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パライソ

快楽人生に溺れたキテレツ4人衆が叫ぶ、“みんな愛してるよ!”

palaiso_ap現在の布陣になって5年。キテレツなギターロックをかき鳴らすバンド・パライソが初のシングル『みんな愛してるよ』を1月にリリースした。G.若松の描く独特な楽曲の世界観は、快楽に溺れつつも奔走する人生のリアリティが描かれる。そこに新たな色として、今作から初めてVo.ベルが作詞/作曲に参加。ガレージ、パンク〜ハードロックを吸収したバンドサウンドにポップな要素が加わり、より個性的な音楽性へと変化を遂げた。そんな意欲作をもって、新たな音楽を奏でるパライソ。今回はベルとBa.かのうまさひこ、そしてDr.ジャンキーに、今までの活動と今作について語ってもらった。

 

●ベルさんが加入して、今のメンバーになったのは2010年ですよね。

ベル:はい。2010年の2月頃ですね。

かのう:もう? 早いねえ。ベルと5年もいるのか。

●ベルさんが入る前は、G.若松さんがギターボーカルをやっていたんですよね。すんなり今の形になれたんですか?

ジャンキー:最初は酷かったですねえ。

ベル:僕は多数決で入ることになったんですけど、若松さんは断固として反対していました。僕は若松さんのことが大好きなんですけど、言ってしまえば、僕はただのパライソのファンだったんです。

●今もそういう気持ちでやっているところがある?

ベル:そうですね。「やらせて頂いています」って感じです。

かのう:何か今ちょっとドヤ顔だったよね?

ジャンキー:何? “ただのファン”って。

●ははは(笑)。

かのう:ベルが入って、ライブパフォーマンスもステージも劇的に変わって、良くも悪くも違うバンドになっちゃいましたからね。でも最近、若松も「この布陣で最大限、力を出せるように」っていう前向きな考えになっていますね。

●今作はシングルですが、作品名に『みんな愛してるよ』と付けていますよね。これは?

かのう:これはプロデューサーが考えたタイトルです。

ジャンキー:「ちゃんと考えた」って言っとけよ!

一同:ハハハハハ(爆笑)。

かのう:こういう開けた印象のタイトルって、自分たちからは出てこないんですよね。

ベル:僕らは「M-2「リアルアル」っていうタイトルでいいんじゃない?」くらいの気持ちでしたから。

●でも、「リアルアル」は“愛してるよ”とは違うニュアンスですけど、“愛”が要素として入っていますよね。

ジャンキー:若松さんはその頃、「愛を知りたい」ってしきりに言っていたよね。

ベル:きっと誰かを愛したいんじゃないでしょうかね?

●ベルさんは、メンバーが書いた歌詞を歌う時に、何か気をつけていますか?

ベル:だいたい思い付いたまま歌うと、「何でそういう風に歌うの?」って言われちゃうんです。だから、分からない歌詞は「どういう意味ですか?」って若松さんに聞いて理解を深めていって、どんどん自分の中で構築していくというか。「どんな気持ちで歌えばいいのか」っていうのは常に聞いていますね。

●歌い方に対して、けっこう言われる?

ベル:「何でそういう歌い方になるんだ!」ってしょっちゅう言われていましたね。「もっと(歌詞を)汲め!」って。自分で「何がダメなのかな…」って闇雲にやっていく中で、だんだん良くなってきたのか、最近はあまり言われることがなくなりました。要は自分次第。堂々としていれば何も言われなくなるんでしょうね。

●ベルさんは「何を!」って言い返さないんですか?

ベル:若松さんがボーカルをやっている頃のパライソを知っているので、「この人から言われたらそうなんだろうな」って納得しちゃうというか。「なにクソ!」とはならないんです。「まだ足りないのか…」っていうくらいですね。

●先輩後輩みたいな関係なんですね。

ベル:ははは(笑)。「師匠と弟子」みたいなものです。

●今作の中でM-3「歩く月」はベルさんが作詞、作曲を手がけられていますよね。この試みは初めてなんですか?

ベル:バンドとしては初めてですね。この曲は、若松さんとの共同作業で作ったんです。僕がまず弾き語りの曲を作って、若松さんとのやりとりの中でどんどんできあがっていきました。

かのう:曲が完成してからレコーディングまで時間が全然なくて、突貫工事みたいにレコーディングをしたんです。だから、ただ録っただけという感じで当初は何も思わなかったんですよ。でも改めて聴いてみたり、自分たちで演奏してみたりして「すごく良い曲だな」って思ったんですね。今までのパライソにはない、新しいイメージができるんじゃないかって。

●「歩く月」を今作に入れることで、新しいことを柔軟にできる器ができたと。

かのう:最初のうちは否定的なところもあったんですけど、「歩く月」をいろんな人に聴かせると良い評価が多いんですよね。自分らのやりたいことと他人の評価がまるっきり違うことが多くて。でも、やっぱり人にウケたいっていうのがあるんですよ。「それだったらウケる方にいこうや」って思ったんですよね。

●活動の考え方が変わっていったんですね。

かのう:変わっていっていますね。若松なんて180度くらい変わっちゃってる。

ジャンキー:昔はお客さんに「この曲良いですね」って言われたら「もう(この曲は)やらん!」って言ってましたから(笑)。

●すごい捻くれ方ですね(笑)。それが丸くなったと。

かのう:やっぱり今のプロデューサーとの出会いは大きいですね。前を向くようにしてくれたというか。彼と出会っていなかったらCDリリースもなかっただろうし…グレていたでしょうね。

ジャンキー:(出会わなかったら)きっとバンドを辞めていましたよ。

●それくらい大切な出会いだったんですね。今後の展望は何か考えていますか?

かのう:今までは基本的にロック色が強いものばかりやっていたんですよ。でも元々メンバー全員ポップな音楽が好きなので、今よりもっと聴きやすい、ポップな路線に行く可能性が高いですね。

●ベルさんは今後も作曲を続けていく?

ベル:続けていこうと思っています。どんどん曲を作っていって、みんなで「これは良いな!」って思えるものができたら、その曲をバンドでやっていきたいですね。

Interview:馬渡司

 

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