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COMIN’KOBE ’17

残るのではなく“残す”という1日

2017/5/7@神戸ポートアイランド
(ワールド記念ホール、神戸国際展示場1,2,3号館、神戸国際展示場)

COMIN’KOBEは阪神・淡路大震災をキッカケに始まった日本最大級のチャリティーフェスだ。毎年神戸で行われている2005年より始まったCOMIN’KOBEも今年で13回目となる。全国から音楽ファンを集め、魅了し続けている。味を知ってしまった人はもちろんのこと、まだ味わったことがない人は是非参加して欲しいと思う。「奇跡のロックフェスCOMIN’KOBEー震災を語り継ぐ神戸で生まれたフリーイベントの記録」という書籍も販売しており、予習・復習はばっちりできるのでチェックしてみて欲しい!

そして迎えた当日AM11:00。「あー!! 眠い!!」と観客の話し声が聞こえる会場。その眠気を吹き飛ばす、爆撃音のごとく始まったKissFMKOBE stage 1発目のTHE SKIPPERS。今日の観客は一味も二味も違う。冒頭から待っていましたと言わんばかりの大モッシュが起こる。男女関係のないリフトアンドダイブ。爆音の演奏に日頃たまった鬱憤を吐き出すかのように暴れる観客は、演奏中にも関わらずハッキリ聴こえるぐらい「オイ! オイ!」とTHE SKIPPERSに応える姿が見られる。
驚いたのは、まだイベントが始まって間もないのにも関わらず出入り口からモッシュをしに走り込んでくる観客がいることだ。THE SKIPPERSのハイテンションなパフォーマンスに観客は大興奮しているのか大合唱が起こる。MCでは「手抜いてるやろ!? 本気で来いよ!」というVo.JUGGERに対し、「ウォオオオオオ!」と大群衆のレスポンスが返ってきた。「音楽で何か変えられると信じているけど、お前らは形で返そうよ。今日本当にCOMIN’KOBE楽しみにしていました。頑張りましょう!」というMCを最後に、KissFMKOBE stageトップバッターを突っ走る。私の目に入ったのは、観客が軽く10人以上宙を舞っている光景。ライブが終了し、今さっきまでクーラーが効いて涼しかった会場がたったの30分弱で熱気に包まれていた。

栄えあるWorld Stage1番手を飾るのは、首にタンバリンを携えたボーカルが特徴的なアルカラ。「愛が溢れた1日になりますように」という言葉からM-1「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」で、ライブがスタート。メロディの線が見えるかのようなギターに乗せてVo/G.稲村太佑の太く透き通っている歌声が会場を包み込んだ。アンダーグラウンドな感情を思わせるサウンドと、テンポの変化が観客を前のめりにさせ、最後の曲前のMCではCOMIN'KOBE主催である松原 裕氏の所属していたバンドと初ライブで対バンしたことなど思い出を語り、「ここまで続けたら、やるしかないねん!!」と、強く叫んだ。

SEに合わせて拍手で出迎えられ、「今日はブレーキはいらねえ! アクセルのみで瞬間を生き延びる、俺らROTTENGRAFFTY!」と、最高に熱い始まりをかましてくれたROTTENGRAFFTY。観客を汗だくにするインフルエンスは留まることを知らない。
自然に体をぶつけ合う会場の光景は“真剣に遊んでいる”様に見えた。「今日は1人も怪我人出さんとこな!」この言葉は観客のあまりの激しさに出た言葉なのかもしれない。「気づけば13回目。13年続けるのは難しいことやけど...」と、Vo.N∀OKIが続ける。「ずっと続くように。俺らは、みんなのためにライブを届けるけど…今日は全員で松原 裕に届けてくれ!」飾らない感情が胸に刺さる。このとき“感動”の拍手が鳴り響いた。

開始10分前のUNDERGROUND Stage。まだまばらだった観客がMASS OF THE FERMENTING DREGSのステージスタート直前になると立錐の余地なく会場を埋め尽くしていた。今からどんなライブが始まるのだろうと心待ちにワクワクしている表情が全ての人達に等しく現れていた。
ライブスタートと同時に独特なダンスチューンに自然に観客の体が動きだす。女性ボーカルならではの美声とステージの名のとおりアンダーグラウンドなメロディーが観客を魅了する。手拍子は煽らなくとも勝手に起こり、曲が終われば歓声が飛ぶ。そしてライブは続く。
「皆さんこんばんわ! あっ違うわ。こんにちわ!!」とオチャメなMCの始まりで、いつもは夕方からライブをしているバンドの時間感覚がおかしくなるのも、また巨大フェスならではの面白さなんだと思った。
「カミングがGOINGKOBEだった時に出たけど、それ以来出ていなかった。呼んでもらえて光栄です。時間がないからよろしく」と言い終わると、さわやかなダンスサウンドにつられて、ライブ半ばからも“なんだなんだ”と人が入ってくる。
ギュウギュウ状態のなかライブは続く。観客は最高潮に盛り上がり、このCOMIN’KOBE中では小規模な会場ではあったが、最大級に楽しめるダンスホールなった。昼御飯時12:25からの25分間、観客は“食欲”よりも“音楽欲”を最大に満たしたのだった。

M-1で、いきなりのキラーチューン「Endless Sorrow」を披露したのはHEY-SMITHだ。トランペットの音が鳴り響いた瞬間の歓声はもはや狂気に近いものだった。開始1分で会場を自分色に変えたエンターテイメントは万物共通で引き込まれること間違い無し。体が勝手に動き出しそうなテンポに合わせて、流れるような歌声と、それに合わせて入る絶妙なハモりは出口のない迷路に観客を迷い込ませる。「みんな音楽通じるよな? 言葉より音楽で通じた方が早いよな? 俺たちに任しとけ!」その後は言葉通りに、MCのほとんどない通じ合うライブが展開し、気持ちが音になり会場を駆け巡った。

同時刻のESP BLACK Stageでは、MELLOWSHiPのライブ前の音出しが始まると、ファン達が会場に走り込んできた。早く始まれと腕やアキレス腱を伸ばし準備運動をする観客の顔には、ただならぬ期待が溢れている。
SEが流れるとざわめきだす会場、そして早く出てこいと手拍子で煽る観客。メンバー登場で手拍子は耳が飽和するほどの歓声に変わっていた。
「あなた達の心に突き刺しにきました。あなた達の心に残りにきました。1曲目からブチ上げていきます」とVo.$ENKINが言い放つとライブスタート。オートチューンエフェクトの効いた歌声が響くとファン達は大盛り上がりだ。ギター回転パフォーマンスでは大歓声が起こり、そこからコールアンドレスポンス。オープニングMCの通りブチ上がり、観客は体も喉も休めることがなかった。2曲目の後半、サークルモッシュが起こり、$ENKINが「最高過ぎ!! この後のMCカットするからもう一回まわれ!!!!」と1セクション追加で会場は更なる渦を作った。
そこからは全員座らせて曲が始まると同時に大ジャンプ。私ももちろん飛んだ。会場の一体感、やはりフェスはこうでなくては。遅れて床を走る振動も最高だった。それに、ただ踊れるただ楽しめるだけではなく、その中に泣けるメロディーが存在し、どんどん観客共々会場全てを引き込んでいく。
歌う踊る手は挙がる。ステージ上からの景色はさぞかし良かっただろう。凄まじい歓声の中ライブは隣のESP RED StageのLACCO TOWERに繋いで終わった。

暗転状態のステージ。LACCO TOWERのメンバーは円陣を組んで気合いを入れていた。巨大な歓声の中ライブはスタートする。「いろいろある中この会場を選んでくれてありがとう。せっかく集まったんだし楽しもうぜ」と言い放つ。クールなモード系の衣装からはギャップのある“どこか和風”な曲は初めて見た観客をも魅了する。Vo.松川ケイスケが「楽しんでるか!?」と問いかけると、応えるかのように自然と手拍子が始まる。メンバー全員の激動パフォーマンスが続く中、MCでは「神戸の人!?」と観客と神戸出身である松川ケイスケで地元トークをし、その和やかな姿を見て神戸民だけではなく全ての人が多いに楽しんだ。曲が始まると、鳥肌物のエモーショナルなメッセージとグッドメロディー満載のライブが、皆をLACCO TOWERワールドに引き込んでいく。最後の曲「薄紅」では、感極まりタオルで目を拭うファンの姿が目に留まった。
その後、手拍子は鳴り止まずに“何とも言えない”感動を残しライブは終了。会場からの移動中どの観客も声をそろえ「ホンマにかっこよかったね!!」と楽しそうな会話が聴こえた。

World Stageでは、お昼ご飯に並ぶお客さんで賑わっていた売店の行列が気がつけばいなくなっている。それもそのはず、「西宮のキュウソネコカミー!」激しい自己紹介とともに売店の行列もろとも巻き込んだ観客の渦が出来上がっていた。その勢いそのままに2曲続けての演奏はより一体感を強め、観客のレスポンスの良さが神がかっていく。息をつく間もないライブを展開していたが、最後の曲前のMCでは、「また来年もここで遊びたくないですか? だったら声出して踊っていこうぜ!」と、観客は両手を上げて飛び跳ねる。まさに“この日のためのライブ”があった。

幻想的なSEが激しくなるとクラップが起こりalcottのメンバーが登場。
「俺たちにとって神戸にとってすごく大切な日にここを選んでくれたあなた達は美しい」と始まるライブ。M-2には柵の中満員の観客全員が拳を上げていた。ライブ半ば、気がつくと柵の外側にビッシリと観客が溢れ返っていた。alcottのアツさの中にとけ込んでいくオーディエンスを見ても分かるが、凄まじい“本気”がこの1号館の虎stage一帯で渦巻いていた。広い販促会場に特設されたステージだったが、歓声が鉄骨を伝うがごとし爆撃的な演奏の中でも響いていた。
最後の曲は「色々かっこいい人たちが出ています。そのかっこいい人達から目を決してそらさないでください」とMCの後大きな拍手が起こった。激情リフが組み込まれた演奏におのずと拳を上げ体を動かし、“うっすら切ない”メロディーに我々は時間を忘れさせられた。神戸のROCKバンドalcottはこの大切な一日を1秒たりとも無駄にしなかった。

World Stageの反対側、LIVEDAM STADIUM Stageでは本番前の音出しから、観客が手を挙げ期待に胸を膨らませる光景が見える。軽快なバスドラムから始まったのは黒猫チェルシーだ。ロックなサウンドに力強いドラムが観客の体を揺らしながらステージに引き込んでいく。「神戸の街よ。幸せを始めよう」と、落ち着いたMCから始まった「しあわせ運べるように」は、会場全体を優しく包むVo.渡辺大知の歌声も相まって、観客に静かに浸透していったことだろう。

「まわれー!」というVo.MAHのシャウト気味な掛け声から始まったSiM。金属質な音に絶妙な疾走感が観客の運動能力まで上げてしまうではと思えるほどに回る。M-2キラーチューン「Blah Blah Blah」が始まると、そこから激しいモッシュが繰り広げられる。2階席が揺れるほどに大暴れだ。「2012年と2013年にCOMIN’KOBEに出たときは知名度が全然なかったのに出してくれて」と、Vo.MAHが告げる。「パワーアップしたSiMが何かの力になるかもしれないと思い、逆オファーしてここに立ってます。帰ってきましたSiMでした!」この日を楽しみにしていたのは観客だけではなく、文字どおり“全員”なのだと改めて認識した。

快晴の日差しと熱気で疲れてきたのか15時をすぎた頃、野外では多くの人が休憩をしていたが、神戸国際展示場3号館ビジュアルアーツ「L」StageではSABOTENを待つファンでいっぱいだった。
音出しが始まると「よしいくぞ!!」と気合いを入れる観客。会場中央巨大モニターにSABOTENの紹介ムービーが流れると大歓声が起こる。
Vo.キヨシが「準備はいいか!? ライブバンドのSABOTEN始まりますよ!!」と投げかけると、待っていましたと言わんばかりの拍手喝采。ライブ開始からダイバーで溢れ返っていた。SABOTENならではのラフなメロディックそして安定の演奏で疲れてきている観客を完全に復活させた。「皆の気持ちどんどん届いてる。今日はなんか変わるかもな!!!! このCOMIN’KOBEに愛を込めて最大級の円を作りませんか!?」と、最後の曲「サークルコースター」では本当にCOMIN’KOBE1番の最大級、“特大サークルモッシュ”が起こった。SABOTENパワー恐るべし。“本物の力”を大いに見せつけた。

「ほないこか!」と軽いノリで「1sec.」から始まった10-FEET。Vo/G.TAKUMAが「オイ! 気合入れろよ! モタモタしてたら置いてくぞ!」と言うと気合十分すぎる会場が湧く。「ありがとうございました10-FEETでした。また会いましょう」えっ!? 1曲だけ!? と、思いきや2曲目からのアンコール。「ステージに、もの投げてたらしけど、お金以外やめてください。あと、喧嘩と怪我すんなよ! みんなでいい現場作っていこうぜ!」というTAKUMAの声に、会場が震えるほどに「うおお!」と叫ぶ観客。“現場”という言葉に愛情を感じ、これがライブだと思えた。

ゆっくりと太陽が沈む時間帯に一息もつく気がない観客が詰め寄せた。SEがずっと流れているというハプニングがありつつも最高のスタートダッシュを決めたのはFear, and Loathing in Las Vegasだ。「マジでもう俺ら気合だけ!」というMCで笑いをとった後、続くダンスナンバーで2階席までも揺れ動く。無機質な音が感情を与えられたかのような独特な歌声と、テンポに緩急をつけ目の離せない迫力のライブが展開される。「6月14日ニューシングル『SHINE』リリースしますんでチェックしてみてください!」と、告知もバッチリ。これは早速チェックだ!

転換が始まる前から四星球を待つ観客は、出入り口ギリギリまで寿司詰めになり全員が彼らのリハーサルをも楽しみにしていた。その何千人かの小さな話し声は耳がぼーっとするような大きな空間音となっていた。リハーサルが終わり巨大モニターに彼らが紹介されると超歓声の嵐に驚いた。会場のライトが全て点くと同時に彼らはサンバの衣装を身にまとい有名なサンバ曲で入場し、観客は大盛り上がりしながら大爆笑。開始早々から観客全員の大ジャンプ建物そのものが揺れるような感覚に襲われた。全員が手を振ると天井の高いホールの空気がかき回されているのがわかった。
MCでは“運動会”をすると意気込むVo.北島康雄。その運動会はユーモアにあふれ会場、スタッフ全員が爆笑。そして何千人もの観客をすわらせて、登場したのは大量の巨大ビーチボール。曲間はボールが常に客席を跳ね回るいかにも華やかなライブを見た。
最後のMCの「運動会を最後までする」という北島康雄の言葉通り1000人クラスの巨大モッシュ。そして彼らはサンバスタイルで退場していった。16:55からの25分間エンターテインメントの全てがここに詰まっているように思った。

紹介ムービーが流れ、歓声が激しくなるなか「このイベント見てたらわかるだろ! 続けていこう! そんな曲やるわ!」と、ロックなギターサウンドから始まったKen Yokoyama。熱い気持ちが前に出る音に乗せて、加速してするモッシュ。しかし、荒れ狂う会場が静かになりかけたところで、Vo/G.Ken Yokoyamaが「今日はチャリティーイベントだから、入場料は無かったかもしれないけど、みんなの気持ちを分け合えたらと思ってる!」と、先ほどまで大暴れしていた観客は真剣な眼差しでステージを見つめた。それはCOMIN'KOBEというものが長く続いてきたからこそ出た忘れないための言葉だと思った。

同時刻ビジュアルアーツ「R」Stageでは「COMIN’KOBE!! 始めますよー!!」と大阪のラックライフは勢い良く演奏に入った。あたりを見渡すと女性ファンから多くの支持を受けているのがよくわかった。ただ違ったのはCOMIN’KOBE内でよく目にした“男らしい盛り上がり方”に負けないほどのぶち上がる拳とクラップの数。1セクション終わってもクラップはまだなり続き、爆音の中でもそれが聴こえるのだから相当の音量なのだろう。
1曲目から彼らの生み出すラックライフ空間にVo.PONが引き込むと、会場はダンスの嵐が起こった。MCでは「初めて出ます。こんなにたくさんありがとう。あなたの心めがけて歌をぶん投げていきます」と次の曲へ。しかし途中で元気が足りないと演奏を止め爆裂モードで演奏再会。誘われて観客もノリノリになった。
ラストのMCでは「色んな曲や、想い、気持ちがあって、どれだけフェスが大きくなっても人と人でできていると思いました。自分もそれを繋ぐ一人でいたいし、想いを目の前にいるあなたに届けたい」とPONの言葉に大量の感動の拍手が飛び交っていた。あまり踊れる曲はないとMCで言うシーンがあったが、フェスマジック以前に踊れるバンドだと私は思った。

ビジュアルアーツ StageラストはPAN。彼らを待つオーディエンスの目はギラギラしており、まだ中央巨大モニターで紹介される前から歓声が聞こえ、今にも暴れだしたいと望む顔でいっぱいだった。1曲目「ギョウザ食ベチャイナ」。激音の強烈なリフの上に、ファン達の歌声がスピーカーに勝つ光景に驚いた。出口の外、会場に入りきらなかった観客まで大ジャンプする姿も見物だった。それをきっかけにダイバーで溢れ返る会場。ステージ袖から返ってくる観客の顔は大満足の表情だ。最大級の幸せを味わうファン達の表情に、私も思わず笑顔になる。PANのロックサウンドは誰も休ませることがない。3曲目「Z好調」。絶好調と叫ぶ観客。突然自己紹介という名目で食パンを投げるVo.川さん。客席の一人にキャッチさせた瞬間、会場大絶叫。その後はさらに何倍もの絶好調が聴こえた。
その後もPANは最後の最後まで突っ走り、肉絨毯の上を転がり続ける観客の姿、30人以上のリフト、全て至極の時間を楽しんでいるのが私の目に飛び込んだ。最後の曲が終わった時、もちろんアンコール。慌てて戻って客席に飛び込む観客は大モッシュ大ダイブの嵐だった。泣けるぐらい盛り上がるライブをこのCOMIN’KOBEで知った。
会場の外に出ると、潮の香る涼しい風が吹いていたが、観客から溢れ出る熱気はしばらく冷めることはないだろう。

小腹が空いてくる時間帯に満腹にさせてくれたのは今日、この日を作り上げる原動力になった人物のすべらない話だ。“実行委員長・松原 裕のすべらない話”は、こう始まった。「すべらない話は5万個ぐらいあるんですけど! みんなが笑顔になるという意味ではこの話もいいかな」と。松原 裕氏は2016年3月に腎臓ガンが発覚、手術後に余命を宣告されたことを語った。肺にまで転移したガンが2016年9月頃に彼を苦しめ、貧血が起こるほどに血を吐いていたという。「いよいよこれでみたいな気持ちのとき、10月5日にHi-STANDARDがゲリラCDを発売してくれました!」余命を宣告されてからKen Yokoyamaには毎日のように電話やメールで励ましてもらっていたという。涙を堪え切れず、震えながらも「すごく勇気をもらった。そして、吐いていた血が止まったんです!」、そこでCOMIN'KOBE17の開催を決め、Ken Yokoyamaへの出演を依頼したという。「できればHi-STANDARDに出て欲しいです」と。「ここまで言ったらわかるよな!? 地声で言わしていただきます!!」とマイクを離し、「Hi-STANDARDが来てくれました!!」と叫ぶ。

鳥肌が立つほどの大歓声! その瞬間、体が熱くなるのを感じた。Ba/Vo.難波章浩が「今、幸せやん、奇跡起こそうぜ!」と、言い放ちM-1「My Heart Feels So Free」がスタートする。観客もきっと夢と現実の狭間にいる感覚だったことだろう。懐かしさを覚える音に、歌声に、引き込まれていった。「自分は何かと戦ってんのかって話になるよなまっちゃん(松原氏のこと)みたいに…楽すんなよ! もっと来いよ!」前に前に動く人並みは想像を絶する光景だった。そこから誰もが知っているであろう「STAY GOLD」が始まり、ダイブが、上下左右の激しいモッシュが一つの塊のように入り乱れた。そして最後に松原氏がリクエストしていたという「BRAND NEW SUNSET 」で、Hi-STANDARDの夢のような時間は幕を閉じた。
イベントもいよいよクライマックス。音出しの段階でコールアンドレスポンスを決め「ラスト9番バッターもうすぐ始まります!」と告げたのはガガガSP! 毎年ラストを飾るガガガSPは、COMIN'KOBEにはいなくてはならない存在だ。MC一発目に「1995年、阪神淡路大震災が起きたとき、僕の家は半壊して半年間避難所にいました」と告げる。「そのときに友達からもらったCDがHi-STANDARDのCDでした。そのときから僕たちを作ってくれていたんかなと思います」と、尊敬と思い出を語る。「干支が一周したらトリもバトンタッチかなと思ってたんですけど、13回目まできたら最後までやらなあかんと思う」と、今後もやるぞという意思表示をしてくれた。心高ぶるMCをするVo.コザック前田。観客はそれに応え、ステージから降りて歌うコザック前田を掲げたままライブ終了まで支え続けた。

13年という膨大な時間の中で、“カタチ”を残していくのは非常に難しいことだと思う。COMIN'KOBEには13年間ずっと変わらないものがあるように思う。ガガガSPのライブ中、実行委員長の松原氏から来年4月29日の会場を押さえたと発表があった。「日程は押さえましたが開催できるかわかりません。もし、開催できるならそれまで生きたいなと思っている」と。カタチを創る、カタチを残す、両方とも並大抵の努力ではない。ただ、神戸に咲く一輪のバラ、松薔薇が美しく咲き続けている姿に、このCOMIN'KOBEというイベントは今後も一つのカタチあるものとして語られていくものだと強く感じた。

TEXT:Hirai Shunya , Fukushima Tetsuya

 

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