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扇愛奈とFoo-Shah-Zoo

ポップでマッドなアンサンブルがまだ誰も見ていない“絶景”を描き始めた

FSZアー写シンガーソングライターとしてのソロ活動やジ・アジナーズでの活動でも知られるパンク歌謡歌手、扇愛奈。個性的かつ幅広い才能を見せる彼女を軸にして、筋肉少女帯の内田雄一郎(Ba.)と本城聡章(G.)、NESSの河塚篤史(Dr.)という猛者たちが結成したバンド、それが“扇愛奈とFoo-Shah-Zoo”だ。それぞれが強烈な特性を持つ4人だけに、1つのバンドとして交わった時の化学反応はまさに予測不能…。昭和歌謡やGSを彷彿とさせるメロディを中心に置きながら、そのサウンドはプログレからサイケやガレージまで変幻自在の表情を見せる。ポップとマッドが共存する摩訶不思議なアンサンブルが、まだ誰も見たことがない“絶景”を描き出していく。

 

 

 

 

「いざギターを入れてみたら、(最初とは)全然違う楽曲になっていたりする(笑)。それがFoo-Shah-Zooの化学反応なんだなって」

 

●まずは、このメンバーが集まったキッカケからお訊きしたいんですが。

扇:私は元々ソロのシンガーソングライターとして活動していて、バンド形態でライブをする時に内田(雄一郎)さんにベースを弾いて頂いていたんですよ。それがザ・セクターズというバンドで、その後に私はジ・アジナーズというギャルバンもやっていて。それが解散して「これからどうしよう?」という時に、内田さんが「一緒に何かやろうか」と言って下さったのがキッカケでした。

内田:もう7〜8年くらいの付き合いになりますね。彼女の曲を初めて聴いた時に「これは良いな!」と思って。僕ら世代の心の琴線を爪弾かれるところがあったんです。それで一緒にやってきたんですけど、ここに来て「また新しいものをやってみようか」という感じですね。

●扇さんの曲に内田さんが惹かれたわけですね。

内田:彼女が持っているものって、幅広いんですよ。でも広すぎて、一般の人にはなかなか理解できないところもあって。そういう隠れた変テコな部分を世の中に見せびらかすには、手練のメンバーが必要かなと。

扇:私が書く曲はやたらと転調が多かったり、変拍子だったりして、昔から変だったんですよ。でも今はどんな曲でも(メンバーが)みんな弾けるので、「何でもやってやるぜ!」という感じなんです。Foo-Shah-Zooになって、より解き放たれている感じはしますね。

●G.本城(聡章)さんとDr.河塚(篤史)さんは、どういう経緯で?

河塚:僕は、彼女がジ・アジナーズをやっている頃に知り合ったんですよ。内田さんが以前からサポートで参加していたのも知っていましたし、色んなところでつながりはあって。内田さんから誘われた時も、「やります!」という感じでした。

内田:おいちゃん(本城)は元々、(扇の)ライブを観たりもしていて。

本城:彼女がデビューした当初から、内田の家へ行く度に「こういうの好きでしょ?」という感じで聴かされていたんですよ。だから全く知らないわけではなかったし、今回のバンドの話が出た時も「面白そうだな」とは思っていて。彼女の曲は幅広いし、自分も雑食なので、何か1つのスタイルでやるという感じではないなと。「筋少とはまた違う面白いものが作れるかもしれない」というところで、やってみようという気持ちになりましたね。

●本城さんが筋少以外のバンドに参加されるのは、最近では珍しい気がします。

河塚:僕も個人的には、本城さんが参加するということに驚きましたね。そこで「これは面白いことができるんじゃないか」という期待がありつつ、もちろんラブちゃんも幅広い音楽性を持っていて面白い曲を書くシンガーソングライターだというのは知っていたから。…あ、僕らは彼女(扇)を“ラブちゃん”と呼んでいるんですけど。

扇:それは書かないで…(笑)。

本城:いやいや、これをキッカケにして全国的に浸透させていかないと(笑)。コートニー・ラブと同じ名前だよ?

一同:ハハハ(笑)。

●本城さん自身も、筋少とは別のバンドでやることに興味が湧いたわけですよね?

本城:筋少ではギターも弾きますが、どちらかと言うと僕は“曲作りをする人”みたいなイメージがあって。でも自分で曲を作り始める前は、“1ギタリスト”としてバンドをやっていたわけなんです。それがここ数十年は、そういうスタンスではなくなっていたから。今回は全部ラブちゃんの楽曲をやるということで、1人のギタリストとしてバンドに向き合えるのが新鮮な感じですね。

●コンポーザーとしてではなく、プレイヤーとして関わることが新鮮だと。

本城:「そしたらどうなるのかな?」っていう。筋少ではやらないようなことをやってみたいなと思うんですよ。たとえば(このバンドでは)ギターは2本あるんですけど、1人(扇)はシンガーなので、どうしても自分がギターソロを弾かなくてはいけない状況に置かれるわけで。筋少では基本的にソロを弾かないので新たなチャレンジになるし、そこもモチベーションになっているかな。

●バンドとしての方向性は、結成当初から定まっていたんでしょうか?

扇:最初は「“プログレGS”をコンセプトにやりましょう」ということだったので、今もそういう感じで進んでいる…はずです(笑)。

内田:“プログレ”とか“GS”と言っちゃうとその色が濃くなるのであまり出したくないんですけど、バンド内ではそういうフレーズを伝えて「こんな感じでどう?」と。

●確かに今作はプログレやGSの要素もあって、60〜70年代の匂いがするサウンドになっています。

内田:その頃の歌謡曲について、我々よりちょっと若い2人(扇と河塚)もよく知っているんですよ。だから、普通に会話ができるんです。

扇:私は歌謡曲が元々すごく好きで、70〜80年代のものを中心によく聴いていたんですよ。あと、ちょうど去年に『ジョジョの奇妙な冒険』のアニメ版エンディングテーマとして、イエス(「Roundabout」)を初めて聴いてプログレに目覚めまして…(笑)。

河塚:そこがキッカケなんだ(笑)。

●『ジョジョ』をキッカケにプログレにハマったと。

扇:だからまだプログレ1年生くらいの感じなんですけど、合唱を元々やっていたこともあってシンフォニックなものが好きなんですよ。ちゃんとプログレを聴くようになってからは、そういう要素を自分の中で消化していくのがすごく楽しい昨今ですね。あと、周りにプログレの大先輩たちがいらっしゃるので、すごい方向に曲が育っていくのが面白いなと(笑)。

●今回のレコーディングでは、化学反応がたくさん起こったそうですね。

扇:今まで私がやってきた曲は、歌モノでも破壊的だったり暴れ狂うようなものが多かったんです。もちろんFoo-Shah-Zooの中にもそういう要素はありつつ、仕上がりはどこかロマンティックな感じになっているのが面白いなと思ったんですよ。同じ人間が曲を書いているのに、こんなにロマンティックになるんだっていう…。このメンバーだから、そうなっていくんだろうなと。

●曲を作っている人は同じでも、このメンバーでやることで新たな化学反応が起きる。

本城:今までやってきたバンドもそうだったんですけど、みんなで話し合ったりせずにプレイすることで「いったい自分の中から何が出てくるのかな?」というのが面白かったりして。それが化学反応だと思うんですよ。「みんなに触発されて、自分はどんなことをやるんだろう?」っていうのを確かめる作業に、今回はなったかなと。

●きっちりフレーズを考えてから弾くよりも、その場で偶発的に生まれるものを尊重するというか。

本城:やっぱり何十年もバンドをやっていると、考えてからやっちゃうのはあんまり面白くないというか。リハも練習もなく「とりあえずProToolsの録音ボタンを押しちゃえ」みたいな(笑)。そしたら「こんなフレーズ弾いちゃった」みたいなものをチョイスしているかな。ラブちゃんがビックリしていましたけど、最初にドラムを録っている段階ではまだ何も考えていない曲もあったりして。いざギターを入れてみたら、(最初とは)全然違う楽曲になっていたりする(笑)。それがFoo-Shah-Zooの化学反応なんだなっていうことを確認しましたね。

●音を重ねていく内に化学反応が増していく。

河塚:ドラムは一番最初に録るので、できあがったものを聴いたら全然違うものになっていて、軽く衝撃を受けました(笑)。NESSもそういう感じなので、僕はわりとそういう経験が豊富なほうだとは思うんですけど…。

本城:自分の経験上でも最初にドラムを録った時から、全フレーズが変わったのは初めてでしたね(笑)。

●そんなに変化するんですね…(笑)。

河塚:そういうものを聴くと、僕の中でも「そうくるなら、こう投げ返したいな」という欲望が出てきて。それが録音作業の面白さではあるし、そういう想いをまた次の演奏の機会に出せばいいんじゃないかなと。それを繰り返していけるのがバンドの強みだと思うから。

本城:次に演奏する時にも、そこからまた変わっているっていう…(笑)。

●次にどんなものが出てくるのかわからないという楽しさもあるのでは?

河塚:そういうビックリ箱みたいなところがこのバンドにはあると思います。ただ、今作に関しては、ドラムを録り直させて欲しいなっていう…(笑)。

●録り直したいんだ(笑)。

河塚:別に今回のものがダメだからとかじゃなく、「より良いキャッチボールの結果はライブで確認して下さい」ということですね。そういうキャッチボールがバンド内にあることは素晴らしいと思うし、それをお客さんにも感じてもらえたら楽しいんじゃないかなと。

●音源のとおりにライブでやるとは限らない?

河塚:限らないですね。

扇:みんな、自由だなって思います(笑)。レコーディング中にも思ったし、だから私自身もすごく自由に歌わせてもらって。たぶん、今までで一番良い歌が録れたんじゃないかと思いました。自由だからこそ「歌でどう引き締めるのか」ということを、真剣に考えたりもしたんですよ。今までの私にはない要素も取り入れたり、「自由だからこそ」というところで取り組んだ曲もあります。

●今までのパンキッシュで激しい歌とは違って、今作の歌では弱さや切なさを見せたりもしていますよね。

扇:やっとできるようになったんです(笑)。「これが扇愛奈だ」って決めつけないでやってみればいいじゃないという感じでした。本当に私はこのバンドをやったことで、解き放たれた感じがします。

●アレンジ面でのアイデアは自由で幅広いわけですが、どの曲も扇さんの歌が軸にはなっているかなと。

扇:やっぱり私は基本的にボーカリストなので、歌モノという部分は譲らないんだろうなと思います。曲作りの段階でも歌をハッキリさせて皆さんに聴かせたりするので、そこはブレずにどんどん変な形に進化していくのがFoo-Shah-Zooなのかな。

河塚:好き勝手にやるという“自由”じゃなく、ある1つの枠組みの中でどうやって好きなことをやろうかという探り合いみたいなものですね。歌モノを基本としながら、その中でどう変なことをしてやろうかっていう…別に変なことをしようと思ってはいないですけど(笑)。

●それだけを狙っているわけではない(笑)。

本城:ギターに関しては、基本的には歌から引き出されるフレーズみたいなものを意識しているんですよ。筋少でもやっぱり、オーケンの歌から引き出されるフレーズがあって。そういう意味で今回はラブちゃんの歌から引き出されたフレーズなので、今までやってきたものとは全く違うものになったんじゃないかと思います。

内田:色々とアレンジしていますけど、まるっきり変えたものはないんですよ。元の曲が持っているものをふくらませていく中で「こうなっちゃいました」ということなので。それがFoo-Shah-Zooですね。

●ちなみに今更ですが、バンド名の由来とは…?

扇:扇が起こした風を拡散するようなバンドということで、“風車”っていうキーワードがまず出て。「“風車ズ”ってどうですか?」と内田さんに言ったら、「ズー・ニー・ヴー(※日本のGSバンド)みたいな感じで、フー・シャー・ズーにしよう」と(笑)。

内田:その時はGSバンドになるはずだったんだけど…。

河塚:バンド名が決まった3日後くらいに、ラブちゃんからM-1「Foo-Shah-Zooのテーマ」が送られてきて。それを聴いたら「全然、GSじゃない!」っていう(笑)。

●確かに、今作で明らかにGSっぽい曲はM-2「分解しないで」くらいですよね。

内田:おかしいな…?

扇:GSが好きなバンドなんです(笑)。

本城:GSだプログレだと言ってはいますが、本気でそういう音楽をやっている人たちには申し訳なくて…。それよりは“ちょっと勘違いしたGS”や“ちょっと勘違いしたプログレ”みたいなものを出せるのが自分たちらしいのかなと思います。

●7月のツアーではその“らしさ”も体感できると。

河塚:今回初めて地方にも行くので、今まで見る機会がなかった人たちもぜひ足を運んで欲しいですね。「楽しいFoo-Shah-Zooの世界へようこそ!」ということで、我々も全力で風車をまわしに行きます。

扇:皆さんに“絶景”を見せに、そして我々が新しい“絶景”を見に行くツアーにしたいと思います!

Interview:IMAI

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