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PIGGY BANKS

ファンタジックな女性美を体現した革新的EPが次なるステージへの扉を開く

Vo.yoko、G.keme、Ba.akkoの3人により結成されたガールズバンド、PIGGY BANKSが2作目となる新作EP『ドゥ シュビドゥバイン』を完成させた。2016年4月に1stアルバム『タイムスリラー』をリリース以降も全国各地での“時間泥棒ツアー”を経て、さらなる進化を遂げてきた彼女たち。昨年8月よりakkoが産休に入った後もサポートメンバーを加えて積極的なライブ活動を続ける中で生み出された今作は、新たな側面を見せつける作品となっている。シェイクでキュートなロックンロールナンバー「シュビドゥバイン」に始まり、モータウン調の「PVPHS」やソウル〜ファンク的なテイストを持った「アナボリック リアクション!?」など、その幅の広がりはとどまることを知らない。ブラックミュージックの要素もふんだんに取り入れたファッショナブルかつダンサブルなサウンドの上に、yokoのハスキーさと透明感が共存する稀有な歌声が鮮烈に響き渡っている。日本を代表するイラストレーター・宇野亞喜良によるファンタジックな女性美が描かれたジャケットが象徴するように、新たなるPIGGY BANKSのサウンドとアートワークがシンクロし、次なるステージへの扉を開く革新的1枚が誕生した。

yoko・Special Solo Interview #1

「“PIGGY BANKSオールスターズ”みたいな感じで捉えていて。PIGGY BANKSを愛していて、その時にやれる人がやったら良いんだというくらいに今は思っていますね」

●今回の新作『ドゥ シュビドゥバイン』を聴いて、驚きました。前作の1stアルバム『タイムスリラー』とは、ちょっと違うものになった感じがして…。

yoko:前作とはかなり違いますね。ちょっとどころの騒ぎじゃないというか。

●この変化の要因は何だったんですか?

yoko:前作をリリースしてからすぐに、プロデューサーのヤマサキテツヤさんとプリプロに入って。プリプロの時はテツヤさんの自宅にあるスタジオで遊びながらというか、ガチャガチャと色んな音を鳴らしながら何となく歌を乗せて、曲を固めていく感じなんです。最初は前作に近いような曲を作っていたんですけど、どんどん面白くなってきちゃって、最終的にこういうものになったという…。

●ヤマサキテツヤさんと一緒に楽しみながらプリプロしていく中で、音楽的な変化が生まれていったと。前作を作ってすぐに、次の作品のことも考えていたんですね。

yoko:そうですね。前作のリリースツアーが終わってすぐに、akko(Ba.)ちゃんの妊娠がわかって。去年の4月に前作をリリースしてから夏前までツアーをまわって、その後もフェスに出たりはしたんですけど、そこから先は“どうしようかな?”となったんです。

●次の展望が見えていなかった。

yoko:そういう中で“今、何ができるのか?”を考えた時に、次作のための曲作りをやろうということになったんです。

●今作の作曲クレジットを見ると、ヤマサキテツヤさんとたまきあやさんによるものが2曲ずつ入っていますが。

yoko:テツヤさんとあやさんは、ご夫婦なんですよ。前回の出会いから、家族のように仲良くさせてもらっていて。ほぼ彼らのスタジオにこもって、一緒に曲作りをしているような状態でした。

●ヤマサキテツヤさんご夫妻との出会いは大きかったんですね。

yoko:すごく大きかったですね。もちろん音楽をやる上でも大きかったですし、プライベートでもすごくお世話になっているので、頭が上がらないなという感じです。

●そういう深い関係性があるからこそ、プロデューサーという立場を任せられたのかなと。

yoko:今までも毎回そういう立場の人はいたんですけど、「この曲だけお願いします」みたいなことが多かったんです。アルバム全体に対するアドバイザー的な人がいてくれるのは初めてですね。今回は音のことだけではなくて、ヴィジュアルイメージに関してもテツヤさんがブレインとなって動いてくれて。

●その結果として、バンドサウンドだけに囚われない作品になった。

yoko:PIGGY BANKSのライブではそういう感じでやっているんですけど、作品に関しては何でもアリでやりたいと思っていて。もしかしたら今後ライブでもシンセサイザーとかを入れる可能性もあるし、そんなに幅を狭めなくても良いのかなと思っています。今回は“EP1”と“EP2”という形で考えていて、『ドゥ シュビドゥバイン』はEP1のほうに当たるんですよ。

●今回は2部作になっているんですか?

yoko:そうなんです。2部作という形で考えているので、EP1のほうではとにかく遊ぼうと思って。今回の5曲の中ではM-5「DASH」が一番PIGGY BANKSっぽい曲だと思うんですけど、他にもロック色の強いM-1「シュビドゥバイン」や今までとは全然違うM-4「アナボリック リアクション!?」を入れてみたりして、面白い感じになったなと思います。

●あえて今までとは色の違う、遊び心のある曲を今作には入れているというか。

yoko:そうですね。だから今作には入っていないけれど、既にライブでやっている曲も何曲かあったりして。それはEP2のほうに入れられたらなと思っています。

●作品に関しては、“ロックンロール”という枠からは完全に飛び出したなという感じがします。

yoko:そうなんですよね。振り返るとPIGGY BANKSをやる前にソロ活動をしていた時期も自分の中ではロックンロール的な方向性で行きたいという気持ちはあったし、周りもそれも求めていたと思うんです。だから衣装も革ジャンだっりしたんですけど、PIGGY BANKSを始めたくらいの頃から“そこまでこだわらなくても良いのかな”と思うようになってきて。

●PIGGY BANKSを始めた頃から、“ロックンロール”へのこだわりがなくなってきた。

yoko:自分が歳を重ねたこともあるかもしれないし、音楽を始めてからの年月もあるかもしれないし、プロデューサーも含めてそういうものとは違うところでの出会いも関係あるかもしれなくて。ただライブに関してはずっと持っている想いは一緒なので、“PIGGY BANKSはこうだよ”というものをお客さんに見せられたらなと思っています。

●前作でも“何をやっても良いんだ”という解き放たれた感はあったと思いますが、音源に関してはより自由に作れるようになっていったんでしょうね。

yoko:『タイムスリラー』の曲についても、ライブで毎回アレンジを変えたりはしていて。30歳を超えて今、私は遊びまくっています(笑)。

●年齢を重ねて落ち着いてしまうのではなく、より自由に解き放たれている。

yoko:そうなれていたら良いなと思いますね。

●akkoさんの代わりに新しいサポートメンバーの方と一緒にプレイしていることも、バンドとしての幅を広げる要因の1つになっているのでは?

yoko:今頼んでいるサポートのベーシストに関しては、元々知っている方なんですよ。彼女をキッカケにして、東京だけじゃなく地方でも今までとは違うライブハウスにも出たりするようになって。

●新たなメンバーが加わったことで、活動の範囲も広がっているんですね。

yoko:でもPIGGY BANKSって、akkoちゃんにしてもkemeさんにしても元々それぞれに仲間がいて、お互いの畑がある人たちが集まっていて。各々が持っている元々のつながりでイベント出演が決まったり、良い具合に相乗効果でつながっていったりもしていたんです。今はakkoちゃんの代わりにサポートの方と一緒にやっていますけど、そこは関係なく続いているのかなと思います。

●メンバー/サポートにかかわらず、関わる人みんなのつながりを活かしている。

yoko:ドラムの高橋浩司さんなんて、“ブッキングマネージャーか?”っていうくらいに活躍してくれていますからね。

●高橋浩司さんはもはやメンバー的な存在なのでは?

yoko:もうメンバーです。しかも一番、女子力が高いっていう(笑)。

●そういう人だから上手くいくというのもあるかもしれないですね。

yoko:元々PIGGY BANKSを始めた当初は女性メンバーにこだわっていたんですけど、今や“女性だけだとウチらはあまり上手くいかないだろうな”と思っています。逆に高橋浩司さんじゃなかったら、ヤバいなっていうくらいで。

●バンドとしての進化を感じている部分もある?

yoko:それはあるかもしれない。“akkoちゃんがいなくなって、どうしよう…?”という時に結束力も増したと思うから。“だったら、ここは私がやるようにしよう”と考えたりして、もう1度(バンド内の)役割分担を考えるタイミングとしても良かったかもしれないですね。

●kemeさんも変わってきているんでしょうか?

yoko:彼女は私たち3人の中でも好みが一番はっきりしているし、サウンドにも特にこだわりが強い人で。元々はファズでガーッて鳴らすのが特徴のギタリストなんですけど、今までakkoちゃんの見せ場だったところを自分がやらなくちゃいけないから最近は掻き鳴らす感じも増えてきたんじゃないかなと思います。

●PIGGY BANKSでのギターのプレイスタイルも変わってきたと。

yoko:そういえば私も30歳になったのをキッカケにして、ギターを始めたんですよ。まだまだ下手なんですけど、去年の秋くらいにライブでも解禁して。今までは上モノがボーカルとギター1本しかなかったところに、下手だろうが何だろうが上モノがもう1本増えたぶん、リードギターは遊べるじゃないですか。それによってライブでの見栄えも変わるし、そういうところでもPIGGY BANKSは日々ちょっとずつ変わっていっているなと思いますね。

●ちなみにyokoさんの弾いたギターも今作に入っているんですか?

yoko:「DASH」の最後でグシャグシャッとした音を出しているのは、私です。「今回は弾かない」と言っていたんですけど、最後に突然弾くことになって。スタッフからも「初めてのギターを(サウンドエンジニアの)山口州治に録ってもらうって、すごいことだぞ」と言われたので、何とかやってみました。

●新たに始めたギターが1つの形になったのは、嬉しいことでは?

yoko:30歳から新しいことをやってみるというのは楽しいですね。やり始めると“もっと早くからやっておけば良かったな”と思ったりもするんですけど、意外と周りからは「yokoは今じゃないと逆にダメだったんじゃない?」と言われて。実際に私もこれまではギターをやりたいという気持ちはなくて、“私は歌だから”という感じだったんですよね。

●元々は歌1本でやっていくつもりだった。

yoko:でもPIGGY BANKSを始めてから自分で曲も作れるようになりたいと思ったし、スタジオでも自分自身がちょっとでもギターを弾けるのと弾けないのとでは「ここをこうしたい」と伝える時の表現が随分変わってくるだろうなというところでやり始めたんです。すごく飽き性の私が楽しく練習できていますね。

●自分自身もギターを弾くようになったことで、ニュアンスを伝えやすくなったわけですね。今回のレコーディングでも、kemeさんに何か注文することもあったんでしょうか?

yoko:今回のレコーディングに関してはkemeがあまり来られなかったんですけど、一緒にスタジオに入る時はそういう発言もできるようになってきましたね。

●今作ではkemeさんが全てのギターを弾いているわけではない?

yoko:「シュビドゥバイン」と「DASH」のリードギターはkemeが弾いているんですけど、他はそんなに多くないです。テツヤさんとあやさん夫婦は2人とも、基本的に全ての楽器ができるんですよ。テツヤさんは元々ドラマーで、あやさんは元々バイオリニストなんですけど、基本的に何でもできますね。ギター、ベース、ピアノも当たり前にできるし、あやさんは弦楽器系はほぼ弾けるんじゃないかな。

●今作に入っている楽器の音は、その2人が鳴らしているんでしょうか?

yoko:その2人が多いですね。プリプロも私が彼らの部屋に行って、3人で「こういう系の曲があったら、ライブでも盛り上がるし良いよね」という話をしながらやっていたんです。たとえば私が「あのアーティストの曲がカッコ良いですよね」とYouTubeを観ながら言ったら、あやさんが「こういう感じかな?」とベースを弾いてくれて。その上で私が歌って、「じゃあ、こういう感じで進めましょう」という流れでした。

●そういう作り方だったので、今回はkemeさんやakkoさんの曲がないんですね。

yoko:そうなんです。その時にいないと、後乗りになってしまうから。現場にいることが大事なので、メンバーが忙しい時は作曲に参加できないんですよ。

●メンバー2人が作った曲を入れなくてはいけないというこだわりもない?

yoko:今となっては、ないですね。最初はあったんですけど、そんなことも言っていられないなっていう。やっぱり活動は止めたくないから。私だって妊娠するかもしれないわけで、その場合は“別のボーカルを立ててもらっても構わん!”という気持ちです(笑)。

●ハハハ(笑)。そのくらい自由なスタンスだと。

yoko:“PIGGY BANKSというバンド”というよりは、“PIGGY BANKSオールスターズ”みたいな感じで捉えていて。PIGGY BANKSを愛していて、その時にやれる人がやったら良いんだというくらいに今は思っていますね。

 

yoko・Special Solo Interview #2

「“PIGGY BANKSって、最初からそんなもんじゃない?”みたいな感覚なんですよね。“このごちゃ混ぜ感がPIGGY BANKSだよね”みたいな感覚があって」

●今回の制作で最初にできたのは、どの曲だったんですか?

yoko:「シュビドゥバイン」と「アナボリック リアクション!?」は早かったかもしれない。

●「シュビドゥバイン」はアルバムのタイトルにもつながる曲だと思いますが、これにはどんな意味を込めているんでしょうか?

yoko:“アルバムタイトルを考えよう”と思った時に、色々と調べていたんですよ。私は大学でドイツ文学科だったんですけど、“ドゥシュバイン”はドイツ語で“この豚が!”みたいな意味らしいんですよ。

●そんな意味なんですね(笑)。

yoko:ドゥが“あなた”で、シュバインが“豚”という意味らしくて。バンド名も“豚の貯金箱”という意味だし、私は『ドゥシュバイン』というアルバムタイトルでもパンチがあって良いんじゃないかなと思っていたんです。でもちょうど「シュビドゥバイン」の中で“シュビドゥバ”と歌っているところがあったから、それと“シュバイン”をくっつけて“シュビドゥバイン”にしました。“この豚が!”というのをふんわりと、かわいらしくした感じですね(笑)。

●パンチの強さを重視したと。

yoko:「アナボリック リアクション!?」も最初に作った時は「PIGGY BANKSのイメージとはちょっと違うんじゃないか?」という話になって、いったん置いておいたんですよ。でもそれから1〜2ヶ月経って、「やっぱりキャッチーではあるよね。やってみようか?」という感じになって。この曲の仮タイトルは「ゴリラ」だったんです。

●確かにパンチのある感じは、仮タイトルからも伝わってきます(笑)。

yoko:いつも最初に歌いながら何となくの歌詞をつけるところから、仮タイトルは出てきていて。元々「シュビドゥバイン」は「テイラー」と呼んでいたし、M-2「PVPHS」は「モータウン」と呼んでいましたね。

●「モータウン」という仮タイトルは曲調から?

yoko:そうです。PIGGY BANKSは元々モータウン系の曲もカバーしていたので、そういう曲があると良いなというところから始まって。昨日も次作のプリプロをするためにテツヤさんの家に行っていたんですけど、たとえば「スカ系がないよね」となったら「それやってみよう」みたいな感じで今もやっています。

●「PVPHS」というタイトルは、何を意味しているんですか?

yoko:これは私が卒業した高校の名前です。“Palos Verdes Peninsula High School”の略なんですよ。

●実際にある高校の名前なんですね。歌詞中にも“Palos Verdes”は出てくるので、“PV”の部分はそれかなと思っていたんですが。

yoko:“Paseo la Cresta”というのも歌詞に出てくるんですけど、これは当時の住所なんですよ。Palos Verdesという山のPaseo la Crestaというところに住んでいたんです。

●歌詞の内容も当時のことを歌っている?

yoko:ケビンとジョナサンという男子と付き合ったことはないですけどね(笑)。アメリカの学校って各学校に象徴する動物や色があって、私の学校はパンサーとブラック&ゴールドだったんです。それを歌詞でもそのまま使っています。

●“high school クイーンビー”というのは?

yoko:その学校に“ナタリー・ネルソン”っていうすごい美人がいて、モデルをやっていて有名だったんですよ。学校で一番きれいだった、その子のことですね。あと、近くに“パビリオンスーパー”というスーパーがあって、そこでよく“Jamba Juice”を飲んでいたという思い出もそのまま書きました。その高校にいる人やその辺りに住んでいる人が見たら、“そのままだな”と思われるかもしれないです(笑)。

●“my teenage dreams”という歌詞もありますが、まさに10代の頃の思い出を歌っていると。

yoko:この歌詞を書こうと思った時に、映画の『グリース』(※同名ミュージカルを原作にした1978年の学園ミュージカル映画)っぽい感じにしたいなと思ったんです。それで“じゃあ、高校時代のことをそのまま書いちゃえ”となりましたね。

●「アナボリック リアクション!?」というのは直訳だと“同化反応”という意味ですが、これはどういう意味で使っているんでしょうか?

yoko:元々は“良い音楽を聴いてお酒を飲んでいるうちに、どんどんおかしくなっていく”というテーマで歌詞を書いていたんです。でも“アナボリックリアクション”自体の意味がどうとかじゃなくて、言葉としてサビ終わりにバンッとくる響きで選んだ感じですね。

●言葉としてフックがあるから選んだんですね。この曲は特に前作からの変化が顕著な曲でもありますが。

yoko:「アナボリック リアクション!?」ができた当初は“今までと随分違うな”と思っていたんですけど、最近は“そんなに違うかな?”と自分的には思うようになっていて。“PIGGY BANKSって、最初からそんなもんじゃない?”みたいな感覚なんですよね。

●というのは?

yoko:“このごちゃ混ぜ感がPIGGY BANKSだよね”みたいな感覚があって。前作でも歌謡曲っぽいメロディもあれば、バラードを入れてみたりしていたから。

●今回もM-3「Sweet Dreams」はバラード系ですよね。

yoko:当初の歌詞は、寝る前に安らかに聴けるようなイメージで書いていて。恋愛のキュンキュン感があるような歌詞を書くことが恥ずかしい時期に長らく突入していたんですけど、久しぶりに女性目線の王道ラブソングを書いてみました。

●ラブソングを書くのは久しぶりだった。

yoko:「シュビドゥバイン」もウェディングソングを意識して書いたのでラブソングではあるんですけど、やっぱり気恥ずかしいので歌詞で遊びたくなっちゃうんですよ。そういう遊びもなく、ストレートに書いたのは久しぶりですね。

●ラストの「DASH」は、何について歌っているんですか?

yoko:これは日本で言う“数え歌”みたいな感じで、実際にあるものを基にしているんです。「Eany, meeny, miny, moe」という歌もあるし、「Acca bacca soda cracker」という歌もあって。

●どちらも英語圏ではポピュラーな数え歌のフレーズですよね。

yoko:最初はインストで良いかなと思っていたんです。“キャ〜!”とか“ウ〜!”と言っているだけで良いかなと思っていたんですけど、“せっかくだから何か歌ってみよう”ということになって。そこから出囃子的な感じで、歌詞をつけてみました。

●『タイムスリラー』の1曲目「CORONA」みたいな感じですよね。出囃子的な位置づけでありながら、最後に収録した理由とは?

yoko:元々は1曲目にしようと思っていたんですけど、EP1とEP2の2部作ということを考えて最後に持ってきました。前半で“今までのイメージとはちょっと変わったな”と思わせつつ、PIGGY BANKSっぽい曲を最後に持ってくることで、次へのつなぎ的な要素の曲になれば良いなと思って。

●2部作という前提があるからこそ、この曲を最後に持ってきたと。ちなみに前作ではSF的な歌詞も特徴としてありましたが、今回はないんですね。

yoko:今回たまたまそういう曲はなかったんですけど、SF系は元々好きなので今後も登場させられたらなと思っています。2ndアルバムあたりで、またSFに戻りたいなと思ったりもしていますね。

●歌詞についてもそういう面で前作から変化はあったと思うんですが、今回はアートワークも宇野亞喜良さんが担当されたことで今までにない感じになったなと思います。

yoko:キュートですよね。宇野亞喜良さんの事務所に行って、自分でお願いしたんです。実際にお会いした時に、「どんなものが良いですか?」と訊いて頂いて。宇野亞喜良さんといえば、明るすぎなくてダークな部分もある少女のイメージが強かったので、“少女と豚”を描いて欲しいとお願いしました。

●ジャケットは宇野亞喜良さんにお願いしたいという明確なイメージがあったんですね。

yoko:今まではアーティスト写真についても、自分の意見をすごく言っていたんですよ。でも今回はあえて、衣装とかはスタッフに任せてみようかなと思って。今回唯一私が言ったワガママが、「宇野亞喜良さんにジャケットを描いて欲しい」ということでした。実は、EP2とも絵がつながっているんです。

●そういう部分でも2部作ならではの工夫がなされている。アーティスト写真のイメージも変わりましたが、これはどんなイメージで?

yoko:基本的にはアートディレクターの方にお任せしたんですけど、今までは革ジャンとかブラック系の衣装が多かったので、“もうちょっとフェミニンな感じがあっても良いんじゃないか”というのはみんな同じ意見で。だからギターを持って、ポップなイメージの写真を撮ったりしてみました。

●ギターを弾くようになったという、今の自分も反映しているのでは?

yoko:そうですね。今までは持つとしても、マイクだけだったから。アーティスト写真で持っているのは、実際にライブで今使っているギターなんですよ。

●着実に進化もしているわけで、バンドとしても良い状態にあるんじゃないですか?

yoko:そうですね。今は本当にやりたいようにできているから。

●2部作の後編も楽しみですが、やはり今作ラストの「DASH」から想像できるようなものになっていくんでしょうか?

yoko:今のところはそうなんですけど、そこもやっていくうちにどんどん変わっていく可能性はあって。でも今回よりは『タイムスリラー』に近いかなと思いますね。まだEP2のプリプロに入ったばかりなので、これから良い感じで制作を進められたらなと思っています。

Interview:IMAI
Assistant:室井健吾

 

 

 
 
 
 

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