音楽メディア・フリーマガジン

下北沢屋根裏×CAVE-BE PRESENTS “GOING UP DOWN 2012”

素晴らしい音楽達が、たくさんの刺激とパワーをくれた

2012/8/25@下北沢屋根裏 / 下北沢CAVE-BE
Orange Butter Candle / 五月女五月 / Spice / 真夜中ブランケット / 日々 and more…

 

 

 

 

 

 

素敵な音楽との出会いはいつだってたまらない喜びがある。会場に入った瞬間、ゾクッとするステージが繰り広げられていた時の感動ったらない。この日、私はそんな体験を何度もした。下北沢屋根裏と下北沢CAVE-BEが次代を担う要注目アーティスト達を集めて開催したライブサーキット。14:30という真昼間から、音楽にどっぷり浸かれるという音楽好きにはたまらないイベントだ。
出演アーティストは所謂下北系ギターロックが多いのかと思いきや、王道のロックンロール、泥臭いフォークロック、ポップなサウンドをキャッチーに奏でるアーティストまで様々。トップバッターでちょっぴり危険な中毒性を孕んだロックンロールをブチかます日ノ丸ズ。眼鏡が印象的なテジナはキャッチーでリズミカルなウキウキソングで楽しい空間を作り出していた。20組もの出演者がいる中、どの出会いも逃したくなくて、2つの会場を息を切らしながら走り回ってしまう。
Orange Butter Candleは、シューゲイズ風味のギターロックから疾走感溢れるハードロックまで幅広い音楽性を網羅し、彼らのサウンドとして昇華。柔らかく響くバッキングギターの上でリードギターのアルペジオが楽曲にツヤを出し、どの楽曲もすごく立体的に感じられたのが印象的だった。
屋根裏の4番バッターとして出演した五月女五月は、リハーサルから入念に、本番さながらの十分な熱量を放つ。しかし、いざ本番に突入すると、更なる熱気が渦を巻きながら襲ってきた。腹を撃ち抜く重低音と顔を歪ませながら放たれる叫び。Vo./G.関田は途中でギターを手放し、マイクスタンドをなぎ倒しながらマイクを鷲掴んで言葉を射る。集まった観客が皆、息を呑んだ25分間だった。
今回唯一の女の子ボーカリストは、Spice。普段はRISA1人による弾き語りなのだが、この日は特別にバンド形式でのステージを観せてくれた。バンドメンバーと一緒にパチパチと弾けるサウンドを鳴らし、客席を高揚させていく。私も女の子らしさと力強さを併せ持つ彼女の歌声にグッと惹き寄せられた。
鋭くてハードで毒々しく、刺激的なロックを吐き捨てる真夜中ブランケットはCAVE-BEに登場した。大きく“殿”と書かれたTシャツを着るVo./G.大谷は、セクシーでゾクゾクさせるような高音やシャウト混じりで噛み付くように少し掠れた低音、色気と男気を交差させながら声を操る。Ba./Cho.mizukiのコーラスとの相性もバッチリで、オーディエンスはめくるめくディープな世界に引き込まれた。顔を覆う髪の隙間から挑発するような目を向けながら鳴らされる彼らのビートは、本当に多くの人の体を揺らすパワーがあるのだ。
この日の大トリを務める日々のステージには、多くの人が集まった。ときに優しく、ときに激しく、汗だくになりながらストレートに音楽を届ける。どこか懐かしさを感じるキャッチーなサウンドに、お酒片手に体を揺らしたり、ステップを踏んで踊ったり、一緒に歌ったり、オーディエンスは自由楽しむ。アットホームな雰囲気に包まれる中演奏された「夕暮れを待つ男」は、とても温かく胸に沁み渡った。
長丁場だったが、疲れを感じる瞬間は一度もなく、むしろ帰る頃には心身ともに絶好調。音楽の持つパワーを感じた1日だった。来年も、再来年も、恒例のイベントとして下北沢から大きなパワーを放出していってくれることを期待したい。
TEXT:Hirase.M

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