音楽メディア・フリーマガジン

Kidori Kidori

素敵な先輩と後輩が競演を果たした夢のような至福のパーティ

“Kidori Kidori 『!』release Tour” 2015/12/9@渋谷WWW
W/Predawn

Kidori KidoriとPredawnの2マンとは、何とも素敵な対バンじゃないか! 2015年6月に発売されたKidori Kidoriのニューアルバム『! [雨だれ]』のリリースツアー東京公演に、Predawnがゲスト出演することで実現した本イベント。両アーティスト共に好きだという、良質な音楽ファンにとっては胸が高まらずにはいられない。始まる前から心がウキウキと踊りだすような期待感が、渋谷WWWのフロアには漂っていた。

アコースティックギターを抱えて先に登場したのは、Predawn。ガリバー鈴木(Ba.)と神谷洵平(Dr.)を伴ってのバンド編成で、「Over the Rainbow」からジェントリーにライブの幕を開ける。季節感のあるカバー曲「Winter Wonderland」に続けて、キラーチューン「Keep Silence」でいきなり観る者の心を奪った。MCでは同じ事務所の後輩にお呼ばれして来たことを話しつつ、その後輩バンド・Kidori Kidoriの川元直樹(Dr.)にモノマネされるというエピソードで笑いを誘う。和やかな空気の中、「Tunnel Light」からはエレキギターに持ち替えて演奏。オルタナ色のある「Universal Mind」では、最後にぴょこんとジャンプしてみせた。

本日2度目のMCでは2016年3月に東名阪でワンマンツアーを行うことを発表して、ファンを喜ばせる。終盤は日本語詞の「キャンバスシューズ」に続けて、そよ風が吹くように軽やかな「Suddenly」で爽やかな空気に。「だんだんKidori Kidoriを迎え入れる空気になってきた。最後に爪痕を残して帰ろうかと…」という言葉から、ラストは「Breakwaters」。静謐な始まりから後半へと進むにつれて徐々に演奏は激しさを増していき、遂にはフリーキーなセッションのような様相に観客は息を呑むしかない。まさしく“爪痕”を残して、ステージを去っていった。

そんな先輩の後を受けるのは、本日の主役・Kidori Kidoriだ。新作のタイトルチューンである「!」から、この日のライブをスタート。梅雨空のようにウェットでエコーニーなサウンドに包まれて、オーディエンスは心地よさそうに身体を揺らす。彼らの大きな魅力である“おとぼけ感”満載の「住めば都」から、「傘を閉じれば」へと新作の収録曲を立て続けに披露。英詞の「Finally Found」を挟んでの「あなぼこ」では、「みなさん、一緒に身体を動かしましょう!」というマッシュ(Vo./G.)の呼びかけに応じてフロアは一気に盛り上がりを見せる。

「アフターパーティ」でさらに会場を湧かせた後は、いよいよお待ちかねのMCタイム。そう、もちろん川元が先ほど暴露されたモノマネを実際にやってみせてくれるだろうと誰もが期待しているのだ。…結論、川元が演じる“Predawnさん”は全く似ていなかった(笑)。そんな失礼なモノマネはさておき、マッシュが先輩へのリスペクトを語る。汐碇真也(Ba.)を正式メンバーに迎えて3人組に戻ってから初のツアーということで、Predawnにも今回はトリオ編成で出てもらったというエピソードに納得した。そこからアルバムのリード曲「なんだかもう」で、演奏を再開していく。

「大事な曲を心を込めて歌います」という言葉に続いて奏で始めたのは、彼らの数ある楽曲の中でも屈指の名曲「コラソン」。心の奥底まで染みわたるような歌に浸っていると、そのまま深い海の底へと沈み込んでしまいそうな「This Ocean Is Killing Me」へ。一転、「NUKE?」からはアッパーな楽曲を連発し、「Come Together」からの「ホームパーティ」で観客たちを飛び跳ねさせて本編を終了した。アンコールでは「次は夜みたいなテーマで行こうと思っている」と次作の予告をしつつ、新曲「ナイトミュージック」を初披露。最後はお決まりの「テキーラと熱帯夜」で、素敵な先輩と後輩が夢の競演を果たした至福のパーティは賑やかに幕を閉じたのだった。

TEXT:IMAI
PHOTO:Tetsuya Yamakawa

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