音楽メディア・フリーマガジン

グッバイフジヤマ

様々なスピリッツを継承したグッバイフジヤマと登るシーンの頂点

2017/4/01@下北沢GARDEN
1stアルバム『この胸いっぱいの愛を』リリースツアー
“ALL WE NEED IS LOVE”

2017年4月1日、スピッツの名曲「チェリー」でメジャーデビューするという動画をTwitterに投稿し、ファンをざわつかせたグッバイフジヤマ。これはエイプリルフールのネタなのか、本当のことなのか。その真偽を確かめるべく、下北沢GARDENにはたくさんの観客が詰めかけていた。

そんな中でスピッツの「チェリー」のBGMに乗り、客席の後方からスタッフに担ぎあげられて、高原星美(Dr.)、中澤健介(Ba.)、小島”lue”秀和(G.)の3人が登場。その状態で客席を巡回しながらオーディエンスと一緒に「チェリー」を歌い、場内は始めからおめでたいムードに包まれた。

唯一ステージにいた中山卓哉(Vo./G.)が3人を迎え入れ、「星めぐりのこどもたち」を披露。どこか少年のようで切なさと憂いをはらんだ中山の歌声は、歌詞が聴きとりやすく、胸にストンと落ちてくる。1曲を歌い終えると、中山が「この夏メジャーデビューが決まりました!」と発表し、会場からは大きな拍手と歓声が飛び交った。

“心と体がバラバラで”という歌詞が印象的な「ひばりくんの憂鬱」はデリケートなことを歌いつつも、キャッチーなメロディと中山の感情的すぎない歌のおかげで重くはならず、しっかり“ポップス”として成り立っているところにスキルの高さを感じる。他にも4つ打ちのビートで軽やかな印象ながらも根底にパンクスピリッツを感じさせる「ですとらくしょん!」や、グルーヴィーなサウンドで会場をディスコフロアに変えた「恋のダンスビート」など、1曲1曲のバリエーションの豊かさからもグッバイフジヤマの底知れぬ魅力を感じた。

「Summer of Lovers」では場内に配布したタオルを一緒に振り回したり、新曲の「チェリッシュ!」ではクラッカーを配って鳴らしてもらうなど、お客さん参加型の演出で巻き込んでいくのも、彼らがファンから愛されている理由の1つだろう。その後、メジャーデビューシングルとなるスピッツの「チェリー」を披露。「この曲を一生歌い継いでいく」と中山が意気込んでいたとおり、90年代の名曲が2010年代の名曲に更新された瞬間を目撃した。これからメジャーに行った後でどう音楽シーンをかき回してくれるのか、楽しみでならない。

「レノンとマッカートニー」、「All You Need Is Love」というタイトルからも垣間見えるビートルズへのリスペクト。そこから日本でも脈々と受け継がれてきたポップ精神やパンクスピリッツは、はっぴいえんどや小沢健二、スピッツ、andymori、毛皮のマリーズなど錚々たるアーティストを経て、グッバイフジヤマにも確かに連なっている。ようやくメジャーデビューというスタートラインに立ったグッバイフジヤマが頂点に登りつめるまで見届けたい。そんな気持ちにさせてくれるライブだった。

TEXT:室井健吾
PHOTO:南 風子

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