音楽メディア・フリーマガジン

音×AiR

その瞬間にしか感じられない音と空気をリアルに発信するハートフルロックバンド

メイン「聴いている人を笑顔にできる音楽」を武器に、情熱的なライブを展開している4人組ハートフルロックバンド、音×AiR(オンエア)。2011年9月に大阪豊中で結成後、数々のイベントで賞を獲得しながら急速に支持を拡大してきた。昨年3月には大阪MUSEでのワンマンライブをSOLD OUTさせた彼らが、年末の12/22に心斎橋BIGCATで過去最大規模のワンマンを開催する。その翌日にはニューアルバム『ベスト オブ ハタチ』の発売も決定した彼らの結成からこれまでを振り返るスペシャルインタビュー。「その瞬間にしか感じられない音、空気」を大事にしたリアルな音楽を発信し続ける、音×AiRというバンドをぜひこの機会により深く知って欲しい。

 

「高いハードルではあると思うんですけど、いずれは超えるべき壁やから。それを今やるのか後でやるのかっていうところで“今やる!”となったので、“もう超えるしかないな”っていう気持ちです」

●音×AiRは2011年9月に大阪の豊中で結成されたということですが、どういう経緯でこの4人が集まったんですか?

楓:元々は友だちからのスタートですね。大地と僕が小学校からの同級生で、中学校に入ってから竜之介も一緒になって。高校はバラバラやったんですけど、そこで竜之介とMASAYAが出会ったんです。バンドをやることになったのは、竜之介とMASAYAがキッカケでした。

竜之介:最初は高校の軽音部で別のバンドを組んでいたんですけど、僕とMASAYA以外のメンバーが抜けることになって。

MASAYA:その空いた枠に、竜之介が中学校の友だちやった楓と大地を誘ったんです。

●それが2011年9月?

竜之介:僕が2人に電話したのが、2011年9月だったんですよ。「バンドやろうぜ! 明日ライブやねん」っていう(笑)。

●いきなりですね(笑)。

竜之介:ライブ予定を決めちゃっていたんですよ。でもその前日になって、急に前のメンバー2人が抜けることになって…。

大地:そのライブのアンコールで「新生“音×AiR”を見せよう」みたいな感じになったんです。アンコールで1曲だけやったのが、この4人での初ライブでした。

●バンド名はその頃から、“音×AiR”だった?

楓:僕たちが入る前から、この名前でした。

MASAYA:とにかく“音”っていう漢字を入れたかったんですよ。

竜之介:実は高校の友だちが決めたんですけどね(笑)。

●えっ、そうなんですか!?

竜之介:候補をいくつか出して「どれが良いかな?」って考えていたら、その時一緒にいた友だちが「これ」と言ったんです。

楓:だから、意味は後付けで考えたんですよ。“音と空気感”みたいなところですね。ライブバンドとして、生の音や空気感、汗の飛沫…そんなものが伝わってくるような情熱的なバンドになりたいという意味があります。

●最初の段階で“こういうバンドをやろう”というイメージはあったんですか?

大地:そこは特になくて、“人気者になりたい”くらいの感じでしたね。

楓:既存のバンドみたいになりたいわけじゃなくて、大ざっぱに“人気者になりたい”っていう野望だけはありました。

●何か特定のジャンルの音楽がやりたかったわけでもない?

楓:バンドの中で音楽的に一番濃いルーツを持ってるのは、大地なんです。大地は当初、“アメリカンロック”と言っていましたね。

大地:今でもそう思っていますけどね(笑)。そこから、良い感じに落としどころを覚えてきたというか。みんなにも受け入れてもらえるような落としどころを見つける術を、最近は身につけてきました。今は“自分の好きなルーツを活かしながらも、人気者になるにはどうするか?”というところを考えています。

竜之介:とりあえず盛り上げたいっていう気持ちはありましたね。お客さんとコール&レスポンスができたりして、盛り上がれる曲を作ろうという感じでした。

●結成から約半年後の2012年3月に、関西のライブハウスが企画した十代限定イベント“十代白書”でグランプリを獲得したとのことですが。

大地:僕らのクセで、とにかく盛り上げちゃって。お客さんが自分の好きなバンドともう1組に投票できるっていう大会なんですけど、僕らは出番が最後だったというのもあって印象に残っちゃったのかな。

楓:あと、集客をメッチャ頑張りましたね。他のバンドが30人くらいしか呼んでいないところを、僕らは200人以上呼んだんです。

●それは優勝しますよ(笑)。2012年には“KANSAI LOVERS”に出演したり、“eo music try 2012”で準グランプリを取ったりもしているんですよね。

楓:“十代白書”で自信がついたので、色んな大会やイベントに首を突っ込んでいきました。自分たちがどれくらいのものなのか知りたかったし、名前を広めたいという気持ちもあって。

●2012年12月には初のシングル『僕らの音楽』も発表していますが、これはどういう経緯で?

楓:『僕らの音楽』については、“十代白書”の優勝特典ということで作らせてもらったんです。僕らが初めて自分たちの曲を形にしたCDでしたね。

●オリジナル曲も結成当初から作っていたんですか?

楓:僕らは逆に、コピーバンドとしての道をあまり通っていなくて。「プロになるということはオリジナル曲が必要やな」と思っていたから、いっぱい作っていましたね。

●当時からプロを意識していたんですね。

MASAYA:前のメンバーが辞めた原因も、そこだったんです。僕らが「プロになりたい」という話をしたら、他のメンバーは「そこまで本気じゃない」と言って辞めていって。

竜之介:だから「本気のヤツを誘わなアカン」ということで、この2人(楓と大地)を誘ったんです。

●そういう気持ちもあったから、やっぱり最初のCDを出せた時は嬉しかったのでは?

楓:嬉しかったです。お店で小田和正さんのCDのすぐ横に、音×AiRが置いてあったりして。そういうのを見て、“頑張ろう!”っていう活力になったりもしましたね。

●翌2013年には2ndシングル『愛を唄おう』を出して、初ワンマンもやったわけですが。

楓:地元の豊中LIP2ndで、2枚目のシングルのレコ発記念にワンマンライブをやりました。初めてのワンマンということで曲数も多いから、ライブの形についてメッチャ考えたりもしましたね。

大地:逆説的に「ワンマンだから曲を作らないと!」っていうところもありましたけどね(笑)。当時は高校3年生だったんですけど、ツアーもしたいしCDも作りたいしワンマンライブもしたいと思っていて。「高3の間に全部できたら、すごいんじゃないか? じゃあ、やっちゃおう!」という感じでした。

●それをまた実行に移すというのがすごい。翌2014年には“The 7th Music Revolution JAPAN FINAL”で優秀賞を獲得したんですよね。さらに無料配布でシングル『Love Me Do』を出した後に、ライブハウス限定でミニアルバム『ええCDできましたさかいに!』もリリースとますます活動が活発化していって。

大地:まずは聴いてもらわないとしょうがないというところで、無料配布音源を作って。その上でもっと色んな曲を知ってもらいたいということで、『ええCDできましたさかいに!』を出したんです。

楓:前からライブでやっていた曲を入れさせてもらったので、「これが音×AiRです」っていう名刺代わりの1枚でしたね。

●「Love Me Do」を無料配布音源に選んだのは?

大地:この曲が一番取っ付きやすいかなと思って。そのタイミングでPVも録って、YouTube上で公開もしたんですよ。

●この曲には振り付けもあるそうですが。

MASAYA:どうやったらお客さんに楽しんでもらえるのかを考えた時に、振り付けに合わせて踊れる曲があっても良いんじゃないかなと思って。

楓:その当時は30分で6曲くらいやるライブの中で、全部の曲に違った意味を持たせたいという気持ちがあったんです。だから、他の5曲との差別化として「Love Me Do」は振り付けを考えました。

●その後で初の全国ツアーも行ったんですよね。

大地:全国というか、西日本が中心でしたね。

楓:九州や中国〜四国地方にも行きましたし、時間をかけて西日本をまわらせてもらいました。とりあえず「初めまして」という感じで各地をまわったんですけど、そこで感じた手応えもあって。色々と経験できたツアーではありました。

MASAYA:毎日ライブをしていたので、ライブ力が付きましたね。

竜之介:ほぼ全員が初めて観る人たちなので、そこでどういうふうに自分たちの魅力を伝えるかというところを深く考えて。1本1本のライブをより大事にしながらやれたかなと思います。

●全国ツアー後の2015年3月には大阪MUSEでのワンマンもSOLD OUTと、どんどんバンドの状況が良くなっているのを実感できていたのでは?

楓:地元でやった初ワンマンと、MUSEでのワンマンでは客層がだいぶ変わったような感覚があって。僕たちの音楽を積極的に求めて来てくれている人の割合が増えているように感じられたので、良い方向に向かっているなと思いましたね。

大地:MUSEのワンマンではSEが鳴ってステージに出ていった時に、“無敵感”を初めて感じたんですよ。まだ自分たちが何もしていないのにお客さんが「イェーイ!」って盛り上がってくれているのを見て、「俺ら、今日は無敵や…。何をしても大丈夫かも」って思えたんです。周りからも「前のワンマンとはちょっと雰囲気が違ったね」と言われて、確かにそうだなと実感できました。

●大阪で着実に支持を集めつつ、今年の5月からは東京・JOL原宿でマンスリー無料イベントをスタートしたわけですが、これはどういう狙いが?

大地:東京でライブをしてもいきなり人が集まるような状況じゃないし、まずはフリーイベントで自分たちを知ってもらうところから始めようということでしたね。

楓:そのイベントにはお笑い芸人さんにゲストで出てもらって、僕らのアコースティックステージ2本の間にお笑いネタを挟むような流れでやっているんです。間口は広くできていると思うので、まずは気軽に見て欲しいなと。フリーイベントをキッカケに、東京でライブハウスに来てくれる人も少しずつ増えてきていますね。

●そんな中でニューアルバム『ベスト オブ ハタチ』を完成させたわけですが、今回は何かテーマがあったんでしょうか?

大地:歌詞としては、“20歳”というテーマが軸にあって。20歳になって大阪から東京に羽ばたいていこうというタイミングだったりという今の状況が、一本の筋にはなっていますね。

楓:僕が持ってきた歌詞にも、この時期だからか“20歳”という言葉や将来への不安がキーワードとして自ずと出ていたんですよ。だから、それを軸にしようということになりました。

●19歳から20歳になるタイミングは、自分たちにとって大きかった?

楓:すごく構えていた部分はあったんですけど、最初はそんなに違いを感じなくて。でも曲を作るにあたって自分の想いを文字に起こそうとすると、ぽろぽろと色んな想いが溢れてきたんです。よくよく考えてみたら、「ああいうこともこういうこともあったな」っていう。

竜之介:やっぱり1つの区切りとして、色んなことを振り返ったりはしましたね。初めてM-2「あの頃のままで」のデモを聴いた時も、「あんなこともあったな」と思い浮かんだりして。「バンドをやってもう何年にもなるな…」と思いつつ、改めて頑張ろうと思えた20歳でした。

●自分たちにとっても“節目”となる、大切な作品ができたのでは?

楓:今回「あの頃のままで」がリード曲になっているのも、自然と20歳ということを意識していたからだと思いますね。12/22に心斎橋BIGCATでワンマンライブをやるんですけど、そのサブタイトルも「あの頃のままで」の1行目にある“十代最後の夜 何を想いますか?”っていう言葉なんです。この曲を書いた時にまず最初に浮かんだのがその1行やったし、そこに全部がこもっているなって思います。

●BIGCATでのワンマンライブが楽しみですね。

楓:大阪MUSEのワンマンでは300人を目標にして何とかSOLD OUTできたので、次はその倍に挑もうと思って。高めの目標を設定して、それに向かって動いていくっていう感じですね。

大地:これまでに出た“十代白書”や“eo music try”、“Music Revolution”もそうなんですけど、とにかく大きなイベントが行われる会場はBIGCATやったんですよ。だから、自分たちが“大きなライブをするならここやろう”っていう流れはありましたね。

MASAYA:そういった大会では、2曲くらいしか演奏できなくて。ここで自分たちのワンマンができるというのは、本当にすごいことだなと思っています。

竜之介:高いハードルではあると思うんですけど、いずれは超えるべき壁やから。それを今やるのか後でやるのかっていうところで「今やる!」となったので、「もう超えるしかないな」っていう気持ちです。

●さらに来年3月には原宿アストロホールで、東京での初ワンマンも予定されています。

楓:月1でやらせてもらっている原宿でのフリーイベントや東京のライブハウスでのライブの集大成をどこかで出せたらなという話を前々からしていたのが、形になったという感じです。

大地:大阪とはまた違うことができるんじゃないかという、前向きな気持ちでいますね。

MASAYA:フリーイベントで僕らを知ったという子たちにも喜んでもらえるようなライブができたら良いなと思っています。

竜之介:今まで自分は、大阪以外でワンマンをするという発想を抱いたことがなかったんです。知り合いや先輩のバンドが東名阪ワンマンをやっているのを見て「すごいな!」と思っていたのが、いよいよ今度は自分の番かっていう。「やるときが来た!」みたいな感じで嬉しく思うし、だからこそ絶対に成功させたいです!

Interview:IMAI
Assistant:森下恭子

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj