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ハイグラビティー

挑戦し続ける彼らの未来には 新しいステージが広がって行く

head14ハイグラビティーから約10ヶ月振りとなる新作が登場! 初のフルアルバムとなる『ViBRATION』は、まさに聴く人の心を振るわせるようなライブナンバーが目白押しだ。今作をリリースするまでの間も着実に活動の舞台を広げ、経験値を積んできた彼ら。その目を見張るような行動力の源となっているのは、彼らの飽くなき挑戦精神だった。

僕らはお客さんのことを“ファミリー”と呼んでいるんですけど、お客さん同士がどんどん繋がっていけたらすごく嬉しいですね。

●前作『サマーデイ』から約10ヶ月振りの新作となりますが、その間はどんな活動をされていたんですか?

慎太郎:9月に4都市主催ツアーをやったり、結成4周年ということで江坂MUSEでワンマンをやったりしました。ステージが広くて、3曲目くらいでバテてしもうて(笑)。

mAsaya:だいぶ早い段階でゼーハーしてました(笑)。

●ハイグラビティーのライブは動き回るパフォーマンスが多いですからね。以前のライブでは“万歩計ライブ”(JUNGLE☆LIFE189号参照)等面白い企画をされていましたが、そのワンマンでもなにか企画を?

慎太郎:mAsayaが主役のDVDを発売しました。

●え?

HIROKO:普通のDVDは大抵MVとかライブ映像が入っているじゃないですか。あるいはバラエティ企画的な内容とMVがセット、みたいな。

mAsaya:でもこれはバラエティオンリーです。20枚くらい売れましたね。

●音楽じゃないところで20枚売れたんですか…(笑)。どういう内容なんですか?

DJタナベ:簡潔に言うと、僕ら3人が結構キワモノな料理を考えて彼がクジを引くんですよ。そこで当たった料理を本当に食べるっていう企画で。中にはまともなメニューもあったんですけど“カップラーメンをオレンジジュースで作る”っていう、いちばんアレなのを引いちゃって(笑)。

●うわぁ…。

慎太郎:ジュースも冷たいままだったから全然ふやけないし(笑)。

mAsaya:その日はライブがあったのでリハの合間にずっと置いていたんですけど、ほぐれたのがちょうど本番が終わった後くらいでしたから。ミソ煮込みラーメンのオレンジジュース割りは、さすがに食べられたものじゃなかったです…。

●完全に罰ゲームじゃないですか(笑)。他にも、ラジオやTVにも多く出演されていましたよね。

慎太郎:そうですね。今回は東海と関西でメディア出演させていただきました。

HIROKO:普段とは違うフィールドでしたけど、すごく楽しんでやれましたね。

●みなさんの行動力はライブハウスだけに留まらないというか、あえて様々なロケーションに飛び込んでいくような積極性を感じます。

慎太郎:特に楽器がないぶんフットワークは軽いし、むしろそっちの方がテンションが上がりますね。

HIROKO:しゃべりは得意ですし、トーク力を求められる現場には強いと思います。ライブでもだいたいしゃべってるんで(笑)。

mAsaya:ライブと言えば、最近MCでの僕のイジリ方がすごいんですよ。おかんの話をバンバンされるんです。

●家族の話ですか?

mAsaya:おかんのとある失敗談とかを話すんですよ。もちろんお客さんは誰も僕のおかんのことを知らないんですけど、結構ウケたんですよね…(笑)。

●いろんな意味でチャレンジャーですね(笑)。ライブについてなにか変化はありましたか?

慎太郎:『サマーデイ』をリリースしたあたりからループ系の曲が増えたので、バンドだけじゃなくクラブ寄りのユニットとも一緒にやるようになりました。そういう系のイベントに誘われる機会も増えましたね。

●活動の場がどんどん広がっているんですね。実際に「こういうステージでやってみたい」というビジョンはありますか?

慎太郎:いっそショッピングモールでやってみたいです。例えば子ども連れの親子さんとか、キャパがどうっていうよりいろんなところでいろんな層の人に聴いてほしい。僕らはお客さんのことを“ファミリー”と呼んでいるんですけど、“ライブハウスに行ったら友達が増えた”みたいな感じで、お客さん同士がどんどん繋がっていけたらすごく嬉しいですね。

●それは本当にハイグラビティーにピッタリなテーマのような気がします。今作についてですが、ライブでいろんなアクションが起きそうな曲たちだなと感じたんです。曲自体はいつから作っていたんですか?

慎太郎:最近のものもあれば、かなり古いものもありますね。例えばM-1「オツカレーション」は前のバンド時代の曲で、2005年くらいからです。もっとも歌詞も以前のものとほとんど変わっていますけどね。“オツカレーション”と言うことでスッキリするというか、日頃のうっぷんを晴らせるような曲にしたかった。

●他の曲でも、思わず口に出したくなるような言葉が多いですね。

慎太郎:『ViBRATION』自体がそういうコンセプトではありますね。どんな人でも口ずさんでしまうようなアルバムにしたいと思って。かつライブやCDを聴いてくれた人たちの心にちょっとでも残ればいいなという気持ちで、このタイトルにしたんです。

●ライブでもキーになるような曲が詰まっていて、すごくキャッチーだと思いました。全曲ほぼアッパーというか。

慎太郎:がっつりバラード系の曲は次のタイミングにでも出せたらいいかなと思っていたんで、今回はアゲアゲな感じで。他にも曲は作ったんですけど、結局この7曲がいちばんバランスがよかったんです。

●『ViBRATION』というコンセプトありきでこの7曲になったと。レコーディング自体はいつ頃から?

タナベ:「オツカレーション」、M-5「ありがとうの唄」、M-6「サマーデイ」、M-7「HIT TUNE ver2.0」は去年の時点で終わっていたんで、今年に入って録ったのはあとの2曲だけですね。2月にはもう全部終わっていました。

HIROKO:いつもそうなんですけど、曲作り自体は「こういう曲がほしいよね」っていうところから始まりました。例えばタオルを回せる曲がほしいとか、踊れる曲がほしいっていう意見が出たら、それに合わせて作るみたいな。

●最初にテーマありきで曲を作る?

慎太郎:そうですね、ライブをイメージして作っています。これまではオイオイ叫ぶような曲が多かったけど、それを今作では一切なくそうと思って。そういう曲って激しいバンドマンのお客さんやったら一緒に盛り上がってくれるんですけど、クラブシーンの人とやるときにはまったく通用しなかったんです。だから、一般の人にも受け入れられやすいような曲調を意識しました。

HIROKO:ライブハウス慣れしている人は手を上げて「オイ!」って言えるけど、慣れていない人は手を振るとか手拍子をするくらいが限界だと思うんです。気持ちが乗ったら自然とそういうことができそうなくらいの曲がほしかったんですよね。

●そうなると自然とライブでの反応を想像しながら作られると思うんですが、それぞれの曲はどういう絵をイメージしていたんですか?

慎太郎:「春夏秋冬」は、“タオルを回せる感じ”でした。過去の曲は高速な4つ打ち系が多かったんですけど、また違った疾走感がある曲を作りたいなと。そういう意味では初めてのことに挑戦した曲です。クラブシーンの曲とかも聴いていろいろ研究しましたね。

●今までと違うことで苦労した部分もあったのでは?

慎太郎:全体的にループ系の曲が多く今までの曲展開と異なる分、ラップの組み立てが難しかったですね。バンドだと“HIROKOがAメロを歌って、僕がBメロでラップをしてサビに入る”みたいな流れが多かったんですけど、今回は掛け合いだったり、HIROKOをサブボーカルに持ってきている曲もあったりするんですよ。初めての試みと言えば、M-3「DAIJYOUBU」では初めてライブでマイクスタンドを使いました。

HIROKO:両手で振り付けをするんですよ。“マイクスタンドを使う曲がほしい”っていうところからこの曲ができて。

慎太郎:「大丈夫」っていうのは誰でも使ったことがある言葉だし、そういう曲で誰でもできるような振り付けができたらいいなと思ったんです。

●なるほど。振り付けは全員で考えるんですか?

慎太郎:みんなで話し合いながら作ります。今回もスタジオでダサい振り付けを考えてたよな(笑)。

mAsaya:スタジオでやったときはそれこそ「大丈夫?」って感じだったけど(笑)。ライブでやってみたら「大丈夫」だったよね。

慎太郎:最近ではお客さんもちょいちょい振り付けをやってくれるようになりました。

●浸透してきているんですね。M-4「絶賛!片想い中」も比較的新しい曲だそうですが。

慎太郎:ただの片思いの曲なんて腐る程あるなと思ったので、この曲のPVはちょっと援助交際みたいなテイストになっています。途中までは普通に恋人同士がデートをしているような雰囲気なんですけど、最後にお金を渡して終わるっていう。

HIROKO:「なにかパンチがほしいな」って言ってたよね。

●ライブでの企画やPVの構成の話をしているときの慎太郎さんは、すごく生き生きしてますね(笑)。この曲はどういうテーマがあったんですか?

慎太郎:あまりにもバラードに振り切れた曲だと、ライブで聴いたときに少ししんどくなるじゃないですか。だから、ほどよくミディアムテンポなバラードが作れたらいいなと思って。

●確かに、少し落ち着くけどテンションは維持できるというか、落としすぎる感じではないんですよね。全体を通して極端に展開の差があるのではなく、バランスがいい作品のように感じました。

慎太郎:自分自身がリスナーとして聴いたときに、何回もループして聴ける長さって7〜8曲くらいなのかなと思っていて。多すぎると結局は何曲か飛ばしちゃうことも多いんですよ。“このセットリストなら、始めから終わりまで何回も聴いていられる”というような感じに持っていきたかった。

●リスナー目線で作られているからこそ、聴き心地のよい絶妙な作品になっているんですね。7月からはリリースツアーとして自主企画も決まっていて、名古屋と福岡ではワンマンに挑戦するとか。

慎太郎:そうなんですよ。実は初の県外ワンマンなんです。“ちゃんと人が入るのかな”っていう不安はありますけど、あえてそこに挑戦してみようと思って。

●あえて地元じゃないところでやると。新しいテイストの曲を作ったり体当たりなDVD企画をしたり、本当にチャレンジ精神が旺盛なんですね。

慎太郎:やっぱり、常に何か面白いことをやれたらいいなと思っているんですよ。ワンマンというのはそれができる場所でもあるし、指向を変えていろいろ遊んでいけたらなと思います。

●そういった面白い企画があると、初めての人でも楽しめそうです。

慎太郎:“ハイグラビティーの名前は知っていても、まだライブを見たことがない”っていう人もいるでしょうし。無料イベントもあるんで、そういう人はまず1回来てくれたら嬉しいですね。

タナベ:もちろんアルバムも聴いていて絶対に損はさせない出来になっているので。ぜひ曲を聴いてもらって、気に入ってくれたなら僕らのライブに来てもらって、一緒に楽しい時間を過ごせたらと思います。

Interview:森下恭子

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