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SiM

大きな2つの通過点

PHOTO_SiM2015年7月、自身の主催イベント“DEAD POP FESTiVAL”をフェス規模へと拡大させて大成功させ、続く2015年10月、“最初で最後の武道館”と銘打った“ONE MAN SHOW at BUDOKAN”で会場を埋め尽くす1万人を熱狂させたSiM。1つ1つの活動を大切にし、すべての物事と真正面から向き合い、決して己を曲げることなく走り続けて通過した大きな2つの通過点について、SiMの4人にじっくりと想いを訊いた。

INTERVIEW #1:DEAD POP FESTiVAL 2015

「みんなの愛を裏切らないためにも、もっともっと大きくなろうと思えたんです。変わらず自分たちを成長させていくことがいちばんの恩返しになるんじゃないかと思って」

●7月に“DEAD POP FESTiVAL 2015”(以下DEAD POP)に2日間お邪魔させてもらいましたけど、すごくいいフェスでしたね。

4人:ありがとうございます!

MAH:でも俺はすごくしんどかったです。気を張っていたのもそうなんですけど、単純に準備がすごく大変だった。例えば看板ひとつにしても、全部俺がデザインしたんですよ。

●え!? 全部?

MAH:ロゴとステージに書いてあった怪獣の絵以外は、全部俺がやったんです。だからもう大変でした(笑)。

●すごいな。

MAH:今までずっとそうやってきたから、この規模になっても人にやってもらうのは納得がいかなくて。自分がやりたくてやったんですけど…もうカツカツでしたね。当日も全バンド観たかったので、自分のライブに集中するとか、準備する時間がまったくなくて。出番直前にやっと楽屋に入って、急いで着替えて…みたいな感じでした。

●SHOW-HATEくんはどうですか?

SHOW-HATE:やっぱりプレッシャーがすごかった。緊張やプレッシャーに押しつぶされそうでしたね。初めての野外だからどうなるかもわからなかったし、最悪の事態も考えるじゃないですか。“雨が降ったらどうしよう”とか“お客さんが少なかったらどうしよう”とかも超考えたし。だけど始まったら素直に楽しくて。みんなすごくいいライブをしてくれたし、しかも愛を持ってやってくれていて。

●そうですね。全員がそうでした。

SHOW-HATE:それを見ていて、逆に“俺らはこんなに愛をもらって何を返せるだろう?”とか考えちゃって。バンドがやっているフェスだからそういう日にはなるんだろうなとは思っていたんですよ。だけど実際にその場でみんながやっている姿を見ると、愛の塊がドカーン! みたいな感じで届いたというか。この愛に応えないとダメだなというのを、ライブ前からすごく思っていて。

●なるほど。

SHOW-HATE:その想いを自分たちのライブに込められたからすごくよかったし、いっぱいいっぱいではあったけど、そういうのを含めて考えてライブができた。今後の自分たちのためにも成長できる場だったし、みんなの愛を裏切らないためにも、もっともっと大きくなろうと思えたんです。変わらず自分たちを成長させていくことがいちばんの恩返しになるんじゃないかと思って。終わった後もそれをすごく考えましたね。

●SINくんは?

SIN:前の週に“京都大作戦”に行って“来週は俺らがこれをやるのか…”みたいな気持ちになりました。それくらいからめっちゃ緊張しまくってて。

MAH:“京都大作戦”に行った瞬間からヤバかったね。

●確かに“京都大作戦”でも、“来週のSiMに繋げるぞ”という空気がありましたよね。

SIN:“京都大作戦”から“DEAD POP”が終わった次の日くらいまで、ずっと胃が痛かったです。楽しみだったけど“嫌だなぁ”っていう気持ちがあって(笑)。ほんとすごかった。

●童貞を失ったときよりもすごかった?

SIN:…うん。そうですね。

●今ちょっと間が空きましたけど(笑)、GODRiくんはどうですか?

GODRi:みんなと“京都大作戦”に2日間行ったとき、“どれだけの気持ちと体力でいけばいいのか?”みたいなことを考えていました。10-FEETのTAKUMAさんにプレッシャーを与えられて(笑)、そこから1週間は“ほんまにやるんや”みたいな感じで。でも前日にリハが終わってホテルに戻ってテレビをつけたとき、たまたまKen Bandが音楽番組に出ていて、若者たちを勇気づけてくれるようなコメントを言っていたんで、ものすごくいい流れで明日に挑めるなと思ったんです。だから当日はそんなに怖いものがなかったですね。

●すごくいいなと思ったのは“STUDIO DxPxF”という、お客さんが好きに楽器を弾けて演奏ができるブースがあったこと。しかもあのブースに、主催者や出演者たちがいきなり行って演奏してましたよね。

MAH:猪狩(HEY-SMITH)もよく「バンドやろうぜ」って言っているけど、実際に始めるのってすごく勇気と労力が要るじゃないですか。ゼロから一歩目を踏み出すのがいちばん大変だから。だからブースで何をやろうか考えていたとき、スタジオを作りたいと思ったんです。そこに楽器があってやりたい人がやれるって、いちばんいいんじゃないかなって。

●そういう体験ができるのはいいですよね。

MAH:年に何十回もライブに来てくれる人も、自分がステージに立ったことはないだろうし、そういう人がこういう場所で音を鳴らして“いい!”って思ったら、きっとバンドというものが近くなるんじゃないかなと。

●うんうん。

MAH:あと、神奈川の若い人たちにもっと出てきてほしいというのもあって。ライブハウスの関係者の人たちと話すんですけど、「最近いいバンドいますか?」って訊くと「正直まだSiMに紹介できるようなのがいないかな」って言うんです。そういうのって自分らにも責任を感じていて。最近はローカルなイベントにも出れていないし、俺らは神奈川でやっているバンドだというのを残せているのかっていうのがあって。

●なるほど。

MAH:いつか“DEAD POP”に出ることが、神奈川のバンドの子の登竜門になったりしたらすごくいいなと思って。“京都大作戦”ってそういう感じがちょっとあるじゃないですか。あれとは違う形で何かやりたいなと思ったのが、オーディションだったりスタジオブースだったりするんです。それこそ10-FEETのメンバーが「これ(STUDIO DxPxF)パクりたいわ」って言ってくれていたのが、すごく嬉しかったですね。

●“DEAD POP”をこの規模でやったことによって、バンドとしても大きく前進したような印象があるんです。だからこそ来年が楽しみだし。

MAH:ずっとなんとなく突っ走ってきていたんですけど、あの規模でやったときにどれだけの人が協力してくれるのか、正直全然自信がなくて。でも蓋を開けてみたら、ほぼ誘ったバンドに断られず、このメンツで行きたいと思っていたそのまんまのメンツでやれたんです。

●マジか!

MAH:どうしても日本にいないとか、物理的な理由でダメだった人はいたんですけどね。その時点でもう泣きそうな感じで。“うわっ! みんな協力してくれるんだ!”みたいな。“京都大作戦”に行ったときも、全然関係ないのに関係者や出演者の前でしゃべらせてもらったり、打ち上げで残念ながら呼べなかった先輩方が「なんで呼んでくんないの?」とか言ってくれて。“届いてたんだ”みたいな。そういうひとつひとつがすげぇ自信になったというか“俺ら愛されてるんだな”っていうのを感じたんです。

●それは“DEAD POP”に行って思いました。SiMというバンドが今までやってきた積み重ねが形になっていて、しかもみんなに愛されてできているイベント。

MAH:逆にすべてが上手くいっちゃって、来年が大変だなっていう。ハードルが上がっちゃったので(笑)。

●ハハハ(笑)。来年もめっちゃ楽しみにしています。

 INTERVIEW #2:最初で最後の武道館と、SiMが見る未来

「“ここまでいける奴らがちゃんとライブハウスで生きている”っていうことを、活動の中で上手く証明していきたい」

●つい先日武道館でライブがありましたよね。8角形のステージにまずびっくりして。あんなのよくやりましたね。

MAH:課題をクリアしていくと、結果的にあの形になったんです。今まで友達のライブを観に武道館に行ったりして、とにかくステージまで遠いのがすごく気になっていたんですよ。

●ああ〜。

MAH:肉眼ではとても観えないし、ビジョンをずっと観ているのも“来た意味あんのかな?”みたいなところもあって。その距離をクリアするとなると、武道館が8角形なので、同じ8角形を真ん中に作れば距離が一定になる。あとモッシュエリアをどうしても作りたかったんですけど、通常のステージだとフロアにぶっちゃけ2000人しか入れられないんですよ。となると、すごくスカスカになって危ないので、真ん中にステージがあればひとつのエリアを小さくして、何とかライブハウス状態にできるんじゃないかとか。いろいろ考えた結果、あのステージが出てきたっていう。

●なるほど。そもそも、なぜこのタイミングで武道館をやろうと思ったんですか?

MAH:「このタイミングで」というのは正直あまり思っていなくて。2〜3年前にZeppが見えてきたくらいから、「Zeppの次はどこに行くのか?」っていうことを考えていたんです。事務所と話し合ったりして。

●バンドのこれからの方向性として。

MAH:そうです。俺らは“上に行きたい”って思っていたから、当然武道館も候補に挙がったんですけど、椅子席が大半を占めているっていうのがネックだったんです。逆に横浜アリーナの方が先にやりたかったんです。アリーナはスタンディングのフロアを作れるから。

●なるほど。

MAH:でもバンドとして成長をしなきゃいけないという時期だった。“DEAD POP”をやるのにZeppクラスでいいのか? っていう。俺らだけで3000人しか入れられないバンドが、“DEAD POP”で2万人入れているっていうのはリアルじゃないのかなと思って。

●そういうことか。

MAH:だから“武道館はやるべきなのかな?”という想いがありましたね。反面、“そのために武道館を使うのはどうなのかな?”っていうのもちょっとあったんですよね。“武道館ってもっと神聖な場所じゃないの?”っていう。でもいろいろ考えていて、椅子有りの武道館でもやれそうな気がしてきたんです。

●“最初で最後の武道館”と謳っていましたが、実際にやってみてどうでしたか?

SHOW-HATE:めっちゃ楽しかったです。やってみたらあっという間でしたね。やっているときも楽しいと思っていたんですけど、むしろ終わったときに「めっちゃ楽しかったー!」と思って。不思議な感覚だったんですよね。初めてのステージだし、“どうやって動けばいいんだろう?”とか“その場所でどれだけできるのか?”ということをすごく考えて頭を使っていたので、あっという間で。終わった後に話して「そういえばこうだったね」って1つ1つ現実にしていったというか。本当に楽しかった。

SIN:僕は「楽しかったか?」と訊かれたら、そんなことを考えている暇もないくいらいの感じでした。

●え? 緊張していたということ?

SIN:そうですね。“どう動かなきゃいけないか?”っていうことも考えていたし、イヤモニの調子があまりよくなかったりとか。僕は指輪のエフェクターを使っているんですけど、それが「WHO'S NEXT」で音が出なくなっちゃったりして。楽しくできたのはアコースティックくらいですね。

●マジですか。

SIN:特にライブの最初のところは不安がデカかった。

●ドラムソロのブロックで鳥になった(ケーブルに吊られて空を飛んだ)GODRiはどうですか?

GODRi:気持ちよかったっす。リハのときに一回見たらものすごく怖かったんですけど気持よくて、本番はもっと気持ちよかったので“これ以上飛んでいってやる!”くらいの気持ちでやりましたね。

MAH:でも吊られているだけだから、飛んだわけじゃないからね(笑)。俺とGODRiとSHOW-HATEは全然緊張してなくて、SINくんだけすげぇ緊張していたよね。

SIN:吐きそうでした。

●楽しんでやっているのは、観ていても伝わってきましたけどね。

GODRi:前日になっても全然緊張していなくて、“もしかしたら本番前に急にダメになるパターンかな?”と思っていたんですけど、そんなこともなく。

SHOW-HATE:ステージを見たら、“楽しむしかないじゃん!”みたいな。当日車に乗って会場に向かっているときがいちばん緊張していました。ステージを見たらそれが楽しみに変わって、“どんなことができんのかな?”ってワクワクして。

●それと、武道館で来年の横浜アリーナを発表しましたよね。

MAH:はい。ライブハウスで下積みをさんざんやってきたバンドが、バンド人生を懸けて本気モードになったらどこまでいけるのかを証明して、次世代の人たちに繋げられたらいいなと思っているんです。デカいところに立てるんだったら立たせてもらうし、テレビに出れるんだったら出るし。小さいところでやるのはもちろん大事にしつつ、“ここまでいける奴らがちゃんとライブハウスで生きている”っていうことを、活動の中で上手く証明していきたいんです。横浜アリーナでやるバンドが横浜F.A.Dでやるし、大阪城ホールでやるバンドが心斎橋DROPでやる…というところを体現したいんです。それが明確になりましたね。

●なかなかそんなバンドはいないですね。

MAH:ホールツアーをやったらそれに集中したくなるだろうし。俺らは今その道の途中でZeppツアーになっちゃってますけど、来年のアルバムツアーはもっと小さいライブハウスが中心になるんです。来年のスケジュールはまさにそれを物語っているものになると思います。

●横浜アリーナもあれば、ライブハウスもあるっていう。

MAH:「横浜アリーナをやったんだったらもうライブハウスではやらないんでしょ?」みたいな感じではないですね。ホールやアリーナはお祭りなので別物として見て頂ければ。武道館を観てくれた人たちは、きっとホールライブではいつもと違うSiMが観られるっていう特別感がわかってもらえたと思うし、もしこれがDVDにできたとしたら、もっとたくさんの人がホールライブに行ってみたいと思ってくれると思うんです。かといってライブハウスのライブがダメになるわけじゃないし。「二兎を追う者は〜」って言いますけど、武道館をやって“どっちもイケるんじゃねえかな”という感じがすごくしたんです。アリーナは武道館よりもっと自由が利くので、もっといろんなことをやりたいですね。

●武道館では炎を吹いてましたけど、それ以上のことをアリーナでやりたいと。

MAH:やりたい。火だけじゃ物足りない。

●それと10/7にリリースしたシングル『CROWS』ですけど、収録曲2曲はめっちゃエグいですよね。

MAH:特にM-2「PSYCHO」とかは名前の通りですよね(笑)。でも「CROWS」も「PSYCHO」も、どっちもキャッチーな部分があるから、あとはなんでもいいやという感じで作ったんです。

●同じく武道館で、来春にアルバムをリリースするということも発表しましたが…。

MAH:武道館直前くらいに1回録り終わったんですけど、いろいろ考えてもう少し作りたいなと思って、今作っているところなんです。

●お。今までと変わりました?

MAH:大きい会場も意識するようになったのでテンポが落ちていたりとかはあるけど、基本は変わってないよね?

SHOW-HATE:うん。“やっぱりSiMらしいな”という感じにはなると思います。

●難しさはどうですか? 今までは、作品ごとに「ライブが大変だ」みたいな発言がありましたが。

MAH:うーん、難しくはないかな? もっとシンプルになっていますね。特に電子音系は。ダブステップみたいな感じとかはほとんどなくて、自分で聴いていると“レゲエラウドロックパンク感”みたいなことが、よりわかりやすいと感じます。

●SiMのルーツみたいな要素が、鋭くなって削ぎ落とされたというか。

MAH:そうですね。ラウドだしシンプルだし。

SHOW-HATE:ポップス要素も強くなったかな。

MAH:うん。US ポップスみたいな感じ。でも、次のステップに行った感はちょっとあると思います。

SHOW-HATE:来年の活動と見合っている曲というか、合致するような感じだと思います。

MAH:うん。テンポを落としたからといって聴き惚れる感じじゃなくて、“なるほど、こういうことね”って思うでしょうね。

●活動と合致するというのは、ライブバンドとしてすごく重要なことだと思うんです。ライブだけがいいとか、音源だけが話題になるとか、何か1つだけではダメというか。活動の一環で作品というものを捉えているから、きっとそうなるんでしょうね。

SHOW-HATE:そうですね。そのときのバンドとしての方向とか、自分たちの趣向だったり。心境が曲になるっていう部分もあるし、“これからはこうやっていきたい”という想いもあるから、その時に作った曲が活動と繋がるんでしょうね。

MAH:あと、あまりフェス受けは考えなくなったかもしれないです。

●というと?

MAH:今のロックバンドの方向性って、基本的にフェス受けだと思うんですよ。4つ打ちや裏打ちで、みんな大体曲が一緒じゃないですか。

●はいと言えないけど、はい(笑)。

MAH:俺らもそういう時期はあったんですよ。「Blah Blah Blah」みたいに4つ打ちのお祭りリズムというか。今他のバンドの新曲を聴いていると、全部「Blah Blah Blah」のリズムなんですよ。「SiMリズム」と言われているらしいんですけど。

●そうなのか(笑)。

MAH:別に俺らが流行らせたとかじゃないですけど、それが流行っていくうちに、そこから離れたいと思うようになって。ラウドが流行った後もそう思ったんですけど。

●SiMはいつもそういう視点を持っていますよね。天邪鬼。

MAH:「俺らは次に行くわ」みたいな感じがあって、“別に初見のお客さんに伝わんなくてもいいや”って思うようにだんだんなってきました。もちろんライブでやるときは初見のお客さんにもわかりやすく演ると思うんですけど、曲自体にはそれは反映させないようになってきました。だからフェスで初めて聴いたら、ちょっと曲は難しいかもしれない。そういう考えに変わってきたかな。

●でもSiMは前からそういう姿勢でしたよ? みんなと同じことをやって受け入れられようとするんじゃなくて、むしろ他の人がやらないとか、今まで常識じゃなかったことをやって自分たちの遊び場をイチから作る、みたいな。ラウドなシーンに“お客さんと一緒に楽しんで暴れましょう”っていうウェルカムな雰囲気を持ち込んだのは、僕はSiMだと思っているんです。

MAH:お! ありがとうございます!

●それと同じで、音楽もより自分たちのものを作ろうとしているのかなと。

MAH:そうですね。「CROWS」の歌詞はまさにそんな感じなんです。みんなと群れているより、一匹狼ってかっこいいじゃないですか。バンドとしてそういう存在でありたいし、それでも人がついて来る、みたいな感じがかっこいいなと思っていて。

●うんうん。

MAH:音楽的にも、ちょっと時代の先を行っちゃったみたいな。まだ時代が追いついてないけど、半年遅れでついて来るみたいな絶妙なところをやっていきたいなと思っていて。だから流行とは逆流していきたいというか。そういうところにこだわり始められたかな。

●そういう部分が、今までよりも強くなってきたということなんでしょうね。

MAH:お客さんがついてきてくれたことで、余計に思うようになったっていうか。今まではへりくだってというか、お願いする立場だったんですけど、ちゃんと自信も付いてきて音楽を提示できるようになったかな。

interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:森下恭子

 


 

SiM THE TOUR 2015 FiNAL -ONE MAN SHOW at BUDOKAN-
2015/11/4@日本武道館

LIVE_SiM07武道館に入ってまず驚いたのは、ステージの形だった。八角形に組み上げられた禍々しいほど黒い塊は、360度どの方向へ向けても大きく口を開けているように見える。会場のSEは彼らの“仲間たち”の楽曲。ステージの形状からしても、SEからしても、SiMというバンドの想いが伝わってくる。そのSE…NUBOの「bonfire」を聴きながらワクワクして開演を待っていたとき、SEが突然鳴り止み、すり鉢状の空間が闇に包まれる。サーチライトのようにライトが輝き、モニターに4人のシルエットが映し出される。オクタゴンに割れんばかりの歓声が注がれ、爆発音と共に1人ずつ登場。SiM、最初で最後の武道館、いよいよスタートだ。

その武道館、1曲目の「KiLLiNG ME」で早々と揺れる。モッシュエリアのアリーナから3階のいちばん後ろの席までを、満遍なく興奮が塗りつぶす。ダイバーが舞い、Vo.MAHが「跳べ! 跳べ!」と煽る。G.SHOW-HATEの凶器のようなギターリフでスタートした「WHO’S NEXT」、呪術的なリズムが会場の興奮を逆なでする「CROWS」、スマホの着信音が鳴り響いてMAHが「狂っていこうぜBUDOKAN!」と叫んだ「PSYCHO」。レゲエの大きなコール&レスポンスからSHOW-HATEとBa.SINがオクタゴンを暴れまくった「ANTHEM」。一瞬も集中を途切らせることなく、1mmも興奮を断ち切ることなく、武道館が4人と一緒に暴れる。「GUNSHOTS」「Amy」でアリーナはカオス状態に陥っていく。筆者は武道館で何組かのライブを観たことがあるが、こんな武道館は初めてだ。

MAHが「俺らがどんな場所に行っても、どんなステージに立っても、SiMがSiMでいることに変わりはない」と高らかに叫ぶ。そう、彼らの姿勢はいつも同じだ。常に全力で音を鳴らし、バンドを続けてきたからこそ、今のSiMがある。そう言って、敢えてフェスではやらずに今回のツアーに取っておいた「EXiSTENCE」をスタート。黒い八角形のそれぞれの角から炎が吹き出す中、4人は汗だくのまま音に乗る。「武道館史上初のハーコーモッシュしてくれよ!」と叫び、武道館の歴史にハーコーモッシュを刻み込んだ「Set me free」では、モッシュエリアに大きなサークルができあがる。ライブハウス武道館で暴れる4人と約1万人の観客。

中盤では3階席の観客にスペシャルシート(席替え)をプレゼントし、アコースティックセットで魅せ、Dr.GODRiの茶番(ワイヤーで宙を舞う)で沸かせるなど、武道館ならではの演出で魅せる。

そして後半、SHOW-HATEとSINがジャンプして「Blah Blah Blah」で再び導火線に火を点ける。ライブで120%威力を発揮する同曲には何一つ無駄がない。ヘドバン、モッシュ、ダイヴ、ジャンプ、クラップ、シンガロング…ライブハウスで起きる現象のすべてが次から次へと起こる様は壮観だった。

アンコールでは来春のアルバム発売と横浜アリーナでのワンマンを発表し、「Rum」で魅了した後、MAHが「ありがとうございました」と深々と頭を下げる。もちろん最後は「f.a.i.t.h」。全身全霊でSiMの音楽に没頭してきたオーディエンスを再び興奮の坩堝へと叩き込み、ウォールオブデスで武道館に大きな爪痕を残して終演。4人はステージでがっちりを手を取り合い、そして再び深々と頭を下げ、汗にまみれた笑顔でステージを後にした。

1つ1つの活動を大切にし、すべての物事と真正面から向き合い、決して己を曲げることなく走り続けて通過した“武道館”という大きな通過点。SiMというバンドの行く先に未だ見ぬ大きな可能性を感じさせるワンマンだった。

TEXT:Takeshi.Yamanaka
LIVE PHOTO:半田安政(Showcase)/yuji honda

 

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