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chocol8 syndrome

憂鬱さえも原動力へ。ティーンガールの代弁者、ちょこはちが目指す更なる高み。


“おしゃれ×かわいい×かっこいい”をキーワードに、その中毒性のある楽曲でティーン世代をはじめとした様々なファンを魅了している“ちょこはち”ことchocol8 syndromeが、最新作『ティーンガールの憂鬱 E.P.』をリリースする。しゃおん(Vo.)が表現する10代ならではの葛藤と、ちょこはちらしさが詰まったポップサウンドが光る表題曲を筆頭に、疾走感あふれるロックチューンの「ピーターパンシンドローム」、ライブで盛り上がること間違いなしのパーティーアンセム「DOKKOI SHOT!!」など、曲ごとに違った色が垣間見える今作は、リスナーの心を多方面から鷲掴みにするに違いない。さらに全国15ヶ所をまわるツアーと初のWWWワンマン公演も決まるなど、今ノリにのっている彼らの率直な想いと覚悟に触れた。

「ただ闇の部分を吐き出すんじゃなくて、それを全部プラスに変えてからみんなと共有したい」

●現在はギターが正式メンバーにはいない形態で活動されていますが、それはキーボードを軸にしたサウンドとも関係しているんでしょうか?

奏:まず僕らがここ3年間活動してきた中で、女性ボーカルとキーボードによるサウンドが自分たちの特徴であり強みだなと思ったので、自然とそうなりましたね。

●Ba.しまちゃんも1回抜けられているんですよね。

しま:そうです。去年1年間抜けていて、つい2ヶ月ほど前にまた正式に加入しました。

●サイトには「大学が終了したため」と書いてありましたが(笑)。

しま:ハハハ(笑)。“修了”ではなく“終了”しました(笑)。

●抜けている間も、声がかかればまた戻りたいという気持ちはあった?

しま:それはありました。でもバンドと大学でどっちつかずな活動をずっとしちゃっていたので、“このまま中途半端な感じはバンドにとってまずいな”と思ったんです。両親にも申し訳ないっていう気持ちもあるし、“学業も疎かにできない”という想いがあったので、一旦抜けさせてもらいました。でも結局大学も“終わったわ…”ということになってしまって(笑)。

●「両親に申し訳ない」とか言っておきながら(笑)。

しま:そうなんですよ。終了しました(笑)。

●ホームページのプロフィールを見ると、飼い猫の“はちまろ”もメンバー欄に載っていますが。

しゃおん:はい。実際に飼っている猫です。しかも語尾に「〜まろ」ってつけて喋るんです。

ケン:Twitterアカウントもあります。

しゃおん:Twitterができる猫は、“はちまろ”だけです!

●いっそギターも弾いてもらえば良いじゃないですか(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

●今回のアー写は学校の黒板の前で撮られていますが、これはどういうイメージで?

奏:インパクトを出したかったので、“普通のアー写じゃないものを撮ろう”と思って。

●しまちゃんのところには「新宿指名No.1」と書いてありましたが…。

しま:最初は翼の絵を描いた黒板を背にして、“翼が生えてる!”みたいなことをやろうと思っていたんですけど、実際に行ってみたら俺のところだけ薔薇の絵が添えてあって(笑)。気づいたら“新宿No.1”にされていました(笑)。

●別にホストでバイトをしていたわけではない?

しま:全くそんなことないです(笑)。

●無関係だったんだ(笑)。アー写も学校に関連するイメージですが、今作の表題曲になっているM-1「ティーンガールの憂鬱」は、“スクールカーストで図らないで”という歌詞が印象的でした。これは作詞をされたしゃおんさんが実際、学生時代に感じていたことでしょうか?

しゃおん:そうですね。スクールカーストで言ったら、そんなに高くはなかったかもしれない。…高くなかったというより、あんまり行ってなかったから圏外かな(笑)。

●でもだからこそ俯瞰で見ながら、客観的に闇が描かれているなと思いました。そういう暗めの
歌詞に反して、サウンドは明るくてポップなところもバランスが良いですよね。

しゃおん:そうなんです。リスナーを暗い気持ちにさせる意図があるわけではないので。

奏:しゃおんは今までもっと暗い歌詞を書くことが多かったので、実はこの曲がしゃおん史上一
番明るい歌詞だと思います。

●それは何か心境の変化があったんですか?

しゃおん:書く歌詞が暗すぎて、ライブで歌っていても悲しくなっちゃうんです。練習している時に泣き出しちゃったこともあって。

●それくらい自分の身を削って書いているんですね。

しゃおん:そうです。もう早死にしそう(笑)。

●まだ10代じゃないですか(笑)。作曲を担当したケンさんは、どういうことを意識して作りましたか?

ケン:歌詞が先にできあがったんですけど、「ティーンガールの憂鬱」っていうタイトルやAメロの歌詞から察するに、最初は“暗い気持ちを書いているのかな”と思ったんです。でもサビの最後の一行で“夢という名の真実”というフレーズがあって、“最後の最後にこの言葉がくるか”と思って驚いたんですよね。だからそのフレーズを際立たせようと思って、全体的に明るい曲調にしました。ずっと暗い曲調なのに、“夢という名の真実”と歌っても説得力がないから。

●しゃおんさんの中にも、暗い気持ちだけを書いた歌詞にはしたくないという想いがあった?

しゃおん:ただ闇の部分を吐き出すんじゃなくて、それを全部プラスに変えてからみんなと共有したいっていう気持ちはありましたね。

●M-2「ピーターパンシンドローム」の歌詞でも、最後に“もう1度走りだす”と歌われていて。“前に向かっていこう”というポジティブなエネルギーを感じました。

しゃおん:私は今19歳で、ちょうど大人と子どもの境目の時期じゃないですか。でも“私はまだ大人じゃない”っていう想いがあるんです。心はまだ子どもなのに、大人と一緒にされることに違和感があって。

●年齢だけで大人と一緒にされることに抵抗がある?

しゃおん:そうです。「20歳になったら、大人だね」って言われることに違和感があるので、“こうなったら子どものままでいこう”と思って(笑)。それに、学生時代の青春は、あんまり青春じゃなかったから。ちょこはちで青春をやり直してます。そういう吹っ切れた気持ちが「ピーターパンシンドローム」の歌詞や、清々しいロック調のサウンドに繋がっていると思います。

●吹っ切れたことが前へ進む原動力になったんですね。続いて衝撃の問題作、M-3「DOKKOI SHOT!!」についてもお伺いしたいのですが…。

一同:ハハハ(笑)。

●これはどういう構想で作られたんですか?

ケン:最初は、“インパクトのある楽曲を作ろう”というところから始まりました。僕たちのライブは、パーティーバンドみたいにわちゃわちゃした曲で楽しむっていう要素があって、そこが強みだと思っているんですよね。だからその強みを活かしてインパクトのあるフレーズやセリフをたくさん詰め込んだ結果が、この「DOKKOI SHOT!!」という問題作になりました。

●曲間に出てくるRPGのセリフみたいなところは誰が言っているんですか?

しゃおん:全部、ケンコモブチです。

●楽しそうなレコーディング風景が浮かんできました。

しゃおん:でもすごく真剣だったよね。

しま:そこに一番力を入れていましたね(笑)。“いや、ちげぇな”と言って何回も録り直していました。

●そういう遊び心のあるバンドだからこそ、ライブでお客さんも一緒に心から楽しめるのかな思います。

しゃおん:ただ立って聴いているだけのライブって足が疲れるし、女の人は足が冷えちゃったりもすると思うから。動きながら楽しんだほうが良いなと思って、こういう曲も積極的にやっているんです。

しま:「つらまろのきわみ」(1stアルバム『8』収録)をライブでやる時は、MVでやったヒゲダンスを実際にやっていて。ライブというより、“パーティー”みたいな感覚でやることもあるんですよ。だから「DOKKOI SHOT!!」もライブでやる時は、何か楽しいことをみんなでしようと思っています。

●ライブでも、RPGのセリフみたいなところは忠実に再現するんですか?

ケン:忠実に再現もしたいんですけど、音源どおりにやるつもりはなくて。音源を聴いてきた人を、良い意味で裏切りたいなと思いますね。“ライブでは違うんだぞ”って思わせたいんです。

●今回のツアータイトル“既読無視撲滅ツアー〜ダメ、ゼッタイ〜”もすごくインパクトがあるなと。

しゃおん:今作に関連した面白いツアー名はないかなと思って、みんなで色々候補を出していたんです。「ティーンガールの憂鬱」の中で“既読無視で心臓を痛めてる”という歌詞を歌っているので、それを撲滅しようと思ってツアータイトルにつけました。

奏:今回はティーンガールが抱えている憂鬱を少しでも解消してもらえるようなツアーにしたいので、そういう気持ちも込めています。

●確かにこのツアータイトルは、特に10代の人たちには共感されそうです。

奏:それはしゃおんがまだ10代ということもあって、タイムリーに色んなことを感じ取っているからだと思います。

しゃおん:10代は私だけなので、後ろで弾いているおじさんたちにはわからないこともあるよ(笑)。

しま:俺は22歳だけど、もうおじさん!? まだタイムリーだと思っていたいんだけど…。

●10代と20代の壁は厚いですね(笑)。そしてツアーのあとには、渋谷WWWでのワンマンライブも決まっています。この公演のフライヤーは、猫のドット絵がゲームっぽい感じでデザインされていて、かわいいですよね。

しゃおん:ありがとうございます。これは私が作りました。フライヤーを作る時に、“今まで作ったことのないようなデザインはないか”って色々考えていたんですけど、ある日スマホをいじっていたらドット絵を見つけて。それがとてもかわいかったので、ドット絵と“はちまろ”を組み合わせてみたんです。とてもかわいい仕上がりになって、気に入っています。

●そういうかわいいフライヤーを見て、“10代の人たちも気軽にライブにきて欲しい”っていう想いもあるんじゃないですか?

しゃおん:それは結構ありますね。chocol8 syndromeのファンは学生が多いんですけど、“ライブハウスに行きづらい”っていう理由で、まだライブに1度も行ったことのないファンがいっぱいいると思うんです。だからそういうファンのためにライブハウスへの敷居を低くして、クオリティはそのままだけど雰囲気は文化祭みたいなライブをしたいと思っています。

●学校では居場所がない子たちもライブハウスにくれば一緒に楽しめて、そこが居場所になるかもしれないですよね。

しゃおん:私自身がそういう感じだったし、“1人が怖くて行けない”と思っている子もいると思うんですよ。でも全然そんなことはないので、1人でもきてほしいです。そういう子ほど私たちのライブにきて、“知らない人と1つの空間を共有する楽しさ”を知って欲しいなと思います。

●そのWWW公演のタイトル(“はちわろ襲来! ちょこはち軍背水の陣! 〜敗北か継続か〜”)には“背水の陣”と入っていますが、これはそれくらいの覚悟をもって臨むということですか?

しゃおん:はい。今年が“最後の年”だと思っているんです。

●最後の年?

しゃおん:やるって決めたらダラダラしたくはないから、“みんなでいけるところまではいこう”と思って、今までたくさんイベントをやってきて。それを続けてきた結果、今回WWWでワンマンライブができることになったんですけど、そこのキャパは今まで私たちがやってきた会場の倍くらいあるんですね。でも1度決まったらもう引き返せないので、“やるしかない!”と思っていて。そういう意味で“最後の年”だし、“背水の陣”でもあるんです。

●なるほど。その公演を成功させたあとは、もっと上を目指していきたい?

奏:もちろんです。日本武道館でワンマンをするくらいにはなりたいですね。

しゃおん:視界に収まりきらないくらいのお客さんをステージから見てみたいです。

●ではその時は、“はちまろ”も連れて日本武道館に立ってください!

しゃおん:猫は寿命が短いから、早くしないと(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

Interview:室井健吾

 

 

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