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空想委員会

汚くて美しい、純度100%の想い 空想委員会の革命は始まったばかりだ

空想委員会_サブA写1_20140820以降今年6月にアルバム『種の起源』をリリースし、全国12箇所のワンマンツアーを赤坂BLITZで見事締め括った空想委員会。心のモヤモヤした想いを吐き出すために音楽をスタートさせた彼らは、1つ1つの出逢いと経験を重ねていく中で、ロックバンドとしてより強固に、そして唯一無二の存在へと自らを成長させてきた。そんな彼らが、メジャーデビュー初となるシングルを完成させた。どんどん良くなっていくバンドの状況とは裏腹にどんどんひどくなっていくというVo./G.三浦の日常をありのまま吐き出した3曲は、聴いた者すべてに強烈な衝撃を与えること必至。どんなに歪であろうとも、音楽に込められた汚くて美しい彼らの想いは純度100%。現代に革命を起こそうと立ち上がった非モテ系ロックバンドの真髄がここにある。

 

INTERVIEW #1

「“もっと普段の自分もちゃんとしたい”っていう。でもそこが追いつかないんですよ。バンドばっかり人気になりやがって…」

●今年6月にメジャーデビューアルバム『種の起源』をリリースし、ワンマンツアーファイナルの赤坂BLITZを拝見したんですけど、大盛況でしたね。男としては別にして、バンドとしてはモテ期が来てますよね。

佐々木:ありがとうございます。昔よりお陰様でお客さんが増えたっていうことはそういうことだと思うし。

岡田:うん、そうですね。

佐々木:だから赤坂BLITZはすごく嬉しくて。赤坂BLITZでオープニングアクト、というわけじゃなかったですからね。

●ワンマンですからね。

岡田:空想委員会を知らない人はあまりいなかっただろうし。

●というか、関係者席以外はほぼいなかったでしょ。努力が少しずつ実ってきたという実感はありますか?

三浦:「僕たちの努力が…」っていうより、協力していただいた方が増えたっていうのがいちばん大きいと思うんです。僕らがどうこうと言うより、周りの方の力が大きいと感じるんです。

●お。優等生な発言。

三浦:ハハハ(笑)。でも本当にそう感じるんです。関わってくれた人が増えた分、もっとがんばらなきゃなっていうのも思いつつワンマンをやりました。

●以前と比べてバンドをやるモチベーションは変わったんですか?

佐々木:だんだん変わりますよね。最初は大きい会場でライブができればっていう感じだったんですけど、だんだんお客さんに対する意識も強くなってきたし、曲作りのときもよりライブを意識するようになってきて。そういう意味でどんどん変わってきた気がします。

岡田:それと、最初の頃は本当に自分たちのことだけを考えてやっていたんですけど、少しずつ関わってくれる人が増えてくると、責任感みたいなものも出てきました。そういったところでのモチベーションも出てきたかもしれない。もちろん自分たちのやりたい音楽をやるっていうところはあるんですけど、同時に“がんばんなきゃ!”っていう。

●空想委員会のオリジナルメンバーは三浦さんだけで、三浦さんは確か昔のメンバーにダメ出しされて他のメンバーが脱退し、1人ぼっちになった時期がありましたよね。

三浦:はい。メンバーでいうと今は第三期空想委員会です。

●要するに初期から空想委員会を知っている唯一のメンバーで。その当時から比べると、音楽に対するモチベーションは変わりましたか?

三浦:うーん、やっぱり今までのバンドをやっている感じとは違いますね。今はメンバーが居てこその自分だと思うし、だから感謝をした上で自分のやるべきことをやるというか。

●もう1人ぼっちじゃないと。

三浦:過去もメンバーはいましたけど(笑)、でも1人ぼっちだったのかもしれないですね。今はチームとしての空想委員会で、甘える部分は甘えてます。役割分担があって、僕はちゃんと僕の仕事をやって、メンバーはそれぞれ自分の仕事をやる、みたいな。

●それは赤坂BLITZのステージを観て思いました。キモい(三浦)、かっこいい(佐々木)、かわいい(岡田)、みたいな。

一同:アハハハ(笑)。

三浦:そういう感じで、今はメンバーありきの自分だっていう意識でバンドをやっていて。バンドとしては、岡田くんが言っていましたけど、関係者が増えたからこその責任感もモチベーションに加わりつつ。ただ、曲を作る上ではバンドを始めた頃と変わんないんですよ。モヤモヤしたところを吐き出す…それが曲を作る動機なんですけど、そこはずっと変わらず。

●その話を聞いて思い出したんですが、3年前の処女作というか童貞作『恋愛下手の作り方』(2011年12月)の時に初めてインタビューをさせてもらいましたけど、当時三浦さんは「モテないことに対する被害妄想的なモヤモヤした気持ちを曲にしている」とおっしゃっていて。

三浦:はい。

●で、その時に僕が「じゃあもしバンドが売れてモテるようになったら、曲を書けなくなるんじゃないですか?」と質問したんですよ。そしたら三浦さんは「いくらバンドがモテモテになろうとも、僕がイケメンになるわけじゃないです」と即答して。

一同:アハハハハハハ(爆笑)。

三浦:3年前と同じこと今も言ってる(笑)。

岡田:変わらないね(笑)。

●同じなのか。

三浦:だから空想委員会がモテ期に入ろうが、それは空想委員会の話であって、僕には一切関係がないんです。

●三浦さんがイケメンになるわけじゃないと。

三浦:「歌っている三浦さんが好き」と言ってくれる方も居ないわけじゃないんですけど、でも逆に言うと「じゃあ歌っていないときの俺は何なの?」と思うんです。

●「空想委員会・三浦 隆一」と「人間・三浦 隆一」は違うと。乖離してきている。

三浦:最近はそれがますます別になってきているんですよ。だからこそ、今回のシングルみたいに毒づいてみたりとか。そういうモードになってしまうんです。

●なるほど。こんなこと訊いて申し訳ないんですけど、三浦さんは生きていて何が幸せなんですか?

佐々木&岡田:ひどい質問(笑)。

三浦:そうですね…バンドがあるから生きてますけど、僕の普段の生活たるやひどいですよ。

●あ、ひどいんですか。

三浦:バンドがいい感じになっていくにも関わらず、どんどん自分の人間としてのダメさが目立ってくるというか。ステージの上では委員長とか言って偉そうに歌ってますけど、家に帰ったら汚い部屋で、ずーっとパソコン見ていたり。そういう生活をしていることでフラストレーションがどんどん溜まってきていて。

●バンドがいい状態になっているのに、フラストレーションが溜まってきているんですか。

三浦:“もっと普段の自分もちゃんとしたい”っていう。でもそこが追いつかないんですよ。バンドばっかり人気になりやがって…。

●あなたのバンドですよ。

三浦:完全に別なんですよ。

●ヤバいな。家ではずっとパソコン見てるとおっしゃいましたけど、パソコンで何を見てるんですか?

三浦:アイドルの画像とか、動画とかです。

●あ、ガチだ。

三浦:それで癒やされている感じです。“かわいいな。明日もがんばろう”みたいな。そこはずっと昔から変わらないですね。

●そうですか。

INTERVIEW #2

「汚い=大事な部分でもあると思うんです。言いたくないけど言うってことは、大切に仕舞っておきたいものを出すということじゃないですか」

●今回メジャー1stシングル『純愛、故に性悪説』がリリースとなりますが、アルバムの次のシングルというのは、バンドとして次に向かう新たな一歩を指し示すという側面がありますよね。今作はどういうシングルにしようと考えたんですか?

三浦:まずツアーファイナルで「空想委員会が日本中に広がるようなシングルを出します」と言っちゃったので、それはマズいなと。

●え? マズい?

三浦:ファイナルの時点では曲がまだ形にはなってなくて。だからツアーファイナルでは「それくらいの気合いで作るぜ!」という意味で言ったんですけど、ネットのニュースとかで「空想委員会、次は日本中に広がるシングルをリリース!!」と先に出ちゃって(笑)。

●ハハハ(笑)。

三浦:だから気合いがすごくて。もちろんシングルだから、1曲1曲により焦点が当たるじゃないですか。そういうプレッシャーをすごく感じつつ作ったという感じなんです。ただ、M-1「純愛、故に性悪説」はフラれた直後のいちばん相手を恨んでいる感情を書いているんですけど、そういう曲を作りたいという構想はずっと前からあったんですよ。

●はい。

三浦:構想はずっとあったんですけど、自分自身がそういうモードにならなかったから曲にしていなかったんです。でもさっき言ったように、いい感じになってきているバンドの状態と、自分のダメな生活とのギャップから生じるフラストレーションが最近溜まっていたので、このタイミングで歌にするのがちょうどいいなと。そういうモードになったんですね。

●メジャーデビューして華やかに見える状況の裏では、モヤモヤがたくさん溜まっていたと(笑)。

三浦:そうなんです。“今のモヤモヤを吐き出してやろう!”と思って歌詞を書いたんです。

●今回は3曲ともそうなんですけど、いよいよ狂気じみてきた感があって。「純愛、故に性悪説」はサウンド的にはすごく爽やかですよね。ギターはキラキラしていてリズムはクールで、音的にはすごく気持ちいいんです。でも歌詞を見ると…。さっき「フラれた直後のいちばん相手を恨んでいる感情を書いた」とおっしゃいましたけど、この曲のモチーフになった失恋はいつのことなんですか?

三浦:いつだったかな? とにかく僕、初めてできた彼女に6年付き合ってフラれたんですよ。そのときのシコリが未だに残っていて。消化しきれない何かがずっと残っていて、いつか歌いたいとずっと思っていたんです。

●かわいそうに。

佐々木:やっぱりそれは歌でしか消化できないよね。

●ミュージシャンですからね。

三浦:そうですね。僕には吐き出す手段が歌しかないんです。メジャーの1stシングルでこういうことを歌うべきではないかもしれないですけど、メンバーとスタッフに「こういうのをやりたいんです」ってお願いして。僕のわがままを通した感じですね。

●なるほど。

佐々木:そもそも三浦くんは「この歌詞でやりたい」と言ったことがなかったんですよ。僕ら、歌詞に対して何も注文をつけないし、出来上がった段階で見ていたんですけど、今回は曲が形になる前に歌詞をもらって。そういうのは初めてだったんです。曲作りも骨組みだけ作って、みんなで一緒にスタジオに入って詰めていくという、空想委員会の初期のような作り方をしたんです。自然とそうなったんですけど。

●ふむふむ。

三浦:『種の起源』というアルバムで歌っていたことではない部分…僕が持っている汚い感情や綺麗事ではないところを出したいっていう想いがすごくあったんです。だから今回は「こういう歌詞でお願いします」って先に見せて。だからこそ、サウンドと歌詞のギャップがより際立つような曲に仕上がったんだと思います。

●そうですね。「純愛、故に性悪説」は音がキラキラしているからこそ、狂気さがより出るというか。“この人マジでヤバい!”と思いましたもん。

岡田:マジでマジなこと歌ってますもんね(笑)。

●そうそう(笑)。衝撃的でした。

三浦:こういうのやりたかったんですよね。バンドの“三浦委員長”みたいな像がひとり歩きしていて、インテリジェンスがあるように思われているのかもしれないけど、「俺はそうじゃないよ」っていう。

●確かに“三浦委員長”はちょっと洗練された感じがある。

三浦:だから空想委員会の三浦と普段の三浦をちょっと近づけたかったんです。

●「純愛、故に性悪説」が完成したとき、6年付き合ってフラれた彼女への想いみたいはものは成仏できたんですか?

三浦:そうですね。歌う前と後では違う感じがあります。ただ、歌うたびに思い出すのでキツくはあるんです(笑)。でも心の中にずっと閉じ込めておくよりは、歌詞にした方がスッとする感じがありました。

●歌詞を先に見たことで、アレンジに影響はあったんですか?

岡田:そうですね。歌詞が強烈な分、逆にアレンジはシンプルにしようと思いました。こういう歌詞の場合、アレンジをガチャガチャするよりも、歌詞がスッと入ってくるようにしなきゃいけないなと思って。それに歌詞の最後で結構重要なことを歌っているので、シンプルかつ最後まで飽きさせないようにということも考えて。

佐々木:だからシンプルだったけどすごく苦労したんです。1番2番3番とあるので、同じことをやったら飽きるし、間奏も単にギターソロをやるだけだと普通だし。間奏とかはたぶん今まででいちばん時間がかかったんじゃないかな。

岡田:コーラスとかもね。

佐々木:“こう来るか!”みたいな展開のおもしろさを出せたらいいなと。そういうところで方向性を探すのも時間がかかった。

●精神性も含めて空想委員会というバンドを象徴する曲になりましたね。

岡田:うん。すごく“らしい”曲になったと思います。

佐々木:歌詞も「汚い部分を歌っている」と三浦くんは言っていましたけど、でも汚い=大事な部分でもあると思うんです。言いたくないけど言うってことは、大切に仕舞っておきたいものを出すということじゃないですか。

●そこはライブの価値観に近い気がするんです。ライブという場所では、かっこつけたり飾ったものよりも、さらけ出したものが人の心を打つことが多いじゃないですか。方向性は別にして、この曲には三浦さんのピュアな気持ちが込められているということですもんね。

佐々木:実際、この曲はライブではまず三浦くんが感情的になるんです。何度かライブでも披露しているんですけど。

●三浦さんどうなるんですか?

三浦:もうぐっしゃぐしゃです。最後の2行とかヤバいですもん。

●当時の彼女はこの曲を聴くんでしょうか?

三浦:どうだろうなぁ。

佐々木:じゃあこの曲をライブでやるときは毎回「6年間付き合ってフラれた彼女に贈ります」みたいなMCをやってから歌ってよ(笑)。

三浦:それ重いよ!

●曲名を見たときは「この人、自分で“純愛”とか言っちゃってる」と思いましたけど、でもそれほどピュアな想いが詰まった曲なんですね。

岡田:これだけ身を削って作ったんだから、色んな人に聴いて欲しいよね。全国の色んな人に聴いてほしい。

佐々木:男の人だったら共感できるもんね。

岡田:うんうん。

INTERVIEW #3

「これは矛盾しているんですけど、モテたかったからこんなこと言わない方がいいということはわかってるんです。3曲とも」

●M-2「モテ期予備軍」もすごくインパクトがある歌詞でびっくりしたんですよね。こんな思考では絶対にモテ期が来ないというか、単にモテ期が来るのを待っているだけの曲。

三浦:完全に他力本願ですよね。もともと「モテ期予備軍」がシングル候補だったんですけど、もっといい曲を作ろうと思って書いたのが「純愛、故に性悪説」なんです。僕、昔モテ期があったんですよ。

●え?

三浦:噂では「人生でモテ期が3回来る」って言われているじゃないですか。僕、小学1年生、小学2年生、小学3年生でモテ期が3回来ちゃったんですよ。でもそれを1回と考えれば、僕にはあと2回モテ期が残されているという。

●僕もそうだったからわかるんですけど、小学校のときにモテてた人が大人になってもモテるわけじゃないんですよね。

三浦:空想委員会の三浦がだんだんいい感じになっている反面、普段の三浦はどうしようもない感じなので、“明日モテ期が来るかもしれない!”と思わないとやっていられないんですよ。「モテ期予備軍」では“何度も起死回生”を歌っていますけど、毎晩1回死ぬんです。毎晩1回死んで生まれ変わるんです。朝になって生まれ変わっていたら、次の日にモテ期が来るかもしれない。そういう意識で僕は毎日生きているので、「モテ期予備軍」は僕の日々の生活の歌です。

●ひどいな。これもリアルなのか。

三浦:そうですね。今回は3曲ともすごくリアルで、全部自分のことばかり歌ってます。

●ちなみに「モテ期予備軍」には“今日も女子と会話ゼロ”という歌詞がありますけど、“女子”と言っている時点でダメだと思うんですよね。

三浦:あ、そうか。“女性”とか“女の子”ですよね。インストアイベントをやったとき、「女子」と言って笑われたことあるんです。「女子って(笑)」って。たぶん、高校のときの感じで止まっているんでしょうね。

一同:ハハハハ(笑)。

●それとM-3「インスタントときめき」も三浦さんのリアルということですが…これはアイドルに勝手に恋をして熱愛報道があったら失恋した気持ちになるという曲で。

三浦:いつもの空想委員会の感じです。

●これかなりヤバい思想ですね。

三浦:そうですか? 僕にとっては日常なので、何がヤバいかわかんないんですけど。

●マジか。

三浦:日常にときめきがないので、テレビやネットの中の女子に対して“かわいいな”とときめいて元気が出る。それだけでギリギリ生き延びてる毎日です。

●でも歌詞にあるように、アイドルなんてしょっちゅう熱愛報道があるじゃないですか。

三浦:そういう場合は引きずらずに「じゃあね」って次の方にいく。軽い感じですよ。

岡田:だから“インスタント”なんだよね。

三浦:そうそう。「純愛、故に性悪説」みたいにガッツリといく感じではないんです。大江アナも結婚したしね。あれショックだったな…。

●引きずってるじゃないか!

一同:アハハハ(笑)。

三浦:でもテレビやネットの中の人に対しては「幸せになってほしいな」と思ってます。僕は他の方を探すので。手軽な感じですよ。サウンドも軽い感じだし、ポンポンポンっていう。

●いや、サラッと言って軽い話にしようとしていますけど、「インスタントときめき」も相当だと思いますよ(笑)。さっきおっしゃったように、今回の3曲は三浦さんの汚い感情をさらけ出したわけですが、そういう部分を人に見られるのは恥ずかしくないんですか?

三浦:えっとですね、恥ずかしいという感じよりも、吐き出したいという気持ちの方が強いんです。とにかくモヤモヤしたものを吐き出したい。これは矛盾しているんですけど、モテたかったらこんなこと言わないう方がいいということはわかってるんです。3曲とも。

●絶対にそうですね。

三浦:それはわかってるんですけど、吐き出さないと溜まったものが消化できないんです。

●非モテのスパイラルですね。

三浦:そっちの方が強いので歌にするんです。今作をリリースすることによってみなさん聴くと思うんですけど、リリースすることによって、空想委員会じゃない方の三浦はまたモテから遠のくだろうなと。それは覚悟しているんです。

●でしょうね。

三浦:それでも吐き出さないと気が済まないんですよね。だから矛盾だらけなんですよ。

●ロックですね。吐き出さずにはいられない。

三浦:両立できないものがすごくあるんです。吐き出さずにはいられない気持ちと、人間として幸せになりたいという気持ちが両立できない。人間として幸せになることは諦めて、吐き出さずにはいられないという気持ちが強いんです。

●すごいなぁ。さっきもおっしゃっていましたけど、サウンド的には3曲ともすごくライブ感が洗練されているような印象を受けて。曲作りのときにライブを想定したという話がありましたが、バンドの経験を重ねる毎に、そういう想いが強くなっているんでしょうか?

佐々木:そうですね。前の音源を聴いていてもそう思います。“ここで手をあげる”とか“ここでジャンプしてほしい”とか“ここはじっくり聴いてほしい”とか、そういうことは自然に意識するようになりました。

●きっと経験を重ねる毎にどんどん自然になっていくんでしょうね。

佐々木:そうですね。ライブもいっぱいやっているので。インディーズデビューしてからの3年の間もいっぱいライブをやってきて、パフォーマンスについてもどんどんはっちゃけてきているというか。特に俺が(笑)。

●確かにステージ上手のギターの方(佐々木)はライブでどんどんはっちゃけてますね(笑)。でもそれがバンドらしいと思うんです。三浦さんだけが目立つようなライブはなんか違う気がする。

佐々木:そうなんですよ。三浦くんの汚いというか大切な部分をガッと出していくのがロックだと俺も思うんです。普段言えないことを言うっていうのはアーティストじゃないと無理だと思うので。

●うんうん。

佐々木:それをライブで表現するときに、地味にやってたら全然伝わらないだろうし。そういう面で、エモーショナルでロックにやりたいなって。そういう気持ちが楽曲のアレンジにも出ているんじゃないかと思うんです。

岡田:音源は音源でライブはライブで、音源から若干アレンジを変えてライブをやることもあるんです。でも、やっぱり曲や歌詞を聴いてほしいですけど、ライブは観るものですからね。曲以外でも表現しないと伝わらないと思うんですよね。そういう意識はどんどん強くなってます。僕はこういう性格なのであまり積極的に動いたりするタイプではないんですけど、今は自然にテンションが上がってお客さんと一緒に楽しんじゃう。上手のギターに煽られてる部分もあるんですが。

佐々木:そうだったのか(笑)。

●そういう意味でも、バンド内でのメンバーの立ち位置がはっきりしてきたんですね。

佐々木&岡田:そうですね。

INTERVIEW #4

「生まれて初めてライブに来る人も多いし、1人で来る人も多いので、やっぱり全員に楽しんでもらいたいんです」

●前の赤坂BLITZのワンマンではパンフレット配ってましたよね。

三浦:はい。僕の先祖の説明を書いたパンフレットですね。

●ああいうパンフレットもそうだし、常々「ライブハウスに来たことがない人にもライブを観て欲しい」と言っているように、空想委員会はライブに於けるサービス精神がすごく旺盛なバンドだと思うんです。それが根本的なマインドになっているというか。

佐々木:そうですね。感覚的には、ライブをやりたいからCDを作る、みたいな感じで。ライブは絶対に楽しんで帰ってもらいたいので、ライブ以外で楽しんでもらえる部分も毎回考えるし、前回のワンマンツアーも「どういう風にしようか?」とみんなで色々と考えてやってみたんです。

●“お客さんを楽しませたい”というのはバンドとして当たり前のことだと思うんですが、そこを真剣に取り組んでいるバンドって案外少ないような気がするんですよね。空想委員会は、そこを全力でやっているイメージが前からあるんです。

岡田:パンフレットとかもそうなんですけど、1人で来ている人にも楽しんでもらいたいんです。そこはすごく意識しているかな。生まれて初めてライブに来る人も多いし、1人で来る人も多いので、やっぱり全員に楽しんでもらいたいんですよね。僕もお客さんの立場だったとき、チケットの取り方すらわからなかったんですよ。だから空想委員会ではHPで説明したり。そういうところまで気をまわさないといけないと思ってやってますね。

●なるほど。ライブといえば、9月末からはツアー“首謀者:空想委員会『大歌の改新』第二期”が始まりますが、今回は対バン形式ながら31本という長いツアーですね。

3人:はい!

三浦:“大歌の改新”は去年もやったんですけど、要するに僕らがかっこいいと思っているバンドさんを“共謀者”と呼んで、日本の音楽シーンで革命を起こそうっていう。かっこいい大先輩方もいっぱいいらっしゃいますけど、そろそろ世代交代どうですか? っていう(笑)。

●下克上だと。

三浦:でも僕らだけでは無理なので、みんなで革命を起こそうと。“大歌の改新”は毎年やりたいんですよね。

●こういう動きっていいですよね。バンド単体だけじゃなくて、シーン全体が盛り上がるっていう。

岡田:僕ら、ずっと友達のバンドがいなかったんですよ。だから友達のバンドを作りたいっていう想いもあって。

●仲の良いバンドがいなかったんですか?

岡田:そうなんですよ。もともと特定のライブハウスを拠点にして活動していたわけではないので、特定のバンドと仲良くなって一緒にツアーまわったりとかががなかったんです。だから“大歌の改新”という括りで仲間を増やしていければいいなと思って始めたんです。

●ということは、“大歌の改新”がきっかけでバンドとの繋がりが持てたという。

佐々木:そうですね。去年も出てもらったGOOD ON THE REELとかindigo la endとか、KEYTALKもそうだし。“大歌の改新”がきっかけになって、フェスとかで会ったときに「よお!」みたいな。それが純粋に嬉しかった(笑)。

●ハハハ(笑)。

佐々木:誰も知り合いがいないフェスに出たときは寂しいですからね。“友達っていいな”って思った。

岡田:フェスに行って友達のバンドと「乾杯!」とかやりたいもんね。

●そういう友達を増やしていく場所を自分たちの手で作ろうを思って始めたのが“大歌の改新”だと。

佐々木:あと、やっぱり純粋にかっこいいと思うバンドをお客さんに教えたい。「え? このバンド知らないの?」って。逆に、出てもらうバンドのお客さんには俺たちのことを知ってもらいたい。

●今回の“大歌の改新”では、初めて対バンする人たちも居るんですか?

佐々木:初めましての人たちも多いですよ。

三浦:対バンしたことはあるのは半分くらいかな。対バンしたことがあると言っても1〜2回くらいだし。

岡田:一緒に飲んだことがある人たちなんて、ほんの少しだよね。

●そういう意味でも楽しみですね。実際に蓋を開けてみないとわからないという、緊張感と期待感が入り混じったものになりそう。

三浦:本当にそうなんですよ。

佐々木:今回のツアーは他のバンドと繋がりを増やしたいのはもちろんですけど、やっぱりライブはお客さんありきなので、お客さんに楽しんでもらうライブがしたいですね。31本もあるので、終わったあとの達成感も楽しみだし、終わったあと自分たちがどのように成長できているのかも楽しみです。メンタル的にもバンド的にも。気持ち的にはフェスなんですよね。もう全力で楽しむしかないっていう。“大歌の改新”は“第二期”と銘打っているように今回で2回目なんですけど、この2回目でよりたくさんの人にこのイベントの存在を知ってもらいたいです。

●岡田さんはどうですか?

岡田:“大歌の改新”には“下克上枠”もあるんです。全部の箇所でやるわけではないんですけど、一般公募で出たいバンドを受け付けて、実際に僕らが聴いて“かっこいい”と思ったバンドに出てもらう。

●アマチュアでもいいんですか?

岡田:全然いいです。

三浦:むしろアマチュアの人たちがいいです。

岡田:かっこいいのに多くの人に聴いてもらう機会がないバンドに出てほしいなと。そういうバンドさんもひっくるめて、輪を大きくしたいツアーです。

●音楽シーンに革命を起こそうと思っているけど、自分たちも下克上される危険性があると(笑)。

岡田:そういうことです。

佐々木:“こんなおもしろいことやってるんだよ”っていうことも知ってもらいたいです。

●楽しみですね。

三浦:楽しみですね。ワンマンは“こういうライブにしたい!”と決めてやるんですけど、この“大歌の改新”に関しては、その場の空気感をその場でどう感じ取ってやるか。そういうライブができたらいいなと思っていて。

●うんうん。

三浦:空気感によって変えることもできると思うから、その場で感じたままを返すっていう。そういうツアーになればいいなと思います。

interview:Takeshi.Yamanaka

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