音楽メディア・フリーマガジン

SuG

新境地に立ったSuGは リスナーの予想を裏切り 期待を超えていく

SuG_12th_Photo「HEAVY POSITIVE ROCK」をコンセプトに、メンバー全員が作曲を行い色彩豊かな作品を生み出していく5人組ロックバンド、SuG。2015年2月にVo.武瑠が治療のため一時的に活動休止状態になるも、3月にはフルアルバム『BLACK』で過去最高傑作を世に送り出し見事に復活を遂げた。そんな内容の濃い期間を過ごしてリリースされる初の両A面シングル『teenAge dream / Luv it!!』は、SuGにとって新たな試みが成されたチャレンジ精神溢れる1枚。きっとリスナーの予想を裏切り、期待を超えた作品となるに違いない!

 

 

「“この仕事が好きなんですね”って言われるのは“息をするのが好きなんですね”って聞かれるのと同じ」

●バンドのコンセプトである「HEAVY POSITIVE ROCK」とは、どういう意味でしょうか?

武瑠:日本語でいうと“無理矢理前向き”みたいな意味ですね。現実を見据えた上で、前向きになるような音楽をやりたかったんです。それはただの前向きとは違うと思ったので「HEAVY POSITIVE ROCK」と言うようになりました。結成時からずっとブレずに掲げているテーマです。

●その意識が根本にあるんですね。武瑠さんはSuGとしてのバンド活動だけでなく、ファッションブランドのプロデュースや映像監督、モデルや小説執筆など多岐に渡るクリエーター業を行っていますが、なぜそれほどまでに幅広い活動を?

武瑠:なんでもやってみようという気持ちからですね。例えば映画なら普段の生活では味わえないことが疑似体験できたりするし、経験したことが曲作りにも繋がっていくので、違う仕事と思わず能動的に捉えてます。

●視点を広げるためにも積極的にやっていきたいと思っているんですね。武瑠さんの歌詞は言葉遊びが印象的ですが、言葉を使って表現するのが好きなんでしょうか。

武瑠:そうですね。自分の中では音楽よりも身近な存在だったと思います。小学校低学年ぐらいの時から“将来は文章を書く仕事をやるだろうな”という感覚はありましたね。

●では、なぜあえて音楽の道に?

武瑠:学生の頃は音楽が苦手だったので、逆にそこで勝負することに魅力を感じたというか。一番得意な事と一番苦手な事の融合がバンドだったんですよね。

●今作『teenAge dream / Luv it!!』は初の両A面シングルですが、この形式にしたのにはどんな意図があったんですか?

武瑠:先に「Luv it!!」ができあがっていて、それが復活シングルの候補だったんですよ。ただ今メインとしてやるには若干子どもっぽいかと思ったので、もう1曲今の等身大のSuGで表せる曲を入れたかったんです。だから「teenAge dream」はリリースを決めてから書いた曲ですね。デモを書いたのが3月頃でした。

●2月には一時的に活動休止していましたが、その直後なんですね。そもそも活休の理由とは?

武瑠:扁桃腺手術のためです。長い間高熱が続いて歌えないような状況になってしまって。もう続かなんじゃないか思っていたので“どうやって辞めよう”ってことばかり考えていました。

●それだけ辛い想いをしたのに、今でも続けていられるモチベーションはどこから来るんでしょうか?

武瑠:すごくやりたいからというより、それしか選択肢がないんです。大袈裟な言い方をすれば「この仕事が好きなんですね」って言われるのは「息をするのが好きなんですね」って聞かれるのと同じ気がします。制作は義務であり、遊びであり、ライフワークでもあるんです。

●曲を作るというのは、ごく自然なことなんですね。

武瑠:最近は寝る前に思いついた言葉を弾き語りで録音しておくこともあります。そのストックから退院後のテンションで、何も考えずに一気に作ったのが「teenAge dream」だったんです。

●テーマありきじゃなく、自分の中にあるものをそのまま形にしたと。思い悩みヘコんでいた時期を経て生まれた「teenAge dream」ですが、すごく前向きな曲ですよね。それこそ自分に向けた応援歌のような要素があると思います。

武瑠:自分に言い聞かせる気持ちも含めて書いていて。単純にハッピーな曲というよりは、“ここまで追いつめられても、まだやるのはなんでだろう?”という感覚で書きました。

●自問自答というか。“teenAge”とありますから、過去の自分に宛てているのかと思ったんですが。

武瑠:これは過去の自分から今の自分に届いたメッセージなんです。俺の曲は自分に言い聞かせながら書くことが多いですね。

●それは「Luv it!!」も同じ?

武瑠:そうですね。活動休止の時に動けなかったもどかしい気持ちや、その時間を無駄にしちゃ駄目だということを書いています。“好きって感情は最強だ”というところがテーマにとしてあって。

●これはテレビ東京系アニメ『デュエル・マスターズ VSR』のタイアップにもなっていますが、もともとあった曲にタイアップが付いたんですよね? 作品に向けて作ったのかと思うくらいフィットしているというか。

武瑠:確かにすごくピッタリな気がします(笑)。元の形から何も直さず、そのままいきました。

●歌詞もそうですが、サウンドもそうですね。曲はどのように作るんですか?

武瑠:他のメンバーは完全に曲先で、俺が後から歌詞を書くんです。自分で書く時は歌詞とメロが同時に出てくることが多いですね。

●「Luv it!!」は「☆ギミギミ☆」以来となるshinpeiさんの作曲ですが、どちらもポップで明るい曲じゃないですか。作曲も人によって個性が全然違うんですか?

武瑠:よく「それぞれ違うね」とは言われるんですけど、俺は全然わかんないんですよ。shinpeiも暗い曲を作っていたりするんですけど、ただ世に出ていないだけで。今回も明るいのが出たからそういう印象になっていうのかもしれない。

●確かに先入観でものを見てしまうときはありますね。今作で少し驚いたことがあったんですが、SuGショップ限定BOXには特典にビーチボールが付いてくるんですよね。何故ビーチボールを?

武瑠:正直意味はないんですよ(笑)。何か夏っぽいものを付けようかということで、「teenAge dream」のイメージを反映したスピーカーデザインがプリントされているんです。実際にアンプスピーカーを作れたらベストなんですけどね(笑)。

●一種の遊び心ですね(笑)。こういうアイディアは誰が出すんですか?

武瑠:スタッフさんと俺が話し合うことが多いです。

●PVなどの監督をすることもあるんですよね。衣装も毎回考えてらっしゃるとか。

武瑠:そうですね。でもずっとそのやり方でやってきていたんですけど、今回の「teenAge dream」は、衣装選びも監督も別の人がやっているんです。自分が思ったままにやっても面白くないというか、自分自身もドキドキするものが作りたいと思って。今はそういうモードです。

●結果が見えてない方が良かったと。挑戦ですね。

武瑠:だから録りながらも感動したし、終わった後の達成感も大きかったです。

●さらに今回は「teenAge dream」で初めてHearTribeさんと作曲をされたとか。

武瑠:ずっと一緒にやっていたTom-H@ckさんというアレンジャーさんに紹介してもらったんですよ。一度曲を壊して作り直す、という作業を何回も繰り返して。結局サビは大元の形に戻ってきて、Aメロもほぼ一緒だったんですけど、Bメロはガラッと変わりましたね。曲の共作もSuGとしては初めてだったので新鮮でした。

●前作のアルバム『BLACK』は構想期間が長く、今までずっと出したかったものを出したということだったじゃないですか。それもあって今作は、これまでやらなかったような新しい試みが多いように感じます。

武瑠:そうですね。そこで細部まで出し尽くしたから、今は自分の予測範囲内で終わりたくないというか、初心に返ってドキドキしたいなと思っているのかもしれません。

●これまでの経験が確実に積み重なっている結果だと思います。現在ツアーを回っている最中ですが、7月には渋谷公会堂でファイナルがありますね。

武瑠:活動休止と復活を挟んだ長いスパンで続いてきたうえでのファイナルなので、普通のツアーとは意味付けがちょっと違うのかなと思います。いつもはアルバムコンセプトに沿った演出をしているんですが、今回は正面衝突でそのまま勝負したいという想いが強いです。

●いつもとは違う景色が見られるかもしれないですね。様々なフィールドで活躍されている武瑠さんですが、表現者として自分が目指すアーティスト像はありますか?

武瑠:細かく言えばキリがないですけど、その一瞬しか見られない姿を見せられるアーティストになりたいですね。だから一番大切にしている部分はライブで、その時々に詰め込んでいる“リアル”を感じてほしいです。

Interview:森下恭子

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj