音楽メディア・フリーマガジン

Drop’s

新しいステージへと進むDrop'sの決意を感じた夜

2014/8/29@LIVE SQUARE 2nd LINE

 “Drop's「HELLO」TOUR 2014 〜ONE MAN SHOW〜”

今年7月に発売された『HELLO』のリリースツアー。その大阪公演である今日は、豪雨の中でも多くのファン達が詰めかけていた。

赤いライトに照らされる中メンバーが登場し、アルバムの表題曲「ハロー」からスタート。Vo./G.中野が「ハローエブリバディ。こんばんは、Drop'sです」と告げて「マイ・ロックスター」へ。Key.石橋による軽快なキーボードとDr.奥山の刻むリズムが心地良く、どんどん楽しくなってくる。曲間ではG.荒谷のギターリフが炸裂、ロックンロールなサウンドを叩き込む! 大サビではBa.小田がタンバリンを叩くなど、今まであまり見られなかったようなフランクなシーンも。「トラッシュ・アウト」では、小田・中野・荒谷の3人が前に乗り出して、見せつけるように楽器を掻き鳴らす姿が印象的だった。

「ツアーに出てから札幌に帰っていないから、そろそろ自分のふとんで寝たいです(笑)」。少し微笑ましくなる中野のコメントを経て、「木曜日の雨のブルース」から「どしゃ降り」へ。奇しくも外は雨の中、この流れもなかなかオツである。どこかメランコリックなスローバラードの後は、「真夜中の時限爆弾」で一気にリズミカル&ブルージーな空間と化し、ハスキーで迫力のある中野の歌声を存分に堪能する。続く「ドラキュラ・サマー」「JET SPARK」へとなだれ込むと一気に疾走感が増して、「アイスクリーム・シアター」では、オーディエンスもメンバーもテンションの赴くまま自由に騒ぎ立てる!

MCを挟んだ後は、歌謡曲的なムード溢れる「ためいき」、落陽を彷彿させる「行方」へと繋げていく。そこで“夕やみのカーテンは 思ったよりも早くやってきて”という歌詞に、ふとこの楽しい時間も終盤を迎えたことに気付いてしまう。名残惜しさからか、ぐっと押し寄せる寂りょう感。だが、それを吹き飛ばすかのように鳴り響く音と、こぼれるメンバーの笑み。最後に残ったのは、素晴らしいライブを称えるオーディエンスの声と晴れやかな心だった。

かつてDrop'sのライブを見たときは、黙々と演奏するストイックな雰囲気が記憶に残ったのだが、今日は端々で笑顔を見せるアットホームな空気に包まれていた。それはとりもなおさず、インタビューで中野が語っていた「もっといろんな人に聴いて欲しい」という心境の表れなのだろう。彼女たちの決意を感じ、その音楽がいっそう広がっていく確信を得た夜だった。

音楽好きと話していると「あの人が好きなの? センスいいね」とか「ここを押えてるとは、わかってるなぁ」なんて話の例に挙がるアーティストがいる。私にとって、Drop'sはまさにそのバンドのひとつだ。Drop'sを好きという相手には一目置かずにはいられないし、そんなバンドを好きであることが誇らしくて嬉しくなる。より多くの人たちにとって、Drop'sがそんな存在になるように、ぜひ彼女たちの音楽に触れてみてほしい。

TEXT:森下恭子
PHOTO:河上 良

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