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コニー with ゴーグルエース

奇跡のコラボが生んだ魔法の8ビート

「キッスは目にして」の大ヒットで知られるTHE VENUSのボーカリストにして、永遠のロックンロール・クイーン“CONNY(コニー)”。

海外ツアーも精力的に行うなど日本を代表するガレージ系エレキビート職人、ゴーグルエース。その両者による新プロジェクト、コニー with ゴーグルエースが初のフルアルバムをリリースする。
ルーツ・ミュージックを愛する2組ならではの息が合ったコラボレーションは、“ゴーゴー”と“ツイスト”というキーワードで選ばれた数々の名曲に奇跡的な化学変化を生んだ。
懐かしいようで新しい、魔法の8ビートがここに鳴り響いている。

#Interview

「昔の音楽やサウンドが好きなんですけど、それを下敷きにしながらあくまでも今の作品として出すという部分でのバランスは意識しました」

●今回はコニー with ゴーグルエースとして作品を発表されるわけですが、そもそもの出会いとは?

コニー:元々、ゴーグルエースのNaoto T.D(Ba./Cho.)は、CONNY'Sっていうオールディーズをやる私のバンドでベースを弾いてくれていたんですよ。

カマチ:実はそっちのほうが古いんです。彼がゴーグルエースに加入する時に、コニーさんのバックバンドで弾いているという話を僕らも聞いていて。

●Naotoさんがキッカケでつながった。

コニー:そこから私はインターネットでライブ映像を見たりして、面白いバンドだなと思っていたんですよ。だからNaotoに頼んで、ゴーグルエースのライブを観に行ったりもしたんです。

U-1:その時にコニーさんの誕生日イベントに誘って頂いて、ゲストで出演させてもらえることにもなって。

カマチ:それが2010年の夏ですね。お互いのルーツ・ミュージックが近かったのもあって、そのイベントでいきなりコニーさんと一緒に2曲くらいやったんです。

●いきなり共演したわけですね。

コニー:リハーサルもなしで、いきなりやりました(笑)。60年代のオールディーズの原曲をお互いに知っているので、あとはキーを合わせるだけなんですよ。同じレパートリーでもゴーグルエースのサウンドになると全然違う雰囲気になるので、"こういうのも面白いな"と思って。そこで「いつか一緒にできたらいいね」という話もしたんですよね。

●その時点で既に今回の話は始まっていたと。

カマチ:コニーさんの誕生日イベントのすぐ後には、「何か一緒にやろう」という話になっていましたね。

コニー:2011年に入ってからレコーディングも始めていたんですが、その最中に東日本大震災があって…。仙台に家族が住んでいたメンバーもいたので、そこで一旦中断しちゃったんです。「もう一度、ちゃんと作ろう」という話になったのは今年に入ってからで、そこから再びレコーディングして今回ようやく完成したという感じですね。

●震災による中断もあったんですね。

コニー:だから当初の予定より発売が1年延びちゃった形なんですよ。その間にアイデアを温めてこられたので、結果としては良かったかなと思います。

U-1:一度リセットする形になったので、カバーの選曲もこの1年で変わりましたね。あと、その間にライブも1回だけやったんです。コンピレーション盤にオリジナル曲を1曲入れさせてもらったんですけど、そのレコ発イベントに出て。

●『Girls Sazanami Beat! vol.4』(2011年10月)のことですね。

コニー:震災もあって中断したままでこの話がなくなってしまうのは嫌だったので、とりあえず作ったものを出したいということでコンピに参加させてもらったんです。

カマチ:コニー with ゴーグルエースとして初めてライブで音を合わせた時に、これは何か楽しいことになりそうだと思って。イメージがすごく浮かんでいたので、中断したままにするのはもったいないなと。僕らも何とか形にしたいと思っていましたね。

●今作は基本的にカバー曲が多いですが、そういう形でやるイメージも最初からあった?

カマチ:オールディーズの世界ではツアーで地方に行ったりすると、やっぱり誰もが知っているスタンダードナンバーのカバーが盛り上がるんですよ。そういう曲に加えて、どんなマニアックな曲を選ぶかというのがものすごく重要で。

U-1:そこでセンスを問われるんです。

コニー:カマチくんはすごく色んな音楽を知っていますからね。私が全然聴いたことのない曲もあったんですけど、掘り下げて調べると「この人が歌っていたんだ!」っていうので勉強にもなって。やっぱり色んな人とコラボしていくと、自分の視野も広がりますね。

●今まで知らなかったような曲も収録している。

U-1:実はお互いに一度もカバーしたことがない曲ばかりなんです。

●えっ、そうなんですか!?

カマチ:元々のレパートリーにはない曲を今回はやろうと思って。

U-1:せっかく新しいコラボなので。だから今までにやったことがある曲は全部、却下したんです。

コニー:しかもタイトルにも『ゴーゴーガールとツイストボーイ』とあるように、ゴーゴーとツイストをテーマにした曲にしぼったので、どっちかがやったことがある曲が多く、最初はなかなか見つからなかったりして(笑)。

●曲を探したりもしたんでしょうか?

カマチ:"ゴーゴー"か"ツイスト"がタイトルに入っている当時の曲はすごく多いんですが、昔の曲なので著作権的な問題でハードルが高い曲もたくさんあって。そういう中でもベストな選曲ができたんじゃないかな。

コニー:今回は"ゴーゴー"と"ツイスト"の融合というテーマもあって。ゴーグルエースは"ゴーゴー"で、私が"ツイスト"の曲をやってきたので、"その2つが合わさるとこうなる"というものを作りたかったんです。

●それがタイトルにもつながっている。

コニー:"ゴーゴーダンス"を踊る女の子がゴーグルエースのライブはたくさんいて、"ツイスト"を踊る男の子が私のライブには集まるので、その両方が合わさった私たちのライブでは客席に『ゴーゴーガールとツイストボーイ』がいるというイメージですね。

●最初がM-1「ゴーゴーガールとツイストボーイ」で最後がM-10「ごめんねゴーゴーガールずるいよツイストボーイ」というのも、ストーリー性を感じます。

カマチ:結果的にコンセプトアルバムみたいになりましたね(笑)。とりあえずオリジナル曲を作ろうということでコンセプトを"ゴーゴーガールとツイストボーイ"に決めて、僕が2曲作ったんですよ。最初はそのどちらかを採用しようと考えていたんですけど、どっちも良いねという話になって。じゃあ両方とも入れましょうとなったんです。アルバムを作る時は、最初と最後に入れようというイメージにすぐ決まりました。

●先にオリジナル曲を先に作ったんですね。

カマチ:この2曲を作った後でカバー曲も選んでいきました。僕の中で、カバー曲には2つの意味があって。誰でも知っている曲を自分たちなりにアレンジしたものか、ほとんど知られていないけどすごく面白い曲の紹介かのどちらかなんです。

●面白い曲という意味では、M-7「インディアン・ツイスト」でしょうか?

コニー:私も初めて聴いた時は、"こんな曲があったんだ!?"ってビックリしましたね(笑)。

●しかも永六輔・中村八大という巨匠コンビによる作詞・作曲というのが衝撃的ですよね。

カマチ:"六・八コンビ"ですからね(※坂本九「上を向いて歩こう」など)。

コニー:しかも、原曲はジェリー藤尾さんが歌ってらっしゃって。何度かお会いしているんですけど、この前お会いした時に今回カバーすることをお話ししたらご本人もビックリしていましたね(笑)。

●この曲もそうですが、原曲は男性ボーカルのものをコニーさんが歌っているのも今作の面白さかなと。

コニー:やっぱり自分で選ぶと歌いやすい女性ボーカルの曲になってしまうので、逆にカマチくんが男性ボーカルの曲を選んでくれるのは新鮮で良かったですね。今回は私が歌うことを想定してもらいつつ、選曲はカマチくんにお任せしたんですよ。

カマチ:コニーさんのボーカルはパンチ力があるので、それが活きる曲ということを考えて選びましたね。

●コニーさんにとっては、自分なら選ばないような曲をやることも新鮮な体験ですよね。

コニー:それがコラボすることの醍醐味でもあるから。自分のバンドではできないだろうなと思うことも、ゴーグルエースとだったら一緒にできちゃったりする。M-9「ツイスト・アンド・シャウト」なんて自分のバンドでやったら、絶対にこんな感じにはならないですからね。

●しかも日本語バージョンという。

コニー:普通なら英語バージョンをカバーしてカッコ良い感じにするところを、ゴーグルエースとなら日本語バージョンのほうが合うんですよね。歌詞に出てくる"乱痴気騒ぎ"とかも、このバンドでカバーすると逆にカッコ良く聞こえたりして。

カマチ:「ツイスト・アンド・シャウト」自体は誰でも知っている曲だと思うんですけど、日本語バージョンを東京ビートルズがやっていたというのは意外と知られていない。しかも、その日本語詞が我々の尊敬する漣健児さんによるものだったので、これは何とかして収録したいなと。実は今作の発売日はちょうど漣健児さんの命日で、そこに捧げる意味合いもありましたね。

●このメンバーでカバーするからこそというオリジナリティも重要ですよね。

カマチ:もちろん昔の音楽やサウンドが好きなんですけど、それを下敷きにしながらあくまでも今の作品として出すという部分でのバランスは意識しましたね。

コニー:ただの懐かしいサウンドになってもダメだし、だからといって今どきの音になってもダメというのは一番、気を遣うところですね。その間の微妙なバランスを取って、自分たちの色になるようにするというのが作品を作る上で一番の課題だったかな。

●レコーディングはスムーズにいったんですか?

U-1:コニーさんの歌は、ほとんど1~2テイクくらいで録り終えていたのには驚きましたね。しかも、ちゃんとクオリティの高いものになっているのはすごく勉強になりました。実は、レコーディングで実質的に稼働したのは3日だけなんですよ。

カマチ:こんなタイトなスケジュールでよく作れたなと思います。コニーさんと一緒にやらせて頂くとなった時にやっぱりキャリアもある方だし、僕らとしてどんなやり方ができるのかとすごく考えたんです。最初からカッチリと決めて臨んだというよりは、レコーディングしながらアイデアを出し合って作っていったのが結果的に上手くハマりましたね。それによって、作品にセッション感やライブ感も出ていて。

●時間がなかったことも良い方向に出た。

コニー:時間があればいいっていうわけじゃないのは、レコーディングでいつも感じることですね。逆に"これで最後!"となれば、みんなのエネルギーが結集したものになったりする。"ここまで!"と決めたところまでにできる、最高のことをやらなきゃいけないんだと思います。

カマチ:レーベルをやっている視点からでも、バンドをやっている視点からでも、この短期間でこれだけのクオリティのものが作れるというのは自信につながりました。今までの経験値とやる気が合わさって越えられた壁という感じがします。そういう意味でも思い入れの強いアルバムになりましたね。

●お互いのイメージが一致していたというのも、制作がスムーズに行った要因じゃないですか?

コニー:自分の中でゴーグルエースはこういうバンドで、ここが良いところだなというイメージがあって。逆に彼らも私の良いところをわかってくれていたというのが大きかったんじゃないかな。お互いをリスペクトしている関係性でやれたのが一番の要因だと思いますね。

U-1:僕らもバックバンド的にはなりたくないというか。

●リスペクトはしつつも、遠慮はしない。

コニー:そうやって向かってきてくれると、逆に私も"負けていられないな"と思うわけですから。今回のツアーでも彼らにはいつもと同じようにライブをしてもらって、その中に私が入り込んでいく形がいいかなと思っていて。その中で"それでも私は負けませんよ!"っていうものを出したいですね。そしたら、観ているお客さんもきっと楽しいはずだから。

カマチ:絶対に楽しいと思います! ツアーでまた色々と変化していくと思うので、それも楽しみですね。

U-1:僕はツアーに向けて、新たに高いギターを買ったんです。やっぱり負けていられないから。キャリアはすごく上の先輩だから、そこに対抗していくには…。

カマチ:"新しいギターを買うしかない!"って?

U-1:お金で解決しました。

コニー:ダメじゃん!
一同:(爆笑)。

Interview:IMAI

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