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オトループ

言葉にならない想いを描き出すように 彼らの音は心の中で反響し続けていく

“既読スルーにモヤモヤする気持ち”や“恋愛における血液型あるある”などをテーマにした楽曲でSNSを中心に話題と共感を提供してきた3ピース・ギターロックバンド、オトループ。昨年11月にはライブ会場限定でミュージックカード形式EP『Kicoca』を発売するなど新たな試みにも挑んできた彼らが、初のフルアルバムを完成させた。『反響定位』(※音の反響を受け止め、それによって周囲の状況を知ること)と名付けられた新作は音を介して、闇も含めた人の心の有り様を描いてきた彼らの現在点を表しているかのようだ。互いに切磋琢磨しながら、次なるステージを目指して一丸となった3人の想いに迫るインタビュー。

 

「今も昔もこれからもたぶん俺が歌を作ったり生きていく上でのテーマかなと思うんですよ。“もっと伝えたいんだけど、何と言ったら良いのかわからない”というのは日常でも感じることですし、自分の中にある普遍的なテーマが書けた歌だなと」

 

●前作のミニアルバム『カメレオンは何も言わない』から、現体制になったわけですが。

纐纈:前作から今の3人になって1年半くらいが過ぎたところなんですけど、現体制での2作目になる今作『反響定位』ではこれまでと意識も全然違っていて。みんなで意見を言い合うことが多くなりましたね。元々は僕から「オトループの世界観を表現して下さい」という感じだったんですけど、このメンバーになってからは「自分はこういうふうにしたい」という意見がどんどん出てくるようになったんです。それについて、お互いに意見を言い合える良い環境になったと思います。

●この3人で1つのバンドという感覚が生まれたというか。

纐纈:そういう感じになりましたね。

吹原:去年初めてワンマンツアーをやったんですよ。1,000円のミュージックカード形式EP『Kicoca』を発売して、それを購入して持参した人は無料でワンマンライブに入場できるという企画で。曲はYouTubeで色々広まっていたんですけど、実際にライブへ来て僕らの音に直接もっと触れて欲しいなというところで、そういうチャレンジをやったりしていました。

●そういう試行錯誤をしていた1年だった。前作では1曲だけだった小鹿さんによる楽曲も、今回は3曲に増えているわけですが。

小鹿:今回はフルアルバムということで、全部で11〜12曲というイメージで制作を始めたんですよ。自分もメンバーとしてガツガツ主張していこうということで、去年の4月頃から曲を作り始めて。メンバー2人からも「それはオトループとして、ちょっと違うんじゃないか?」という意見を遠慮なく言ってもらって、思いっきり方向転換した曲もありましたね。そうやってメンバー同士でぶつかり合って作れたという意味でも、前作の時より濃い時間が過ごせたんじゃないかなと思います。

吹原:デモの段階では「これをオトループでやるの?」みたいなものもあったんですよ。でも今までと違うアプローチでそれぞれが解釈してやってみたら、だんだん「あれっ…良いね!」みたいな瞬間があったりして。「こんなこともできたんだ!」っていう発見もお互いにありましたし、結果としてオトループらしくまとまったのかなと。

●最初はちょっと違うと思ったものでも、3人で揉む中で自分たちらしくなっていった。

吹原:それは(小鹿)淳の曲だけじゃなくて、纐纈の曲でもありました。前作を作ったことで自分たちのやりたいことが、よりはっきりしたというか。“この3人でできる最高のものはこれなんじゃないか?”というものが前作で見えて、『Kicoca』と今作でそれを具現化できるようになったんじゃないかな。

●やりたい方向性が明確になったんですね。

纐纈:小鹿の作ってくる曲には、良い意味でも悪い意味でもこだわりがすごくあるなと思っていて。でも実際に歌うのは俺なので譲れないところはあって、そこは納得いくまで意見を言ったんですよ。「ここはこうして欲しい」とか逆に「ここは変えたくない」ということを話し合ったりして。クリエイター同士として切磋琢磨したことで「俺のほうが絶対に良い曲を書こう!」という気持ちにもなったし、バンドにとって良い化学変化が起きたと思います。

●やはり自分以外の人が書いてきた曲だと、共感できないものもあったりする?

纐纈:あります。自分にはない感情もあるんですけど、それもフロントマンとしてちゃんと自分の中で噛み砕いて伝えないといけないから。「これはどういう意味なの?」と訊いたり、「こういう方向性のほうが良いんじゃないの?」というやり取りはすごくしました。

小鹿:纐纈と話し合う中で勉強になることも多くて。成長させてもらいながら、良いものが作れたと思いますね。

●今作のM-6「Hit Me Silly」は小鹿さんの作った曲ですが、纐纈さんが歌っていても違和感のない内容だと思いました。

纐纈:誰の心の中にもあるテーマかなというところで、自分自身も腑に落ちた状態で歌えましたね。そこはやっぱり議論して良かったなと思います。

●この曲で描かれているような人見知りの面が実際にあるんでしょうか?

纐纈:ありますね。フッキー(吹原)と出会った影響によって、良い意味でどんどん適当になった部分はありますけど(笑)、元々は引っ込み思案なところもあったのですごくわかります。

小鹿:自分自身も今は殻を破れたところがありますけど、そういう時期は確実にありましたね。中高生の時とかって、自分が人見知りであることも自覚していなかったりするじゃないですか。でも自覚した時期があったからこそ、そこから抜け出せたという気がしていて。この曲が全国の人見知りの人たちの処方箋になれば良いなと思っています。

●“月曜日が嫌い”と歌うM-3「ブルーエストマンデー」も誰もが気持ちを重ねられそうな内容ですが、これも実体験に基づいている?

纐纈:実体験というわけではないんですけど、こういう感じである時急に死にたくなる瞬間があるというのはわかるので、そういう部分を重ね合わせて書いていった感じです。

●全てが実体験というわけではなく、1曲1曲に物語を描くような感じで書いているのかなと。

纐纈:まさにそうですね。1ソング1テーマというのはどんどん進化させていこうと思っているので、主人公が12人いるような感覚ではあります。

●そういう意味では小鹿さんが書いてくる曲によって、物語の幅も広がるのでは?

纐纈:それはありますね。でも全く自分に関係のないことは歌いたくないというのがあるので、共通点を探す作業はしました。たとえば俺は就職活動をしたことがないんですけど、M-8「人間エントリーシート」の中にあるような“認められないから自分には価値がない”と思うところはあって。そうやって共通項を探す作業は何回もやりましたね。

小鹿:僕も就活をしたことがあるわけではないので、この歌詞は想像で書いていて。社会人として働いている人にとっては、こういう時期があったから今があると思うんですよね。就活をしている時は「ブルーエストマンデー」みたいな暗い気持ちの時もあったと思うんですけど、その時期を経て今こうやって生きている。…ということを思い出して、“また明日から頑張ろう”という気持ちになってもらえたら良いなっていう。

●実体験ではないところも、想像力をふくらませて書いている。

纐纈:この曲に関してはフッキーさんが唯一の就活経験者なので、色々と話を聞いたりしましたね。

吹原:作詞もそうですし、ライブのMCやTwitterでの発信とかも含めて、“嘘を言うと伝わらないな”というのは最近メンバー全員が気を付けているところで。そこは淳が作詞したものを纐纈が歌う時も、議論になるところだと思います。「これは俺が歌うと嘘になる」というところは表現を変えたりしていて。ベースに関しても2人から「こういうフレーズを弾いてくれ」と言われたものでも自分が良いと思わなかったら、そのままは弾かなかったりするんです。“本当のことじゃないと伝わらないな”というのは最近すごく気を付けていますね。

●リード曲のM-1「ことばを知りたい」が顕著だと思うんですが、何か問題があるとして、その答えを明確に提示しているわけではないというのが今作の歌詞には共通している気がします。

纐纈:世の中の物事を見ていても、“絶対”というものはないのかなと思っていて。その人の答えというのはその人自身が見つけるしかないものだから、音楽にできることはその手助けだけというか。答えを導き出そうとする人の背中を押してあげたいという想いだったので、“答えはこれだ!”というのはリアルじゃないなと。そういう気持ちは今回すごくありました。

●答えを提示するよりは“こういう気持ちの人がここにもいるんだよ”というのを示すことで安心感をもたらすというか。

纐纈:それでちょっと気持ちが楽になるところはあるのかなと。昔の自分も音楽を聴いて楽になった経験があったので、今度は僕らの音楽でそれを誰かに感じてもらいたいなという想いはすごくあります。上手くいかない時っていうのは、何を言われても全然響かなくて。自分で考えて立ち上がって、一歩踏み出すことでしかたぶん解決できないから。それに対して音楽が影響を与えることはあったとしても、絶対的に行動させるというのはちょっと違うなと思っているんです。そういう気持ちがそのまま歌にも反映されたのかな。

●「ことばを知りたい」はMVにもなっていますが、今作の軸になる曲でもある?

纐纈:そうですね。今も昔もこれからもたぶん俺が歌を作ったり生きていく上でのテーマかなと思うんですよ。“もっと伝えたいんだけど、何と言ったら良いのかわからない”というのは日常でも感じることですし、自分の中にある普遍的なテーマが書けた歌だなと思ったので、今回のリード曲にさせてもらいました。

●それってもしかしたら一生、答えが出ないテーマかもしれないですよね。

纐纈:ずっとなくならないと思います。でも聴いてくれた人の中で、この曲が何か1つのキッカケになってくれたら嬉しいですね。

●M-2「ココロイド」の最後が“誰かと出会うことで いつか 意味が生まれるのだろうか”となっているのも、一生かけて答えを探していくという姿勢の表れかなと。

纐纈:そうですね。

小鹿:アルバムタイトルの『反響定位』という言葉は、光の届かない暗闇の中で音の反響によって自分の位置を確かめたり、意志を伝えたりすることなんです。暗闇の中でもがいている人に光を照らすのではなくて、音で寄り添うような12曲になっているなと思いますね。

●そういう曲が集まっていたので、このタイトルにしたんでしょうか?

纐纈:アルバムが完成した時に聴いてみて、今までで一番“夜“のイメージだなという印象があったんですよ。夜って暗闇なので、自然とそういう流れになっていったというところはありますね。そこから着想して、『反響定位』というタイトルになったんです。

吹原:こういうテーマは今のオトループになってから、ずっと持っていたのかもしれないなと思って。今の自分たちが伝えたいのは、これなんじゃないかなと思って『反響定位』というタイトルにしました

●夜のイメージともつながるかもしれないですが、M-5「115」のように人間の中にある汚い部分も隠さず歌っていたりする。

纐纈:まさにそうですね。最近ファンの方から「変わりましたね」と言われたりするんですよ。でもそこで「いや、俺の中にもそういうところがあるんですよ」とちゃんと言えるというか。僕の中ではリアルなことを書いているし、無理して歌っているわけではないんです。「下ネタとか言わなそう」と言われるんですけど、言うし(笑)!

●ハハハ(笑)。

纐纈:そういうところも出していくというのが、ここ最近のテーマでもあるから。自分の性格的に“良い人であろう”としてしまうところがあるんですけど、汚い部分もちゃんと表現者として伝えていかないといけないなと思っていて。良い意味でもっと人間くさい部分をちゃんと投影して、歌としても、ステージに立つ時も、普段の存在としても、それを出していけたら良いなっていう。今はそういう気持ちでやっています。

●M-9「空鳴き蝉」は、今のバンドとしての心境にも重なる内容かなと思ったんですが。

纐纈:“一皮剥けないとダメだろうな”という想いは3人ともずっと持ちながらやっているので、“次のステージに行きたいな”という気持ちで書きました。土の中でのことを歌っているんですけど、光は土の中まで通らないというところで先ほどの話に奇しくもリンクしていて。音のほうが伝わるのが速いらしんですよ。というところで今の心境ともリンクしているのかなと、後になって思いますね。

●バンドとしてもう一歩先に進もうとしている。

纐纈:もっと大きな影響力を持ったバンドになりたいんです。全国で口ずさまれるような曲を生み出したいなという目標もあるので、今の知名度の低さが悔しいなと思っていて。“やってやるぞ!”的な想いで今はやっているので、それがそのまま投影された歌であり作品にもなっているなと思います。

Interview:IMAI

 

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