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リーガルリリー

平均年齢18歳の少女たちが放つ鮮烈なる音は心の深奥まで震わせていく

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東京を中心に活動する平均年齢18歳のガールズ・3ピースバンド、リーガルリリー。TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」主催“未確認フェスティバル 2015”で準グランプリを受賞し、“BAYCAMP 2016”にも出演を果たすなど注目度が高まっている中で、彼女たちが初の全国流通盤ミニアルバム『the Post』をリリースする。空想のようでリアルな世界観を生み出す独特な歌詞と、耳にスッと流れ込んでくるメロディと歌声は一度聴けば心を捉えて離さない。ダイナミックかつ壮大な音の渦に観客を巻き込むライブパフォーマンスと合わせて、今絶対にこの音に触れておくべきだ。そう断言してしまえるほどの、鮮烈なる才能との出会いがここにある。

 

「どの曲の歌詞も全部、報われないんですよ。全部報われないんだけど、“温めてくれる誰かが隣にいたんだ”という感じですね」

●リーガルリリーはほのかさんとゆきやまさんが高校2年生の時に結成したそうですが、3人の出会いとは?

ゆきやま:私が高校の時にやっていたバンドと、ほのかの弾き語りで対バンしたことがあって。その時に初めて出会ったんです。

ほのか:それよりも前に、はるかちゃんとは一緒にライブをしたことがあって。

はるか:リーガルリリーの前身バンドみたいなもので、一緒にライブをしたことがあったんです。「バンドをやりたいんだけど、ベースを弾いてくれない?」みたいな連絡が来て、1回だけライブをしました。

●連絡をしたということは知り合いだった?

はるか:対バンで知り合っていたんです。私は小学6年生の時にバンドを始めて、その頃からもうライブハウスにも出ていて。

ほのか:最初は弾き語りで出る予定だったんですけど、バンドで出たいなと思って。ドラムはいたんですけどベースがいなかったので、はるかちゃんに頼もうって思いました。その時も既にオリジナル曲をやっていて、リーガルリリーの曲もやっていたんですよ。

●ほのかさんはいつ頃からライブを始めたんですか?

ほのか:高校1年の10月に、初めてライブハウスに出ました。はるかちゃんやゆきやまとも出会ったライブハウスがあって、そこ主催のイベントに応募してコピーバンドで出たんです。その頃からガールズ・3ピースバンドが組みたいなとは思っていたんですけど、当初は1人で弾き語りで活動をしていましたね。

●元々、音楽は好きだったんでしょうか?

ほのか:父親が音楽好きで元々バンドをやっていたりもして、家でギターを弾いたりしていたんです。父親はSUM 41やMETALLICAとかGUNS N' ROSESが好きでよく聴いていたんですけど、私は当時まだ音楽の良さがわからなかったのでそんなに好きじゃなくて。…ギターもめっちゃダサいと思っていたんですよ。

●ギターはダサいと思っていたんだ…。

ほのか:家にあったアコースティックギターの形がちょっと許せなくて…(笑)。そこから“ダサい!”って思っていました。

ゆきやま:ひょうたんみたいな形が許せなかったんだよね(笑)。

●ギターは比較的そういう形のものが多いと思いますけどね(笑)。そこからギターを始めたキッカケとは?

ほのか:私、本当はドラマーになりたかったんですよ。小学4年生の時にドラマーになりたいと思ったんですけど、父親に「ドラマーでは食べていけない」と言われて。

●とても現実的な意見が…(笑)。

ほのか:そこで“ああ、そうなんだ。ドラマーにはなれないな”と思って諦めたんです。その後、中2の時にお母さんとカラオケに初めて行ったんですけど、そしたら歌がとても楽しくて。“ドラムじゃ歌えないけど、ギターならいつ歌っても変じゃないし…”っていうところから、ギターを始めようと思いました。

●歌うためにギターを始めたんですね。

ほのか:そうですね。でもそこからやっていくうちに、ギターもどんどん好きになっていって。最初にまずGreen Dayの「21 Guns」という曲をやってみたら、すぐに弾けたんですよ。それで“楽しい!”となりました。

●最初から曲作りもできたんですか?

ほのか:父親に「ライブをやるんだったら、オリジナルをやらなきゃ意味ないよ」と言われたので、曲を作ってみようと思ったんです。それで“曲の作り方”をGoogle先生に相談したら(笑)、「まずはコードから」と言われて。使うコードは何でも良いということだったので、「21 Guns」とMr. Bigの「To Be With You」のコードを使って最初の曲は作りました。結構すんなり作れたので「こういうものなんだ」っていう感じでしたね。

●歌詞も最初から書けた?

ほのか:いや、最初は歌詞を書くというよりも、言葉をそのままメロディに乗せていく感じでした。大まかな意味も考えながら、メロディと歌詞を一緒に決めて。後から「この表現のほうが良いな」と思って、変えたりはしますけどね。

●歌詞には普段思っていることが出ていたりする?

ほのか:思っていることというか、メロディと一緒に(言葉が)浮かんでくるんです。そこはすごく奇跡的なところがあって…、(歌詞に関しては)あんまり言いたくないんですよ。言ってしまうと、そういうのって効き目が薄まる感じがするから。

ゆきやま:秘密で(笑)。

●音に呼ばれて出てきた言葉を歌詞にしているというイメージでしょうか?

ほのか:それです! でも日々、iPhoneのメモに“中二病”みたいなことをいっぱい書いてはいて(笑)。

●それが歌詞につながったりもする?

ほのか:たまにつながります。

●作詞作曲は今のところ全てほのかさんが担当しているわけですが、そこに対する信頼感は大きい?

ゆきやま:そこの信頼は、絶対的なものがあります。たまに自分で曲を作ったりすると、「ほのかってすごい!」って実感しますね(笑)。

はるか:私は、ほのかちゃんの作る曲が普通に好きなんです。M-3「リッケンバッカー」は、電車に乗っている時にほのかちゃんから弾き語りの音源が送られてきて。その場で聴いたんですけど、電車を降りて自転車で帰っている時にはもう歌えちゃっていたので「これはヤバいな!」って思いました。

●それだけ即効性のあるメロディやフレーズだと。

はるか:毎回「はぁ〜、すごいわ〜」ってなりますね(笑)。弾き語りの状態でもすごくグッと来るものがあります。

●「リッケンバッカー」の最後に出てくる“ニセモノのロックンロールさ。ぼくだけのロックンロールさ。”というフレーズがすごく良いなと思って。これは他人から“ニセモノ”と言われても自分なりのロックンロールをやっていくんだという強い気持ちの現われなのかなと。

ゆきやま:その2行、すごくグッと来ますよね。

ほのか:歌詞の意味に関しては色んな捉え方ができるだろうし、人それぞれで考えて欲しいなと思っていて。実際“こうなるかな”と思いながら書いているわけではないので、自分ではよくわからないんですよ。“この言葉は(聴く人に)響きそうだから使おう”とかは考えていなくて、“この表現は良いな”と思ったものを使っているだけだから。

●そういう表現に出会うために、普段から本を読んでいたりもする?

はるか:ほのかちゃんが一番、本を読んでいるよね。

ほのか:M-2「ぶらんこ」は、ある本を読んで作った曲なんです。

●この曲には“ライカンスロープ”という言葉が出てきますが、“狼男”という意味なんですよね。その本に出てきたりするんですか?

ほのか:いや、その本には出てこないです。たまたま知っていた言葉が出てきた感じなのかな。その本と「ぶらんこ」に共通して出てくるものは“月”しかなくて。そこから色々と浮かんできて、夜に書きました。

●“マフラーまいてきみはでかけた。”という歌詞を見て思い出したんですが、YouTubeにアップされている「スターノイズ」のMVに出てくる男性もマフラーが特徴的ですよね…?

ほのか:実はちょっとつながっているんです。だから「スターノイズ」の入っているCDのタイトルを『リカントロープ』にして、「ぶらんこ」の入っているほうを『ライカンスロープ』にしていて。

●2枚の会場限定CDにどちらも“狼男”という意味のタイトルを付けていたのは、そういう意味があったんですね。

ほのか:“つづき”みたいな感じで付けました。“作品として続いていますよ”っていうことですね。

●今回のミニアルバム『the Post』のタイトルはどういうイメージから?

ほのか:私がバイトへ行く時に自転車で走っている通りに、(米軍の)基地があって。そこにポストもあるんですけど、それを見てひらめきました。ポストって、一方的に言葉を投函されるものじゃないですか。お地蔵さん並みに色んな念を送られているなと考えたら、ただ見過ごせるものじゃないなと思ったんです。(手紙に込めた)色んな想いがポストの中にはあって、このアルバムの中にもそういう色んな想いが入っている…みたいなイメージで付けましたね。

はるか:M-1「ジョニー」の“冷めきったままの手紙、どうか。君の街へと。”にもつながっているんですよね。

●このアルバムを通して、楽曲に込めた想いが誰かに届いて欲しいというか。

ゆきやま:“届くところに届け”って思います。

●初めての流通盤となるわけですが、作り終えてみて今作はどんな作品になったと思いますか?

ゆきやま:今までの作品と比べたら、1つ1つが強いなと思いながら聴いていました。色んな顔があって、今までよりも色が濃くなっているというか…。ちょっとバターが入った感じがします。

●…バター?

ゆきやま:シチューっぽい感じですかね。シチューって冬に食べるイメージがあって、クリーミーで油の入っている感じがするじゃないですか。あと、具だくさんだし、そういうイメージと重なるんですよね。

ほのか:冬の感じ?

ゆきやま:そう、冬の感じ! 元々リーガルリリーの曲ってどこか切なさというか、心臓が“あぁ〜!”って締めつけられる感じがするんですけど、そういうものが凝縮されたシチューみたいな感じですね。

●切なさを凝縮したシチューみたいな作品ということですか…?

ほのか:どの曲の歌詞も全部、報われないんですよ。全部報われないんだけど、“温めてくれる誰かが隣にいたんだ”という感じですね。

ゆきやま:“寂しいけど、温かい”みたいな。

ほのか:寂しくないと、温かさも感じないじゃないですか。だから、そういう温かみのあるミニアルバムになっていたら良いなと思っています。

●自信のあるものになった?

はるか:毎日聴いています。私は普通にアーティストとして、リーガルリリーが好きなんですよ。1曲1曲が推し曲というか強いものになっているので、本当に全部聴いて欲しいですね。

ゆきやま:今のリーガルリリーっていう感じもすごく出ているし、今までのプロセスもちゃんと詰まっている感じがするなって、聴きながらすごく思いました。“今”感がすごく強いです。

●今は色んなことをどんどん吸収している時期だと思うので、これからも変わっていくのかなと。

ほのか:変わりたいですね。大人になった時が楽しみなんですよ。30歳くらいになった時が楽しみです。

●30歳なんだ…(笑)。

ゆきやま:そこが人生の一番美味しいところだと思うんですよ。

ほのか:その時にどういう音楽をやっているのかなって思うと楽しみですね。

Interview:IMAI

 

 
 
 
 

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