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EGG BRAIN

じっくり煮込んだ愛情いっぱいの手料理をご賞味あれ!

 '08年10月に結成1年でデビューアルバム『What's gonna come out』をリリースし、洋楽でもなく邦楽でも無い極上のメロディーで日本のロックシーンへ強烈なインパクトをもたらしたEGG BRAIN。

彼らががこの1年半ライブで楽曲を煮込み続け、完全に熟した7SONGSを全てのミュージックラバーに振る舞う1st mini Album、『7 DISHES YOU WANNA EAT』を11月2日にリリースする。色とりどりのDISHをさあ召し上がれ!

Interview

「どの曲も個性が強いし、今までのお客さんにも "こんな曲でもEGG BRAINやわ"って感じてもらえると思います」

●会場限定シングルを挟んでいるとはいえ、前アルバムから1年半経ってのリリースですよね。

ジョーイ:ただ漠然と期間が空けていた訳ではなく、意図的なものなんです。『THE NEXT 20-MILE CLOUDS』を出してから"会場限定のシングルを出したいね"っていう話をしていて、それが終わったら、今度は"ライブをたくさんしよう!"という話になって。年明けからは自分達の企画イベント"卵戦争"を3ヶ月連続でやりつつ、仲の良いバンドからイベントに誘ってもらってライブを強化していたんです。ちゃんとワンマンツアーもして動きを見せつつ、今回のアルバムに繋げたいなという想いがあったんです。

●"卵戦争"みたいにストーリーがあってハートウォームなイベントって、最近は観ないなと思って感心していたんです。1本のイベントに情熱を注いで"お客さんを楽しませたい"っていう気持ちが凄く伝わってきた。

田畑:僕らが主催のイベントってリリースツアー以外はやってなくて、いろんなライブの見せ方、他のバンドがやらなくなった事を率先して試していこうってことで"卵戦争"を企画しました。

ジョーイ:アルバムをリリースしてツアーして、また制作してアルバム~って流れがあって、時間も余裕もなかったんですよ。だから企画をする事に興味があったのが一番の理由です。ちゃんと繋がっていくれたら嬉しいですね。

●なるほど。内田くんはどうですか?

内田:まだ加入して1年半だし、流されまくってる感じです。いきなりEGG BRAINに入ったから自分のキャパを超えてるし、ついていくのがやっとで…。企画の辺りからやっと慣れ始めた感じですね。

●内田くんのドラムは加入前から知ってるけど、凄い上達してると思う。テクニック的にというより、聴いていて気持ちの良いドラムを叩くようになったなと。

内田:EGG BRAINに合わせるようにりましたね。前のバンドは自由に何をやってもよかったんだけど、今は出来る限りEGG BRAINという筋道に沿いながらも、自分らしさも捨てないようにしています。"ここはこうしたいねん!"ってぶつかり合う事もあったけど、結果いいものが出来上がったと思います。

田畑:ライブに関しては3人ともへたくそやし、課題もたくさんあるんだけど、やりたい事は見えてるんで、それを早くひとつひとつクリアしていきたいですね。

●例えば?

田畑:ヴィジュアル面の強化です!(笑)。

●それは楽器の弾き方とかではなく、基本的な3人のヴィジュアルってこと?

田畑:そうですね、僕ら3人の見た目です(笑)。音に関しては1年半この3人でやってきて、それぞれの課題が見えたと思うんです。それを今よりももっと速いスピードで伸ばせればいいなと思っています。

●最近のEGG BRAINのライブを観ていて感じるのは、ちゃんと曲が浸透していているなってことなんです。特別な振り付けこそ無いけど、ちゃんとみんな曲を理解しているなって。

ジョーイ:確かに、前よりも曲を認識してくれているという印象はあります。1年以上かけてライブ活動をしてきた結果が出てきているんだとしたら嬉しいですね。リリースする事でさらに繋がっていけば"狙い通り"みたいな。

●それがちゃんと曲に出ているなと。"ライブでお客さんがこう動くんだろうな"というのが目に浮かんで来るというか。

ジョーイ:狙っている訳ではないんですけど、心のどこかでフロアの動きを意識している部分はありますね。でも、"こう動いて欲しいから、こういう曲"というのではなく、より自然に曲が完成しますね。それも経験かなと思うんですよ。だから今回は何も考えず作った僕の原案に2人が反射的に反応して、パパパっと出来た。みんなのイメージが近かったからかな? 収録されているのは7曲だけですけど、製作期間も長かったし溢れるぐらいたくさん曲が出来ていたんで、実は選りすぐりの7曲なんです。

●なるほど。タイトルが『7 DISHES YOU WANNA EAT』ということで、曲を料理に例えているんですよね?

ジョーイ:直訳すると"食べたくなる7つのお皿(料理)"なんですけど、制作段階でコンセプトがあった訳じゃないんです。共通して繋がるものがあればいいよねって話をしていた時に出てきた案が「レストランにする」で、タイトルもPVもそれに合わせて考えました。今までとは違った方法でしたね。

●余裕を持って"じっくり煮込んだ極上の7品"が完成した訳ですが、そのメニューについても訊かせてください。M-1「CROSS THE SKY」は凄く気持ちいいEGG BRAINらしい8ビートのカラッとした曲。

ジョーイ:こないだアメリカに行ったんですけど、飛行機が楽しくて空港でワクワクしてたんです。それ以来"空港の曲を作りたい"と思うようになって関西国際空港に行ったりして歌詞を考えていたら、僕の真上を飛行機が飛んでいったんです。それがカッコ良くて。

●まるで少年じゃないですか(笑)。

ジョーイ:エンジン音も間近で聞こえるからちょっと感動しちゃって。それで書いた歌詞がサビの部分で、あとはちゃんとイントロっぽいものがある曲を作りたいと思っていて、それがいろいろミックスされて出来ました。

●どの曲もイントロはありますよね?

ジョーイ:もちろんそうなんですけど"ザ・イントロ"みたいなものが欲しかった。序章のイントロがあって、"ドカーン"と爆発するイントロがあってAメロに流れ込むみたいな、定番のやつを作りたかったんです。

●なるほど。M-2「FUTURE」EGG BRAINの持っているいろいろな要素の中でもロックがフィーチャーされている曲なのかなと思って。90年代アメリカの匂いがする。

内田:レーベルオーナーが真っ先に気に入った曲で、「これは間違いなくリード!」って言ったのがこの曲だったんです。サビでいきなり明るくなるし。歌詞もリフレインしているので、一緒に歌ってもらいやすいんじゃないかな。

田畑:今までこういうパターンの曲ってなかったから、まだリリースしていないのに、ライブではお客さんも口ずさんでくれていますね。

ジョーイ:すごく嬉しい。

●歌詞も自分に言い聴かせているような感じがしました。

ジョーイ:それはあるかもしれない。

田畑:"前を向いていこうぜ"みたいなポジティブな曲ですからね。

●そういう意味でいうと、M-3「THE SWEETEST LULLABY」も、ライブで得た経験を歌っているんじゃないかなと。

ジョーイ:ずばりそうですね。ツアーでずっと車で移動しているので、それを歌った曲です。山を越えたり谷を超えたり歌を歌ってみたり、みたいなね。

●1年半かけて大事にしてきたライブは、ちゃんと曲にも活かされているぞと。

田畑:この曲はワンマンライブで先に披露した曲なんですけど、解りやすいのかすぐに反応してくれて。今までは新曲をやっても、初めはみんな聴く姿勢だったんですけど、すぐに遊んでくれたよね。

●何度かライブで聴いてるから、テンポチェンジの前に"速クナルヨー"ってジョーイ君の声が脳内再生されて困ってます(笑)。

内田:最近では定番ですからね(笑)。うちのスタッフも大好きで、舞台袖でマネしてるし、機材車の中で突然り言い出すんですよ。ライブの時は、ぜひ舞台袖を注目してみてください(笑)。

●(笑)。M-4「KILLING IN THE MOSH PIT」もライブへの意気込みを感じます。

ジョーイ:言い方が悪いかもしれないですけど、ライブ中面白くなさそうに観ているやつがいるんですよ。つまんなかったら出ていけばいいのにって。一回超腹が立って、ステージ上で"何だアイツ"って思った時の歌です。「出ていけ!」って言いたいんですけど、嫌なんだったら観てくれなくて良いからみんなでやっつけようぜ! って歌です。

●田畑くんのベースソロばりのフレーズも、完全に殺しにかかってると。

田畑:あれはベースラインの美しさを上手く表現した結果です。

ジョーイ:あははは!(笑)。

●今作は特にベースが全体を引っ張っている気がしたんです。フレーズもメロディアスな部分と、しっかりルートで引っ張っていく部分の棲み分けができていて、曲の持つテンポ感やイメージを的確に表現しているなと。

田畑:嬉しいですね。ドラムの安定感とメロディのレベルが上がったから、そういうことに頭を回せる余裕ができたんだと思います。理想としてはドラムがどっしりとあって、ギターはコード感で雰囲気を作って、僕がサブメロディ的な部分を意識する事で、曲に表情を付けてあげることです。ライブや曲作りを数多く経験するなかで、"こういう風に曲を作ったらもっと表現できる"というのが自分の中でも定まってきつつあって、いろんな見せ方が出来るようになっちゃった。

ジョーイ:"なっちゃった"って、あかんのかい(笑)。

●自ずと出てしまったと。

田畑:悔しいですがそういうことです(笑)。

●なるほど(笑)。それぞれが信頼できるヘルシーな関係になって、ますますパーマネントなバンドとして成長した結果だ。そのまさに"煮込まれて出来たミニアルバム"には、M-6「ALCATRZ」のようなシリアスなスローテンポな曲も収録されていますね。

ジョーイ:今回の挑戦ソングじゃないですけど、自分達の力試しですね。

田畑:EGG BRAINの幅を広げるという意味でも重要な曲だし、本当に今までになかった曲。これをライブでやって"こんなんも出来ちゃうの"って側面を見せられたらいいですね。ゆっくりな曲って"間"が重要だし、ごまかしも効かないですからね。

●3ピースってバンドの最小単位だと思うし、いろんな差し引きが必要じゃないですか。その中表現力ってものが求められると思うんです。この曲はラストに進むにつれ感情も高まって来るし、どうライブで披露されるのか楽しみです。

田畑:初めて聴いた時"絶対やろう!"って言いました。バンドにとって幅を広げる為にもこういう曲は絶対に必要だし、これをライブで上手く表現できたらまた経験値が上がると思うので挑戦したいですね。

内田:これはデモの時からほとんどアレンジが変わってないんですよ。3人とも出てきたまんま演奏してる。知り合いのバンドマンに聴かせても、凄く評価が高いです。

●M-7「MR.SUNSHINE」はひたすら突き抜けていて、皿の上で踊っている感じ。サビ前の"来るぞ!"っていうゾクゾク感がたまらない。

田畑:まんまと引っかかってくれてありがとうございます。

ジョーイ:初めて2ビートにも挑戦したし、ずっとやってみたい曲だったので、美味く調理できたと思います。

●タイトル通り、どれが欠けてもダメだし、7曲のバランスがすごく良い。

田畑:どの曲も個性が強いし、今までのお客さんにも "こんな曲でもEGG BRAINやわ"って感じてもらえると思います。ベストアルバムみたいな感じです。

ジョーイ:本当に楽しく曲作りして楽しくレコーディングできたんですよ。だから今までで一番自信があるし、純粋に早く聴いてもらいたいです。

内田:今回は本当にリラックスして出来たんです。それが音にも表れているし、ずっと聴いていられるんですよ。

●まだまだ曲があるんですよね?

ジョーイ:じっくりライブに専念したおかげで、いろいろアイディアも沸くようになったし、本当にたくさん曲ができたんです。来年もみなさんにお届けできたら嬉しいですね。

Interview:上田雄一朗

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