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SPECIAL LIVE REPORT JUNGLE☆LIFE & F.A.D presents “F.A.D☆LIFE”

人と人が最も美しい形でぶつかり合える場所、ライブハウス

4/20(土)F.A.D YOKOHAMA
EGG BRAIN / LAST ALLIANCE / PAN / OVER ARM THROW

ライブハウスF.A.D YOKOHAMAとJUNGLE☆LIFEが共同で企画した“F.A.D☆LIFE”は、両者ががっちりとタッグを組み、それぞれが心からリスペクトするバンドに声をかけて開催したライブイベント。EGG BRAIN、LAST ALLIANCE、PAN、OVER ARM THROWという東西を代表するライブバンド4組が奇跡的に集結したこの日、チケットはソールドアウト。雨の中駆けつけたたくさんの観客の前で4組が4組とも圧巻のライブを見せつけ、我々は熱狂した。出演者と観客が、それぞれ自分にしかできない方法で、その場でしか見せることのない表情で、自らの気持ちを自由に表現し、心からライブを楽しんだ。

 

ライブハウスF.A.D YOKOHAMAとJUNGLE☆LIFEが共同で企画した“F.A.D☆LIFE”は、両者ががっちりとタッグを組んで膝を付き合わせて「あーだこーだ」と密談し、それぞれが心からリスペクトするバンドに声をかけて開催したライブイベント。EGG BRAIN、LAST ALLIANCE、PAN、OVER ARM THROWという東西を代表するライブバンド4組が奇跡的に集結したこの日、チケットはソールドアウト。雨が降る中、F.A.D YOKOHAMAにはたくさんのお客さんが詰めかけていた。

4組が4組とも本当に素晴らしいライブだった。出演者と観客が、それぞれ自分にしかできない方法で、その場でしか見せることのない表情で、自らの気持ちを自由に表現し、心からライブを楽しんだ夜。僕はこの日のことを生涯忘れないだろう。

トップバッターのEGG BRAINは1曲目の「SEVENTEEN」からフルスロットル。「THE SWEETEST LULLABY」のコール&レスポンスで会場のテンションは最高潮にまで達し、中盤の「AWAKE」の頃にはフロアでダイブが多発。身体を大きく使ったダイナミックなプレイのBa./Vo.TABATA、感情を込めて激しくドラムを叩くDr./Cho.UCHIDA、そして揺れるフロアを見ながら笑顔で歌うG./Vo.JOEY。その場その瞬間を味わうように、愛おしそうに音を鳴らす3人がピースフルな空気を作って会場を包み込む。「YEAH! YEAH!」では全員が両手をあげて歌い、肩車からのダイブが乱発。「ここはライブハウス、マナーはあるけどルールはないぞ! 好きに楽しんでくれ!」というJOEYの言葉をきっかけに、観客は堰を切ったかのように暴れ出し、最後は極上のメロディと緩急ある展開の「CROSS THE SKY」で完全燃焼。キラーチューン連発、EGG BRAINは汗まみれの笑顔でステージを後にした。

LAST ALLIANCEの4人が音を合わせ、たくさんの腕がステージに向けてフロアから突き上げられる。G.佐野が叫び、疾走感のあるリズムと硬質なギターが絡み合う。高みへと駆け上がる哀愁感たっぷりのメロディが否が応にも感情を揺さぶる「WEDGE」で幕を開ける。ダイブ連発のまま「TODAY」へ続き、フロアはもはや手がつけられない。更にたくさんの手拍子と合唱が沸き起こるフロアに「KONOYUBITOMARE」の美メロが降りかかる光景は壮観。これぞLAST ALLIANCEの真骨頂だ。そして個人的に期待していた通り、彼らは5月から始まるツアーに先駆けて新曲を披露してくれた。歌とメロディで聴く者の心を一気に持っていった「灯」。Vo./G.ANZAIとVo./Ba.MATSUMURAのツインヴォーカル、軽快なリズム、トリッキーかつ美しい佐野のギターのコントラストが絶妙な「タナトス」。急転直下の展開とソリッドなギター、キャッチーなフレーズがいつまでも耳に残る「ディデュディディ」。新曲を心待ちにしていたのは観客も同じだったようで、フロアの至るところから叫び声にも似た歓声と腕があがる。「片膝の汚れ」の全員が一緒に歌うあの瞬間に身が打ち震える。最後の「プラネタリウム」まで、LAST ALLIANCEは彼らにしかできない男臭いソリッドなサウンドと極上のメロディで魅了し続けた。

ステージに上がってフロアへとダイブする者、身体をぶつけあってモッシュする者、手拍子をステージの4人に向ける者。前2バンドに負けず劣らず、PANも1曲目「人生の湯」からいきなりのハイテンション。我々の“暴れたい”という衝動を爆発させる力を持ったパワフルなステージ。Dr.よこしん、Ba.ダイスケ、G.ゴッチが繰り出すタイトなアンサンブルには付け入る隙がなく、そしてVo.川さんの鬼気迫るアグレッシブなステージングは脊髄反射的に観ている者の感情をたぎらせる。「OH!!アニマル」は肩車からのダイブを乱発させ、「今夜はバーベキュー」の強力な支配力で完全に会場をひとつにする。PANは凄まじさとストイックさとタフさを更に増していた。4人の呼吸は抜群で、テンションが振り切れてどんなにぐちゃぐちゃになろうとも、バンドの芯が一切ブレない頼もしいステージ。新曲の「直感ベイベー」では、新曲なのにダイブ&モッシュ&コール&レスポンスが沸き起こるという奇跡を起こしながら、川さんが所狭しと暴れまくり、負けじと観客も暴れまくる。結成19年目、鍛錬を積んだ者だけに許される自由な表現を手に入れた彼らは、全身全霊で命を燃やしながら歌い、音を鳴らし、オーディエンスは負けじと全身全霊でライブを楽しむ。気持ちと気持ちがぶつかり合う最高の空間。安定した演奏と振り切れた異常なテンションが同居するPANのライブ、最後の曲は「オアシス」。4人も観客も、全員がこの瞬間を心ゆくまで味わった。まるで全身で恵みの水を浴びるかのように、全身で音を浴びて活き活きと楽しんだ。汗まみれの笑顔と熱気が充満したF.A.D YOKOHAMAは、いよいよ最後のステージを迎えることとなった。

「Chime」の幕開けでオーディエンスを歓喜させたOVER ARM THROW。3人が繰り出す音の瞬発力と破壊力は半端なく、その音に打ち上げられて宙を舞うダイバーは数え切れない。フロアは前から後ろまでがぐちゃぐちゃで、「closing」「Dessert Window」とアグレッシブな演奏に乗せてグッドメロディが響き渡る。抜群の一体感と極上のリズムで描いた情景は、3人が作り出したというよりも、ステージの3人とフロアにいる観客…要するにこの場に居合わせた全員が演奏し、全員が歌い、全員が暴れているような不思議な感覚。そして、その後のMCでBa./Cho.洋平が言ったことは、他の出演者も含め、もちろん僕も含め、この日のライブに来た全員の胸に響くものだった。もしかしたらところどころ記憶違いがあるかもしれないけれど、他にも洋平はいいことをいっぱい言っていたけれど、その中で最も大切だと思ったことをここに書いておく。洋平は言った。

「自由ってなんだろうな? と真剣に思って、それをワンマンで伝えてきた。それは、対バン形式のライブがしたいからワンマンでいつも言っているんだけど、ここでも言います。ライブハウスの後ろの方にいる人は、静かに観たいんだよ。前の人はガン見したいんだよね。真ん中の人はぐちゃぐちゃになりたいんだよ。みんなやり方が違うけど、みんなやりたいことは一緒。楽しみたいんだ。だから人がやっていることは否定しないでほしい。自分たちがルールを決めないこと。そこから自由が始まるんだ。静かに観ている人、ぐちゃぐちゃになっている人を否定しないでください。静かに観たければあなたが移動してください。あの人たちは暴れたいんです。ぐちゃぐちゃになっている人、静かに観ている人を否定してないでください。あの人は静かに観たいし、歌いたいんです。あなたはぐちゃぐちゃになってください。最前の人、ダイブして降ってくる人たちを否定しないでください。あの人たちは浮いちゃうんです。自由は“自分から出たもの”。だからみんなが自分を出し切れば、本当の自由が待っていると思う。一歩外に出たらいろんなルールだらけなんだよ。だから俺たちがライブハウスの自由を守るんだ。それが俺たちの願いです」

EGG BRAIN、LAST ALLIANCE、PAN。前3バンドがそのステージでやっていたこと、やろうとしていたこと、そしてこの日F.A.D YOKOHAMAを訪れたお客さん1人1人がライブに対して望んでいたこと、僕も含めてスタッフサイドがやりたいと思っていたこと。それらすべてを洋平が言葉で、OVER ARM THROWがそのステージで形にして見せてくれたような気がした。震災以降で特に感じることだけど、ライブハウスという場所には真実がある。それが何の真実かはよくわからないけれど、人と人が最も美しい形でぶつかり合える場所だと思う。ライブハウスとはそういう場所で、だからこそ僕らはライブで感動するし、だからこそバンドマンはライブに魅了される。この世の中で数少ない、奇跡が起きる場所。それがライブハウスなのではないだろうか。

洋平のMCの後に「in Bloom」が始まった。その場にいた全員がそれまで以上に、自由に、そして思いっきりライブを楽しんだ。洋平の言葉が背中を押してくれ、「ZINNIA」から本編最後の「Shooting star」まで全力で駆け抜けた。洋平は言った。「矛盾しているかもしれないけど、思いっきりやることと守ること、俺たちは両方やらなきゃいけないんだ」と。そしてアンコール、最後は「Dear my songs」。泣いている者、笑っている者、汗だくで暴れている者、食い入るようにステージを観ている者、3人と一緒に歌っている者。みんながみんな自由に楽しんだ。OVER ARM THROWの最高のステージでイベントが終了し、たくさんの笑顔が会場を後にした。

追伸
EGG BRAIN、LAST ALLIANCE、PAN、OVER ARM THROW。この4組に出演していただいたことを心から感謝します。この日F.A.D YOKOHAMAに来ていただいた380人のお客さん全員に心から感謝します。こういうイベントを共同で企画してくれたF.A.D YOKOHAMAに心から感謝します。いいライブを本当にありがとうございました。

JUNGLE☆LIFE編集長 山中 毅

 

 

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