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BAND-MAID

進化を続けるメイドたちの集大成と新たな一歩

BANDMAID2016メイド服を身に纏った5人組ハードロックバンド、BAND-MAIDがミニアルバム『Brand New MAID』で遂にメジャーデビューを果たした。“世界征服”を最終目標に掲げる彼女たちだが、MV「スリル」は200万回以上再生されるなど既に海外でも熱狂的な支持を集めている。見た目のキュートさだけではなく、その高度な実力が評価されていることは今作を聴けば明らかだろう。結成から3年の間で得てきた様々な経験と刺激を昇華した集大成的作品を手に、彼女たちはここからまた新たな一歩を踏み出していく。

 

「タイトルにも“目新しい”とか“始まり”という意味を込めて、“Brand New”という言葉を使っていて。その気持ちが1つの目標として、このアルバムには出ていると思います。“集大成”からの“これからの一歩”という気持ちが大きいですね」

●今回のミニアルバム『Brand New MAID』がメジャーデビュー作ということになりますが、どういう作品にしようというイメージはあったんでしょうか?

ミク:結成から3年間の集大成という気持ちを込めたアルバムですね。1曲1曲で今までよりもレベルアップできているので、集大成という気持ちが大きいです。

●進化しているという実感がある。

ミク:そうですね。常に進化していきたいという気持ちがあるから。

歌波:1枚の作品を作るごとにどんどんレベルアップしていけるように…と考えながら制作してきました。

●今回はM-8「alone」で作詞・作曲からアレンジまで全て自分たちでやっているわけですが、こういう試みは初めて?

ミク:共作で作詞をやったのは今回が初めてなんですけど、曲は今までも作ってはいて。ようやく作品に採用されたのが「alone」という感じですね。

●前から作ってはいたんですね。

ミク:そうです。3年目にして初めて採用されました。

彩姫:曲を提出しては「また練ってきます」というのを繰り返していたので、それを含めたら制作期間がメチャクチャ長いんですよ。

●原曲から今の形になるまでに時間がかかったと。

歌波:原曲は基本的に私がある程度まで作ってきて、そこからみんなで練っていくんです。スタッフとのやり取りを何回もしつつ…という感じだったので、数ヶ月はかかったのかな。たとえば「フレーズをもっとこうしよう」とか「ストーリー性があったほうが良いから、展開をこういうふうにしない?」みたいな話をしながら詰めていった感じですね。

●曲としてのイメージは何かあったんですか?

歌波:最初から「切なさのある楽曲にしたい」という話があって。歌詞やメロディラインは「哀愁漂う感じにしよう」というコンセプトがあったので、そういう感じにしてみました。BAND-MAIDでは“強い女性像”というのが基本的なコンセプトだったから、今までにあんまりなかった感じかもしれない。“強いんだけど、切ない一面もある”という、新しいBAND-MAIDの側面が見せられる曲になったと思います。

●歌詞はどういうイメージで?

ミク:この曲は歌詞も“切なさ”や“哀愁”っていうコンセプトが最初からありましたね。歌詞についてはサイちゃん(彩姫)からどういう感じの言葉を乗せたいかというイメージをまずもらって、それを私が文字に毎回起こしてから「どうですか…?」って訊いていくような作り方が多いんです。それに対して「ここが嫌だから、この部分を変えて欲しい」とか言ってもらった部分を修正する…というのを繰り返して完成した歌詞になりますね。

●歌詞には実体験も投影していたりする?

ミク:実体験を入れると、小鳩の歌詞はもっと暗くなっちゃうから…。

一同:ハハハ(笑)。

ミク:「闇が深い」って言われちゃうんです(笑)。

●ミクさんが書いてくる歌詞は暗い?

彩姫:最初はだいたい暗いですね。重すぎて、歌いづらいんですよ(笑)。「もうちょっとポップにしてもらえる?」と言ったりはします。私は「強さの中にも“内に秘めているものは弱いんだよ”というものを書いてきて欲しい」と伝えたんですけど、後半の部分だけを聴いていたみたいで…。「そうじゃなくて、強いんですけど」っていう(笑)。

ミク:ごめんなさい(笑)。でも小鳩的にはだいぶマシになったと思うんです…。歌詞を書く時も、気を付けるようにはしていて。BAND-MAIDを始めた当初も作詞させて頂いたんですけど、暗すぎて「ちょっと重いわ…」って周りの方からも言われていましたね。だから「ポップにしなきゃ」って思いながら書いているんですけど、まだちょっと足りないみたい…(笑)。

●ミクさんに秘められた闇は深いと(笑)。

彩姫:彼女の内側に秘められているものは、だいぶ“闇”ですね。まだまだ計り知れない闇があるなって思います(笑)。

ミク:でも“強い女性像“というものは崩さずにいたいなと思っているので、それは全曲で意識しています。今回も哀愁が出すぎないようにしようとは意識して、書いていきました。

●M-5「YURAGU」の歌詞もお2人の共作ですが。

ミク:これはどちらかと言うと、小鳩の歌いたい雰囲気をメインに考えてもらって。でも言いまわしとかの細かい部分では意見をもらって、サイちゃんの気持ちも取り入れています。

彩姫:この曲は語尾指定を結構しましたね。歌詞の文字数が多いので声がかぶらないように、短く切れる語尾にしようという話をしていました。ライブでもこれまではツインボーカルの掛け合いで、語尾を伸ばして歌っているところに声をかぶせていくというのが多かったんですよ。だから今度は逆に語尾がブツブツ切れる感じで、お互いの声を出しては引っ込めてというほうが面白いんじゃないかなということで、歌いまわしから考えたところが強いです。

●掛け合いを意識して、歌詞も書いたんですね。

ミク:ツインボーカルの掛け合いを重視して、作詞をしました。あと、全体の大まかな雰囲気としては、この曲は私の気持ちを無理矢理押し切ったところがあって。語尾の“じゃん”というのを何箇所か入れたいとサイちゃんから言われていたんですけど、今回は…。

彩姫:勝手に消されて、提出されて。「1箇所になってる〜!」って、決定してから気付きました(笑)。

●ミクさんの中で明確なイメージがあった?

ミク:「わかっているけど、そうじゃない」っていう。「あなたの言っていることを“うんうん”って聞いているけど、本当はそうじゃないのも私は気付いている。それもわかってね」っていうような、ちょっと天邪鬼な感じですね。だから、もう「壊してしまえ」とか「揺らいでしまえばいい」みたいな気持ちを書いていて。「どっちでもいいじゃん」というか。「そんな細かいことで悩んでいても仕方ない。でも揺らいでいるあなたを見て、私は楽しんでいるよ」みたいな感じで、そこで強い女性像を出しています。

●M-1「the non-fiction days」もMVになっていますが、「alone」とのWリード曲という感じ?

彩姫:この2曲のどっちをリード曲にしようかという話になったんですけど、思い入れが強すぎる「alone」になりました(笑)。でも「the non-fiction days」も今までになかったタイプの曲なので、新しいBAND-MAIDを見つけられた感じがしていて。

歌波:それで1曲目にしたんですよね。

ミク:これからのBAND-MAIDの始まりみたいな気持ちも込めて、「the non-fiction days」を1曲目にしようと決めました。

●自分たちでも新しさを感じていた。

彩姫:カッコ良い曲だし、「こういうのはなかったよね」と思いました。

歌波:ストーリー性がある曲構成になっていて、自分たちとしても取り入れたいタイプの楽曲だったんです。私自身もすごく好みの楽曲だったので、今後は自分たちでもこういう楽曲を作っていけたらいいなと思っていて。勉強させてもらいたいという思いもあって、やってみました。

●今回は色んな作家の方が曲提供していますが、これも意図的なもの?

歌波:実はたまたまなんです。

彩姫:最初に今回はどういう曲で行くかというのをみんなでデモを聴きながら決めるんですけど、その時は作曲者の名前がわからない状態で決めているんですよ。

●名前を伏せた状態で選んでいるんですね。

歌波:感性で決めていますね。

ミク:候補がたくさんある中から、メンバー間で「これが好き」「これが良い」というものを挙げていって、絞っていく形で毎回やっています。自分たちで選ばせてもらっているので、思い入れも強いんです。“自分たちが出会った曲”っていう意識があるから。

●自分たちの意志で選んでいるから、提供してもらった曲にも思い入れが生まれると。

彩姫:選んだ後でアレンジしていく時には、みんなで意見を言わせて頂いたりもしていて。「こういう方向性のメロディラインにして下さい」と言ったりもしますね。最近はBAND-MAIDの進むべき道がはっきり見えてきたので、そういうことを伝えさせてもらっているんです。

ミク:歌詞についても“強い女性像”というのを大事にしていることや「この曲はこういう感じで歌いたい」という気持ちは伝えさせて頂いていて。「この部分の言いまわしをちょっと変えたい」とかワガママも聞いて頂いたので、自分たちも曲制作に関わらせて頂いている感じですね。

●アレンジも原形から変わったりする?

MISA:変わる部分も結構ありますね。美味しい部分は残しますけど、自分で全部変えたりすることもあって。

茜:ドラムももう少し派手にしたりとか、「ここは魅せたい」と思ったら変えさせてもらっていて。私はレコーディングの時にやりながら思い浮かんじゃうタイプなので、その場で全部変更したりもします。フレーズをまるまる変更した時もありますし、結構ガッツリ変えさせてもらっていますね。よりカッコ良くなる方向にしています。

歌波:ギターもリフは基本的にそのまま使っているんですけど、「こういうフレーズを入れたい」というものは付け加えさせてもらったりしていて。勉強させて頂きつつ、自分が弾きたいものを弾かせてもらっています。

●原曲の良さを活かしつつ、自分たちらしいものを入れられている。

歌波:最初のうちは完コピするくらいでやっていた時もあったんですよ。でもだんだんフレーズとかの引き出しが増えてきたので、自分たちでアレンジする能力も付いてきました。

MISA:来る曲のレベルもどんどん上がっていて、良い刺激になるんですよね。

茜:自分のレベル以上のものが来たりするし、自分では思い付かないようなフレーズもあったりして。「こうやれば、こういう感じになるんだ!」っていう発見もあって、どんどん引き出しも増えるし、勉強にもなっていますね。自分の知らなかったものを見せてもらえるので、速くステップアップできているところもあります。

●楽曲を提供してもらうことが、成長にもつながっているんですね。

歌波:いつかは全曲、BAND-MAIDによる作詞・作曲・アレンジというのもやりたいんですけどね。でもアレンジを頼みたいと思うのは、自分たちの範囲だけで留まるとそれで終わっちゃうからなんです。今は「もっともっと成長していきたい」っていう意欲があって。(自分たちらしさを)確立するまでは、もう少し他の人から楽曲を頂いたりしていきたいなと思っています。

●今作を経て、またこれから進化していく。

MISA:自分たちの求めているものがどんどん高くなっているのを感じていて。

歌波:今回の作品をまた超えないといけないから…。超える作品を作ると考えたら、“もっと頑張らなきゃいけない!”っていうふうになりますね。

ミク:タイトルにも“目新しい”とか“始まり”という意味を込めて、“Brand New”という言葉を使っていて。その気持ちが1つの目標として、このアルバムには出ていると思います。“集大成”からの“これからの一歩”という気持ちが大きいですね。

●ツアーも多数予定されているので、楽しみですね。

彩姫:まずは6/24の新宿Zirco Tokyoでの初日を観てもらって、10/1の渋谷TSUTAYA O-WESTでのファイナルにも来てもらえたら、ツアーで成長した感じが伝わると思うんです。成長したBAND-MAIDを観てもらえたらなと思いますね。

Interview:IMAI

 

 
 
 
 

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