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10-FEET TAKUMA、NAOKI、KOUICHI シングル『アンテナラスト』ソロインタビュー

TAKUMA、NAOKI、KOUICHI シングル『アンテナラスト』ソロインタビュー

IMG_005110-FEETが7/20にリリースするシングル『アンテナラスト』は、彼らが10年以上前からやろうとしていたこと、この10年以上前からやってきたこと、1本1本のライブで伝えてきたこと、たくさんの楽曲で積み重ねてきたことの結晶と言っても過言ではない。10-FEETがずっとやりたかったこと、10-FEETにしかできないこと。メンバー同士で何度も話し合い、スタッフやレーベルの全員が一丸となって取り組んだ同曲は、10-FEETにとっても、リスナーにとっても、そしてライブで同曲を聴くオーディエンスにとっても、非常に大切な楽曲になっていくに違いない。オリジナル作品としては約4年ぶりとなる今回は、各メンバーのソロインタビューを敢行。「アンテナラスト」の物語をメンバーそれぞれの視点から切り取った。

 

KOUICHI ソロインタビュー

IMG_0051_中「みんなで悩みましたけどね。ものすごい時間をかけて悩みました。時間をかけたらいいものができるというわけではないこともわかってんねんけど、4年間っていうのもあるから」

 

 

●最近KOUICHIくんはInstagramで子どもをエサにしてバンバン“いいね!”を稼いでいるじゃないですか。

KOUICHI:アハハハハ(笑)。稼いでる(笑)。使えるもんは使っていかんとな(笑)。

●そのInstagramを見ていると、いい歳の取り方をしていて、バンドとキャラクターをイコールにさせていると感じるんですよね。今までKOUICHIくんが発信する場所って、ライブのMCくらいしかなかったような気がしていて。

KOUICHI:ほんまにそういうところしかなかった。

●でも今は全部が上手く繋がっていて、10-FEETの音楽にも繋がっていると感じるんです。

KOUICHI:そんなに深い意味はないですけどね。

●今年41歳ということですが、バンドに向き合う姿勢とか、音楽に対する考え方は変わってきました?

KOUICHI:うーん。やっぱり歳を取ると“あと何年できんのかな?”とかはリアルに思います。バンドのことも考えますけど、身体のこととかも。そういう風に考えると、何事も目の前のことに一生懸命にならなあかんなと余計に思う。それがたぶん、いろんなところで出ているのかなと。

●先のことを考えるからこそ今目の前にあるものをもっと大切にしようと。

KOUICHI:もちろんメンタル的にいろいろ波はありますけど、モチベーションを下げている暇はないと思ってやっているんです。昔はそんなことは全然考えていなかったけど。

●周りの若いバンドを見ているとどうですか?

KOUICHI:単純に“かっこいいな”とか“いいバンドやな”と思う人たちが増えてきましたね。かっこいいだけじゃなくて、僕がグッとくるのはライブを観てかっこいい以外のもの…歌詞の部分であったりMCとかも踏まえて…ちゃんと伝わってくるバンドが好きやから。WANIMAとか、04 Limited Sazabysとかかっこいいですよね。

●ところで今回のM-1「アンテナラスト」は、「風」を初めて聴いたときと感触が似ていて。「風」を初めて聴いたのは、“京都大作戦”のステージでちょっとやったじゃないですか。あの1年後に『Life is sweet』を出したんですよね。

KOUICHI:そうそうそう。よう覚えてるやん。

●「風」を聴いたとき、すごい曲だと思ったんです。聴かせる感じで、キャッチーで日本語で伝わりやすいし、何より“京都大作戦”にハマる熱さと湿度がある。同じように「アンテナラスト」を聴きながら、僕は“京都大作戦”でお客さんがどうなっているかというところを想像したんですけど、そしたらちょっと泣きそうになったんですよね。言葉がキチンと入ってきて、しかもしっかりライブ感があって。久しぶりのリリースなんですけど、“ちゃんと歳を取ったな”っていう感じがしました。

KOUICHI:4年間上手いこと歳を取ったと。

●41歳になった今をちゃんと音楽に落とし込んでいるのがすごいなと思って。その印象は、KOUICHIくんのInstagramの印象と共通するものがあったんですよね。

KOUICHI:お~。すごい。

●この曲をシングルに選んだというのはすごく腑に落ちたんです。4年間リリースがなかったけど、この曲を聴いたら納得したというか。

KOUICHI:みんなで悩みましたけどね。ものすごい時間をかけて悩みました。時間をかけたらいいものができるというわけではないこともわかってんねんけど、4年間っていうのもあるから。どういうのが待たれているのかとか、今こういうのを出すべきだとか。結果「これやろ」ってことになって。

●リリースの間隔が長いことは悪いということではないんですけど、期間が空いたことをキチンと納得させられるというか。

KOUICHI:曲はほんまにいっぱい作って、今回の3曲以外にもいいものがあるんですよ。さっきTAKUMAが取材で言ってましたけど、全部タイプの違う曲やから。

●なんで『Talking Rock!』で言ったこと、しかもTAKUMAくんが言ったことを、KOUICHIくんがJUNGLE★LIFEで言うんですか。

KOUICHI:他の曲の説明をどういう風にしたらいいかなと思って。

●そういうところは相変わらずですね。

KOUICHI:いろんなタイプの違う曲がまだ3曲くらいあるから、その中で選んだんです。

●候補曲としてはM-2「skatting」とM-3「BombBassKinny」以外にもあったんですね。

KOUICHI:うん。表題候補があって。その中でみんなで選んで。日本語詞もTAKUMAは結構苦労してましたよ。何回も書き直したりして。「アンテナラスト」も最初はこういう歌詞じゃなかったし。

●それをKOUICHIくんはどう思って見ていたんですか?

KOUICHI:いちばん最初に上がってきた歌詞に対して意見して、NAOKIも言ってましたけど。「もうちょっとこうした方がいいんちゃう?」っていうのはちょろっと言いました。

●全然違っていた?

KOUICHI:全然違かったような気がするなぁ。半分くらいかな。メロディがいいからこそ、聴いていてグッと入ってくる歌詞の方がいいなと思ったから「抽象的じゃなくて、具体的な方がいい」と。

●歌詞の内容的に、もっとパーソナルに寄ってもいいんじゃないかと。

KOUICHI:そうそう。「もっとお前の言いたいこと言ったらええんちゃう?」っていう風なことを言ったと思います。

●歌詞をプロデュースした、みたいな。

KOUICHI:そういう能力は昔から高いからな(笑)。

●高いですよね(笑)。

KOUICHI:だからちょっとプロデュースしたんです。そしたらまんまと言うこと聞きおった。

●アハハハハ(笑)。「アンテナラスト」は、KOUICHIくん的にはどうですか?

KOUICHI:好きですね。今までCDを作って、マスタリングが終ったら音源をもらうじゃないですか。今回、それをめっちゃ聴いてる。ここ(iPhone)に入ってるもん。

●iPhoneでも聴いていると。

KOUICHI:自分らで作ったんやけど、客観的に聴けるというか。ほんまはできあがってからもうちょっと期間を空けないと客観的に聴けないけど、そのスパンがめっちゃ短く聴ける。それだけスッと入ってくる。

●普遍性みたいなものがあるんですかね。キャッチーというか、ポピュラリティというか。

KOUICHI:そういうパワーは持っているんじゃないかと思います。いい歌ですもん。

●いい歌ですよね。

KOUICHI:でもどうする? “京都大作戦”でやって、みんなめっちゃ怒ってたら。

●ハハハハ(笑)。

KOUICHI:「他の曲やれよ!」ってなったらどうするんですか。

●それはそれでおもしろい(笑)。

KOUICHI:でも本当に“京都大作戦”にすごくハマると思う。あの雰囲気に。

●そうですよね。M-2「skatting」はさっき言いましたけど“ザ・10-FEET”な曲ですよね。“10-FEETらしさ”ってこういう感じという気がする。

KOUICHI:遊び心がめっちゃありますよね。初期の感じがするというか。

●でもかなり忙しくないですか?

KOUICHI:バリバリ忙しい。

●キャリア何年目やったっけ?

KOUICHI:もう十数年やってるけど、「skatting」はバリバリ忙しくて難しい(笑)。

●いつくらいにできた曲なんですか?

KOUICHI:3年くらい前かな? 確かTAKUMAが言ってたな。

●またTAKUMAくんが他の雑誌で言ったことを…。M-3「BombBassKinny」は?

KOUICHI:8年くらい前。

●え! どういうことですか?

KOUICHI:候補としてある程度まで作っていたんですけど、作品には入ってなくてずっと置いてあったんです。それを使うときがきたっていう。

●「アンテナラスト」が決まって、カップリングをどうするかということで土俵に上がったということ?

KOUICHI:いや、先にカップリングはこの2曲でいこうっていうのはほぼ決まっていたんです。

●「skatting」もそうですけど、カップリングの2曲は“41歳になった10-FEETがこの曲を生み出せるってすごいな!”と感じたんです。「アンテナラスト」とは違う意味でびっくりしたんですけど…。

KOUICHI:普通はみんなそうだと思いますよね。

●「BombBassKinny」は8年前…33歳の10-FEETが作ったんですね。

KOUICHI:そうそう。全然バラバラ。曲自体はいい曲だから、使うときをずっと待っていたんです。

●アレンジも結構できあがっていた状態だったんですか?

KOUICHI:TDまで終っていて。それを8年間ずっと置いていた。

●全然色褪せてないですよね。それはそれですごい。

KOUICHI:そうなんです。そういう曲がぽつぽつあるんです。そう考えたら、なんやかんや言って曲は作ってるんですよ。

●「BombBassKinny」のドラムは難しいんですか?

KOUICHI:難しいっすね。ダンディズム。

●10-FEET流ダンディズム。

KOUICHI:難しいですけど盛り上がると思う。シャッフルの曲って盛り上がりやすいじゃないですか。だからライブ映えすると思います。

●曲調以上に、ライブでグチャグチャになりそうな感じがすごくする。

KOUICHI:だから早くやりたいですね。「アンテナラスト」がいちばんやりたいですけどね。

●本当に楽しみですね。今後すごく大切な曲になる気がする。

KOUICHI:キー曲になると思いますよ。

●ちなみにKOUICHIくんのInstagramで見たんですけど、“なかおかこういちショー”って何なんですか?

KOUICHI:僕の夢はKYOTO MUSEでワンマンでディナーショーをやることなんですけど、KYOTO MUSEの店長が京都の円山公園音楽堂でやっている“Rainbow's End”というイベントがあるんですけど、転換の間に歌う場所を作ってくれたんです。大きいステージが反対側にあって、転換の間にあのテントみたいなところでカラオケを歌うという。

●KOUICHIくん専用のステージなんですか?

KOUICHI:そうそう。だから“なかおかこういちショー”。

●今年は何曲やったんですか?

KOUICHI:今回は「ロンリーチャップリン」と「赤いトラクター」を歌いました。

●みんな知らんでしょ(笑)。

KOUICHI:全然知らんかった。「ロンリーチャップリン」はさすがにみんな聴いたことがあったけど、「赤いトラクター」は全然。年代がちょっと上過ぎたかなって。

●ハハハ(笑)。

KOUICHI:みんなポカーンとなってて、“選曲間違えた”と思いました。いつか僕のワンマンを観にきてください。

●わかりました。やっぱりそういう場数を踏んでいるんでしょうね。KOUICHIくんのMCは安定感がどんどん増している気がするんです。

KOUICHI:めっちゃ褒め言葉やん。

●空気を支配しているというか。その場を自分のものにする現場掌握能力みたいなものがある。

KOUICHI:確かにそういうとこあるわ~。僕、現場主義やから。

 

NAOKIソロインタビュー

IMG_0051_右「何回か書き直してすごくしっくりきたなというタイミングで改めて聴いたときに、伝わりやすさというか入りやすさというか…楽曲の方向性として、この歌詞が今のタイミングやなと思ったんです」

 

 

●4年ぶりのリリースなので、前回のリリースから4年分歳を取っているわけじゃないですか。ライブに対するモチベーションとか、音楽に対するモチベーションは前と比べて変わりました?

NAOKI:変わったと言えば変わりましたね。ライブに関してはこの4年間が、今回シングルを出せると決定してから、今まで考えていなかった変な安心感を感じたというか。

●ほう。

NAOKI:4年間ライブはガツガツしているじゃないですか。でも新曲がないっていう中で…間にコラボアルバムやカバーアルバムはありましたけど…オリジナル音源がないっていう中で、『アンテナラスト』を出すことが決定したときに生まれた安心感というか、“やっとバンドが進んだ”と思ったんです。4年間ライブはしているけど、新曲がないので今まで出している曲の中で試行錯誤しながらセットリストやライブの流れを話し合いながらやってきて。新曲もないのにずっと同じライブをしていたら飽きられて終るので、ライブでいろいろやっていくしかなかった状況から、やっと進める弾ができたというか。

●後から考えたら実は焦っていた、みたいな。

NAOKI:かもしれないですね。ただその期間ずっとレコーディングをしたり、新作を出すための動きはしていたけど、今回みたいに3人の意志が固まるまでに4年かかった。全員が一致して「これで行こうぜ」っていう感覚にずっとならなかったんです。だから、たぶん心の何処かで新曲を出していない危機感を感じていたけど、それを考えてしまうと、マイナス思考になって変に空回りしちゃうんです。だから意識的に考えないようにしていたというか。

●この4年間を想像するに、下手をすると目的がないライブになっちゃう恐れもあったわけじゃないですか。そこはどうしていたんですか?

NAOKI:やっぱりセットリストで変化をつけるというか。「今まで聴いたことなかったけど、今日初めてあの曲を観れた」とか思ってもらえるように。あとはやっぱり対バンに助けられたこともいっぱいあったんですよね。例えばステージで一緒にコラボしたりして、対バンに助けられたことも結構多かった。もしくはその対バンが居てくれたおかげで、対バンのカバーを1曲やったりとか。“その日しか観られないことをどうするか?”っていうのをずっと考えながらやっていたんですよ。

●ところで、今回の「アンテナラスト」を初めて聴いたときはどうだったんですか?

NAOKI:最初のデモはほぼサビだけみたいな感じだったんですけど、そのサビがすごく残って。でも当時、この曲以外にリード曲としていこうとして作っていたものが2曲あったので、その2曲からシングル曲を選ぼうという話になっていたんですよ。

●はい。

NAOKI:どっちもすごく仕上がりがよくて勝負できるものだったんです。そのときに「アンテナラスト」のデモをTAKUMAが持ってきて。おもしろいなと思いつつ、僕的には“次回かな”という感覚でいたんですよ。

●なるほど。

NAOKI:でもそれを「詰めていきたい」という話になって、当然しっかり仕上げていくんですけど、「アンテナラスト」をリードでやる感覚は最初はなかった。既に2曲があったから。

●そうですよね。

NAOKI:もしリード曲の候補が1曲しかなかったら、それをどうしても仕上げなあかんっていうことで、プレッシャーじゃないけどそこに全神経を集中させていたと思うんですけど、「アンテナラスト」はそういう感じじゃなかったんです。

●残りの2曲があるから、あくまで普通に曲を仕上げようという感覚だったんですね。

NAOKI:今回入らなくてもいいかな、くらいに思っていて。それで歌詞も仕上がって録り終わって聴いたとき、そこでは3曲並べるわけじゃないですか。10-FEETのシングル曲としては3曲とも勝負できるんです。ただこのタイミング…4年空いて新曲がない状況で待ってくれていた人もいるし、名前は知っているけどそんなに曲は知らんしっていう人もいるし、いろんな人が聴くと思うんですけど、僕らがしばらく音源を出してないことくらいはみんな知ってるかもと思っていて。

●はい。

NAOKI:そういうのも含めて“このタイミングでどういうタイプの曲を出すべきか?”っていうのを冷静になって考えたときに、そこで初めて「アンテナラスト」でいくべきなんちゃうかなっていう考えになったんです。歌詞も含めての伝わりやすさもあるんですけど、伝わりやす過ぎてもダメだと思っていて。

●うんうん。

NAOKI:だから歌詞も何回か書き直したんです。最初にパッと聴いたときの印象で、“ここの表現はちょっとないんちゃうかな”っていうのがいろいろあったりして。TAKUMAともいろいろ話しながら「表現ひとつで一瞬でダサくなるから」っていう感じやったんです。

●ポップが過ぎるとベタになるということですよね?

NAOKI:そうですね。何回か書き直してすごくしっくりきたなというタイミングで改めて聴いたときに、伝わりやすさというか入りやすさというか…楽曲の方向性として、この歌詞が今のタイミングやなと思ったんです。“このタイミングで作り込んだ曲は要るかな?”というのもあったし、死ぬほど激しい曲とかでもない気がするし、だからといってバラードでもないだろうし。押し付けがましい歌詞を出すのも違うし、“元気出そうぜ”みたいなのは全然違うと思ったし。「アンテナラスト」の歌詞の温度感と内容がちょうどいい感じかなと。だからTAKUMAが何パターンか歌詞を書いてきたという経緯もあって、「こっちの方がいいと思う」とか「あっちはちょっと表現がストレート過ぎる」とか話をして。「この部分のストレートさはあった方がいいと思うけど、この部分のストレートさは違うと思う」とか。

●いつもそこまで歌詞のやりとりをするんですか?

NAOKI:いや、しないですね。割と今までは僕が聴いた感覚ではアリかナシのどっちかなんです。ふわっと聴いて「しっくり来いへんし、英語の方がええんちゃう?」とか、普通にいいなと思ったらそのまま何も言わずに進めるし。

●なぜ今回はそういうやり取りがあったんですか?

NAOKI:「アンテナラスト」がシングル曲の候補に入っていない時期にTAKUMAが「どう思う?」と訊いてきたんです。そこで「歌詞次第ちゃう?」という話をして。それで「その前に入れた歌詞はどうやった?」「あれやったら僕はリード曲にはならないと思う」みたいなやり取りをして、そこからいろいろ変わっていって。

●ブラッシュアップするためにメンバーとのやりとりが増えた。

NAOKI:増えましたね。最初はCDには入ったとしてもリード曲ではないっていう感覚だったんですけど、できあがってから“あれ? ちょっと待てよ?”みたいな。時期的な意味で“こういうところに行かんかったら、逆にがっかりされるのかな?”とか。もし4年も空いていなくて、例えば『thread』から1年後に出すシングルだったら、別にこれじゃなくてもよかったかもしれないですね。もしかしたら残りの2曲の方が、その時期やったらハマったかもしれない。

●なるほど。それとさっきKOUICHIくんが言っていましたけど、「skatting」と「BombBassKinny」はかなり前に作っていた曲らしいですね。

NAOKI:そうなんですよ。今言っていた表題候補の残り2曲は今作には入っていないんです。

●「BombBassKinny」を作ったのは8年くらい前ということですが。

NAOKI:「BombBassKinny」は当時、ざっくり言うと僕らが捉える洋楽のイメージで作ったんです。たぶん今まで10-FEETがこういう曲をやっていてもおかしくないけど、実はこういうタイプの曲はやっていなくて。

●10-FEETらしさはかなりありますもんね。

NAOKI:僕が持っていたイメージとしては、後期のSUM 41とか、Green Dayのダーク寄りな感じとかだったんです。8年前に作ったときはおもしろいなと思っていたんですけど、当時のシングルやアルバムに入ってこなかったというか。このタイミングでここに素直に入ってきたのはおもしろいことですよね。

●8年後のNAOKIくんが聴いて、自分のアレンジはどう感じるんですか?

NAOKI:久々に今回ちゃんと聴き直して、おもしろかったです。“あ、頑張ってるな”みたいな。

●アハハハ(笑)。

NAOKI:若さ特有のものがあって。今だったらこういうアプローチはしないんですけど、こういう曲にこういうアプローチが入っているのは新鮮だと思いました。

●ということは、NAOKIくん自身がいろいろ変わってきていると。

NAOKI:そうですね。昔よりも丸くなった部分もあるし、昔よりも“もっとやらなあかん!”って思う部分もできた。

●丸くなったというのは?

NAOKI:昔だったら“こんなベースライン誰でもやってるし、やりたくないわ”と思って避けてきたことも、今は“曲に合ってればそっちの方がええわ”とか“それがいちばん曲が活きるから”っていう考え方をするようになった。昔はそれよりもありがちなパターンを弾くのが恥ずかしいって感覚が強かったんです。

●いかに自分のオリジナリティを追求するか、みたいな。

NAOKI:そういう部分が結構あったんですけど、今はすんなりと“これがいちばん歌もメロディも活きるから”と思える。逆に昔は結構ストレートにいっていた部分に対して、“もっとベースで何かした方が曲が活きる”とか考えるようにもなったし。

●曲主体になっている。

NAOKI:うん。ベースラインを作るときはそうですね。

●でも「BombBassKinny」はかなりベースラインをフィーチャーしたアレンジですよね。

NAOKI:でもこの曲のベースラインを聴くと“めっちゃ楽しんでやってるな”っていう感じはします。ポイントごとに出すところを出して。こういう曲は当時あまりやっていなかったからというのもあるんでしょうけど。

●当時のNAOKIくんにとってすごく新鮮だったと。

NAOKI:シャッフルのリズムとかもそんなにしてなかったし。

●なるほど。あと「skatting」は10-FEETらしさが満載ですよね。キュートで激しくて忙しくて展開が目まぐるしくて。でもこの曲、かなり忙しくないですか?

NAOKI:めっちゃ忙しいですよ。でもひとつひとつのパーツは普通に今までやってきたことなんですよね。ただそのパーツが、普通は組み合わさらない感じで組み合わさっている。今回の3曲の中ではいちばん楽しんでいたというか、遊び心がある曲ですね。遊びの延長線上のセッションでできたような感覚。

●バンドをやっている上では、そういう曲が作品に入るのはすごくいいことですよね。

NAOKI:そういう曲が1曲ないと、ちょっと構え過ぎるというか、重くなっちゃうというか。そういうスパイスはあった方がいいし。

●“京都大作戦”でこの3曲はやるんですか? (※当インタビューは2016年6月に実施)

NAOKI:どうでしょうね(笑)。「アンテナラスト」はどこかのタイミングで…ここで言い切っちゃうとやらなあかんようになるので言わないですけど…急に初お披露目すると思います。

●確かにそうですね。10-FEETはライブの直前でセットリスト変えたりしますもんね。

NAOKI:よう知ってますね(笑)。

 
 

TAKUMAソロインタビュー

IMG_0051_左「僕だけじゃなくて、メンバーも含め一緒に温度が上がっていったり、一緒にその感覚になっていかな無理なんかもしれんと思ったんです。そう思った瞬間に“あ、10年かかるな”と思ったんですよね」

 

 

「できるときとできひんときが絶対にあると思うけど、こういうことに関しては僕はめちゃめちゃ直感があったんです。“これは絶対に楽曲にせんと、一生後悔する”と」

●先日、G-FREAK FACTORYの茂木くんと“山人音楽祭2016”の対談をさせていただいたとき、TAKUMAくんが歳を取っていることに自覚的だったという印象があったんです。それがちょっと新鮮で。

TAKUMA:実は自覚は未だにないというか、年を食ってるのも若いのもあまり考えることなく来たし、考えるタイプではないと思うんです。でもそうした方がおもろいなと思って。

●ほう。自分が年を取っておっさんになっているということを自覚したほうがおもしろい。

TAKUMA:“10-FEETのTAKUMA”というものがどういう風に見られているのかを気にして作ったり、発言したりとかはあまりなかったから。でも同窓会とかに行ったら、おっさんというか「お前ら、おい!(笑)」みたいな感じで。

●「TAKUMA若いな」って言われるでしょ?

TAKUMA:「なんちゅう格好してんねん」とかも言われるし。僕はシュッとした大人な格好も好きやけど、それはいつでもできるかなと思って。今ギリギリできそうなことをやっておく方がおもろいなと思って。バンドもそうなんですけど、そういうのをやれるうちはとことん楽しもうと思っているんです。

●はい。

TAKUMA:なおかつ「ええ歳して…」という言葉が良いときと悪いときがあるなと思うんですけど、大人には放っておいてもなるし、そうじゃなくてできることを大事にした方がいいと思う。女の子にもよく言うんですけど「これをしたら幼くなるし」と言っている子には「いつでも老けることはできるし、できるうちに遊んだ方がええ」とか。

●なるほど。

TAKUMA:「おっさんでもこれしてええんや」みたいなのがある方がおもろいやんっていう。結構そんなこと気にしてんのって日本だけちゃいます? 他の国とか、特に欧米に行ったら「なんちゅう格好してんねん!」っていうおっさんがいっぱいおるし、あれはあれでええやんって思う。

●日本は、歳を取ることに対するコンプレックスがすごく強いじゃないですか。“年を取る=悪いこと”みたいな解釈がありますよね。

TAKUMA:そうですね。歳を食ってそこに見合った年相応の立ち振る舞いとか発言は多少気をつけた方がかっこいいし。でもそこをちゃんとしている人がはっちゃけてたらええなって僕は思うんです。若い子が売れたりすごいことができたりするのは、若さのパワーがあるからこそだろうし、僕らもいっぱいあったから。でも「若いうちしかできひんし」とかじゃなくて、「僕もええ歳やし」とか言っておもろいことをする人がいなくなるのは寂しいから。

●ああ~。

TAKUMA:同級生でもそうなんですよ。あんだけボケとツッコミのおもろかったやつが牙の抜かれた感じになっていて。おもろかったやつが軒並みおもろくなくなってたのがショックやったんです。「そんなんしたら怒られんで!」と言われるようなことばかりしていたやつが絶対にせえへんようになってたりとか。

●そういうのありますよね。

TAKUMA:そこで“心じゃなくて頭でキープせんと老けるわ”と思ったんです。それを普及していこうという。老けるか老けへんかはぶっちゃけ自覚を持つか持たへんか。それが頭でも心でもどっちでもええから、恥ずかしがらんとキープした方がたぶんおもろいで、みたいな。

●例えばKOUICHIくんはInstagramをやっているじゃないですか。彼のInstagramはすごく等身大でキャラクターも出ていて、それがすごくいいと思うんですよ。キチンと“41歳のお父さんになってます”ということを表現できていると思うんですね。今まで彼はそういう表現をして来なかったと思うんですけど、今はその個人としての表現が上手くバンドに還元できていると感じるんです。

TAKUMA:はい。

●いい歳の取り方をしているなと。で、今回の「アンテナラスト」を聴いたときも、僕はそう思ったんです。今の10-FEETの等身大というか。

TAKUMA:そうですね。たぶんそれができたのは、楽曲のある部分では相変わらずなロックな要素があるからだと思うんです。例えばサビのコード進行やビート感もそんなに変わったことをしていないし。あと「若いも若くないもないな」っていうところでやっている土台があるから、“こういう曲もあるんや”っていうところに持っていけたんちゃいます? わかんないですけど。だからちょっと前だったらできひんかったことかもしれんし、ちょっと前やったら余計に老けて聴こえたかもしれへんし。

●そうかもしれないですね。

TAKUMA:『Life is sweet』(2009年9月)のときだったらちょっとびっくりする曲やったかもしれないし。“あ、素になってしもたな”って。でも今は、別に素になったもクソもない感じで聴いてもらえている気がするんですよね。ちょっと周りにある曲とラインは違う感じはしても、割と他の曲より湿度は高いはずなのに、落ち着いた感じになってない着地になったのがおもしろいなと思ってます。

●聴きながらライブの光景を想像したんですけど、きっとダイブやモッシュが起きるかは別にして、すごく感情が動く曲やと思うんですね。

TAKUMA:たぶん、意外とみんな聴き入る感じではないと思います。それは「風」とか「蜃気楼」が教えてくれたことであり、残してくれたことでもあるかもしれない。

●あ、この曲を聴いたときに思ったのが「風」なんですよ。「風」は自然な発生の仕方をした曲という印象があって。それと同じような感覚を「アンテナラスト」からも受けたんです。すっと自然に出てきたものなのかなっていう。

TAKUMA:そうですね。若い子にもメッセージとして聴いてもらえて、ロックの楽曲としても成立できてるっていうのが、たぶん10-FEETでやらなあかんことやったと思うし、紛れもないやりたいことのひとつだったんです。たぶん『TWISTER』(2006年8月)の頃から自分のやるべきこと、自分たちにしかできへん表現や組み合わせっていうことに気付いていたと思うんですよね。

●ほう。

TAKUMA:僕らのロックの仕方として、“そこまで湿度が高かったらロックちゃうやん”とか、“そのテンポやったらロックちゃうやん”とか…これも人によってやけど…そういう線引きってあると思うんです。“ほんわかした曲だからロックじゃない”っていうのもあると思うし、僕もあったから。けど“そういうことをあまりよぎらさずに自然に聴いてもらうにはどうしたら良いんやろう?”っていう考えがあった気がするんです。最初からじゃないけど、シングル『RIVER』(2002年10月)くらいのときからぼんやりとあったと思う。

●へぇ~。

TAKUMA:でもそれを具体的に常に頭の中に掲げてやってきたわけではないし、“そういうことができるんや。やった方がおもろいもんな。僕がライブキッズやったらそういう音楽を聴きたいもんな”って思い始めたのは、たぶん『TWISTER』のちょっと前頃から(笑)。ずっと思っていたけど、それをどうやったら10-FEETにできるかなっていうのに取り組み出したのはそこやったと思う。

●それは日本語で歌うことと関係しているんですか?

TAKUMA:日本語に対しての意識は『springman』(2002年4月)からあったんですよ。でも日本語で何かを伝えられるっていうのがわかったときに、何をするべきかっていうのがおぼろげに見えながらずっときていたけど、例えそれがわかったとしても結局どうしたらいいのかがわからなかったんですよ。

●なるほど。

TAKUMA:自分なりにわかった気がしていたけど、その表現に挑戦したところで結局説明がなかったり経緯がなかった分、周りには伝わらなかったし、当然そういう結果だったんですよね。

●うんうん。

TAKUMA:でもそこで元に戻って前からのやり方でずっとやっていたら、ひょっとしたらバンドを辞めていたかもしれんし、続かへんかった気もするんです。それから生まれたいろんな楽曲以外の物語も起こらへんかったような気がしていて。

●ほう。

TAKUMA:結構自分たちのど真ん中にあるものをそのまま伝えても伝わらないっていう結果が出て。そのときに、これは僕だけじゃなくて、メンバーも含め一緒に温度が上がっていったり、一緒にその感覚になっていかな無理なんかもしれんと思ったんです。そう思った瞬間に“あ、10年かかるな”と思ったんですよね。

●それが『TWISTER』のとき?

TAKUMA:『ライオン』(2006年2月)ぐらいかな。「ライオン」という楽曲は当時そういう答えがあったんですけど、答えしかなかったんですよね。「僕らはこういうことがあって、こういうことを伝えたくてちょっとずつ伝えてきてこうなりました」じゃなくて、いきなり「こうなりました」だったから伝わらなかったんです。そのときの自分らの技術も知識も経験も表現の仕方も、ちょっと早かったなって。“間違っていた”じゃなくて“早かった”なんですよね。

●なるほど。

TAKUMA:というのは、「ライオン」はあのときよりも5年も6年も後の方がライブで盛り上がるようになったから。他の曲を見たら新曲を出した直後がいちばん盛り上がるっていう例が、結構たくさんあるんですよね。でも「ライオン」はリリース直後ではそれほど感じられへんかったし、そういう数字もあのとき出たから。

●はい。

TAKUMA:でもそれが後から評価されたりして、確信を持って気付けたというか、“きっとそういう表現が僕ら3人にはできるんや”と思ったんです。常にそれをKOUICHIとNAOKIは横でプレイヤー目線でもありお客さん目線でも見てくれていたし、曲を元から発案せえへん分、2人からはシュミレーションしたお客さん目線じゃなくて、ライブハウスで観ている人の気持ちという部分で本当にリアルなものをもらえていたから。

●ふむふむ。

TAKUMA:だからこそ、感情の熱というか、感覚で3人が同期せえへんかったらいいもんができへんなとも思ったし、みんなにも伝わらへんなと思ったんですよね。そこから出したシングルが『STONE COLD BREAK』(2007年4月)『goes on』(2007年11月)『1sec.』(2009年3月)『super stomper』(2009年7月)『hammer ska』(2010年9月)『その向こうへ』(2011年11月)とあったんですけど、『TWISTER』以降のアルバムには常に「風」みたいな存在が絶対にあったんです。アルバム『VANDALIZE』(2008年2月)の「BEAUTIFUL WORLD」や「雨」もそうやし。それがより10-FEETの真ん中に寄ってきて出てきたのが「風」で。それからパンクとか“10-FEET感”っていうのを削ぎ落とした部分の、裸の10-FEETな感じで「蜃気楼」が出てきて。そのちょっと前に削ぎ落とされたものと、今までの10-FEETのアグレッシブな部分が奇跡的に合致したのが「その向こうへ」。その先だからこそ、「アンテナラスト」は異端じゃない感じになってる。そういう経緯がなかったら、たぶん異端なんですよ。

●経緯と積み重ねがあるからこそ生まれた曲だと。

TAKUMA:アルバムに入れて、作って、聴いてもらって…っていうのをチーム内でも観にきてくれている人に対しても、物語を作って聴いてもらわないと、たぶんそこには理解がいかへん…「いかへん」ってネガティブな言い方やけど…そこからやっていくことは、やりがいやったんですよね。

●ずっと挑戦してきたことなのか。

TAKUMA:「風」は、『TWISTER』のときにそういう答えが出ていなかったら、もうちょっとあの曲自体も形を変えて「LITTLE MORE THAN BEFORE」(アルバム『4REST』収録/2005年5月)とか「kokoro no naka」(『TWISTER』収録)みたいな位置に行ったかもしれない曲やと思うんです。それがそうならんようになったのは、上手く10-FEETでパンクロックしたりミクスチャーしたりするっていう経験もあったからやと思うし、何よりライブをいっぱい積んできたから、ライブで得た血液が流れていたからやと思うんです。

●うんうん。

TAKUMA:アルバムの一節でしかなかった曲が、今では割とライブでも中心になるようになって、「1sec.」とかがある中ですごくライブでいい経験になっているから、僕自身も「アルバムのツアーだけのセットじゃなくて、フェスとか他のイベントみたいな短い時間でもできる曲にしていったらたぶんすごくおもしろいし、次の作曲ももっと広がると思う」という話を、セットリストを書く度に何回もメンバーと話してきたんです。それがあったから「蜃気楼」ができて。

●繋がっている。

TAKUMA:「蜃気楼」ももともとは「アルバムのツアーはやってええんちゃう?」みたいな感じやったんですけど、話し合って熱く語って語って、今はフェスでも「蜃気楼」と「風」がおもしろいポジションでできるようになってきて。その経緯がなかったら、「アンテナラスト」は生まれもせえへんかったと思う。

●土俵にもあがってなかったと。

TAKUMA:たぶん作れへんかったと思います。実際のところ、「アンテナラスト」を作るか作らへんかでも2回くらいみんなで会議をしたんです。後はNAOKIを呼んで、サシで京都の喫茶店でずっと話をして「作りたいと思うねんけど、どうやろう?」みたいな話も何回も重ねて。

●歌詞のやりとりもけっこうしたみたいですね。

TAKUMA:何パターンか作って「どう思う?」って2人の反応も見たかったし。ただ「僕はこれがいい」ということは、あまり言わなかったんですよ。僕から見てNAOKIに対して思ったのは…そのときのことをよく覚えてるんですけど…「この中やったらこれがええと思うねん」と僕が言ったら、「なるほど」って言いよったんですよ。めっちゃ覚えていて。

●ほう。

TAKUMA:歌詞が何パターンか候補がある中でNAOKI的に「これがいい」っていうのがあった気がするし…それはNAOKIに訊いたことがないから実際のところはわかんないですけど…たぶんその中でどれが入ってもおかしくないようなものは作っていたものの、その中でも「これが好き」っていうのがNAOKIは他にあるやろうって思っていたんですけど、そこで僕が「俺はこれやと思う」って言ったら「なるほど」と。そこでもっと突っ込んでくるかなと思って待ったんですけど、言いよらへんかったんです。

●はい。

TAKUMA:言わなかったことを、僕は勝手に小さく人知れず感動していて。

●感動したというのは?

TAKUMA:この話は完全に憶測で確かめてないから実際のところはからわかんないし、いつもやったら更に訊くんですよ。「これはどう感じた?」みたいな。でもそれを訊かずに進めた理由は、“TAKUMAはこういうの得意やし、自分はこっちの方が好きやけど僅差やし任せたらいいかな”なのか、“こういうこと言い出したらTAKUMAは言うこと聞かへんし、好きにやらせてあげたい“なのか、そのどっちかはわかんないですけど、どっちの理由でも感動したから訊かなかったんです。

●自分の意見を主張する以前に、TAKUMAくんの感覚を信頼して委ねてくれたということですよね。

TAKUMA:そうですね。もしかしたら“TAKUMAは言い出したら聞かへん”みたいな妥協もあったかもしれないけど、その妥協も100パーセントの妥協じゃなくて、信頼なのかなって。よっぽどあかんかったらあいつは絶対に言いよるから。でもそれがなかったから、変な話、そこに妥協があった分だけ僕は感動して、“絶対にええ曲にせなあかん”みたいな気持ちになってたんです。

●そういう感動ですか。おもしろい。

TAKUMA:で、KOUICHIは割と委ねてくれていて。あいつは今回のCDがまだ完成していないときに、歌詞を見ながらデモを聴いて「小説を読んでいるみたいな気持ちになった」と言ったんです。それだけやったんです。そこには良い悪いもなく、それだけ言いよったんのもめっちゃ印象的で。KOUICHIがそう言ったその場所も時間も全部覚えているんですけど、そのときも僕は言及せえへんかったんです。“あ、これでいいな”と思って。全員じゃなくても、KOUICHIと同じように思う人がおったらそれでええと思ったし。

●へぇ~。

TAKUMA:とはいえ、この楽曲を作るか作らへんかっていうところで結構衝突したから、やっぱり説明したり熱く説いたり説得したりっていうのが「何年もやってきてるんやからわかれよ」じゃなくて、ちゃんと言わなあかんっていう意識はあったんですけど。

●TAKUMAくんはずっとそうでしたよね。インタビューでもMCでも、同じことを何回も何回も言ってきて。それが本当に大切だということは、今の話を聞いてすごく思う。

TAKUMA:できるときとできひんときが絶対にあると思うけど、こういうことに関しては僕はめちゃめちゃ直感があったんです。“これは絶対に楽曲にせんと、一生後悔する”と。

●「10年前に思ったことが形になるかも」という直感ですか?

TAKUMA:うん。“今かもしれん”と思って。これは完成させなわからんし、完成させずに終ったら一生後悔するかもしれんと思ったから、プライベートの時間を使ってサシで話をしたり説得したりする時間もちゃんと作ってきたんです。だからこの曲うんぬんよりも、そういう時間を取ってサシで話したことも、“曲を作る”という向上心に対してクリーンなモチベーションが絶対に生まれたはずやし。これができたのは僕の自己満足じゃなくて、“たぶん今はこれや”っていう確信が僕の中にあったから説得もできただろうし。正直に言うと、この曲を作り始めるときは、制作時間的に締切ギリギリでかなりの制限があったんです。周りは「本当にこの曲作るの?」みたいな感じになっていて。

●「マジすか…」みたいな。

TAKUMA:はい(笑)。最終ジャッジのときとかも、この曲をやるんだったらドラムを録るのに全部合わせて2時間しかない、みたいな。言ってみれば「これをやったらこれができなくなる、それでもやりますか?」という選択を迫られたんです。

●ギリギリですね。

TAKUMA:そこでいけたのは、確信と準備といろんな話をしてきたことがあったからやと思います。まだ形になっていないものを制作の場で説明するには限界があるんですよね。それが40%なのか80%なのかわかんないですけど、100%じゃない説明で首を縦に振ってもらおうと思ったら、そのときの熱意と雰囲気だけでは限界がある。しかもそれで良いものを作ろうと思ったら、チーム全体がやる気にならんと無理やし。だからひとりひとりと話をしたり、間が空いたらそういうことを一生懸命伝えていたのがよかったなと思います。

●10-FEETの音楽とかライブってずっとそうでしたよね。何回も何回も言い続けると、いつしかそれが当たり前になっているというか。昔は説明過多という風にも受け取られたりすることもあったと思うけど。

TAKUMA:説明過多になると、理屈っぽくなるから逆効果のときもいっぱいあるんですよ。言葉足らずでないと伝わらないときがいっぱいある(笑)。

●お。「アンテナラスト」のフレーズ出た。

TAKUMA:だから僕は説明をするときとか、そういうことを口にするときって“そこまで言わんでもわかってるって”と思われるようなこともきっと言っているんです。そういう空気感はメンバーからもスタッフからも感じてる。

●でも何回も言ってきましたよね。

TAKUMA:周りの協力なしには無理やから、そこは熱意とかを絶対に伝えなあかんのですよね。絶対にそれで迷惑がかかるから。

●すごいな。

TAKUMA:でも僕は特にワガママというか“言わんでもわかれよ”みたいな場面も多くて、“手放しに協力したい”と思ってもらえるような人間だなんてこれっぽっちも思っていないし、“あ、今面倒くさいとか説明がましいって思われているな~”と思いながら言っているときもいっぱいあります(笑)。けどそれはやっぱりせなあかんと思う。

●「アンテナラスト」は今までの経緯やいろんな曲ができた上でやっと形になったということですけど、今までの10-FEETのことを知らなかったとしても、聴いた瞬間に響く強さとか伝わるエネルギーがあると思うんですよね。

TAKUMA:制作でめっちゃ追いつめられているとき、曲の展開や歌詞が思い浮かばへんってなって、気がついたら飲食店の路地裏みたいなところを歩いとったんですよ。

●え? 彷徨ってたんですか?

TAKUMA:僕は歩いてメロディを考えたり歌詞を書いたりってことがよくあるんです。で、この曲を制作しているときに煮詰まって路地裏を歩いてて、“あ、この曲でもう歌詞書けへん”と思ったんです。そのときに、僕のじいちゃんとばあちゃんが今年続けて死んでしもうて、それを思い出してしまったんですよね。

●ほう。

TAKUMA:そのことを歌ったらフォーカスが寄り過ぎた物語になるかもしれんけど、それで試しに歌詞を歌ってみたんですよね。その歌詞が、割とそのままCDになった。

●確かに歌詞はかなりパーソナルな内容ですけど、そうだったんですね。

TAKUMA:ばあちゃんとの話を書いて、歌詞を書いているときにボロボロと泣いてしまって。結局ばあちゃんにあれだけ可愛がってもらっといて、最後の別れ際に何も返せへんかったなとか。それでボロボロ泣いて、楽曲なのか日記なのか手紙なのかわからんけど“返したい”って思ったときの言葉が出てきて。

●うんうん。

TAKUMA:で、スタジオに戻ったんですけど、こういうのって思い出に酔っ払ってるときやし、夜に書く手紙と一緒で“たぶんこういうのを歌詞にしたらあかん”と思ったんです。自分の中だけに留めておこうと。というのは、僕はフォーカスの寄り過ぎてない歌詞にこだわってきたし、それによってみんなの歌になるということに信念を持ってきたし、僕自身もそういう歌に支えられてきたから、常に自分なりの景色や自分にとっての大切な人の歌になるように、それが誰なのかっていうのをなるべく限定させない表現にしたくて。だけど“ありがとう”とか“愛”のような言葉だけだったら、広過ぎてよくわからんポジティブ性になってくるから。

●はい。

TAKUMA:“どういう意味やろう?”と思う言葉とか。そこにこだわってきたから、“これはあかん、辞めよう”って思ったんですけど、不思議なものでメロディに合わせて考えた歌詞って今まであまり不採用になったことがなくて。ひょっとしたら言葉も含めて音楽的にも出てきたのかもしれないなって。メッセージの内容もアンサンブル化することができる天性のものがこの歌詞に備わっとるんかもと思って、過去の僕やったら絶対にメンバーにも見せない歌詞やったんですけど思い切って見せたら、別に引いてへんかったし。だから“あれ?”と思って。

●なるほど。

TAKUMA:“母の帰りを待つ私に”というフレーズは、そのときはまだなかったんですよ。それだけ抜いたら恋愛ソングに聴こえるみたいな感じもあって。でも個人的なばあちゃんのことがきっかけでも、“ばあちゃん”とさえ言わんかったら10-FEETになるかもと思ったんです。それで書いてみたら、人によってはお父さんやばあちゃんやじいちゃんって思う人もいたり。これはすごく限定的なようで、実はいろんな人の曲になってくれる大きい曲なのかもしれんと思って。それで進んだ部分はありますね。

●なるほど。でもフォーカスが寄っているからこそ伝わるスピードや刺さる深さが強くなったという部分もあると思うんですよね。極端に言えば共感しなくても、気持ちが強い曲かどうかは伝わるというか。特にライブバンドは、背景にどれだけの気持ちがあるかは曲を聴けばわかる。

TAKUMA:パーソナルだったりフォーカスが寄っているものは強いとは僕も思っているんですけど、それでなおかつ、「アンテナラスト」の歌詞は、ひとつひとつのフレーズが割と違うシーンなんですよね。シーンも時系列も主人公の年齢も違う。もちろん全部“あの頃”っていう感じで歌ってはいるんですけど、オケがそれをちゃんと混ぜてくれてんのかなと。

●確かに。

TAKUMA:シーンごとで楽曲のカラーが豹変し過ぎなんです(笑)。だから“はたして散漫にならへんのかな?”と思ったんですけど、それこそKOUICHIが言っていたように小説とか映画みたいに映像っぽく変わっていくから成立したんやなと思っていて。

●まさに自分の子供の頃からのアルバムを見ているような感覚というか。ずっと想っていたことが形になってよかったですね。

TAKUMA:ほんまによかった。着手し始めてからは、みんなめっちゃ前向きにやってくれたし…やってくれたというか、それこそ自分のことのように目の色を変えてやっていたから、そこに感動もしたし。タイミング的に時間もお金も段取りのやり直しも、さすがに大変さがわかるというか。いちいち伝えて、ありがとうっていう意味も含めてやっていかないと後悔するなとも思ったし、そうしていかな完成せえへんと思っていたから。いっぱいそういう話をする場面があったことと、そのための準備とか環境を、スタッフやエンジニアさんにはすごく迷惑をかけましたけど、みんなで一緒に話し合って進んだんですよね。あまりそういうことはないんです。だから結構思い入れが深いです。

●いい話ですね。

TAKUMA:「これどうすんの?」みたいな待ったがかかるときも、全部前向きやったり、「やるんやったらやりまっせ」っていうみんなの気持ちが常にキープできていたし、そういう気持ちでみんな取り組んでくれはったから。いちいちそこに「ありがとう」を言うタイミングがなかったから言ってなかったですけど、「ありがとう」を“これはやらなあかんな”というパワーに変えられたのはよかった。

●今回の制作は、後々の10-FEETにいろいろといい影響がありそうですね。

TAKUMA:みんな協力的で前向きで、しかも僕らがちゃんとジャッジできへんところも捕足してガードレールを作ってくれてという感じでした。先を見越してレールを敷いてくれる感じとか、このチームでよかったなっていうところですね。今はお立ち台で原口選手(阪神タイガース)みたいに「スタッフのおかげです」って言いたい。「ブルペンキャッチャーのおかげで…」みたいなこと言いたい。

●ひとりひとりに対して。

TAKUMA:ひとりひとりに対して言って、ひとりひとり活字で書いてほしい(笑)。

interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:森下恭子

 

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