音楽メディア・フリーマガジン

極惡いちご団

ニューマッドシティ(新松戸)発! ファンキー歌謡の華は夜ひらく

極悪全身アー写メイン洋楽ファンクロックをベースに、歌謡曲や演歌に80〜90年代J-POPの要素も取り入れた独自の音楽性を持つ3人組バンド、極惡いちご団。高度な演奏技術に支えられたライブパフォーマンスとコミカルでちょっぴりスケベな歌詞で密かな支持を集める彼らが、2008年の結成以来初となる全国流通盤をリリースした。千葉県のライブハウス・新松戸FIREBIRDを拠点に全国各地で精力的なライブを展開しながら、お笑い芸人やSMショーとのコラボレーションも行うというジャンルレスな活動の源泉にあるものとは…? その謎に満ちた実態に迫る、初インタビュー。

 

 

 

 

 

●やっぱり名前の通り、3人とも“極惡”なんですか?

Buono:いや、名ばかりで…。
ディエゴ:極惡ではないですね。

阿仁異:結構、真面目に取り組んでいます(笑)。

●確かに音源を聴くと、演奏技術はすごく高い。

Buono:これだけフザけた楽曲をやっていて、演奏もグダグダだったらね…というのがありますから。

阿仁異:コミックバンドでカッコ良い人たちって、実は上手いんですよね。そういう人たちって確信犯だと思うんですけど、それってそこそこ技術がないとできないことだから。ただ身内を笑わせるだけの学生バンドとは違うので、僕らもそのあたりはガッツリやっています。

●ただの悪フザけじゃないと。

阿仁異:悪フザけはしていますけどね…。

Buono:本気で悪フザけをしています(笑)。

●音楽的には「千葉県はニューマッドシティ(新松戸)が生んだファンキー演歌歌謡」ということですが。

Buono:ファンキーさは最初からありましたね。「ニューマッドシティ」っていうのは、ただ言いたいだけです(笑)。
ディエゴ:初期は変態テクニカル・ファンクみたいな感じでした。

阿仁異:僕が演歌や歌謡曲が元々好きなのもあって、そういうテイストが出やすいのかもしれない。あとは僕らが好きなファンクって、ライブハウスで普通にやってもあんまりウケない音楽なので。そこに振り付けやエロとかを取り込みつつやっていくと、わりと普通のバンドとも絡めるというか。ディープなファンクとかも普段はよく聴いているんですけど、それをそのままバンドでやろうとは思っていないんです。

●エロの要素もかなり強いですよね。

阿仁異:僕らは、活動している場所が2つあって。普通のバンド・シーンとは別に、SMショーやストリップみたいなアンダーグラウンド・シーンでもライブをしているんです。しかも集客で言えば、最近はアンダーグラウンド・シーンのほうが多いんですよ。ニコ生でも緊縛ショーとコラボで演奏したりしていて、この前の放送では1万7千人も視聴者がいましたね。

Buono:アダルトチャンネルなんですけどね(笑)。でもアンダーグラウンド・シーンでは、僕らは“爽やか”と言われているんですよ。

●宣伝用の紙資料には「アンダーグラウンド界では爽やか貴公子の異名を取る」と書かれていましたが…。
ディエゴ:“貴公子”とは言われたことはなくて、そこは僕が勝手に書きました(笑)。

阿仁異:普通のバンド・シーンだと「めっちゃ濃いな」って言われますけど、アンダーグラウンドに行けば僕らなんて本当に“爽やか”カテゴリーですからね(笑)。僕らは歌舞伎町とか新宿2丁目界隈の、変態の人たちにも支持されているんですよ。ニューハーフや女装マニアの人たちだったり。だから新宿では普通のライブハウスに出るより、ロフトプラスワンに出ることが多くて。今回もタワーレコード新宿店は大量に入荷してくれて、すごくプッシュしてくれているんです。

●変態シーンでは人気だと(笑)。あと、紙資料には「昼間の世界では案外いい人との異名を取る」とも。

阿仁異:bayfmの方に気に入って頂いて、『HEART LUCK』という復興支援番組によく出させてもらっているんですよ。僕ら自身も元々あちこちでライブをすることが多かったので、震災直後からそういう活動をしていて。世間で“不謹慎”論が沸き上がっていた時は、周りからめっちゃ叩かれましたけどね。

●被災地で「おっぱい」とか下ネタを歌っていたら、不謹慎と言われても仕方ないような…。

阿仁異:めっちゃ言われました。ただ、現場の反応は全然違いましたね。復興支援バンドみたいなのばかり来ると、それによって逆に気持ちが落ち込んじゃうらしくて。「普通のライブが観たかったから、超面白かった」とか言ってくれる人が多かったんですよ。世間が考えている反応と、現場の反応は全く逆でしたね。

●実際にライブで“おっぱい体操”(M-9「愛子体操第一」)もやっているんですか?

阿仁異:やりますね。それは普通の音楽シーンでライブする時も強制的にやらせます。お客さんが全員やるまでやめないんで(笑)。

Buono:無理矢理巻き込みます(笑)。

●一見フザけているんだけど、ちゃんと音を聴いたら真剣なのがわかるんですよね。

Buono:だから、まず聴いてくれっていう(笑)。

阿仁異:3人とも音楽がかなり好きですからね。自分たちから音楽を切り離した生き方みたいなものが考えられない。それくらい好きなところで、真面目にやらなかった結果がこれなんです(笑)。
ディエゴ:色んなバンドがごまんといる中で目立つのって大変だから。埋もれたくないので、「他とは違うことをやらなきゃ」っていう感じにはなりますよね。

●そういう活動の結果、今回ようやく初の全国流通盤を出すことになったと。再び紙資料によれば、極惡いちご団は「遅咲きの大型新人」だということですが…。

阿仁異:全然、大型じゃないですけどね。ちょっと強がってみただけです(笑)。
ディエゴ:単純にその言葉が面白いからっていうだけなので…(笑)。極端なことを言えば、面白ければ何でもいいんですよ。

●やっぱり面白いほうが目立ちますからね(笑)。

阿仁異:その紙資料は事実が少ないんですよ。「ニューマッドシティ」とか言っているのもたぶん僕らだけですからね。松戸市長が聞いたら、たぶん怒ると思います(笑)。

一同:ハハハハハ(爆笑)。

Interview:IMAI

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