音楽メディア・フリーマガジン

WHITE ASH

ダークなグルーヴが地を這う。新木場コーストワンマンで見せた新境地

『One Man Tour 2015 "DARK EXHIBITION"』

2015/4/17 @新木場STUDIO COAST

WHITE ASH3/4に新作『THE DARK BLACK GROOVE』を世に放ったWHITE ASH。ヒップホップ、R&Bの要素を大胆に取り入れたグルーヴィーなサウンドは、ロックバンドとしての底知れないポテンシャルを感じさせる作品だ。そんな意欲作をリリースし、行われたワンマンツアー。新木場STUDIO COASTで行われた"DARK EXHIBITION"のファイナル公演の模様をレポートする。

突然BGMが止み、会場が暗転する。一瞬の沈黙に緊張が走る中、重厚なビートが会場に鳴り響いた。聴こえてきたのはVo./G.のび太の艶っぽい歌声から始まる「Orpheus」だ。薄く黒いベールがかかるステージにぼんやりと見える、モノトーンの衣装に身を包んだWHITE ASHのメンバー。アンサンブルの演奏をきっかけに幕が上がり、鮮烈な照明が美しくステージを照らし出した。成熟したグルーヴが、地を這うようにライブハウスに放たれる。続けざまに「Just Give Me The Rock 'N' Roll Music」を演奏。オーディエンスをダークな世界にグイグイ引き込んでいく。ヤバい、めちゃくちゃ格好良い。黒っぽいビートで大人っぽさが際立つ彼らの演奏は、今までのWHITE ASHとはひと味もふた味も違う。

中盤では「Ray」、「Number Ninety Nine」などおなじみの楽曲を演奏。BPMを上げ、会場を熱狂の渦に変えた。前半のグルーヴィーな楽曲の影響もあって、今までの曲まで聴き応えがだいぶ違う。耳の感度が敏感になり、音により奥行きを感じるような感覚だ。それは速いBPM一辺倒のステージでは感じられない、上質な体験だった。後半ではゲストの登場などもあり、特別感満載のイベントとなった今回のステージ。およそ2時間という間に詰め込まれた濃厚な演奏は、会場に足を運んだ人だけが観ることのできたスペシャルな内容だった。

新たなサウンドを持って、日本のみならず世界へ向けて発信するWHITE ASH。ブレることなく独自の美学を突き詰めた彼らは、シンプルで美しい“ダーク・ブラック・グルーヴ”という新境地を僕らに見せてくれた。

TEXT:馬渡司
PHOTO:柴田恵理

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