音楽メディア・フリーマガジン

CASCADE

真面目にふざけるMONSTERに心奪われた

2012/11/09@SHIBUYA BOXX
“CASCADE TOUR 2012 MONSTER'S CAMP”
SPECIAL LIVE REPORT

ニューアルバム『MONSTER'S CAMP』を引っさげ、渋谷はBOXXより幕を開けたCASCADEのツアー。黒いパーカーをフードまで被り、サングラスをかけたVo.TAMAが登場し、高らかに歌い始める。いつもよりもクールな印象を受けるのは、ふわふわのパーマがかかった髪を切ったせいだろうか。最初からアッパーチューンを連発し、客席のテンションは早くもブチ上がり! 一瞬の暗転中も、メンバーを呼ぶ声が止まらない。

そんなオーディエンスをさらに煽るべくハードなナンバーを何曲か披露した後、とびきりキャッチーな「ベーコンエッグになりたい」へ。ベーコンのようにカリッとなりたいというハムの心情を歌ったこの曲。“わたしはベーコンエッグになりたい”という一文から始まるのは、やはり実際にライブで聴いてもなかなかショッキングなものである(笑)。

G.MASASHIのコーナーでは、彼がボーカル/ギターとなって「モテなかった中学時代の僕に贈ります」と、「女性恐怖症」を披露。MASASHIお得意のアメリカンなロックサウンドを元気よく奏でると、そこら中に緩急の付けられた変化球が飛び交う。TAMAのポップで愛らしい声とも凶暴さを孕んだ声とも違う彼の歌声に合わせ、オーディエンスは軽やかに体を弾ませる。サポートマニピュレーターの新平もコーラスを歌いながら振り付けを踊り、満面の笑みを浮かべていた。

再びTAMAがボーカルの曲に入ると、赤と黒のボーダーの衣装にチェンジしてステージへ帰ってきた。なんだか今日の彼は男らしくてかっこいい。少し色気を醸すハイトーンが冴え渡ったかと思えば、力強く煽ってオーディエンスをリードしたり、キュートに踊って見せたりする場面も。もちろんTAMAのみならず、CASCADEには数えきれないほどの表情があり、1公演で二度も三度も四度も美味しい思いができてしまう超絶贅沢タイムなのだ!

新たな表情もたくさん垣間見えて嬉しく思っていると、「みんなへのプレゼントです」と新曲を披露するサプライズまで用意されていた。壊れそうなほど繊細なバラードからは、名曲の予感がひしひしと感じられる。TAMAのハイトーンボイスで紡がれる儚い言葉に胸が締め付けられて、この楽曲の間だけ、時間が止まったような感覚さえ覚えた。

金沢カレーブームの火付け役、“ゴーゴーカレー”とコラボレートした「Curry is my Angel」では、赤と黄色の照明が彩る中、スパイシーな演奏に体が踊り、汗が吹き出す。サポートBa.高井淳は腰を落として迫り来る重低音を奏で、その後ろではDr.HIROSHIがこれでもかというほど楽しげにスピーディーなリズムを叩き出す。しゃかりきになって暴れるオーディエンスに負けじとロックな声と音でぶつかるCASCADEはちょっぴり攻撃的で力強い。

タイトルや歌詞とは裏腹に場内をハートフルな空気に染めた「ハッピーエンドじゃ終われない」では、心地いいコーラスワークの広がりに自然と揺られる体。温かい旋律を辿って、るんるん♪ と歌ってしまう私は、真面目にふざける5人のMONSTERに心奪われているのだろう。MONSTER達が騒ぐツアーファイナルは12/21のShibuya O-WEST公演。いまだめくるめく変化を続けるCASCADEの“今”を、あなたにも感じてほしい。

TEXT:Hirase.M

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