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GHEEE

4人が見せつける“本物の本気”。爆発力を増し続ける奇跡の化学反応を体感した

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2014/6/1@Shibuya Milkyway
GHEEE「QUAD」Release Tour 2014 ONE-MAN LIVE

客席後方までぎっしりと観客で埋め尽くされたShibuya Milkyway。2007年に新宿Motionで行われた初ワンマン以来、GHEEEのワンマンと言えばこんな状態が当たり前であるかのようにこの夜も満員御礼だった。メンバーそれぞれにキャリアが長いだけにオーディエンスの年齢層も比較的高めなのだが、この日はかなり若い観客の姿もちらほら見え、その支持層が広がっていることを感じられる。“その理由は何か?”ということは、ライブが始まってしまえば一目瞭然だろう。

3年ぶりとなる4thフルアルバム『QUAD』のリリース記念ツアーファイナル、そこで新作同様にオープニングチューン「Bright light」のイントロが掻き鳴らされた瞬間に、会場中が凄まじい高揚感に包まれていく。強烈なフックを持ったリフが気持ちを高め、リズム隊が生み出すグルーヴが身体を揺さぶり、息の合ったツインボーカルが次々と吐き出していくグッドメロディに胸を撃ち抜かれる。まさに“瞬殺”と言っても良い、即効性と中毒性を持ったライブが目の前で展開していくのだ。

抗う理由など1つもない。4人が生み出していく音にただ身を任せて、没頭していれば最高に心地よい“Heaven”へとあっという間に誘われてしまう。各メンバーが数々のバンドやプロジェクトで忙しい合間でも、月に1回はライブを重ねてきたという彼ら。GHEEEとしても8年を超える活動期間を経た今でも緊張感を失うことなく、これほどの強度と熱さを持ったライブを展開できるのはその独自の活動スタンスゆえかもしれない。それぞれにメインのバンドはありつつも決して片手間ではない、“本物の本気”を見せつける場所がここであり、だからこそオーディエンスは熱狂せずにはいられなくなる。

そして活動期間が長くなった今も、この4人は進化を続けている。バンドの呼吸はより深い次元でつながり、1つの健康的な肉体であるかのように全身で躍動しているのだ。緊張感とは真逆の表情を見せる、近藤智洋(Vo./G.)と深沼元昭(Vo./G.)の2人が織りなすMCでの絡みはその一端だろう。尖りまくった音とはうらはらに2人の会話は良い感じにユルく、フロアに笑いを引き起こす。今回のツアーではこの両名のみによる弾き語りライブが何本かあったこともあってか、関係が今まで以上に深まったことを感じさせるトークはまさに軽妙。ほどよい“弛緩”を得たことも、GHEEEの新たな魅力と言えるかもしれない。

「On the beach」では観客を巻き込んでのコール&レスポンスも引き起こすなど、狂騒とも呼べるような盛り上がりで駆け抜けた本編。ダブルアンコールも含めて全26曲のボリュームあるセットリストも、最初から最後まで完膚なきまでに楽しませてくれるライブだった。GHEEEというバンドが今放っている“凄み”を余すことなく体感した一夜。次の作品がいつになるのかはまだわからないが、そこでは必ずもう一つ先へと進化を遂げた姿を見せてくれることだろう。待ちきれないというのであれば、ライブハウスに行けば良い。彼らはいつも圧倒的な音で、その気持ちに応えてくれるはずだから。

TEXT:IMAI

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