音楽メディア・フリーマガジン

GOOD ON THE REEL

夏の夜に魅せた、神秘的でグッドな世界

2015/7/30@恵比寿LIQUIDROOM
“GOOD ON THE REEL presents HAVE A “GOOD” NIGHT Vol.31”

PH_GOTR6月に発売した7thミニアルバム『七曜になれなかった王様』を引っさげて、「GOOD ON THE REEL presents HAVE A “GOOD” NIGHT」が東名阪でそれぞれ2日間に渡って開催された。今回のライブは1日目にはゲストバンドを迎えたツーマン、2日目にはワンマンという構成。この日は最後の地となる東京の1日目で、伊東歌詞太郎とのツーマンライブとなる。

暗転と同時にステージに現れたのは、ダボっとした大きめの衣装に身を包んだ千野隆尋(Vo.)。まずはツアータイトルの「HAVE A “GOOD” NIGHT」に相応しい1曲「夜にだけ」を披露した。フロアの一体感を少しでも近い距離で感じたいと、自分も可能な限り前へと前進していく。続く「存在証明書」の後は、実はこの日が初対面だったというゲストの伊東歌詞太郎と「今日で友達になりました」とツーマンならではのほっこりトークを繰り広げる。

「限りなく透明な」でしっとりしたサウンドに身体を委ねながら、バンドが創り出す神秘的な世界観を堪能。「ぼっち部屋のティティ」では、少年のような透明感ある歌声からは想像できない千野の激しくヒステリックなパフォーマンスに、良い意味でギャップを感じた。総じてエモーショナルな演出にうっとりしながらもライブは進行し、本編最後の「迷子センター」では緑の照明が5人のメンバーを儚く映し出す。

ちょうど4年前の夏にリリースした2ndミニアルバム『シュレーディンガーの二人』に収録されている「2月のセプテンバー」をアンコールで披露するも、なお鳴り止まない声援に応えてダブルアンコールで「シャワー」を演奏。“明日もまた頑張ろう—”そう思えるような、悩みがスッと消えるような、包容力抜群のGOOD ON THE REELの音楽が体内に染み込んでゆく。会場を後にした私は、数時間前の自分よりなんだか力がみなぎっているのを感じたのは確か。それはきっと、“なんか、良い感じ”を意味するバンドの在り方そのものなのだろう。今日訪れた人みんなが、このバンドを自身の日常に寄り添うべき必要不可欠な存在と感じているに違いない。

TEXT:羽村 萌
PHOTO:Viola Kam (V’z Twinkle)

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