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キノコホテル

飼い慣らされない女たちが魅せた狂瀾怒涛の実演会。 その感動と興奮を呼び醒ます実況録音盤がリリース。

2007年6月24日に初の実演会を行ってから、10周年を迎えたキノコホテル。その記念事業として2017年3月には初の長尺実演会映像作品『実録・ゲバゲバ大革命』、6月には記念アルバム『プレイガール大魔境』を発表したほか、国内だけにとどまらず台湾やマカオでの公演も行うなど精力的な活動を続けてきた。その中でもメインイベントと言えるキノコホテル創業10周年記念大実演会“サロン・ド・キノコ〜飼い慣らされない女たち”(2017年6月24日@赤坂BLITZ)の模様を収めた、ライブ作品が1/17にリリースされる。2CD+DVDというボリューミーな仕様となった今作について、支配人・マリアンヌ東雲にじっくり話を訊いた。

 

「キノコホテルの今までの10年の中では、確実に1つのピークと言える日でもあったと思います」

●今作『飼い慣らされない女たち〜実況録音盤』を出すにあたって、ライブDVDではなく“CD2枚+DVD”という構成にしたのはどういう理由からなんでしょうか?

マリアンヌ:元々、赤坂BLITZで実演会(キノコホテル創業10周年記念大実演会“サロン・ド・キノコ〜飼い慣らされない女たち”)を去年6月に開催した時点では、リリースの予定も特になかったんです。『実録・ゲバゲバ大革命』という映像作品を3月にリリースしたばかりだったし、“実演ものばかり出してどうするのよ?”という想いが個人的にあって。だからとりあえずそういう考えはナシにして、赤坂BLITZではステージに専念させて欲しいと言ったんです。

●元々、映像化するつもりはなかったと。

マリアンヌ:でもそんなことを言いながらも、裏ではマネージャーがちゃんとカメラマンを手配して9カメくらい入れて、レコーディング用にエンジニアも手配していて…。“記録用”だとか言っていたけれど、まあお決まりの展開で。実演会が終わったら、案の定マネージャーが「BLITZ、良かったじゃないですか〜」とか言ってくるわけ。

●マネージャーからの甘い囁きが(笑)。

マリアンヌ:“来たな〜”とは思ったけど。ただ映像作品は出したばかりだし、元々実録盤を出すのが好きなほうでもないのでしばらくは難色を示し続けていたの。そこから「じゃあ、CDだけにしません?」と、ワタクシが提案したんですよね。それで“とりあえず音源化”という話がふんわり決まって。

●まずはライブ盤としてリリースが決まった。

マリアンヌ:そうなってから当日の映像を見てみたら、お客さんも盛り上がっているし、ダンサーやゲストプレイヤーなど見せ場も多いし、照明も美しいし、“あんな大きな看板も気合いを入れて作ったわ”とか色んな想いが去来してきて…。改めて特別な夜だったと感じることができたので、逆にこれを形として残さないのは不自然な気がしたんですよね。

●実際のライブ映像を見て、映像化の機運が高まったわけですね。

マリアンヌ:最初はその中の数曲だけを選んで、30分くらいの映像にしようという話だったんです。ワタクシも“それくらいだったら許す”ということで。でもそこから選曲していくと、案外捨てられなかったですね。自分ではシビアに削ったつもりでも、結局15曲も残す羽目になりました。最初はCDがメインであくまでもDVDは本当に“おまけ”くらいに考えていたんですけど、思ったよりもDVDのボリュームが増えることになって。これは本当にファン想いのワタクシによる独断と偏見で、15曲を残したという感じですね。

●ちなみに今作から削られた曲は、どういう理由からなんですか?

マリアンヌ:あの会場で見聴きしたから良かったのであって、後から音や映像で振り返った時に空気感がいまひとつ自分的に伝わってこないかなというものに関しては削りました。別にネガティブな意味ではなくて、“これは当日の会場に来た人の記憶にだけ残れば良し”と判断したものもあって。

●現場の空気感も含めて良かった曲に関しては、会場にいた人だけのお楽しみというか。

マリアンヌ:そういう部分も残しておきたいなと思って。何でもそうなんですけど、来なかった人に全部を見せてしまうのは嫌なの。もちろん、断腸の思いで来場を諦めた方もいるとはわかっているんですけどね、性格がヒネくれているのよ。

●オーディエンスの歓声がCDにも入っていることで、現場の空気感もある程度は伝わってくるかなと思います。

マリアンヌ:そうですね。歓声はちゃんと残して頂きたいとエンジニアさんにお願いしましたので。臨場感に関しては結構、口やかましく注文を付けました。せっかく過去最大の動員数を記録したことですし、そこはムード重視ということで(笑)。

●ライブはやはり、メンバーと観客が一緒になって作る雰囲気も大きいですよね。

マリアンヌ:そこにお客さんの声が入ることで生まれる空気感というものが、やはりライブ盤には不可欠だと思っておりますので。それをできるだけ上手く掬い上げるような感じで、作っていったところはありますね。

●10年間支えてくれた胞子(※ファン)たちへの感謝の気持ちもあったりするのでは?

マリアンヌ:それはもちろんありますよね。キノコホテルを応援してくれて実演会を観に来たり、CDを買ってくれたりする人たちがいなければ10年も続かなかったですから。

●MCでもおっしゃられていましたが、もしお客さんが集まらなければあの日で廃業ということも考えていたんですよね?

マリアンヌ:まあ、でも最後にBLITZで一花咲かせて廃業というのも面白いなと考えたりもしましたけどね。“BLITZの最後のMCで突然「今宵限りで廃業します」って言ったらどうなるかしら?”とか“メンバーもマネージャーも誰も何も知らない状態で発表したらどうなるだろう〜?”だなんて、色々と妄想して。妄想癖が甚だしいので、前日の夜はなかなか眠れずに悶々としながらそんなことばかり考えて、ますます眠れなくなっていました(笑)。

●前日眠れなかったのは、緊張感も多少はあったんでしょうか?

マリアンヌ:そうですね。やはりキノコホテルで赤坂BLITZ単独公演というのは初めての規模感でしたので、企画したものの“無事にやりきれるのかしら…?”という想いがあって。BLITZが決まってから実演会当日まではだいぶナーバスになっていて、頭の片隅には常にそのことがあったんです。

●そのくらい真剣にBLITZのことを考えていたと。

マリアンヌ:まず誰よりも自分が一番にステージを楽しみたいというのは大前提ではありますけど、10周年を迎えたキノコホテルの今後を左右する一大行事でしたので失敗は許されないな、と。ステージのこともワタクシがスタッフさんと細かく相談したり、ダンサーさんとも直接やり取りして段取りを決めたりしながら、自分に全責任がかかっているのを常に感じていました。色んな方々の力をお借りしつつも、ワタクシの一言だったり、ワタクシが誰に何をお願いするかによって、全部が変わってきてしまうから。そのことに対してありがたい反面、“本当にこれワタクシ1人の判断でいいの?”という気持ちもあったんです。

●結構なプレッシャーの中で挑んだんですね。

マリアンヌ:終わってしまえば、全部吹き飛んでしまうんですけどね。それくらい自分の中で比重を占めていた事案だったので、そういう意味ではやっぱりパッケージとして自分が10年・20年後に時々振り返られるようなものにしておいたほうが良いのかもしれないなと。そうすることで当日の会場に来ていた胞子たちや、逆に来られなかった人たちも喜んでくれるんだったら良いのかもという方向に気が変わって、このような形になりました。

●大きなプレッシャーは感じつつも、結果的に良いものになった実感があるからこその作品化というか。

マリアンヌ:キノコホテルに関しては自分が全ての責任を負うくらいの気持ちでやっているので、そこはもう仕方がないと思っているんです。その代わり、終わった時の爽快感や達成感というのは本当に心地よくて、病みつきになってしまいそうな部分もあるわけだから。規模の大小はありますけど、結局そういったものを繰り返しながら2017年を過ごした感じがしますね。

 

●2017年の活動の中で、赤坂BLITZ公演が1つのピークでもあった?

マリアンヌ:そうですね。キノコホテルの今までの10年の中では、確実に1つのピークと言える日でもあったと思います。

●セットリスト的にも創業10周年記念作品『プレイガール大魔境』の収録曲を中心にして、10年間を振り返るようなものになっていたのかなと。

マリアンヌ:やはり『プレイガール大魔境』は自分の中でも会心の出来だったので、それを中心にセットリストを組みました。そこで息を吹き返した古い楽曲にスポットを当てながらも全ての年代を網羅しているというか、全部のアルバムから何曲かずつは入れられたと思います。

●そこはやはり10周年を意識した選曲になっている。

マリアンヌ:そうですね。ある程度は“集大成”というのを意識した部分はあると思います。

●「真っ赤なゼリー」は初めて作ったオリジナル曲だそうですが、これをラストに持ってきた意味合いとは?

マリアンヌ:「真っ赤なゼリー」は自分がバンドを始めるキッカケになった楽曲なので、それを初代の赤いミリタリールックでしかも赤坂BLITZでやるというのは自分の中で思い描いていて。間の曲は何であろうと、最後はそれで締めるというのは決めていました。

●それくらい思い入れが強い曲だった。

マリアンヌ:初期の頃は毎回セットリストに入れていたし、おそらくこれまでのステージで一番歌った曲ですね。好きか嫌いかと言われたら特別好きなわけではないんですが、今回BLITZのアンコールで最後に披露して、それなりに感慨深い気持ちにはなりました。この曲が全ての発端であって、そこから我が人生も狂ったわけですから(笑)。

●ハハハ(笑)。ちなみに先ほどのお話にあった『プレイガール大魔境』で息を吹き返した古い楽曲というのは?

マリアンヌ:『プレイガール大魔境』でのバージョンを下敷きにしたアレンジで、去年6月からステージでもやるようになって。その結果すごく歌いやすくなったり、ノリやすくなったりした曲があったんです。あと、新鮮な気持ちで“案外良い曲じゃないか”と感じながらやれるようになったりもして、自分が忘れかけていたような楽曲に対しても改めてポジティブな感情を持てるようになったんですよね。

●たとえば、どのあたりの曲ですか?

マリアンヌ:「悪魔なファズ」や「愛人共犯世界」「あたしのスナイパー」あたりは今のバージョンのほうが好きですね。「球体関節」も今のアレンジのほうが断然、気に入っていて。基本的に『プレイガール大魔境』に入っている曲は、個人的には元のバージョンよりも全然良いと思っているんです。もちろん胞子の皆さんそれぞれにはそれぞれの考えがあると思いますし、あくまでもオリジナルバージョンにこだわる方も中にはいらっしゃるでしょうけど。

●バンドとして、今が一番良いということを体現できているのかなと思います。

マリアンヌ:そうですね。バンドとして出す音だったり、従業員たちの間のコンビネーションや呼吸感だったり、そういったものに関しては充実しているというか。こういう長尺のステージをやると、そうやって積み上げてきたものが実を結びつつある…そんな実感は特にありますね。

●10周年イヤーは6月まで続きますが、2018年はそろそろ新作のオリジナル・アルバムも期待できるのかなと…。

マリアンヌ:今年は本当に忙しくて本腰を入れて曲を書けなかったので、来年はようやくそういうモードが来るのかなっていう予感はありますけどね。まあ、あくまで予感ですが。ただ、あんまり制作に没頭して表に出てこないと、今の世の中ではすぐ忘れ去られてしまうので、スタッフ陣にも頑張って頂かないと。そろそろワタクシに番組の1つでも持たせてくれるとか(笑)。

●今まで支えてくれた胞子たちに加えて、新しい層にも知ってもらいたい気持ちがある?

マリアンヌ:まあ、そうですね。ワタクシたちの進化についてこれなくて、離脱してしまった人もいると思いますけど。今回の実況録音盤には映像も付いて、曲目も大サーヴィスといった趣になっているので初心者の方にもオススメじゃないでしょうか。…っていうのは『プレイガール大魔境』のインタビューでも言った気がするわね。

●ですね(笑)。今回も入門編にもなりうるものができたと。

マリアンヌ:そうですね。逆にこれでキノコホテルを初めて知る人はラッキーだと思いますよ。…っていうのも毎回、リリースの度に言っている気がするわ(笑)。

●ハハハハハ(笑)。

Interview:IMAI

 

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