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コーユーエンギプラン

日々の隙間から異世界へと一瞬で引き込む摩訶不思議なる音と言葉

独特な世界観を持った歌詞と変則的なリズムを武器に都内を中心に活動しているコーユーエンギプランが、ニューシングル『才能と脳』をリリースする。昨年11月のメンバー脱退を経て、Vo./Ba.ヨシダ タカユキとDr.ハヤシ ヒロキの2人による新体制で完成させた今作。表題曲にはゲストボーカル&ギターに、つしまみれのまりをフィーチャーした意欲作だ。一音目が鳴った瞬間に非日常的空間へと聴く者を引きずり込んでしまうような圧巻のライブも含めて、この機会にぜひ彼らの音に触れてみて欲しい。

 

「でも僕は自分ではそんなに変じゃないと本気で思っているので、変態な音楽はできないんですよ。単に“今できることはこんな感じ”というイメージなんですよね」

●現在の正式メンバーはベースボーカルとドラムのお2人だけですが、元々こういう編成だったんですか?

ハヤシ:元々はギターがいたんです。

ヨシダ:でも去年の11月にそのギターが抜けたので、そこからは新しいメンバーを探しつつ2人で活動しています。

●去年10月に初の全国流通盤となる1stミニアルバム『12/12』をリリースしていますが、その勢いを止めたくなかったというのもあるんでしょうか?

ヨシダ:そうですね。活動が止まっちゃうのは嫌だったので、とりあえず2人でやることにして。手伝ってくれる人がいれば、ライブはできるかなと思ったから。

ハヤシ:ライブでは今、サポートギターの方にお願いしています。自分たちとしては、前作でやっとスタートを切ったという感覚もあったんですよ。

●前作がバンドにとって、本格始動のキッカケになった。

ハヤシ:前作は元々あった曲をまとめてリリースしたので、自分たちの中でも満を持して出せた感覚があって。去年10月に前作をリリースして、今年の2月には初めての自主企画イベントもやって、その勢いのまま今回のリリースに至りました。

●前作を作ったことで、自分たちの音楽性が確立されたところもある?

ヨシダ:正直、そこはまだ探している途中なんですよ。

ハヤシ:最近もそのことで話し合ったりして。“こうしてみようか?”とか色々と考えながら、今はやっていますね。

●今作『才能と脳』の収録曲は2曲ともヨシダさんの作詞作曲ですが、本人の中でも最初から明確にやりたいことがあったわけではないんですか?

ヨシダ:元々は歌モノで“ちょっと変”な感じのものをやりたくて、曲を作っていたんです。でも当初は頭に浮かんできたものをバンバン形にしていく感じだったので、まだ今ほど考えていなかったですね。

●何かをイメージして作るというよりは、自分の中から出てくるものを形にしていた。

ヨシダ:ちょっと変な感じを入れたかったというのはありますけど、そこまで狙ったりはしていなかったですね。

●曲を聴くと“ちょっと変”というよりは、“だいぶ変”な気がするんですが…。

ヨシダ:他人にはそう思われているということに最近、気がつきました。自分では“結構キャッチーに作っているんだけどなぁ…”と思っていたんですけど。

●“キャッチー”の感覚が人と違うんでしょうね(笑)。ルーツになっているものや好きな音楽はどのあたりなんでしょうか?

ハヤシ:俺はBLANKEY JET CITYが特に好きなんですけど、2人が共通して好きなのはつしまみれやゆらゆら帝国、嘘つきバービーあたりかな。

ヨシダ:僕は小さい頃に家でよくJ-POPが流れていたので、Mr.Childrenとか歌モノを聴いていました。でも初めてゆらゆら帝国を聴いた時に、“こんな音楽があっても良いんだ!”と思って。何か変なことをしたいと思ったのは、ゆらゆら帝国の影響ですね。

●ゆらゆら帝国に出会ってから、変な音楽を志し始めたと。

ヨシダ:でも僕は自分ではそんなに変じゃないと本気で思っているので、変態な音楽はできないんですよ。単に“今できることはこんな感じ”というイメージなんですよね。周りから変だと言われることもあるんですけど、“それも面白いのかな”と思って受け入れながらやってきた感じです。

●本当に頭がおかしい人って、自分が世界で一番まともだと思っていたりするものですが…。

ヨシダ:僕は全然まともですよ。そんな高みには行っておりません(笑)。

●ハハハ(笑)。ゆらゆら帝国の影響もあってか、服装も含めてサイケ感はあるように思います。

ヨシダ:自分たちの音に合う感じにしていったら、服装は自然とサイケ感が出てきましたね。ドラムも然りなんですけど、やっぱり普通ではないので…。

●初めてライブを拝見した時に、ドラムのインパクトが強烈でした。全身で叩いているような感じで、一発一発のアタック感が強いというか。

ハヤシ:自分の頭の中に、1人でドラムを叩いているイメージがあって。その音を具現化した時に“パーン!”じゃなくて、“バチンッ!”だなと思ったんです。そこから今の感じになりましたね。

●感情を叩きつけている感じではない?

ハヤシ:喜怒哀楽もあるにはあるんですけど、それよりもっとニュアンス的なものですね。すごく深い感じだったり、“パカーン!”と明るい感じだったり、グルグルしている感じだったりとか…。

●“おチャクラ全開”みたいな?

ハヤシ:おチャクラ全開な感じはあります(笑)。2人とも音楽に対する“衝動”が強いと思うんですよ。だから“こういう曲があってこういう作品で…”ということを考えるよりは、“一発でパーン!”っていう作り方のほうが多いんです。それも相まって、音楽性とかについては今になって考え込んじゃうようなところはありますね。

●理屈で考えて、曲を作っているわけではない。

ハヤシ:そうなんです。“これをこういう感じにしたバンドをやろう”とか、具体的に考えているわけではなくて。

ヨシダ:昔はもっとポンポンと曲が出てきていたんですけど、なぜそうだったかと考えてみたら、喜怒哀楽が激しかったんですよね。むちゃくちゃキレている時に作った曲もあって。今作のM-2「崩壊する」なんかは“もうどうでも良いかな…”と思った瞬間に作ったんですよ。その勢いで、曲と歌詞を書いた感じですね。

●衝動に任せて出てきた音と言葉というか。

ヨシダ:あとでちょっと書き直したりはしますけど、本当に伝えたいことはシンプルなんです。「崩壊する」は、イメージとしては“一瞬の気持ち”ですね。

●根本的には、今でも喜怒哀楽が激しい?

ヨシダ:表に出さないようにはしているつもりですけど、実際はそうですね。そういうものを形にするのが楽しくて、曲を作り始めたんです。

●そういえばお2人はベースとドラムということでリズム隊なわけですが、曲もリズムから作っていくんですか?

ハヤシ:いや、どちらかと言えば、ギターのほうが大切というか。

●メンバーにギタリストがいないのに…?

ハヤシ:そうなんですよ。

ヨシダ:ギターのイメージは歌と一緒に出てくることが多いので、重要なんです。リフとかも僕の頭に浮かんだものを伝えて、そのまま弾いてもらっています。

●どうやって伝えているんですか?

ヨシダ:基本的には、頭の中で鳴っているものを鼻歌で歌いますね。

ハヤシ:最近は自分も曲を作るんですけど、ギターに関しては口頭で全部説明するというアナログなやり方なんです。

●実際にギターを弾きながら作るわけではないのでコードや基本的なルールに縛られたりもせず、結果的にちょっと変な感じになっているのでは?

ハヤシ:そうですね。でも自分の中で、イメージはわりと明確にあって。「わざと外して欲しい」といったことも伝えたりして、ちゃんと考えた上でやっているので、偶然の産物というわけでもないんですよ。

ヨシダ:でも確かにコードから作ったりはしないから、変な感じになるのかな。

●ハヤシさんの頭の中で鳴っているものと、実際にできた曲は一致しているんですか?

ハヤシ:ほぼ一致しています。でもやっぱりイメージしたものと実際に出てきたものが違うことはあるので、その時は修正したりして。だから、編曲にはわりと時間がかかりますね。

●あくまでも自分のイメージに寄せたい?

ハヤシ:イメージ通りじゃないものができても、それが良ければ良いんですけどね。元々が口頭で伝えているので、(曲作りは)手探りなんですよ。まずこっちから“こういうものをやりたい”というのが明確に示せないと、やっぱり伝わらないところはあって。

ヨシダ:100%同じではないけど、できるだけイメージに寄せた結果“良いな”と思えたら採用されますし、“ダメだな”と思われたらボツになるという感じです。

●そのイメージはお互いに共有できているんですか?

ヨシダ:何となくわかるようにはなってきたかな。

ハヤシ:説明をできる限りするところからですね。でも特に歌メロとかは、実際に歌っている中で変わっていくじゃないですか。最初にやっていたものより良いものが出てきたら、それはそれで良いという感じで。もし“それは違う”と思った時は、直したりしますけどね。

●今作のM-1「才能と脳」にはつしまみれのまりさんがゲストボーカルとギターで参加されていますが、これもイメージがあったんでしょうか?

ヨシダ:「才能と脳」のコーラスに関しては、僕ではないなと思いながら作っていて。できれば女の子のほうが良いなというイメージはあって、“まりさんに歌ってもらえたら良いな”とは思っていましたね。

●実際にコーラスを入れてもらったことで、イメージどおりになった?

ヨシダ:もうイメージを超えましたね。録ってもらった時も、一発OKだったんですよ。“やっぱり、すごいな”と思いました。

●この曲をライブでやる時は、ハヤシさんがコーラス部分を歌ったりするんでしょうか?

ハヤシ:いや、封印でしょう。

●まりさんのイメージが強すぎて、自分では歌えない?

ハヤシ:今までは自分が歌っていたりしたんですよ。でも今作を出したことによって、結果的に難しくなっちゃいましたね。

ヨシダ:出すことで、封印って…(笑)。

●ハハハ(笑)。「才能と脳」という曲名にも、何か深い意味がある?

ヨシダ:“いけないもう何で脳細胞 ぞんざいな世界などもういいの”というフレーズが最初にあって。そこからイメージを広げて、自分の中で意味が通るように歌詞を書いていったんです。直接的につながっているというよりは、歌詞の情景に合うかなと思ってタイトルをつけましたね。

●ヨシダさんの中では情景が浮かんでいるんですね。「崩壊する」も同じように浮かんでいる?

ヨシダ:僕の中では浮かんでいます。情景というか、場面が映像になって浮かんでいるというか。だいたい、走っているだけなんですけどね。どこを走っているかという違いだけです。

●コーユーエンギプランの曲を聴くことで、ヨシダさんが見ているような情景にリスナーを連れて行ってくれる感じもあるのかなと思います。

ハヤシ:確かに自分たちのライブのイメージとして、そういう感じはあるかもしれない。今そう言われてみて、しっくりきましたね。無意識のうちに、そうなっているような気がします。

●ハヤシさんのドラムが“バチンッ!”と鳴り響いた瞬間に、グイッと非日常に引き込まれる感じというか。

ヨシダ:そうやって引きつけておいて、ライブが終わったら「あっという間だった」と言ってもらえたら良いですね。

●音源を聴いて気に入った人には、ぜひライブを体験して欲しいバンドだなと思います。

ハヤシ:ライブでは自分たちの持っている非日常的な世界観やイメージを思いきりぶつけていくということをやっているつもりなので、それを楽しみに来て欲しいですね。

Interview:IMAI
Assistant:室井健吾

 

 
 
 
 

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