい。俺が言ったらギャグになっちゃうけど(笑)、それがギャグにならないっていうか、それで人も見えてくるし。それでたまにしゃべったときのギャップ感みたいなのにグッとくる。

 

muramatsu215照れるな〜(苦笑)。

 

arai215素敵です。めっちゃ素敵。素敵ですよ本当に。3回言っちゃった。

 

山中210ハハハ(笑)。

 

muramatsu215でも俺から見たら、荒井さんは自然に居ることを当たり前にできる人だと思うんです。ライブでも。俺はそこに人間性を見ているというか。ステージの上でもステージの下でも“荒井岳史”でしかない。それが好きなんですよ。

 

arai215ホントっすか?

 

muramatsu215うん。今日しゃべってても全然飾ってないから。

 

arai215飾りようがないから(笑)。精一杯がこのデニムシャツですから。

 

山中210アハハハハ(笑)。

 

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muramatsu215それが逆にすごいことだと思うんですよ。人前に立つことというか、例えば目立ちたいということだったり、バンドを始めた頃のような憧れの人に近づきたい気持ちとか…自分を飾りたくなるハズだと思うんです。でもthe band apartは、ステージに立ってもステージから下りても変わんないっていうか。

 

arai215それは、ウチはたまたまそういう人間の集まりだけだっただけというか。俺が人を観て“かっこいいな”と思うことでも、自分がやったら野暮ったくなるというか、恥ずかしくてできないわけ。

 

muramatsu215ああ〜、その気持ちはすげぇわかる気がする(笑)。

 

arai215曲中に「ありがとう!」って言うだけでも結構恥ずかしいことだし、コール&レスポンスも恥ずかしくてしてこなかったから(笑)。

 

山中210自己顕示欲みたいなものはなかったんですか?

 

arai215もちろん若い頃はあったとは思うんですけど、それ以上に“野暮なのは恥ずかしいよね”っていうことと、自己顕示欲もありつつやっぱり自分に自信がなかったから。だからなんとも言えない感じになっちゃうんですよね。舞い上がっちゃって、緊張しちゃって、お客さんにしゃべってなにかを伝えることもできなかったし。今でもすごく緊張するけど。

 

山中210へぇ〜。

 

muramatsu215Nothing's Carved In Stoneを始めた頃の俺、そんな感じでした。「僕はいいっす」みたいな。

 

arai215その「僕はいいっす」よくわかる(笑)。硬い感じになっちゃうし、真面目になっちゃう。結婚式のスピーチみたいになっちゃう。

 

muramatsu215ハハハ(笑)。わかる(笑)。

 

山中210そういう試行錯誤みたいなものがあって、自然で居るというところに辿り着いたんですか?

 

arai215そうですね。端的に言うと年齢ですかね。恥ずかしくなくなっちゃった。あとこれは最近じゃなくてもう少し前に思ったことですけど“やっぱりこっちが緊張していると観ている側も辛いよな”って思ったんです。

 

muramatsu215それすっげぇわかる!

 

arai215そう思ってからずっと何年もかけて、年齢と相まってやっと今のような感じになった。

 

muramatsu215本当に、そういうところの思考回路がすごく似てるんです! そうなんですよね。ステージに立ってるのに緊張してるって、なんか違うんですよね。

 

arai215いい意味での緊張感とかじゃなくて、“俺大丈夫かな?”みたいな緊張ね。だから拓ちゃんのスイッチ入る感じがすごくいいなって。バチッと変わって。

 

muramatsu215でもあれ、めちゃくちゃ緊張してますよ。俺、緊張したらめちゃくちゃ汗かくんですよ。それが恥ずかしくて、それをお客さんに見せちゃってるのも違うなと思ってきて、結果、今のような形ですよね。緊張したら手も震えるもん。

 

arai215俺も緊張してるからすっげぇわかる。手も震えますよ。弾き語りのときとか特に、リラックスしてるつもりなんですけど、水とか飲もうとするとプルプルとなって、恥ずかしいからあまり飲めない。両手で持ったりして。

 

muramatsu215アハハハハハ(笑)。

 

山中210そういう意味では、荒井さんはソロでやるようになって、去年アルバムもリリースされましたよね。ソロの経験も大きかったんじゃないですか?

 

arai215そうですね。それがあったからこそっていう部分があるかもしれない。弾き語りでも、ソロでバンドメンバーが居たとしても、自分が先頭に立ってやっていかないといけないわけじゃないですか。その経験はデカかったかもしれない。ソロをやるようになってから明らかに「そんなにしゃべるんですね」と言われるようになったし。

 

muramatsu215確かにここ4年くらいで荒井さんの印象が変わりました。俺も悩むんですよね。MCとか自分で「真面目か!」って思うんですよ。

 

arai215でもクソ真面目でつまんねぇなっていう印象じゃないから大丈夫だと思いますよ。

 

muramatsu215あ、ホントっすか。本当はデイヴ・グロール(Foo Fighters)みたいにゲップしたいけど、それがバンドのイメージになっちゃうから(笑)。

 

arai215全然しちゃってもいいキャラだと思うけどね。かっこいいじゃん。だからソロやればいいのに…そんなに簡単じゃないんでしょうけど。

 

muramatsu215「ソロやったらいいのに」ってめっちゃ言いますよね(笑)。

 

山中210荒井さんはなぜそう思うんですか?

 

arai215まず、拓ちゃんのこの人柄を更にもっと知ってもらいたいなって俺が勝手に思っちゃうんです。あとは、より剥き出しな感じになると…それはお客さんというより自分のためなのかもしれないけど…自分のことがよくわかるから、それがバンドにフィードバックするっていうか。やっぱりソロをやると“バンドってありがたいな”と実感するんですよね。最初はそう思いつつ、どんどんソロが楽しくなってくる。ソロの1枚目のときは夢中にやってて“俺は大丈夫か?”とか思っていたんですけど、いろんなことを経たら“これは楽しいかも?”と思えるようになって。それはたぶん、いろんな恥もかいたし、やったからなんだろうなって思うし。そういうことは当然、自然にバンドにフィードバックしていくものだろうし。だから、拓ちゃんにソロはやってほしいな…って思っちゃう。

 

muramatsu215荒井さん会うたびにそう言ってくれるから、会うたびにソロに対するモチベーションが段々上がってきてるんです(笑)。実際に荒井さんが変わってきたのも目の当たりしてるし。

 

arai215うん。これはやっぱりソロの影響が大きいと思う。やったことによって、バンドを俯瞰で見れるチャンスもあったり。

 

muramatsu215俺、荒井さんを勘違いしてたんですよ。荒井さんが歌っているのを観て“あ、荒井さんって歌うことが好きな人だったんだ”って気づいたというか。それを観て“俺も弾き語りやってもいいかも”って思えたんです。だから弾き語りをやるようになったのは荒井さんの影響ですね。

 

arai215それは嘘でも嬉しいです(笑)。

 

muramatsu215いやいや、本当に(笑)。俺、弾き語りをやるのは逆に野暮ったく感じていたんです。だって1人でステージに出ていくっていうことは、人の音に酔えないじゃないですか。ということは、自分の中にあるものに酔っ払うしかなくて、それってなんか恥ずかしいことなんじゃないかなって。でも荒井さんがやっているのを観て“あ、歌が好きでいいんだ”っていう。

 

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arai215絶対にやった方がいいですよ。もっと剥き出しな拓ちゃんを観てみたい。それがまた新たな魅力を引き出すだろうし、バンドに新たな影響を及ぼすんじゃないかな。本当に個人的に思うだけで、すごく仲良くなったからこういうことを言ってるだけなんだけど(笑)。

 

muramatsu215いや、嬉しいです(笑)。

 

山中210話を聞いてて思うんですけど、荒井さん…拓さんのことすごく好きですね(笑)。

 

arai215大好きですよ。

 

muramatsu215それ、わざわざ言ってもらうことじゃないじゃん(笑)。

 

arai215本当にね、世が世ならどういう関係になってるかわからないくらい好きです。

 

muramatsu215山中210アハハハハ(笑)。

 
 
 

the band apart 7th Full Album『謎のオープンワールド』インタビュー
https://www.jungle.ne.jp/sp_post/207-the-band-apart/

Nothing’s Carved In Stone Album『MAZE』インタビュー
https://www.jungle.ne.jp/sp_post/214-nothings-carved-in-stone/
 

 

たっきゅん × ライさんチェキプレゼント!!
https://www.jungle.ne.jp/present/

the band apart
http://asiangothic.org/

たっきゅんの受け身の美学へのメッセージや感想は
yamanaka@hirax.co.jpまで!!




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