音楽メディア・フリーマガジン

“DEDICATE to…〜gang 451〜”

Dear Yokoi.May your soul rest in peace. And i wish you every happiness!!

01-041 02-01303-02804-004

2013/2/11(月・祝日)@Zepp Namba (OSAKA)
ACT:BUCK-TICK / 氣志團 / 東京スカパラダイスオーケストラ

WELCOME ACT:オレスカバンド

2013年の2月11日に、GREENS横井氏に縁のあるアーティストが集結し、彼への追悼の意を込めたライブイベント“DEDICATE to…〜gang 451〜”が開催された。トップバッターはWELCOME ACTのオレスカバンド。デビュー当時は高校生だったメンバーも、いまや24歳。サウンドはより円熟味を増し、時にジャジーに、時にブルージーに観客を魅了する。2月に発売したアルバム『Hot Number』収録の新曲「ブルーバード」のようなバラードも、昔とは違うしっとりとした深みを感じた。
続いては、ヤンク・ロック(ヤンキー+パンクロック)の提唱者、氣志團。どんなライブなのかとドキドキしていると、突然2階席に謎の3人が現れる! 何でも、彼らのライブ前には3人の小芝居が挟まれるらしい。「氣志團なんて落ち目のバンドでしょ!」「氣志團にとっての「スピード(BUCK-TICKの名曲)」って何なの!?」など、自虐ネタや出演者を絡めたネタ、そして時にはさり気なく宣伝を交えながら会場を沸きたたせる。早乙女(DANCE&SCREAM)の端麗なトランペットによる「夜明け」から、間髪入れずに「夢見る頃を過ぎても」へとなだれ込み、「スタンディング・ニッポン」では、微熱DANJIの3人がダンサーとして登場! ステージでのパフォーマンスやMCでのコール&レスポンスはもちろん、氣志團にとっての「スピード」こと「One Night Carnival」でのオーディエンスの大合唱、そして綾小路(DRAGON VOICE, MC & GUITAR)が歌詞を間違えた時の反応まで、あらゆる面で会場を楽しませようとする彼らのライブは、まさにエンターテインメントショーだった。
3番手はスーツ姿がダンディなスカ集団、東京スカパラダイスオーケストラ。まずはリズム隊が現れ、挨拶代わりに放った1曲で腹の奥までズシンと響く凄まじい音圧を撃ち込み、「DOWN BEAT STOMP」で熱狂の渦に叩き込む。思わず踊り出してしまう裏打ちのリズムと、究極のポップネスは“これぞスカ!”と叫び出したくなるほどだ。良い音楽の定義は人それぞれだろうが、彼らから感じたのはまぎれもなく“本物”という感覚。カッコいいのはもちろんのこと、スカパラはいつだって遊び心を忘れない。特に印象的だったのは。北原(Tb.)がくるくると回りながらトロンボーンのスライドを前後させ、GAMO(T-Sax.)がそのスライドに当たらないよう、立ったりしゃがんだりしながらかわして遊んでいたシーン。各々が自由に音楽で楽しんでいる様子がありありと見てとれた。
ラストは遂に“アニキ”ことBUCK-TICKが降臨! イントロが鳴った瞬間にいたるところから黄色い声が上がるほど、彼らの人気は凄まじい。硬質で大人の色香を漂わせる声。ザクザクと刻む小気味よいカッティングや、曲に彩りを加えるギターのエフェクト。正確無比なヌケの良いドラム・ビートに、しっかりとメロディラインを支えるベース。どこをとっても非の打ち所がない洗練された音ががっちりと噛み合うだけでも圧巻だ。そのうえBUCK-TICKのサウンドは一定のジャンルに留まらず、様々な音楽性を吸収し“BUCK-TICKらしい”楽曲に昇華させている。何十年もファンの心を掴み、また新たなファンを獲得していくのも、類い稀なる魅力が為す業なのだろう。
この日のライブ中、氣志團の綾小路は横井氏との思い出を語り、BUCK-TICKはしきりに氏の名前を口にしていた。特に「横井さんのために、はしゃいでくださいよ」と告げて始まった「memento mori」は、言葉以上に感じるものがあった。ステージに立った誰もが彼を偲び、悲しみを抱いていたことは間違いない。だがこの会場の熱が、騒ぎ楽しむ声が、遥か空の彼方まで届けと願っていたのだろうと思う。心から音楽を愛し、そして仲間達に愛されていた横井氏に敬意を表して。

TEXT:森下恭子

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj