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lynch.

夢見ていたものを現実に変えてきた5人の前には 未だ見たことのない景色が広がっている

lynch.TOUR'15「DARK DARKER DARKNESS」
2015/11/22@TOKYO DOME CITY HALL

PH_lynch_mainこれまでにSHIBUYA-AX、Zepp DiverCity TOKYO、新木場STUDIO COAST、渋谷公会堂といった会場でライブを開催し、着実にスケールアップした姿を見せつけてきた、lynch.。彼らが今回のツアー「DARK DARKER DARKNESS」のファイナルに選んだのは、過去最大のキャパシティとなるTOKYO DOME CITY HALLだった。10月に発売したニューアルバム『D.A.R.K. -In the name of evil-』で突き詰められた“闇”を身にまとった楽曲たちが、このライブではいかに表現されるのか? 間違いなく特別なものになる、という期待と確信を抱きながら開演を待つ。

ゆっくりと幕が開いた先、ステージ後方には弦楽五重奏が…! その重厚かつ優美な演奏から始まった瞬間に、先ほどの確信が間違いではなかったことを実感する。まず先にメンバー4人が登場した後、最後に現れたVo.葉月を一際大きな歓声で迎えるオーディエンス。ヘヴィなイントロから1曲目の「D.A.R.K.」へ流れこむと、ステージ上に何本もの火柱が吹き上がった。それは観る者の興奮を体現するかのよう。身体の芯から燃え上がるような高揚感に呼応するかの如く、「ANTARES」から一気にスピードアップしていく。

「ようこそ闇夜へ」という葉月の言葉に先導され、凶悪なまでに魅惑的な“ダークネス”の中へと喜んで飛び込んでいく観客たち。「GREED」「BEAST」とアッパーな楽曲が次々と演奏されていくのに合わせて、時に激しくヘッドバンギングし、時に大きな声で共に歌う。まだ序盤にもかかわらず、会場全体を巻き込むような巨大な一体感が自然と生まれている。「すごい景色…すごい声、こんなの見たことない」と葉月自身も思わず口にしたように、未だかつてない特別な空間が目の前に広がっていた。そこからさらに「もっと深いところへ連れて行ってあげよう」と言うと、妖艶な雰囲気の「GHOST」からミドルテンポの楽曲が立て続けに披露される中盤へ。

深い闇の美しさに溺れそうになっているところへ、葉月が「TOKYO DOME CITY HALL、そろそろ暴れたいんじゃないですか!?」と叫んでから「INVINCIBLE」へ突入する。「VANISH」で会場のボルテージをさらにブチ上げた後は、何と「INVADER」を2連発! 炎が吹き上げるステージ上でのアグレッシブな演奏に合わせて、拳を振り上げ、激しく頭を振る人々で溢れた会場はまさしく狂乱状態だ。「COSMOS」では音玉が炸裂し、さらにテンションを上げたオーディエンスは「MIRRORS」で大合唱。観客との“SEX”でおなじみの「pulse_」では「いただきます!」から始まり、最後は「ごちそうさん! 本当に最高の景色でした、ありがとう!」と葉月が礼を述べた。

本編を「MOON」で締めた後はアンコールの声に応えて、白いシャツに着替えた葉月が再び弦楽五重奏を従えて「ETERNITY」をドラマティックに歌い上げる。ツアーでは一度もやらなかったという、この曲を生で聴けたことも特別な一夜ならではか。かつて自分が憧れて観ていたバンドのライブと同じような光景が今、目の前に広がっていると語る葉月の姿は本当に幸せそうだ。一気にここまで到達したわけではなく、少しずつステップアップしてきた先に辿り着いたこの日、この会場。「こんな景色を見て、やらなきゃ男じゃない。ツアーファイナルだからやるんじゃなくて、お前らが最高だからやるんだ!」と叫んでからのダブルアンコール「ADORE」が、史上最高のライブを完成させた。

来年1/13にはライブDVD 『HALL TOUR'15「THE DECADE OF GREED」-05.08 SHIBUYA KOKAIDO-』を発売し、さらには3月からの次なるツアー開催も発表したlynch.。夢見ていたものを現実に変えてきた彼らが、次に見せてくれる特別な景色を今から心待ちにしたい。

TEXT:IMAI
PHOTO:土屋良太

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