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SiM 

SPECIAL LIVE REPORT:SiM “PANDORA TOUR 2013 2014 FiNAL 2days”

-Day.1- 2014/1/25 @shinkiba studio coast
ONEMAN SHOW

JUNGLE LIFE¥ワンマン¥蜈ィ菴貼20140125 (708)

彼らは自身の手で成功を掴んでいくだろう、
パンドラの箱に何が残っていようとも。

客電が落ち、SEが流れる。フロアから巻き起こる歓声の中、Dr.GODRi、G.SHOW-HATE、Ba.SINが入場、続いてVo.MAHが舞台袖から間を置いて、ゆっくりとステージの中央へ向かって歩いて行く。

アルバム、ツアータイトルを冠した「PANDRA」でショウはスタート。すでに会場はうねりを上げ、狂喜の渦に包まれている。重厚なビート、MAHの咆哮から始まる凶暴な1分半の音塊が叩きつけられ、曲が終わる。スポットの下、偶像のように、しばらく微動だにせずただ観客を見下ろすMAH、強烈な存在感に会場が支配される。

続いて、SHOW-HATEのエッジの効いたフレーズで「WHO'S NEXT」が始まる。フロント3人が軽いステップで踊り出し、縦横無尽に駆けまわる。興奮と狂乱の中、「Boring People, Fucking Grays」へ。激しく美しいメロディラインが特徴の前半、そこからの脳みそを直接揺さぶるようなシャッフルビート展開。GODRiのドラムに乗せて放たれる変幻自在なビートは、聴衆の心臓を鷲掴みにし、揺さぶり続ける。しかしまだ3曲目だ、ほんの扉を開けただけにすぎない…。

「正直言って、みんながどんな気持ちでここに立っているか分かりません、でも少なくとも俺たちはぶっ倒れてもいいっていう気持ちで、ここに立っています、全力で…かかってこいやァァァ!」そして「Blah Blah Blah」が始まる。MAHの言葉に触発され、オーディエンスは沸点到達、泡沫のように繰り返されるダイブ、モッシュ、ダイブ。立て続けに「BRAiN」、「We're All Alone」を演奏。MAHのサインとともにフロアではサークルモッシュが行われる。合唱する者、踊り狂う者、さながら狂喜に満ちた悪魔の宴、その瞬間瞬間が強烈に脳裏に焼き付く。

語りから始まる後半戦の1曲目は、「Rosso&Dry」。MAHの鍵盤ハーモニカの演奏、渋みのあるギターソロ、さっきまでの激しさから一転、大人びたクールな印象にライブ自体の深みがぐっと出る。クールダウンしてMAHのMC、SHOW-HATEとの歓談を交えつつ、SiMのライブに初めて来たオーディエンスにもっと僕らの事を知ってもらいたいと、2007~10年にリリースされた「paint sky blue」「ANTHEM」を演奏。そして「こういう曲達があったから、この曲が生まれました」と、その2年後にリリースされた「Amy」へ突入。会場の声は一体となり、凄まじい音圧でフロアを揺らす。その余韻消えぬまま「wishing」へ。メンバーの一挙手一投足に答えるオーディエンス一人一人が、SiMという巨大な生き物の細胞となり、激しく鼓動する。

フロアから歓喜の声があがる中、MAHから結成10周年を迎えるにあたってDVDが発売される事が発表される。「夢を叶えるまでに10年かかるヤツがいる。周りの人に愛想付かされてもお前の人生だから、お前の夢に愛想をつかさないでやってほしい…自分自身のために歌え!!」そう言って「Dreaming Dreams」を演奏。痛みも苦しみも包み隠さず語る、MAHの言葉ひとつひとつが心に深く突き刺さる。そして、本編ラスト「KiLLiNG ME」。途中で一度演奏を止め、「DVDを観てる奴が悔しがるくらい叫べ!!」そう言って演奏が再開され、会場の盛り上がりは一気に最高潮へ…。

「ここからまた新しい夢に向かって走っていきます。最後まで付いて来て下さい。ありがとうございました!」その言葉で今回の公演は幕を閉じた。

彼らは10年、自身の道をひたすらに歩んできた。全てを隠さずに、ありのままを語る事ができるタフさに、積み上げてきた自信が現れている。明日も、そしてこれからも、彼らは自身の手で成功を掴んでいくだろう、パンドラの箱に何が残っていようとも。

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-Day.2- 2014/1/26@shinkibastudio coast
DEAD POP FESTiVAL2014

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感情を振り切らせ、全力で楽しむ場所。

幕間から主催者であるSiMのVo.MAHが私服のまま現れ、出演予定だったtricoがインフルエンザのため出演できなくなったこと、そして「ジャンルとか商業的なこととか関係なく、自分たちがかっこいいと思うバンドを観て欲しいと思って始めた」と“DEAD POP FESTiVAL”にかける想いを説明してイベントがスタート。過去最大規模の“DEAD POP FESTiVAL”。フロアを埋め尽くすオーディエンスが地響きのような歓声をあげる。

最初に登場したのはCrossfaith。いきなりテンションを振り切らせた観客が重厚なリズムに合わせてジャンプする。熱狂が熱狂を呼び、「Monolith」では前から後ろまで観客が拳を振り上げて叫び、興奮が頂点に達した「HELL」でTeru(Vision/Program)がステージダイブ。まるで曲の一部かのような無数のクラップを誘発させた「Eclipse」、そして最後はたくさんのサークルモッシュでフロアが沸いた「Leviathan」と、まったく隙を見せないステージ。1秒1秒を全身全霊で楽しみたいという我々の期待を遥かに超えるライブ、会場の熱は最高潮だ。

POLYSICSのひたすら鍛え抜かれた体脂肪率1桁台のソリッドなアクトに、観客が諸手を上げて盛り上がる。「Shout Alound!」、「Turbo Five」とオーディエンスの琴線を揺さぶらしまくり、ポップかつハードコアなPOLYSICSの真骨頂が連発。音とクラップの応酬でフロアとがっつりコミュニケイトした「Baby BIAS」、大合唱に包まれた「Let's ダバダバ」、最後の一音まで暴れさせた「Buggie Technica」と、3人はフラフラになるまで全力で音を出し、そして全力で観客を楽しませた。

Vo./G.尾崎世界観が「SiMが信じたSiMのお客さんを信じて歌います」と告げ、「憂、燦々」の繊細なギターで始まったクリープハイプのライブ。スリリングな「身も蓋もない水槽」、フロア上空の巨大なミラーボールが回った「ウワノソラ」、みんなが腕を上げて踊り「セックスしよう!!」と叫ぶ「HE IS MINE」など、聴かせ、魅せ、踊らせ、歌わせ、叫ばせる幅広い表現力はさすが。まさにジャンルを超えた共演を、オーディエンスは全力で楽しんでいる。

「蘭鋳」のイントロが鳴った瞬間から大歓声が押し寄せたMUCC。サークルモッシュで暴れ、ヘドバンで暴れ、汗をまき散らして暴れる観客。圧倒的なカリスマを放つステージ上の4人。今回出演したのも頷ける最高のライブバンドに、フロアの興奮はうなぎのぼり。1つ1つの音に今まで彼らが培ってきたものが現れているようなライブ。そして凄まじい音に反応し、大きなサークルができた最後の「MAD YACK」で、疲れを知らぬオーディエンスは狂ったようにライブを楽しんだ。

最後はSiM。ゾクゾクと背筋に響くギターが鳴り響いて「PANDORA」がスタート。全員がVo.MAHと一緒に歌うという爆発的な盛り上がり。かと思えば、曲が終わって10秒近くピクリとも動かず、おもむろに「WHO'S NEXT」を始める。限界を超えた熱狂をあざ笑うかのように突き放したかと思えば、MAHがマイクを床に置いていきなりステージダイブ。1秒たりとも飽きさせず、興奮が頂点に達して会場全体がカオスになろうとも決してブレないタフさを携えた4人は無敵。そして「お前ら全員メンバーか!」と突っ込みたくなるほど主体的に“ライブ”をしているすべての観客もまた無敵。MAHは「迷ったり悩んだりすることを恥ずかしいと思わないで欲しい。つまずいて転んでも、這いつくばって進む姿が俺はいちばん美しいと思う」と言い、フロアから大きな歓声が沸き起こる。SiMと観客の関係がうらやましかった。全員が活き活きとした表情で、汗だくになりながら、全身全霊でライブしているのだ。そんな素晴らしい場所を作り出したSiMに心から敬意を抱いた。

回を重ねるごとに成長してきた“DEAD POP FESTiVAL”。主催者であるSiMと共に、これからもたくさんの音楽ファンが楽しむ場所を提供してくれるだろう。

20140126 (429)

 

 

 

 

 

 

 

TEXT:馬渡司 / Takeshi.Yamanaka
PHOTO:kohei suzuki / H.and.A

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