音楽メディア・フリーマガジン

“KANSAI LOVERS 2015”

ライブハウス出身のアーティスト達が、数千人のオーディエンスを熱狂させる!

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2015/9/23@大阪城音楽堂
<ACT>フレデリック / LEGO BIG MORL / Brian the Sun / bradshaw / tricot / ジラフポット / ココロオークション / 感覚ピエロ / 大石 昌良 / UNCHAIN
<O.A>NEVERSTAND

“KANSAI LOVERS 2015”は、心斎橋Music Club JANUS店長 岸本氏が主催する野外音楽イベント。ライブハウス目線で良いと思う関西のバンドたちを集い、その音楽を全国に響かせるべく、オープニングアクトのNEVERSTANDを皮切りにスタートした。トップバッターは大阪のココロオークション。爽快なロックチューン「ヘッドフォントリガー」、キラキラしたギターリフが未来への希望を思わせる「夢の在り処」と、得意のギターロックでリスナーの耳をしっかりとキャッチ。Vo./G.粟子が「“KANSAI LOVERS”はバンドを始めた頃からずっと出たいと思っていた」と語っていた事からも、この場所にかける想いを強く感じる。

bradshawは、ビートの効いたリズムと印象的なセンテンス、そして卓越したトークスキルでオーディエンスを揺らしていく。特に「suji」の歌詞の破壊力はバツグン! なんせ“1 3 5 1 8 9“という感じで、ひたすら1〜10の数字を言うだけなのだ。Vo.sirataがしれっと「ヤバいやろ、この曲。伝えたい事とか何もないねん」と言ったときは思わず吹き出してしまった。続く感覚ピエロは、そのクオリティの高い楽曲でもって会場のボルテージを上げていく。確かな演奏力があるからこそ、コミカルな要素がいっそう映えるのだが、青空の下で凄まじい“O・P・P・A・I”コールが成される様は中々に爽快(笑)。そして“リア充大爆発”コールは、さらにさらに痛快だ! 彼らなら、普段ライブハウスに足を運ぶ事がない人たちさえも巻き込むことができるだろう。

tricotは曲ごとのギャップが魅力的なバンドのひとつ。叙情的なギターのアルペジオから流れるように繰り出された「pool」、比較的ストレートなサウンドアプローチが逆に新鮮な「Noradrenaline」。そして音に酔いしれちょっとしたトランス状態になったところで、「庭」ではサンバのリズムで軽快に踊り出す。絶え間なく繰り出されるキラーチューンにKOされそうだ。ロックなメンツが多い中、大石昌良は唯一の弾き語り。それを意識してか「弾き語りの限界を超えて行きます!」と冗談っぽく笑いつつ、ポップナンバー「ピエロ」へ。途中「トランペット、俺!」と叫ぶと、ボイスパーカッションならぬボイストランペットを披露! 彼のステージを見ると、ギター1本と声だけで、これほど多彩な表現ができるのかと驚かずにはいられない。その後も随所で超一流のエンターテイナーっぷりを見せてくれた。

Brian the Sunの訴求力ある歌詞に、リスナーの耳は釘付けだ。鋭いサウンドが突き刺さる「彼女はゼロフィリア」「Sister」と繋げていけば、オーディエンスの腕も天高く突き挙がる。また、MCの発言からは自分たちの信じる音楽について、そのスタイルを貫き続ける覚悟が垣間見えた。日々成長を続けながらも、彼らの中には絶対にブレない芯があるのだろう。UNCHAINはリハの時点から椎名林檎の「丸の内サディスティック」をカバーし、ガッツリと目立っていた。ファンクアレンジで披露された楽曲は反則級のカッコ良さだ。その後もグルーヴィーな音楽でダンスホールさながらのフロアを作り上げて行く。洗練されたアーバンミュージックは、強い個性を持つ出演者の中でも異彩を放ち確固たる存在感を放っていた。

ジラフポットの音楽は、3ピースとは思えないほどの厚みがある。「HECTOR-G」ではエッジィかつアグレッシブなバンドアンサンブルで攻めながら、「明日のない花はない」では一変、柔らかな包容力のある音に乗せ歌を届けていく。激しさやエモさだけでなく優しさも兼ね備える懐の広さは、とりもなおさず彼らが持つポテンシャルの高さの証明ではないだろうか。そして辺りも暗くなり、スポットライトが幻想的に輝く中、LEGO BIG MORLのステージが始まった。ディレイが印象的に響くギターと、美しく透き通るような声が広がっていくと、不思議と心が澄んでいくようだ。「Rainbow」で大合唱を巻き起こした時、オーディエンスの手がライトに照らされて揺れる様は絶景の一言。

トリを飾ったのは、本日が現メンバー最後のライブとなるフレデリック。ワウのかかったギターがうねる「SPAM生活」、どこかおどろおどろしいサウンドが耳に残る「ふしだらフラミンゴ」と、一度聴いたら頭から離れなくなる中毒性の高い楽曲でオーディエンスを惹き付ける。そして、Dr.kaz.を囲んで気持ちをひとつにすると、代表曲「オドループ」へ。踊ってない夜を知らない人などここにはひとりもいないことを証明してみせた。「フレデリックは家族みたいにほっこりできるバンドをやりたいと思って始めた。このメンツでやるのは今日が最後やけど、俺たち4人だからこそできた曲を最後にやっていいですか?」。Vo./G.三原健司がそう告げて、ラストは「オワラセナイト」。それは新しく前に進む為、4人としてのフレデリックに終止符を打つ覚悟を感じさせる演奏だった。

TEXT:森下恭子

 

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