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The Winking Owl

新世代エモーショナル・ロックバンド、今こそ開花の時へ。

TWO_Aphoto_big昨年11月にメジャーデビュー作となるシングル『Open Up My Heart』をリリースし、その存在感と大いなる可能性を知らしめたエモーショナル・ロックの新星、The Winking Owl。同年11月には“OZZFEST JAPAN2015”にもオープニングアクトとして出演を果たし、認知度をさらに高めている彼らが初のフルアルバム『BLOOMING』を完成させた。大舞台を経験することで得た刺激を力に変え、進化を続ける4人の“今”を凝縮したような今作。タイトルのとおり、これからまさに開花していく彼らの姿から片時も目が離せない。

 

●最近は“夢チカLIVE SP in Zepp Sapporo”でBIGMAMAやNothing's Carved In Stone、9mm Parabellum Bulletとも対バンしたり、大きなステージも経験してきていますが、バンドとして充実しているのでは?

Yoma:大きいステージに立たせてもらう機会も増えて、すごく充実はしています。でもライブは楽しくやりつつ、1本1本「外せないな」という気持ちもあって。リハーサルや準備からしっかりやろうと、意識を高めながらやっていますね。

Ranmalu:本当にみんな大先輩だから、ライブはもちろん楽屋でのコミュニケーションを取るときもすごく刺激になるというか。音楽だけじゃなくて、人間的に「この人はすごいな、面白いな」っていう。頑張っている人たちって人間的な魅力があるから、それをすごく感じて刺激になっていますね。

●対バンの先輩バンドから刺激ももらえている。

Ranmalu:刺激をもらってはいるんですけど、逆に自分たちも相手に刺激を与えられるようにならなきゃいけないという自覚も芽生えてきて。大先輩がどういう人たちなのかもわかって視野がすごく広がったし、今のところはプラスなことばかりですね。

KenT:最近はライブの精度を上げるというか、完成度を重視しています。1本1本のクオリティを上げる作業に徹していて。The Winking Owlはまだまだ新人なので、フレッシュなパワーでいろんな場面を怖がらずにいける強さはあると思うんです。だから恐縮ではありますが(笑)、ガンガン下から突き上げていこうとかなと。

●負けないぞと。そんな中で初のフルアルバムを今回リリースするわけですが、どんなものにしたいというイメージはあった?

Yoma:音楽性に関しては、今までと大きく変えようとは思っていなくて。インディーズ時代からやってきたものもあるし、メンバーチェンジで新体制になったことも含めていろんなことがあったので、それをここに集約できたらいいなと。当たり前なんですけど、今の自分たちにできる最高のものを作るっていうことは考えました。

●フルアルバムということで自分たちが持っている、いろんな面を出したいという気持ちもあったのでは?

Yoma:前作のシングル『Open Up My Heart』収録の3曲でもいろんなことができたと思っていたんですけど、今回はそこに収まりきらなかった自分たちの側面を見せられるようなアルバムになったんじゃないかなと。

●12曲の中には既発曲も2曲入っていますが、これ以外にも候補はあったんでしょうか?

Yoma:今回は全12曲で、前のシングルから2曲を入れるというのは決まっていたんですよ。さらに、既に録っていた2曲も収録することが決まっていて。デモはいっぱい作ってあったのでそこから選曲会議をして、残りの8曲を決めようという話になったんです。でもスタッフから、その時点では「まだリード曲がないよね」と言われちゃって…。

●リード曲のM-2「This Is How We Riot」とM-3「Bloom」は、その時点ではなかったということ?

Yoma:「Bloom」はあったんですけど、メロディがガラッと変わりましたね。そこから必死で2〜3日ずっと家にこもって悩みに悩んで、7曲くらいできたんですよ。

●2〜3日で7曲ってすごいですね!

KenT:すごい集中力ですよね。

Yoma:元ネタになるものがそのくらいできて。でも本当にキツかったですね。

●そこから「This Is How We Riot」が出てきた。

Yoma:本当に最後の最後で出てきました。徹夜してずっと起きていた朝の9時くらいにできたんですけど、へろへろな状態で作りました(笑)。極限の状態で絞り出した曲です。

●極限状態で肩の力が抜けていたから、こういうストレートな曲が生まれたのかもしれないですね。

Yoma:ストレートだし、あんまり苦しそうな感じがしないですよね…。楽しくできたようにすら感じる(笑)。

Ranmalu:確かに。作るときは、すごく苦しんでいたのに(笑)。

Luiza:“苦しみの向こう側”っていう感じですね。

●メンバーの反応もよかった?

Yoma:この曲を聴かせたらみんなも気に入ってくれて、「これをやろう」となって。しかも最終的に、リード曲にもなったんですよ。あとM-8「Sparkle Light」も、最後に作った曲の中の1つですね。

●この曲も明るくてポップですが、実際は苦しみの中で生まれたんですね。ハッピーな感じでキラキラしている曲ですし、もしかしたらもっと苦しんだ方がいいんじゃないですか(笑)。

Yoma:もっと苦しんだら、もっと明るい曲が増えるかもしれない(笑)。でも切ない曲も好きなので、いろんなものができればいいなと思いますね。そういう曲作りでの苦労もあって、予定がかなり押しちゃって…。時間がないので、歌詞を作るのも大変だったと思います。

●歌詞を書くLuizaさんも大変だったと。

Luiza:そうですね。予定していた曲数から、1曲プラスされたんですよ。M-6「Don't Kill My Melody」は早い段階で曲はできていたんですけど、その段階ではリード曲がどんな感じになるかわからないから置いてあったんです。リード曲ができてから、あと7曲を選ぼうとなった時にこの曲をやりたいという声がちらほら上がってきて。私は最初「無理ですよ」と言ったんですけど…。

●だから、こういうタイトルになったんですか?

Luiza:まさにそうなんです。「申し訳ないけどできない」と言ったのに押し切られたので、「仕事って大変だな」っていう内容の歌詞を書いたんですよ。でもありがたいことに、そこで共鳴が生まれたのかなと思っていて。できあがった後にそう思えたので、結果オーライにはなりましたね。

●結果的によいものになった。歌詞に関して今回は自分の弱さや愚痴っぽいところも含めて、わりと明け透けに書いていますよね。どういうことを考えて、今回の歌詞を書いたんでしょうか?

Luiza:今回のアルバムで書いている内容は、自分の中の心情が多いです。いつもは基本的に、曲調でどういう内容にするかを判断しているんですよ。でも今回は曲調だけじゃなくて、頭の中に画が見えて「こういう主人公がいるから、この心情を歌おう」みたいな感じがあって。そこまで具体的に、自分の頭の中で作れたというところはありますね。普段思っていることや過去の自分が思っていたことを思い出して使ったりしつつ、想像で書いた部分もあります。

●リード曲の「This Is How We Riot」も、歌詞ではいきなり愚痴っていますよね?

Luiza:はい(笑)。いつも暗いニュースばかりがテレビで放映されている気がして、そういうのに疲れちゃったんです。そこで暗いニュースばかり聞くんじゃなくて、自分自身で新しいことに向けて何かをしようという気分になって。これは日常のことを書いている歌詞なんですけど、たとえば会社の上司に腹が立ったり、「彼氏と上手くいってないんだよね」と女子トークで愚痴を言い合ったりした経験はみんなもあると思うんですよ。“Riot”って“暴動”という意味なんですけど、そういうのが私の中では小さな暴動っていう。

●日常生活の中にある、小さな暴動というか。

Luiza:愚痴を言い合うことで、ストレスを発散できたりするじゃないですか。その意味では飲み会をすることもそうだし、十代の反抗期も1つの暴動だと思うんです。そういう1つ1つのストーリーを歌っていって、「1人で悩まないで、一緒に暴動しようぜ。楽しもうよ」みたいな感じで書こうかなと。曲調も私の中ではポップさを感じて、スケボーでハイタッチしているようなイメージが浮かんだので「今までとは違うような書き方は何だろう?」と考えて、この形に行き着きました。

●今までとは違うような書き方を試したんですね。

Luiza:自分の中では、新しい感じがします。今まではカッコつけた言葉というか、まわりくどい言い方をしたりしていて。歌詞なのに誰にも理解されないような書き方が好きだったんですけど、それだけだとダメだなと反省したんです。リード曲になるわけだからメッセージ性も少し入れて、よりポップなものにできたかなと思います。

●もう1曲のリード曲である「Bloom」は、メロディにスピード感があるというか。このメロディ感も新しい気がします。

Yoma:この曲自体はあまり悩まずにさらっとできた曲なんですけど、サビのメロディは最初とは変わっているんですよ。元々はあまり難しいことは考えずに、ストレートな感じに作ろうとした曲ですね。いつもは「もうひとひねりしなきゃいけない」みたいな気持ちがあるんですけど、これは「別にそういうのはいいかな」と思って。

●作った本人としては、シンプルな曲なんですね。

Ranmalu:曲を作っていない立場の第三者から見ても、今までの曲よりも無駄なものが削ぎ落とされてシンプルになっているし、タフになった感じもしました。

Yoma:自分的には正直「普通じゃない?」と思っていたんですけど、歌メロを変えてから自分でも「いいかも」と思えるようになって。元はもっとゆったりした感じのメロディだったんですよ。

Luiza:メロディはもっとシンプルだった。

●今のメロディは、いくつものメロディが重なっている感じがします。

Yoma:自分的にも、今のメロディの方が好きですね。

●歌ってみてどうですか?

Luiza:気持ちいいです。最初は難しそうと思ったんですけど、いざ言葉を乗せてレコーディングをしてみると、歌いたくなるメロディだなって。口ずさむよりも、歌いたくなる感じというか。

●その違いは何なんでしょう?

Luiza:鼻歌みたいに口ずさむんじゃなくて、歩きながらでも言葉に出して大きな声で歌いたくなる感じですね。今までそういう感覚になったことがあんまりなくて、自分の中でもこの曲にはだいぶ助けられているというか。ボーカリストとして「歌うぞ!」っていう魂が降りてきたような、そういうふうに思える曲なんです。

●アルバムタイトルを『BLOOMING』にしたのは、曲名の「Bloom」から?

Luiza:いや、『BLOOMING』が先ですね。アルバムタイトルを考えている時点では、「Bloom」の歌詞はまったくできていなかったんです。今のThe Winking Owlはインディーからメジャーに上がって、いろんな素敵なバンドと対バンする中でレベルアップしつつも「自分たちってどんなバンドなんだろう?」と模索している段階でもあるのかなということを、今回のアルバムを作っているときにすごく感じていて。

●自分たちの個性を自覚的に掴もうとしている。

Luiza:そうですね。ある程度は掴めている部分もあるんですけど、具体的にもっと自分たちがどういうバンドなのかをどんな言葉で表したらいいのか、自分でもまだわかっていないんです。気付いたら、今回の歌詞にも“探す”っていうワードがちらほら入っていて。そこで“探しているな、自分”と気付いたんですよ。

●自分の内面にある思考に気が付いた。

Luiza:ただ探しているだけじゃなくて前にも進んでいるので、進化している途中段階なんだなと思って。それを表すための言葉を探していたときに“Bloom”(開花)に行き着いたんです。“開花”って自分から咲くっていう意味じゃないですか。ただ突き進んでいくだけじゃなくて、“閉じては開いて”というニュアンスも入れたかったので、進行形の“ing”を付けたら意味が通じるかなと。

●これから開花していくところというか。リリース後にはバンド史上最長のツアーもあるということで、そこでもまた進化していけるんじゃないですか?

Luiza:今までは、ここまで日程の詰まったツアーをしてこなかったんです。でもRanmaluくんが「連チャンでやった方が、今日できなかったことを次の日のライブですぐに改善して試せる」と言っていたのもあって、今回はこういうスケジュールにしました。意欲にも繋がるし挑戦できる感覚もあるので、すごく楽しみですね。

interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:森下恭子

 
 
 
 

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