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SPECIAL LIVE REPORT:lynch. “THE JUDGEMENT DAY”

共に叫び謡う声に支えられ、死ぬまで止まらない意志を示した復活の夜

“THE JUDGEMENT DAY”
2017/4/18@新木場STUDIO COAST

新木場STUDIO COASTの幕が開き、“lynch.”と白抜きされた漆黒のバックドロップが姿を現すと、空気が震えるほどの大きな拍手と歓声が会場全体を揺らした。

メンバーの登場にもう我慢できないとばかりに、オーディエンスの一団が前方へと雪崩れ込んでいく。そう、誰もが彼らの帰還を待ち望んでいたのだ。昨年末のメンバー脱退を受けてライブ活動を自粛していたlynch.の復活ライブとなった、2017年4月18日の“THE JUDGEMENT DAY”。思えばもう幕が開いた瞬間に、審判は下されていたのかもしれない。

オープニングの「ADORE」から“共に叫び謡う声”は止むことがなく、「I’m sick, b’cuz luv u.」「GREED」と攻撃的なナンバーの連発に“ここから現在が始まり 死ぬまで止まらない”という未来は明白に見えていた。

「改めましてlynch.です。肉声で言わせて下さい。帰ってきました。ありがとうございます!」とVo.葉月がMCで話すと、フロアからは彼らの復帰を祝う歓喜の大歓声が湧き起こる。「久しぶりですよね。暴れたいんじゃないですか?」という問いかけに続いては、「THE FATAL HOUR HAS COME」「ALL THIS I’LL GIVE YOU」「GUILLOTINE」と片時も休ませるつもりのない強力無比なセットリストでガンガン攻め立てていく。「そろそろ温まってきたか? そういや、みんな頭振るの好きじゃなかったっけ?」からの「INVINCIBLE」ではヘドバンの嵐が吹き荒れ、「GHOST」では演奏中ずっと手拍子が鳴り止まない。

中盤では「melt」「an illusion」「MELANCHOLIC」と続くミドルチューンで観る者たちの心を酔わせ、新旧のベスト的な選曲で魅了し続ける。
いったん落ち着かせたかのも束の間、シャウトから一気に内面の沈殿物を爆発させるような「D.A.R.K.」で再び重厚なサウンドの海へと会場全体を飲み込んでしまう。ステージ上から超満員のフロアを見渡して「良い眺めだ、新木場。

今からこの最高の眺めをグッチャグチャにしてやるからな」と葉月が宣言し、「VANISH」でまさにその言葉どおりの光景を現出させてみせる。Dr.晁直のドラムソロが始まった瞬間に大喝采が起きたところから、「MIRRORS」へ突入。丸5ヶ月ぶりのライブということでご無沙汰のファンたちに向け、「溜まってないか? ヤりたくないか?」と挑発してから発射したのは「pulse_」だ。溜まりに溜まったlynch.への想いを「ヤりたいヤりたいヤりたいヤりたい!」と全力でブチまけさせ、絶頂の中を本編最後は「EVOKE」でフィニッシュした。

アンコールに登場した4人は演奏を始める前にまず、5ヶ月間の休止を経た今の心境を個々に語る。この日も4人のベーシストがサポートメンバーとして参加していたが、新メンバーを入れるのではなく「5人のlynch.が4人で何とかやっている」と話した葉月。「みんなが最高のステージを作ってくれたことを嬉しく思います」と晁直が言えば、「最初に会うのはファンと決めていたので休止期間はメンバーやスタッフ以外の誰とも会わなかった」というG.玲央はステージに出てきた時、ファンの顔を見たら笑顔が溢れてしょうがなかったと話す。

ファンはもちろん、スタッフやバンド仲間、家族や友人など周囲の人みんなに支えられていることを再認識した上で、G.悠介が力強く語ったように「ピンチをチャンスに変えることができるバンド」であるlynch.は新たな一歩を踏み出したのだ。

真摯な想いを語ったMCタイムを経て、「JUDGEMENT」から始まったアンコールではサポートベーシストたちが曲ごとに入れ代わり立ち代わり登場する豪華な展開。「次はあいつが作った曲をやるぞ。あのバカが悔しがるくらいのデカい声を出してくれ!」という呼び掛けからの「INVADER」では葉月の想いに、オーディエンスも全身全霊の大きな声で応える。「GALLOWS」「MOON」と浴びてもまだまだ足りずにダブルアンコールを求めたファンも、「最高すぎて帰りたくない」と言った葉月と全く同じ心境だっただろう。

一度はつまづいたものの倒れることなく、進み続ける意志をはっきりと示したlynch.。「A GLEAM IN EYE」「TIAMAT」で最後まで熱狂の渦に巻き込んだ後、「今日からまたイヤってほど頭振らすからな。ありがとう!」と絶叫した言葉を信じ、彼らの歩みをこれからも一層の期待を抱いて見つめ続けていきたい。

TEXT:IMAI

PHOTO:土屋良太

 

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