音楽メディア・フリーマガジン

BAYCAMP 2017

“素敵な音楽があればそれ以外は何もいらない” -新人編集部員による“BAYCAMP”初参戦記-

2017/9/9@川崎市東扇島東公園 特設ステージ

出演アーティスト:Awesome City Club / BIGMAMA / The Birthday / cinema staff / Creepy Nuts(R-指定&DJ 松永) / Czecho No Republic / DAOKO / DATS / DENIMS / FRONTIER BACKYARD / Have a Nice Day! / Helsinki Lambda Club / HUSKING BEE / Imai(group_inou) / JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB / KIMONOS / KOHH / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS+ / MONO NO AWARE / NakamuraEmi / the pillows / POLYSICS / Predawn / SHISHAMO / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / SPARTA LOCALS / SPECIAL OTHERS / teto / Wienners / Yogee New Waves / yonige / 大森靖子 / カネコアヤノ / きのこ帝国 / キュウソネコカミ / グッバイフジヤマ / シャムキャッツ / 神聖かまってちゃん / 水曜日のカンパネラ / ドミコ / ナードマグネット / ねごと / 爆弾ジョニー / フレデリック / フレンズ / ヤバイTシャツ屋さん / 夜の本気ダンス / リーガルリリー / ロザリーナ / 忘れらんねえよ / [Welcome act] ReVision of Sence / [Field act] 芦沢ムネト / [TIP OFF ACT] 山形 りお
DJ:FREE THROW / タロウサイファイ(avengers in sci-fi) / 藤田琢己 a.k.a DJ SHOCK-PANG / マイケル(Tangle)+村上大輔(生音SAX) / 松田“CHABE”岳二

 

2017年9月9日、川崎市にある東扇島東公園の特設会場で開催された“BAYCAMP 2017”に、JUNGLE☆LIFEの新人編集部員の室井が初参戦。70組近くのアーティストが集結し、正午から翌朝5時まで次々と熱いライブを繰り広げたフェスの模様をダイジェストでレポートする。

 

 

4つのステージが用意された、今年のBAYCAMP。タイラダイスケ(FREE THROW)がFREE THROW GARDEN(以下【FREE】)で心地よい音を流し始めると、いよいよ幕開けだ。Welcome actのReVision of SenceがMOROMI STAGE(以下【MOROMI】)を一気に燃え上がらせる一方で、【FREE】 に現れたTIP OFF ACTの山形りおは凛とした歌声で観客たちを惹きつける。

ReVision of Sence

 

 

PLANT STAGE(以下【PLANT】)でヤバイTシャツ屋さんが大盛り上がりを見せる中、EAST ISLAND STAGE(以下【EAST】)に登場したのはCreepy Nuts。印象的だったのは観客からお題を7つ集めて、即興でラップをするコーナーだ。韻を踏みながらお題のワードが出る度に観客はどよめき、見事全てのワードを使って成し遂げた瞬間は、観ている側もスカッとした気持ちになった。

ヤバイTシャツ屋さん

Creepy Nuts

 

cinema staffが風格すら漂わせる圧巻の演奏で発生させた熱気が残る【FREE】を、シャムキャッツが緩やかなサウンドと歌声で包み、オーディエンスの心を解きほぐしていく。涼しい風を浴びながら聴く彼らの音楽は、Vo./G.夏目知幸が言っていたように、温泉に浸かっているような極楽気分にさせてくれた。

cinema staff

シャムキャッツ

 

 

忘れらんねえよが生々しいライブで熱狂と興奮の渦を湧き起こしている【PLANT】の様子を横目に見つつ、【EAST】に戻ってきて観たのは大森靖子。感情を剥き出しにして叫ぶように歌った「PINK」の迫力に圧倒され、その流れで始まった「マジックミラー」で完全にノックアウトされる。“あたしのゆめは 君が蹴散らした不細工でボロボロのLIFEを 掻き集めて大きな鏡をつくること”と全力で歌い上げる彼女の姿は、眩しいほどに輝いていた。

忘れらんねえよ

大森靖子

 

 

【PLANT】では、Yogee New Wavesが海沿いのロケーションにぴったりの曲を次々に演奏。気持ち良くなると同時に、テンションはうなぎのぼりに上昇する。最後の「Dreamin' Boy」で興奮がピークに達すると、もう満足感でいっぱいだ。だが、【MOROMI】でHelsinki Lambda Clubが繰り出す骨太なグルーヴと軽やかなメロディに、思わず身体が動き出してしまう。スペーシーで不思議な雰囲気の曲でじっくり聴かせる一面もあり、様々なグッドミュージックで魅せた。

Yogee New Waves

 

 

そろそろ日も落ちてきた頃、【FREE】ではPredawnが透明感のある歌声と雰囲気溢れる大人のサウンドで大観衆の心を奪う。【MOROMI】のyonigeはそのかわいらしいルックスからは想像できない、力強いサウンドと迫力ある音圧に驚くばかり。飾らない言葉で鬱屈とした想いを爆発させる歌詞も強烈で、とても見応えのあるステージだった。その後に登場したリーガルリリーも、期待に違わぬ素晴らしい演奏を披露。才能あふれる女性アーティストたちのライブに、惚れ惚れしてしまう。

Predawn

yonige

 

 

「オワラセナイト」「ナイトステップ」などダンサブルなビートと独特なメロディによって作られる“フレデリズム”を全身で体感させてくれたのは、【PLANT】のフレデリック。最後は観客全員で「オドループ」を踊りながら熱唱し、凄まじい一体感を生み出した。それに負けじと【FREE】ではLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS+がキラーチューンを連発してキッズたちを乱舞させ、【EAST】ではthe pillowsがブレることなきロックサウンドで観る者の心を震わせる。

フレデリック

LOW IQ

the pillows

 

 

歌とギターとドラムだけという最低限の編成でドミコが繰り出す演奏は、“カッコ良い”としか形容しようがない。まさに“シンプル・イズ・ザ・ベスト”を体現したような独自のサウンドに、【MOROMI】は胸アツな瞬間の連続だった。その流れで初めて観たMONO NO AWAREも言葉にならないくらいカッコ良くてシビレまくりだ。ユーモアを交えた軽快な曲や轟音で引き込む曲など、バラエティの豊かさにも心惹かれた。

大熱狂を巻き起こした【EAST】のキュウソネコカミに後ろ髪を引かれながら、【PLANT】でSHISHAMOを観る。川崎が地元の彼女たちを川崎フロンターレのマスコットキャラクター・ふろん太くんも客席から応援する中、来年の7月に等々力陸上競技場でワンマンを行うことを発表するサプライズも。個人的には最後に披露された「明日も」のメッセージが、疲れた身体に染み渡った。

キュウソネコカミ

SHISHAMO

 

 

深夜0時半を過ぎた頃、【PLANT】 にものすごい勢いで登場したのはKOHH。ステージ上を駆け回った後に客席に飛び降りると、とてつもないパワーでフロア全体を巻き込んでいく。彼のパフォーマンスを観ていると“生きること”を根源から肯定されているような気がするから不思議だ。その後も水曜日のカンパネラ、神聖かまってちゃん、Have a Nice Day!、Imai(group_inou)などBAYCAMPらしい、さすがのラインナップが深夜のパーティーを天井知らずで盛り上げていった。

KOHH

水曜日のカンパネラ

神聖かまってちゃん

 

 

POLYSICSが【EAST】のオーディエンスを踊り狂わせた後、ずっと続きそうな気さえした今年のBAYCAMPにも終わりの足音が近付いてきた。雨が降り始める中で【MOROMI】ではJABBA DA HUTT FOOTBALL CLUBが、【PLANT】では夜の本気ダンスがそれぞれトリのステージに立つ。

POLYSICS

夜の本気ダンス

 

 

深夜とは思えないテンション感で披露されるアップテンポな曲の連続に、その場にいる全員が盛り上がりまくったのは【FREE】の爆弾ジョニー。アンコールの「なあ〜んにも」では、そのストレートな歌詞に思わず涙が溢れ出す。各アーティストが最後に華を添えていき、大トリは【EAST】のBIGMAMAが大団円で締め括った。

爆弾ジョニー

 

 

数多くのアーティストが、それぞれの想いを胸に音を鳴らした“BAYCAMP 2017”。今回初参戦して“素敵な音楽があればそれ以外は何もいらない”ということを改めて実感した。“この充実感をまた味わいたい”と思ったのは、私だけではないはずだ。もうすでに、来年の開催を待ちわびている自分がいる。

TEXT:室井健吾
PHOTO:Viola Kam (V’z Twinkle) / 市村岬 / 釘野孝宏 / Ohagi / MASANORI FUJIKAWA

 

 

 
 
 
 

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