音楽メディア・フリーマガジン

“あっ、良いライブここにあります。2012”

あっ、良いライブここにありました。

2012/2/4@渋谷O-EAST
“あっ、良いライブここにあります。2012”

出演(出番順)
No Regret Life / アルカラ / chaqq / BYEE the ROUND / ラックライフ / another sunnyday / ghostnote / Jeepta / SAY MY NAME. / plane / AJISAI / 真空ホロウ / Liaroid Cinema / セカイイチ / Half-Life / serial TV drama / GOOD ON THE REEL / グッドモーニングアメリカ

Text

2010年8月、それまで全国流通音源を1枚も出したことがなかったバンドが、『あっ、良い音楽ここにあります。』というV.A.を企画した。「解散していくバンドがたまたま俺たちの周りに多かった時期でもあったんです。“なんとかしたいな”と思ってたんですよね。そういうバンドを増やしたくもないし、少しでも何かきっかけを作りたいなと」と本誌のインタビューでG.渡邊が述べたように、バンド自らの想いが形となったこのオムニバスは、そのレコ発イベントも含めてギターロックシーンに一石を投じ、たくさんのきっかけを作った。

あれから約1年半。V.A.『あっ、良い音楽ここにあります。その弐』を2011年12月にリリースしたグッドモーニングアメリカが、バンドの繋がりのみを頼りに企画したフェス“あっ、良いライブここにあります。2012”を渋谷O-EASTで開催した。チケットはソールドアウト。グッドモーニングアメリカが活動の中で抱いた“純粋な想い”が強い磁石となって、引き寄せられるようにバンドが集まり、音楽ファンが集う。それはとても素敵なこと。土曜日とはいえ13時という開演時間にも関わらず、たくさんの音楽ファンがEASTへと詰めかけた。

最初にイベントMCであるBa.たなしんが挨拶し、いよいよグドモフェスがスタート。
O-EASTに2つのステージ…“ファイヤーステージ”と“パッションステージ”を設け、全18バンドが交互にライブを展開していくという、まさに贅沢なロックの祭典。パッションステージに出演したトップバッターのNo Regret Lifeから始まり、途中でブレイクタイムも挟みつつトリ前のGOOD ON THE REELまで、各バンドが個性と才能を発揮して熱いステージを繰り広げる。長丁場にも関わらず、観客は出演者以上に熱を放ち続けていた。
腕を振り上げ、身体を揺らし、ステージのアーティストと一緒に歌う。そんなオーディエンスに刺激を受けた出演者は負けず劣らず熱の高いステージで魅せる。どのバンドのライブを観ていても感じたのは、出演者だけではなく観客も含め、音楽を通して様々な人が出会うことの素晴らしさを改めて実感するイベントだということ。2010年8月にグッドモーニングアメリカが投げた小さな石は、大きな波紋を作り、たくさんのきっかけと出会いを生み出したのだ。

17バンドのステージが終わり、残すところはグッドモーニングアメリカのみか…と感慨深げに1日を振り返っていると、さっきまで客席でモッシュを繰り広げてライブを楽しんでいたたなしんとアルカラのG./Vo.稲村太佑の小芝居が始まる。ひとしきり会場を笑いと失笑で沸かせた後、いよいよグッドモーニングアメリカのライブが始まった。

1曲目「光となって」から会場は異様な状態だった。Dr.ペギが繰り出す太くて重くてタイトなリズムに身体を突き動かされ、渡邊のエモーショナルなギターに胸を掻きむしられ、異彩を放つたなしんのパッションが飛び火して感情に火を点けられ、Vo./G.金廣のキャッチーかつ伸びやかな歌に心を揺さぶられたオーディエンスは、それまでの疲れが無かったかのように暴れ、飛び跳ね、叫び、歌い、泣き、汗だくになりながらライブを楽しんでいる。「空ばかり見ていた」ではダイヴやモッシュが乱発し、O-EASTはまさにフェス状態。

たなしんが感謝の気持ちを伝え、ステージが笑顔で包まれる。「言葉にならない」「心臓抉って」と続き、オーディエンスは更に熱を高めて盛り上がる。振り上げられたたくさんの腕の向こうで、グッドモーニングアメリカの4人はとても楽しそうに演奏を重ねる。

MCで渡邊が「周りにいる仲間が辞めていくことが悔しかったから、仲間と一緒にやれることをしたかった。だからコンピを作って、渋谷O-EASTという大舞台でイベントをやる決意をしました。今この光景が見れて、みんなが楽しんでいる顔を見れて…本当に嬉しいです!」と叫ぶように言い、会場から大きな歓声が沸き起こる。「アカクモエテイル」に入り、本編最後はライブで真価を発揮する激キラーチューン「ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ」。有り得ないほどたくさんのダイヴとモッシュが繰り広げられ、そんな客席を眺める4人の表情はとても清々しい。アンコールの「境界を越えて」まで全力でやり切った4人がステージに並び、挨拶して終幕となった。

グッドモーニングアメリカというバンドは、メンバー4人がそれぞれかけがえのない存在へと成長したからこそ、CDデビューから1年強という短期間でここまで駆けてこれたのだろう。信頼できるフィジカルなプレイでライブを全面的に支えるペギ、熱くピュアな想いを持ってV.A.やイベントを企画してきた渡邊、ステージからはみ出すほどの存在感でグッドモーニングアメリカの名をより多くの人に知らしめた飛び道具・たなしん。
そして何より、唯一無二のキャッチーかつ記憶に残る楽曲と胸に突き刺さる歌でバンドを引っ張ってきた金廣。

この4人がこれからいったいどのような成長を遂げ、来年開催されるであろう“あっ、良いライブここにあります。2013”はいったいどのようなフェスになるのだろうか? つい先日終わったばかりなのに、今から楽しみで仕方がない。

text:Takeshi.Yamanaka
PHOTO:Sachie Hamaya & shinichirou Ohota

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