音楽メディア・フリーマガジン

ギルガメッシュ

強靭な想いと覚悟を叩きつけられた、激烈にして圧倒的なツアーの幕開け

2014/10/4@渋谷clubasia girugamesh 2014-2015 tour “gravitation”
ギルガメッシュ / ALL OFF / JAWEYE

PH_giru_main

激烈なるヘヴィネスと圧倒的な吸引力を見せつけたニューミニアルバム『gravitation』を9/24にリリースしたばかりのギルガメッシュが、10/4に渋谷clubasiaでリリースツアーの初日を迎えた。凄まじい作品にまさしく引き寄せられるようにフロアを埋めたオーディエンスは、彼らの出番前から既にヒートアップしている。その熱をさらに高めるようなライヴを展開したのは、JAWEYEとALL OFFの2バンドだ。異なる個性を持ちながらも共に胸踊らせるサウンドを鳴らす2組のパフォーマンスで、爆発寸前までエネルギーを充填されたことが伺える会場の空気。今宵の主役の登場を告げるSEが鳴り始めると、期待と熱気に満ちたコールが自然発生していく。

メンバーに続いて最後に現れた左迅(Vo.)が拳を突き上げて、野太いデスボイスで「Are you ready?」と問いかける。そして新作のタイトル曲「gravitation」のイントロが鳴り響いた瞬間…、全てのストッパーが弾け飛ぶ。待っていましたと言わんばかりに、内部に溜め込んでいたエネルギーを躊躇なく解き放つオーディエンス。パンパンに詰まった会場の中央部にサークルモッシュが発生し、1曲目からいきなりカオティックな空間が出現した。一転してダークな世界観にじっくり引きこむかと思わせる冒頭から、激ヘヴィなサウンドへと変貌を遂げる「Go ahead」へと続く展開がさらなる混沌と熱狂へと導いていく。

「reflection」まで3曲立て続けに新作から披露したのに続いて、アルバム『MONSTER』に収録の「VOLTAGE」を演奏するとサビでは観客も大合唱。殺気すら漂う混沌とした空間でありながらも、コール&レスポンスや手拍子も自然と沸き起こるところに、ギルガメッシュというバンドの他にはない強さと魅力を感じる。どんなにヘヴィなサウンドだとしても、彼らの楽曲は絶対的に“ポップ”なのだ。それゆえにオーディエンスは共に拳を上げ、共に歌い、バンドとの一体感を作り出していく。結果、暴発しそうな強烈なエネルギーも誰かを傷つける“マイナス”の方向ではなく、全員で楽しもうとする“プラス”のパワーへと変換されていくのだろう。

“渦(うず)”というタイトル通りに「Vortex」で、フロアを沸点超えの熱量と興奮みなぎる渦へとリードした後に持ってくるのは、一際メロディアスな「Never ending story」。というところにも、その一端が顕著に現れているかもしれない。「evolution」では“Ready go, Let me go”のコーラスが客席から起こり、クライマックスへと近づくライヴのヴォルテージをさらに高めていく。ラストは「お前に捧げる醜い声」で、互いの力を全てぶつけ合ってスパークさせるかのごとき狂乱を生み出して幕を閉じたツアー初日。鳴り止まないアンコールの声に応えることなく、次へと向かった4人にはもちろん期する想いがあるのだろう。

来年3/14に新木場STUDIO COASTにて開催されるツアーファイナルのワンマンでは、もっと凄まじいものを見せつけてやる。…言葉にせずとも伝わるような強靭な想いと覚悟を叩きつけられた気がする、激烈にして圧倒的な一夜だった。

TEXT:IMAI
PHOTO:西槇太一

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj