音楽メディア・フリーマガジン

ROTTENGRAFFTY

主役全員が作り上げた最幸の場所

TOWER RECORDS presents FIST BUMP vol.3
ROTTENGRAFFTY × 東京スカパラダイスオーケストラ
〜ロットンの日の乱〜
2016/6/10@京都KBSホール

main_16610 タワーレコードが仕掛けるガチンコ対バンイベント“FIST BUMP”。過去には氣志團とキュウソネコカミ、グッドモーニングアメリカとゴールデンボンバーなど、ジャンルや世代を超えて様々な共演を実現したイベントの第3弾がこの日、京都KBSホールにて行われた。

先攻は東京スカパラダイスオーケストラ。1.2.3.4.とカウントを取ると、いきなり大定番ナンバー「ルパン三世'78」でオーディエンスを熱狂の渦に叩き込む。曲終わりの拍手の鳴り止まないうちに小気味よいビートが刻まれ「スキャラバン」が始まると、拍手はそのまま陽気なハンズクラップに変わっていった。ソロパートでは各メンバーが圧倒的な演奏力でオーディエンスのテンションを高めたり、「DOWN BEAT STOMP」ではノリの良い裏打ちで足を踏み鳴らすように踊らせたりと、音だけで繋がれるような純然たるグッドミュージックを次々と繰り出していく。

ここでKey.沖祐市がアコーディオンに持ち変え、情感たっぷりに弾き上げるとロシア民謡のアレンジ曲「ペドラーズ 2014」へ。サウンドの重厚感がありつつも、軽快なリズムやトースティングに感化され、みるみるうちにボルテージが上がっていく。さらにB-Sax.谷中敦が「意識していないけど、今日は(楽しみにしすぎて)早起きでした」と、いかにこの日を待ちわびていたか語り、自身と同じく今日を楽しみにしていた人々へ向けて「ゴッドファーザー愛のテーマ」を投入すると、戦うようにフロアとステージの双方のエネルギーがぶつかり合いすさまじい熱気を生み出していく。

MCに入ると、ROTTENGRAFFTYとのエピソードを語る谷中。“京都大作戦”がキッカケで知り合った2バンドということで、彼らが出会う立役者となった10-FEETとのコラボ曲「閃光」を、この日は特別にロットンのVo.NOBUYA&Vo.N∀OKIの2MCが担当! 同じ京都の盟友である10-FEETのパートを彼らが務めるということが、何だか妙に感慨深い。ライブも終盤に差し掛かったところで、「Can't Take My Eyes Off Of You -君の瞳に恋してる-」を披露。琴線に触れるメロディアスな部分もあれば一気に駆け抜けるようなハチャメチャな個所もあり、展開が目まぐるしく変わっていく。そんなカラフルな楽曲を、彩り鮮やかに表現するアレンジセンスには脱帽。老若男女国境越えて愛される、“TOKYO SKA”の魅力を全身で味わい尽くす。

「610行進曲」をSEに入場したROTTENGRAFFTY。6月10日は“610(ロットン)の日”として、2005年から毎年イベントを開催してきたこともあり、今日はファンにとってもメンバーにとっても特別な思い入れがあるに違いない。「気付けば11年、ここまで来たぜ。今日は今日しかねえから、今日を使いきれ」とN∀OKIが声をかけると、負けじとNOBUYAも「お祭りはいちばんアホになったもん勝ち。かかってこいや!」と煽る!

「世界の終わり」で激しく唸る重低音に当てられてトランス状態に陥り、「IMPOSSIBLE IZ NOTHING」の鋭いイントロで覚醒したかと思うと、すかさず繰り出された腹の奥そこまで響くサウンドに再び酔いしれる…5人の生み出す音には、人を酔わせる何かがあるのだろうか。続く「響く都」は、祭り囃子のような音に誘われて自然と手を挙げて踊り出す。和のテイストを持った独特なメロディが、日本人の血を沸き立たせるようだ。また「D.A.N.C.E.」のようなクラブナンバーになると、今度は上下に揺れるオーディエンス。幅広い音楽性を有した彼らのライブは、楽しみ方もそれぞれ多様性があって面白い。

ここで再びセッションタイム。スカパラの面々が登場し、「今夜はブギーバック」を披露する。カバー曲でありながら、スカパラの演奏によるアダルティなムードとロットンの2MCによるフリースタイルが融合し、今日この瞬間にしかない特別な歌ができあがる。感極まったNOBUYAが谷中に飛びつくなど、他ならぬメンバー自身が非常に楽しんでいる様子が見られたのも印象的だ。その後は「e for 20」を経て「アンスキニー・バップ」と繋げていく。“誰もがスーパースターだ”と叫ぶその歌を聴くと、ステージの上はもちろん、ミュージックラバーのひしめくフロアまでがこれほど輝いている理由がわかった気がする。感情が溢れ出し凄まじい大合唱が広がっていった「金色グラフティー」、NOBUYA曰く「ずっとライブで作り上げてきた曲」という、ライブと共に生きるロットンの生き様が刻まれた「This World」。本編が終わりオーディエンスの声が鳴り止まない。再び登場したメンバーから『ポルノ超特急2016開催決定!』の発表が行われた。今年は2Daysと発表されオーディエンスの興奮も再沸騰し、アンコール1曲目には「マンダーラ」KBSホールのステンドグラスが一番似合う曲だ。そしてラストは「Bubble Bobble Bowl」で今一度スカパラメンバーを呼び込み、大人数の迫力ある演奏をぶつければ、それに応えるようにフロアからシンガロングが巻き起こる。オーディエンス自身もみなそれぞれ主役として輝き、余すことなく多幸感に包まれた会場は、このイベントが全員で作り上げられたことを証明していた。

TEXT:森下恭子

 

 

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj