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BRADIO

熱きハートビートを打ち鳴らす4人のサウンドが今、世界を振り向かせようとしている

AP_BRADIO初の流通音源となった1stミニアルバム『DIAMOND POPS』を昨年10月にリリース以降、BRADIOを取り巻く状況は急激な盛り上がりを見せている。ソウルやファンクといったブラック・ミュージックのエッセンスとグルーヴを取り入れながらも、その楽曲はあくまでもキャッチーでダンサブル。際立った存在感とズバ抜けた歌唱力を持つVo.真行寺貴秋を軸に、あらゆる層のリスナーを巻き込む魅力を持ったサウンドが話題にならないわけがない。周囲の期待が高まる中でリリースされる今回の2ndミニアルバム『Swipe Times』は、彼らのさらなる飛躍を予感させる新たな名盤だ。

今作には4人の枠の中だけに収まらない要素も入ってきているんですよ。そこでも自分たちの可能性が広がっているように見えるというか

●去年10月に前作の1stミニアルバム『DIAMOND POPS』をリリースして以降、BRADIOを取り巻く状況はすごく盛り上がっているように感じます。

聡一:ありがたいことに、本当に今までにないくらいの反響を頂いて。前作を出すまでは自分たちでも全くどうなるか見えない状況だったんですけど、結果的にはすごく好意的に受け入れてもらえたというか。皆さんの協力もあって、本当に広がったという感覚がありますね。

貴秋:その時点では次の作品を出せるとも思っていなかったですし、本当に周りの人たちが持ち上げてくれているのを感じています。そういう中で、今回はすごく良いタイミングで出せたんじゃないかな。

●自分たちでも予想以上の反響があった。

亮輔:ツアーをまわってみたら、各地ですごく反応が良くて。それが自信につながったからこそ、今回の作品でも色んな新しいことにチャレンジできたという部分はあります。

有希:元々やっていることに自信はあったんですけど、実際の反応はフタを開けてみるまでわからないところがあったから。ツアーが後半に進むにつれて、自信が確信に変わっていったというか。ツアーファイナルでは、自分たちのやってきたことは間違いじゃなかったと思えましたね。

●ツアーファイナルの新宿ACBは大盛況でした。

聡一:前回はツアーの制作も自分たちでやったので、動員に関しても本当に直前までどうなるのか見えていなくて。流通音源としてはまだ6曲しか出していないのにワンマンを切っちゃっても大丈夫なのかという思いもあったし、最初は予約メールもほとんど来ていなくて不安ばかりでした。でもツアーをまわっていく内に予約も増え始めて、最終的にはあんなにも入ったので本当に嬉しかったですね。

●次の作品を出すと決まったのは、そのワンマンが終わってから?

貴秋:ツアー中に現レーベルから次のリリースの話を頂いて、作り始めたのはファイナル後の年末くらいからでしたね。

聡一:今回の新作はほぼ書き下ろしで、前からやっていたのは1曲だけなんですよ。

●次作は全て新曲で行こうというのは意見が一致していた?

聡一:そこは話し合うまでもなかったですね。既存の曲を踏まえた上で『DIAMOND POPS』に行き着いたところがあるので、リリースやツアーを経験した“その先”にできる曲を出したかったんです。

●新作のビジョンはあったんですか?

貴秋:最初は特になかったですね。

聡一:いつもそうなんですけど、曲を作っていく中で構想ができていくというか。最初に「こういうアルバムにしよう」と決めるんじゃなくて、曲ができていく過程で方向性が決まっていくんです。今回もそういう感じでしたね。

●最初にできたのはどの曲なんですか?

有希:最初はM-2「Overnight Superstar」ですね。

聡一:「Overnight Superstar」は、BRADIOというバンドをわかりやすい形で提示できている曲だと思っていて。この曲が先にできたことで、その後に作る曲ではチャレンジができたんです。そこからは、遊び心や「こういう曲をやってみたい」というアイデアをみんなで出していきましたね。

●歌詞で遊び心を一番感じるのは、M-6「ダイナマイト」かなと。とはいえ全体的に歌詞に関しては、前作よりもちょっと真面目になった気がします(笑)。

貴秋:前作のツアーファイナルをやった時に、自分の中で1つ見つかったというか。歌や歌詞を通して「誰かのためにありたいな」ということを強く思ったんです。本番当日までは動員の不安があったんですけど、いざステージに立ってみると満杯のお客さんがいることに圧倒されて。昔は小さなスタジオで4人だけでやっていた自分たちのバンドが多くの人を巻き込んで、自分たちだけじゃない“みんな”のバンドになったんだなということをすごく感じたんですよ。

●そこで歌詞に対する考えも変わった?

貴秋:そこから自分がバンドをやっていく中で人に何かを伝えて、みんなで共有したいなと強く思うようになりました。だから歌詞についてもある程度はメッセージ性を込めつつ、なるべく誰かが前向きに日々を過ごしていけるようなものにしたいなと思うようになったんです。もちろん遊び心も捨てたくないですけどね(笑)。

●前半3曲はメッセージ性が特に強くて、後半3曲は恋愛がテーマになっているものという感じがします。

聡一:曲順は悩んだんですけど、結果的にそうなっていますね。

貴秋:後半3曲の歌詞は恋愛絡みのものではあるんですけど、M-5「Jasmine」に関しては初めて女性目線で書いた曲なんです。男性が女性目線の曲を歌うってあんまりないなと思ったので、(本来の自分とは)違う感情や気持ちを歌うっていうことにチャレンジしてみました。だから歌入れの時も気持ちがブレないように、この曲を一番最初に録ったんですよ。

●女性目線だから、歌い方もちょっと艶っぽく感じるんですね。

貴秋:遊び心も入れつつ、そういう気持ちで歌いました。女性にも歌って欲しいので、キーはちょっと高めに設定したりもしているんです。

●ちなみに「Jasmine」というのは、女性の名前をイメージしている?

貴秋:これには色んな意味があって。名前でもあるし、ジャスミンの花の優しい香りをイメージしていたりもしますね。あと、ジャスミンの花言葉には“素直”というのがあるんですよ。この歌詞の物語を時系列で読み進めると、“最初は虚栄を張って強がっていた女性がだんだん素直になっていく。そして最後は涙が心を洗って、また明日から新しい自分が待っている”という感じで、最終的にはポジティブな内容になっているんです。そういう強がっている女性が素直になっていく様を表現したくて、「Jasmine」というタイトルにしました。

●この曲の歌詞中に“私をもっとスワイプしてみて”と出てきますが、これが今回のアルバムタイトルにもつながっている?

貴秋:これはタイトルのほうが先なんですよ。『Swipe Times』というタイトルが決まっていて、そこに歌詞をなぞらえた感じですね。

●『Swipe Times』とはどんな意味なんですか?

聡一:最近「スワイプ」という言葉が気になっていたんですよ。スマホでもよく使うし(※画面上で指を滑らせて、ページを切り替えたりする操作)、あと単語自体には“奪う”という意味もあったりする。自分たちはライブへ遊びに来てくれた人に非日常的な空間を味わってもらいたいというのを、バンドのコンセプトとして元々持っていて。今回のアルバムを聴いている時間やライブに来ている時間が、その人にとって何か1つ切り替わるものであって欲しいというか。あとは、聴いてくれる人たちの時間を奪ってしまうような作品であって欲しいという願いも込めています。

●そういう意味があったんですね。BRADIOのエンターテインメント感溢れるライブが想像できるのは今作の前半だと思いますが、特にM-1「ハートビートを打ち鳴らせ」はスラップもゴリゴリで1曲目らしいパンチがあります。

聡一:最初はもう少し昭和の匂いがする楽曲でそれはそれで良かったんですけど、何か1つ垢抜けない感じがしていて。レコーディングの日程が近付いてきた時にもう一度、貴秋にサビのメロディを書き直してもらって、亮輔にベースラインを練り直してもらったんですよ。それで完成した時に「これって、オープニングを飾れるんじゃない?」っていうくらいに化けたので、1曲目に決まりましたね。

●今回はベースが目立つ部分が多い気がしました。

亮輔:前作よりは、バランス的にもう少し前に出すようにはしたんですよ。アンサンブルを意識しつつ、あえてやってみた感じですね。

有希:ベースがそれだけ前に出るんだったら、逆にドラムはシンプルにして安定したグルーヴを出すことを意識しようと思っていました。その分、ボーカルやベースには遊んでもらう感じにできたら良いなと。それは作品全体で表現できたと思います。

●遊び心が入れられるのは、中心に貴秋くんのボーカルがどっしりとあることも大きいんじゃないですか?

聡一:存在感のすごく強いセンターボーカルがいることで、曲の振り幅をかなり広げても最終的には自分たちの音になると思うんですよ。だからたとえばM-3「Save Our Souls」みたいな「サビがドカンとくるような曲ならどうなるんだろう?」とか、「ハートビートを打ち鳴らせ」みたいな「スラップが入った曲をやったらどうなるんだろう?」っていうことができる面白さはありますね。その上に貴秋の歌が乗ることで、どんなBRADIOの曲になるのかなっていう。そういうところで幅をまだまだ広げられる気がしているので、今後も「どういう曲ができていくんだろう?」という楽しみはすごくあります。

●自分たちでも今後が楽しみになっている。

貴秋:これからが楽しみという感覚はありますね。今回も色々と挑戦したけど、まだまだ振り幅があるなと思っていて。もっと色んな音楽を提示できるんじゃないかと感じています。もう新しい曲も作り始めているんですけど、また違ったテイストの面白い曲もでき始めていて。前作はそこまでの集大成だったところから、今作はまた新たな一歩になっていると思いますね。

亮輔:前回は本当に“背水の陣”みたいな意識で、全てのパワーを込めて作ったんです。今回も手を抜いたわけではないんですけど、振り幅の可能性を残しつつできた作品だから。まだまだできることはあるし、もっと楽しいことが増えたなと思っていて。

●前作とはまた違う意識で取組めた。

有希:前作は作りこんだ曲を集めたものだったんですけど、今回は先にレコーディングの日程が決まっていたのでそこに向けて作っていったんですよ。だから良い意味で余白を残して作れたというか、現場でアレンジが変わったりもして。そういうところで今までやっていなかった挑戦ができたのも良かったのかなと。こういうパターンでも作れるというのがわかったから、次はもっと色んなことができるんじゃないかと思っているんですよ。

●もう次作のイメージも湧いてきている?

聡一:次はどんな作品にしようというのはこれからまた考えていくんですけど、今回の作品を作ってみて1つ思ったことがあって。前回はメンバー4人だけで話し合って作ったんですけど、それをリリースしたことをキッカケに色んな人と出会ったんですよね。音楽だけじゃなく、映像やデザインからインタビューまで含めて色んな人の意見やアイデアに触れて、すごく刺激を受けたんです。今作にはそういう刺激も反映されていたりするので、4人の枠の中だけに収まらない要素も入ってきているんですよ。そこでも自分たちの可能性が広がっているように見えるというか。

●人との出会いも、バンドの可能性を広げているわけですね。

聡一:この先、誰と出会って、どういうステージに立って、どんな対バンと出会って…というのが自分たちにどう返ってくるのか想像もできないんですよね。だから次の作品がどうなるのかも全然想像できなくて。今回のツアーが終わった後にどうなっているのかも含めて、次の作品が自分たちでも楽しみなんですよ。

Interview:IMAI

 
 
 
 

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